国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/04/07


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成21年(2009年)4月7日(火曜日) 
          通巻第2552号  
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経済危機に発言する強硬ナショナリスト
  中国にまたまた強硬な民族主義的攘夷過激派が登場
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 中国には官営のシンクタンクが圧倒的だが、民間のシンクタンクも私企業相手のレポート作成で細々と食いつなぐところがある。
 優秀な人材は日米欧の大学や金融機関、シンクタンクに流れた。
 とくに日本で“活躍する”北京系の学者のなかに、「中国は日本なしでも生きていけるが、日本は中国なしでは生きて行かれまい」と中華思想丸出しのご託宣をのべる手合いが、リーマンショックで株暴落が始まる前まで大勢いた。

 事態は急転し、かれらは沈黙した。
 輸出産業の対米依存で食いつないできた中国が、明日にも倒産しそうな雲行き。失業は公式に二千万人、実態はおそらくその五倍以上だろう。
 こんな折に不思議や不思議、中国は海外企業の買収、石油ガス鉱区の買収に熱心。米国債権も売り払うそぶりはない。
 中華ナショナリストの経済学者や論客らは、いったいこの事態を打開するに、どんな主張をしているのか? 

 その回答のひとつが最近翻訳の出た、仲大軍『中国は世界恐慌にどこまで耐えられるか』(草思社)である。読んでみてやはり案の定の感想だった。

 著者の仲大軍は中華思想の持ち主、民間シンクタンクでも中国の経済ナショナリストの典型と考えられる。したがって政府への批判は経済政策批判のみである。
 中国の外貨準備は一兆9500億ドルだが、このうち一兆二千億ドルを中国が米国債、株式、社債などに投じたのは「アメリカによる拉致だ」と逆の論理を張るのだ。
 基本的に論理矛盾であろう。


 ▲反米過激攘夷の根底に流れる中華主義の落とし穴

 第一に中国は貯まる一方だった外貨準備を「有効に投資・運用する」ために米国債権を買い続けた。これは自主的判断であり、拉致ではなく、ましてや米国からの強制も無かった。

 第二に中国はそれでも有り余る外貨を運用するため二千億ドルを外貨準備から取り崩してCIC(中国投資公司)を設立した。これも中国政府高官の判断であり、欧米マネージャーは内部の決定に関与していない。ブラックストーンなどへの投資の失敗は、自らの見込み外れでしかなく、責任はアメリカにはない。

 第三に外貨準備が急増したのは輸出好調によるものだが、裏で人民元の為替レートを安く維持するため猛烈にドルを買った結果である。2002年から三年間、日本が円を支えるために猛烈に為替市場に介入、合計43兆円がドルの買い支えに使われたように中国も為替市場への介入により、実態貿易をはるかに上回るドルが蓄積されたのだ。

 だが、仲大軍は続ける。「災難が(米国ウォール街に)突如やってきた時、アメリカは『もし貴国が助けてくれなかったら我々は共倒れになる』と言うだろう。これこそアメリカが中国を『拉致した』という真の意味」、「投入した(中国の)巨額の外貨準備(ドル債権)は回収できなくなる。もしも、アメリカの市場救済に参加すれば、肉団子をなげて狗を追い払うようなもので、新たに投入したお金がもどってくるかどうか」。
だから「アメリカ企業の株主権を交換せよ」。それで「中国の海外資産を保全できる」という。
すなわち中国は米国企業を片っ端から買収せよ、という過激攘夷主義がでてくるのである。

 (この文章は『共同ウィークリー』、4月6日号からの再掲載です)

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●◎ブックレビュー◎●BOOK REVIEW◎●書評◎●ブックレビュー◎●
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(今週の本棚)

  ひさびさに聞いた福田節の快音
     非文学的ではなく、非語学的だから反対するのだ

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福田恒存『福田恒在評論集(6)私の国語教室』(麗澤大学出版会)
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 この不朽の名著は、国語問題に関しては相手が川端康成であろうが、誰であろうが、とりわけ金田一京助なんぞコテンパンに非難されている。日本語をローマ字にしたら良いと戦後獅子吼した『知識人』と称する一群の人々がいたが、なかにはローマ字どころか日本語をやめて英語にせよ、とのたまわる御仁がいた。桑原武夫とか。

福田恒存氏は書いた。
「『現代かなつかい』や『当用漢字』を制定した国語改良論者たちは、日頃、文学者を目の敵にして、その反対論の基調をなす『文学主義』ないしは『唯美主義』を攻撃し、大衆を見方に『実用主義』の宣伝に努めておりますが、これは一種の詐術であります。或いは彼らの保身術に過ぎません。私自身、戦後の国語改革に反対するのは、それが『非文学的』であるからではなく、『非語学的』であるからです」
そしてこうも書いた。
「自分たちの国語に無関心であることは、普通には健康であることの証拠なのです。文学者の場合ですら、そうであります。何事によらず、自意識過剰は一種の狂気でありますから。が、他に極端な自意識過剰が、狂気が存在するとすれば、どうするか。私は国語改良論者は狂信的であるという海音寺潮五郎氏の言葉に同感です」

かくて国語の伝統と美学の大切さを、福田氏は正面に建てて多くを敵に回して闘った不朽の名著が、いままた復活した。
若い人々に是非読んでいただきたい本である。
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(読者の声1)第2551号の(読者の声)で北朝鮮のミサイルのことが話題にされていましたが、これに関して、一部マスコミの間で『圧力外交では、もうダメだ』論が展開されています。
それも、ミサイルの恐怖を煽ることで…。
対話で北朝鮮の御機嫌をとれ!という感じの論調です。これには呆れさせられましたね。
当の北朝鮮はミサイルではなく衛星打ち上げが目的だと言っているのですから、日本のマスコミによる恐怖煽動は北朝鮮のそれ以上です。
日本のマスコミは、自ら「ならず者」に奉公したがるのですね。
日本のマスコミは、北朝鮮以上に反日的です。そういえば、小泉総理の靖国参拝の時も、日本のマスコミは、北京に奉公しようとしていましたよね。
やっぱり、日本(人)の敵は日本人?
   (T.T)


(宮崎正弘のコメント)日本の最大の的は内部の敵、戦争では、内部から戦力を破壊する大胆なパワーになり、あたかも米国内のベトナム反戦運動が、ケネディがはじめた戦争を敗北に導いたように。そしてあのベトナム戦争の背後にあってマスコミを巧妙の操作していたのがソ連KGBでした。
 日本の場合のマスコミ偏向は、これがKGB操作や中国情報府の操作というより“自主的”だから治癒のしようがない不治の病です。
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(編集部から)5日に放映されたNHKの台湾特集で、台湾が反日の狼煙を上げているなどとデタラメな放送番組があったようです。『日台戦争』などという妙な歴史解釈を挿入しながらの偏向番組の由。抗議の投書が殺到しておりますが、番組を見ていませんので、再放送を見る機会があり次第、論評します。
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  • 名無しさん2009/04/07

    日本マスコミの〜「不治の病」〜には「呵呵大笑」正に「名言」と思いました。リハビリも効果は無いのでしょうね。