国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/03/20


●本誌愛読者13970名!

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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成21年(2009年)3月21日(土曜)
       通巻第2534号  (3月20日発行) 臨時増刊
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 傍で見ているとハラハラどきどき。奇妙な中台関係の物語
  中国は台湾向けミサイルを増強、台湾は逆に兵力の20%を削減
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 閉幕した全人代で経済成長は8%堅持(保八)が謳われた。
 同時に国防費の増額が14・9%(08年は17・6%だった)。連続21年の二桁成長路線に変更はない。

 第一に、党に従属する筈の中国人民解放軍のご機嫌を雇用主であるはずの中国共産党が取らないと独裁政権がやっていけない。
第二の理由は中華思想の偏執的パラノイアがあって世界の覇権を握るのが、「中華民族」の夢だからだ。
これは党幹部と軍の上層部に共有するメンタリティである。
第三はすでに軍産複合体が肥大化し、産業の根幹を形成し、国家の生存がかかっているからである。この軍学産構造は、米国も同じ、そして嘗てのソ連は、この病巣ゆえに国家倒産となった。

 とりわけ特筆するべきは海軍力の突出的な拡充である。
「1995年と96年の台湾ミサイル危機まで、中国は海軍を増強する戦略的意図の実践にほど遠かったが、台湾防衛のために米軍が差し向けた二隻の空母集団を前に引き下がらざるを得なかった屈辱から、海軍増強のスピードをあげたのだ」(エリス・ジョフェ=エルサレム大学客員教授。『ファー・イースタン・エコノミック・レビュー』誌、2009年参月号)

 いま中国海軍の陣容は五隻の原子力潜水艦、二十二隻の通常型潜水艦に十隻の駆逐艦、六隻のフリゲート艦。なかでもSLBM搭載の駆逐艦四隻は最新鋭。これにくわえて空母二隻を建造する方針で、鄭和600年記念に国際海洋へ進出を果たして以来、いまではソマリア沖へ六隻の軍艦を派遣して国際舞台に偉容を示威するまでに成長した。

 「ただし全人代では軍首脳が人民代表に空母の必要性をロビィしていたのが特徴的で、また戦力増強も対外的と言うより国内向け(暴動鎮圧対応)に拡充されている」(ウィリー・ラム、米国ジェイムズタウン財団発行『チャイナ・ブリーフ』、3月19日付け)。

 一方、1300基のミサイルの照準をあてられている台湾は、なんと陸軍の20%を削減し、さらに徴兵制を廃止するという(1300基は台湾国防部、17日発表)。
 驚くべき楽天主義。馬英九政権は狂ったのか?


 ▲鄭和いらい、公海を遊弋する中国海軍の突出

 言うまでもなく背後にあるのは米中関係の変化である。
ワシントンはむしろ台湾に圧力をかけて「独立を言うな」「問題を起こすな」として、李登輝、陳水扁の独立傾斜を露骨に牽制し、その動きに便乗した国民党は陳水扁の八年間、米国からの武器購入を断り続けた。

 2007年、ようやく国民党統治システムの復活がみえるや、台湾は90億ドルもの大金を支払って、パトリオット・ミサイルと対潜水艦哨戒機P3Cオライオンを購入することとなった。
しかしながら台湾の切望した最新鋭潜水艦とジェット戦闘機改良型は供与されずじまいとなった。

 このため装備の近代化を達成しつつある中国に対抗して、台湾軍は装備の近代化、兵力の効率化とプロ化、無駄な兵力の削減ならびに先制防御システムへの切り替えを、新しい方針とする。
 「今後五年以内に台湾軍は志願兵を主体のプロ兵員215000人体制とする」(『ザ・オーストラリアン』紙、3月18日付け)。

 今回の米国の台湾向け兵器供与のなかには、台湾が要求した66機のF16ジェット戦闘機改良型は含まれていない。
台湾空軍スポークスマンは「次世代戦闘機はF22,F35,或いはトーネードになるだろうが、どの機種を選択するかは未定」(3月17日記者会見。チャイナポスト、18日付け)。
 トーネードはNATOの主力。つまり脱アメリカを選択肢にくわえている。

 馬英九は狂っていない。
かれの目は北京よりワシントンを先に見ている。
 米国が「トラブルを起こすな」と言えば、その通り「独立」を口にせず、それが地域の安定に繋がり「われわれはピースメーカーを目指す」などと本気に信じている節がある。台湾の主権、台湾の自主性という概念は、かれには希薄である。 
 それで良いのか、どうか。
それは台湾2300万国民が決めることであるが。。
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樋泉克夫のコラム

