国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/04/05


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成21年(2009年)4月5日(日曜日)
          通巻第2549号  
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 旧ザイール、いまの「コンゴ」って国で何がおきているか、ご存じですか。
   ハイテク日本に欠かせないコバルト資源を中国が狙い、大々的なテコ入れ
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 ジョセフ・カビラは三十九歳の若さ。写真を見ると、坊主頭に、大きな目玉、背広の内側には驚異の胸囲が感じられるほど、膂力がはじき出た印象を抱く。肩幅はアメフトの選手のように広い。
 この男、何者か?

ザイールの大統領である。父親は嘗てコンゴがザイールと名乗っていたおりの反政府ゲリラの頭目。やがて首都のキンシャサを陥落させ、腐敗の代名詞だったモブツ大統領が逃亡し、政権を握った。
新生コンゴは資源が豊富で、投資が諸外国から大挙してやってくる筈だった。

父親は政敵に暗殺され、兄も暗殺され、西側の選挙監視団がはいった民主的な選挙の結果、2006年に正式にコンゴ大統領に就任した。だからシュワちゃんを越えるような、ストロングマンにみえてカビラ大統領の周りはボディガードだらけ。アフリカはストロングマン待望論がある。
翌年には日本にもやってきた天皇陛下に拝謁している。日本からの援助およそ1000億円。
 コンゴは日本の面積の八倍、人口は日本の半分。

 コンゴに関する我が外務省の分析は下記の通り。
 「ベルギーから独立後、モブツ大統領が1965年に政権を掌握。1990年以降内政は混乱したものの、30年以上独裁体制を維持。しかし、1997年5月、ルワンダ、ウガンダの支援を受けた反政府勢力のローラン・デジレ・カビラADFL(コンゴ・ザイール解放民主勢力同盟)議長が首都キンシャサを制圧。同議長が大統領となり、国名をザイールからコンゴ民主共和国へ改称。しかし、その後再び1998年8月、同国東部地域で反政府勢力が武装蜂起し、ウガンダ、ルワンダなどが反政府勢力を支援し派兵、またジンバブエ、アンゴラ等がカビラ政権支援のためにコンゴ民主共和国領内へ派兵したことにより国際紛争へ発展。1999年8月末停戦合意が成立したが、しばしば戦闘の発生が伝えられ不安定な情勢が継続した。
 2001年1月、ローラン・デジレ・カビラ大統領が暗殺され、息子のジョゼフ・カビラ将軍が後継。ジョゼフ・カビラ大統領は、国民対話の推進、近隣国・欧米との関係改善、経済自由化政策を推進した。2002年には、和平プロセスが進展し、ルワンダ、ウガンダとの間でそれぞれコンゴ領内からの軍撤退等に係る合意が成立した。国民対話も進展し、同年12月には国内の全勢力が参加する「プレトリア包括和平合意」が成立し、右合意に基づき、2003年7月、2年間を期限とする暫定政権が成立した。選挙準備の遅れにより暫定期間が延長され、2006年7月に大統領選挙(第1回投票)と国民議会選挙、同年10月、大統領選挙(第2回投票)が実施され、ジョゼフ・カビラが当選。同氏が同年12月に大統領に就任した」(外務省ホームページより)。

 コンゴは元「ベルギー領コンゴ」。モブツがクーデターで政権を掌握後、国名を「ザイール」に変更し、モブツ独裁三十年の後、ふたたび「コンゴ」に戻した。モブツは精力絶倫、外遊の度に特別機にのる「大統領補佐官」はなぜか美女ばかりだった。

 記憶が鮮烈なのは、銅鉱山をめぐっての内戦で、往時、この山奥に日本鉱業など多くの日本企業が進出していた事実だ。
 鉱山をゲリラに取り囲まれてあわや絶体絶命のピンチに「我が自衛隊が救援に来ることはないだろう」(当時、ザイールの山奥の鉱山に滞在していた日本鉱業の社員から直接聞いたことがある)。
 救援にやってきたのはベルギー空挺団。落下傘部隊が外国人を救助した。フランス外人部隊も突入した。鉱山を運営していたエンジニアの多くはフランス、ベルギーから派遣されていたからだ。


 ▲戦略物資が大量に偏在

 コンゴは石油いがいに希少金属を産出する。金、コバルト、ダイヤモンド等等。
 わけてもハイテク日本にとって重要なのがコバルトである。金は世界各地で産出される。ダイヤモンドも然り。しかし、コバルトは世界生産の90%が、このコンゴで産出される。
コバルトは高速輪転機の切断(いわゆる「ギロチン」と呼ばれる高度高精度強度の機械)やハイテク・カーのエンジン触媒に使われる。代替できる物資もあるが、強度が落ちる。

このコバルト、金が世界の垂涎のまと、中国の狙いはまさにこれだ。
冒頭のジョセフ・カビラ大統領がNYタイムズのインタビューに答えている。
「諸外国に援助を申し出たが、アメリカは『カネはあるか?』と尋ねてきただけ。EUは『優先順位の高いプロジェクトをなすに40億ドルほどかかるが、その資金はあるのか』と聞いてきた。いずれもカネはない、と言った。
 中国は何も言わず『話し合いに応じましょう』と言ってくれ、そして90億ドルの支援を申し出てくれた。中国と署名を済ませたが、コンゴ国内では東部の反政府勢力が反対している。不思議なのは彼らには対案がない。」

 かくて中国はコンゴに大々的に進出した。
北のアンゴラへはすでに進出済み、コンゴの東に国境を接するルワンダとブルンジは、反コンゴ政府勢力を温存し、部族対立を拡大させるが、これらいずれの場所にも中国は進出している。


 ▲北京に騙されたマラウイ

 その近くに「竜の落とし子」のような国土の国がある。マラウイだ。
 このマラウイは中国にまんまと騙された。
台湾の有力紙『自由時報』(09年2月4日付)によればムタリカ大統領は『中国が60億ドルの援助』という話につられて台湾と断交した。
 その後、架空の法螺援助は実現されず台湾との断交を悔やんだ。

「台湾と国交があった時期に台湾は誠実に援助してくれた。うっかり中国の援助額に幻惑され、台湾と断交に踏み切ったのは間違いだった」とムタリカ大統領が悔やんでいるというのだからお笑いを通り越して哀切を感じる。

 08年12月までマラウイは42年間にわたって台湾と外交関係を結んできた。台湾筋に拠れば毎年500万ドルの経済援助をしてきた。
 ムタリカ大統領は09年五月に再選を目指しており選挙資金を必要としたために目の前にぶら下がった北京からの途方もない大風呂敷の援助話にのって、拙速に断交。後悔したのち、「台湾と復交したい」と言い出した。
 台湾側は「もはや相手にしない」(台湾外交部高官)。 

 拝啓 ジョセフ・カビラ(コンゴ共和国)大統領閣下
 
 御国の発展を心から祈念する極東の一評論家より質問です。
いったい中国が約束した90億ドルは本当に実行されたのでありましょうか。もし実行されたとして、それはドル払いでしたか、武器と引き替えの差し引きでしたか。それとも、まさか人民元建ての支払い小切手でしたか?
 

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  • 名無しさん2009/04/05

    いろんな意味でさすが中共です。我が日本は、コンゴに対してどのような対応をしているのでしょうか。「特あ」に出す金を、こういったところに使って欲しい。