   ――かつて“斥けられた声“に、いま、耳を傾ける
      『中共の内幕』(金雄白 時事通信社 昭和37年)


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 著者は「日本国民は現在の中国大陸における不合理きわまる現象に少しも気づかないで、いまでもまだあこがれの気持さえ抱いているのかもしれない」と指摘し、「私は一人の中国人として、不思議に感ぜざるをえない」と、この本を執筆した動機の一端を明かす。

この本が扱おうとした「現在」は、百年に一度といわれる世界同時不況下で「保八(経済成長率8%堅持)」を国是とする2009年の春ではなく、50年代末から60年代初頭にかけて、つまり空前の暴政だった大躍進を毛沢東が強行していた頃に当たる。
だが、上記の指摘は現在にも通じそうだ。ということは昔も今も、「日本国民は現在の中国大陸における不合理きわまる現象に少しも気づかない」ままに過ごしてきたということではないか。

 1904年に江蘇省で生まれた著者はジャーナリスト、弁護士などを経た後、1940年には汪兆銘政権中枢入り。同時に南京や上海で新聞社や銀行を経営。日本敗戦後、国民党政権から日本に協力した漢奸(=売国奴)として禁固10年の判決を受けたが、汪政権にありながら「抗戦に共助し、人民を利した」事実が確認され大幅減刑となる。

上海監獄で900日余を過ごした後、汪政権関係者に着せられた「あまんじて国を売り、永遠に中華民族の汚点になった」という屈辱を晴らすべく、1950年からは香港を拠点に言論活動をはじめた。
 「考えてみると、日本人も気の毒なものだった。多くの支那通を自任した人びとは、その実、中国のいっさいを決して深く切実に知っていなかった」と、日本人の中国不理解と汪政権へのあらぬ誤解を正すべく、『同生共死の実体』を出版。

その後、60、61年と訪日。「日本の各界の人びとの中国問題に対する関心の深さを知って感動」する反面、「大陸の現状に対する認識がかけ離れていることに驚」いた著者は、「幾度か会談した」「時事通信社代表取締役長谷川才次先生」から「『中共の最近の内幕』を書いて、日本国民の参考とするよう求められた」。
そこで「すべて信頼すべき資料によ」って、この本を書き上げる。

 著者が毛沢東と共産党への鋭い批判を展開していた当時、内外から「反中分子」「CIAの手先」と批判され、それゆえに彼の分析は「香港情報」の4文字に象徴されるデタラメ、ガセネタ、インチキの典型と看做され、内外から斥けられがちであった。

70年代前半の香港留学時、無謀にも著者を訪ねたことがあった。
いまは観光客向けの豪華ホテルが林立する尖沙咀の路地裏の一角にあった5,6階建の老朽ビルの屋上に建てられた粗末な小屋が、住居兼事務所である。

驚き戸惑う日本の若者を、夫人と共に歓迎してくれた。
戸外には鶏小屋と小さな家庭菜園。2人とも粗末といったほうがよさそうな身形だったが、「これぞ自力更生」と意気軒昂。文革華やかなりし当時でもあり、共産党における権力闘争の凄まじさを熱く語る。
その詳細は忘れてしまったが、帰りの道すがら「CIAの手先なら、もっと豊かな生活をしていてもよさそうに」と首を傾げたことを覚えている。

本書は具体的事例を挙げ権力機構、党組織、軍、人民公社、文化、文芸、メディア、科学、工業、農業、労働者、農民などをキーワードにして、外部からは窺い知ることが困難であった当時の『中共の内幕』を驚くほどリアルに描き出す一方で、「日本を顚覆して東亜の覇者になるという中共の夢想」が持つ危険性を指摘する。

だが当時も、その後も、日本が著者の主張を受け入れることも、その警告に耳を貸すこともなかった・・・なぜだ。
《QED》

(ひいずみかつお氏は愛知県立大学教授。華僑と京劇の研究では第一人者)。

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(読者の声1)映画「風を聴く」「雨が舞う」の林雅行監督講演会 
(台湾研究フォーラム第120回定例会)

■講 師  林 雅行氏(映画監督)
■演 題  「台湾再発見、九[人分]・金瓜石に見る金鉱山の歴史と秘話」

日本統治時代の台湾における日本人と台湾人の交流をテーマに映画を撮り続ける林雅行監督。昨年、台湾の九[人分]金鉱山を舞台にしたドキュメンタリー映画「風を聴く」を製作して好評を博し、今年はその続編ともいえる金瓜石金鉱山を舞台にしたドキュメンタリー映画「雨が舞う」を製作。今まで知られていなかった歴史や逸話を伺います。
なお「雨が舞う」は3月28日以降、都内の映画館で上映されますので、ぜひ鑑賞に映画館まで足を運んでください。
■「風を聴く」「雨が舞う」作品案内
http://www11.ocn.ne.jp/~cr21/movietop.html
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(はやし・まさゆき)クリエイティブ21代表。雑誌編集をしながらルポを書く。NHK衛星放送の制作を経て、ドキュメンタリー制作に携わる。TVドキュメンタリー(NHK、テレビ東京「ガイアの夜明け」ほか)、ニュースの制作から映画の製作も手がける。著書『幸福ですか?−ルポ、日本人の憂鬱』(教育史料出版会)ほか。現在、『台湾金鉱哀歌』を執筆中(‘09年5月発売)。

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【日 時】 平成21年3月21日(土) 午後5時45分〜8時
【場 所】 文京シビックセンター 3F会議室(JR「水道橋駅」徒歩10分。都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分。丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分)。
【参加費】 会員500円 一般1000円
【懇親会】 閉会後、会場付近にて。(会費3000円、学生1000円)
【問合せ】 taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp 090-4138-6397
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(宮崎正弘のコメント)最近の台湾映画、ならびに台湾に題材をとった日本映画も素晴らしい力作が多いと聞いております。機会があれば、是非みたいと考えながら。。。
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☆宮崎正弘●宮崎正弘●宮崎正弘●宮崎正弘●宮崎正弘●宮崎正弘●宮崎正弘☆
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((((((((編集後記)))))))))●大雨、烈風の悪天候にもめげず、不況の嵐にも負けず、飲むことだけは何故か熱心。三ヶ月ぶりに中村彰彦氏と四谷で。世界かち歩き大会を主催する森田勇造(青少年交流協会理事長)も合流。おでんをつまんでいると、朝鮮問題評論家でもある植田剛彦氏から電話があってホテル・オークラへ流れることとなった。別館十二階の「バロン」で、自慢のイベリコ豚のつまみ。絶品。ウィスキー。気がつけば十二時をすぎていた。なにを話し合ったかあまり記憶にない。●居酒屋で気になるのは大不況というのに最近やたら混んでいること。各社赤字決算、リストラ横行というのに何故、サラリーマンにカネがあるのか、理由がようやく分かった。三月、四月初旬は人事異動による送・歓迎会。くわえて卒業式謝恩会の流れ。花見会場も、はや予約の札を置いている企業があって、その気の早きこと火の如し。●永井陽之助氏の訃報に接した。昨年末に亡くなり密葬された由。84歳。一ヶ月ほどまえに神谷不二氏の訃報にも接した。論客が次々と消えてゆく、一抹のさびしさ。神谷不二氏は朝鮮戦争は北からしかけた侵略戦争だったと資料をあげて客観的に明言した。当時、日本の論壇は信じられないことに「南韓」とよぶのは良い方で韓国を「米傀儡」とか「朝鮮半島に南」とか、左翼ばかりか一般言論人も言っていた時代である。南とCIAが仕組んだ戦争だと殆どの言論人が叫んでいた。へんな時代だった。ベトナム戦争で大学キャンパスが反戦運動に塗り固まっていた昭和44年頃、神谷教授は大阪から慶應義塾大学へ赴任して来られた。すぐに会いに行った。意外に気さくな叔父様という感じで小柄だが、押し出しが強く、晩年は安保フォーラムなどの会でよくお目にかかった。●永井教授も北海道から東京工業大学へ赴任してきた直後、ベストセラー『平和の代償』をひっさげて颯爽デビューの頃で、大岡山の東工大キャンパスへ会いに行った。昭和四十三年だった。同行したのは当時、早稲田国策研究会の論客=山浦嘉久氏で、いきなり二時間の議論になった。かれを保守と錯覚したのは当方だったが、意見が微妙にずれた。意外にも核武装では基本的に意見があった。しかし永井教授は、公の場で核武装を提言することは無かったように記憶する。
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宮崎正弘の新刊  http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
  四月初旬刊行決定
 宮崎正弘・石平『中国人論』(ワック。仮題) 
       

宮崎正弘の近刊  絶賛発売中!
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫、980円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 『北京五輪後、中国はどうなる』 (並木書房、1680円) 
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
 『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
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○宮崎正弘●宮崎正弘○宮崎正弘●宮崎正弘○宮崎正弘●宮崎正弘○宮崎正弘●
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