国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/03/19

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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成21年(2009年)3月19日(木曜日)
       通巻第2532号  
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宮崎正弘のHP更新
http://miyazaki.xii.jp/column/index.html
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 世銀、中国経済成長率をふたたび下方修正
    7・5%成長から6・5%へ改定。中国の公式は「8%成長死守」だが。。。。
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 3月18日に発表された世界銀行「2009年経済予測」では、中国のことし通年の成長を「政府の4兆元もの景気刺激策」を高く評価しつつも、7・5%から6・5%へ下方修正した。

 とくに世銀報告は二つの特色を持つ
 第一は中国の73人のエコノミストが、「8%をすこし下回る」と、珍しく中央政府の目標数値を下回るであろう、と予測していること。従来、政府が8%成長を公的に掲げた場合、エコノミストたちの予測もびったり8%だったからめずらしいのである。

 第二の特徴は、「不動産」セクターの落ち込みを特筆していることだ。
 中国のインフラを支えたのは不動産開発、公的資金が注入された鉄道、ダム、高速道路、一般道路建設のほか、公的な建物(共産党委員会、市政府、公務員住宅、兵舎など)が大ブームを支えてきた。
 
 これは地方政府の財源でもあり、地方政府の「計画」(ト称する恣意)により、土地の払い下げでデベロッパーと組み、それで地方政府は潤い、しかも不動産税、日本流の固定資産税が歳入の中心だった。
 中国の景気刺激策4兆元(日本源換算で57兆円のパケッジ)で効果が出ると、日本のシンクタンクでも予測する向きがあるが、じつはこの財源は中央政府が30%、あとは地方政府負担なのだ。

 すでに昨年の不動産税による歳入は20%減退、地方政府は、この財源でこれまでも健保、教育、社会福祉などの行政をカバーしてきた。
 歳入減によりプロジェクトの停滞が明らかに予測される。このために中国は「地方政府債権の発行」を許可した。じつはこのことにこそ注目すべきであり、日本でいえば富山県や島根県が県債を発行するように、従来地方政府の許可が必要だった地方政府の「借金」も、投資家さえ買えば、円滑化する。

 こうみると、世銀予測の6・5%成長という数字は不思議なインデックス。私見によれば、世銀の数字は甘すぎる。


▲中国国際航空が武漢のローカル・キャリア「東星航空」を吸収へ

 中国は観光ブームが下火となり、乗客がガラガラ、航空業界も大不況に陥った。
 フラッグキャリアの旗艦「中国国際航空」は、武漢を拠点とするローカル・キャリア「東星航空」を吸収合併することで最終合意に達した。

東星航空のラン・シリ(音訳不明)社長が、この交渉過程の大詰め段階で行方不明になったとウォールストリートジャーナル(3月18日付け)が伝えた。
 同社はGEが株主で参加している。理由はGEがエンジン部門から、エンジニアを送り込んでいる関係からだ。
 
 ほかに中国の「OKAY航空」が業務を中止、また大手の中国南方航空は44%の収益ダウン、中国国際航空は31%、東方航空は20%のダウンとなり、同東方航空は四億三千万ドルの救援を中国政府に要請した。
 ドル箱といわれた「ドラゴン航空」、「上海航空」なども苦境が伝わっている。
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明日です!
日本保守主義研究会の「宮崎正弘独演会」
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 予約がなくても、当日参加いただけます!
     記
日時   3月20日(金・祝日) 14時開会(13時半開場)
講師   宮崎正弘
演題   「激動の世界情勢を読み解く〜中国・アメリカそして日本」
入場料  学生無料。予約のある方2000円。一般当日券=3000円
会場   杉並区産業商工会館 (杉並区阿佐ヶ谷南3−2−19)
     http://www2.city.suginami.tokyo.jp/map/detail.asp?home=H04880
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(読者の声)貴誌2528号に掲載していただきました「原発と直流送電網」に関する拙論にST氏から貴重なご意見を賜り、感謝申し上げます。
ご指摘の点は誠にその通り、「一極集中がベスト」は誤解を招く表現でしたので撤回します(工業団地のようなところに200基もの原発をまとめて建設すると言う積もりはありませんでした。
何分、オーストラリアの海岸線は日本の何倍も長いのですから)。
ついでに、いくつか補足させていただきます。

廃熱をただ海に流してしまうのはいかにも芸がないと私は常々思っていました。私企業が単目的で作る装置ですから仕方がない面もありますが、冷却水を海に流す前に、廃熱の多目的利用を考える余地は十分あると思います。別の工場や施設では高温水を得るために多量の燃料を消費しているのですから。

技術は、夢の段階がもっとも美しいものです。原子力は、「鉄腕アトム」が活躍していた時代がもっとも美しく、その後、多くの問題が続々と現れてきました。太陽光発電も、ビルの屋上や壁面にささやかなパネルを設置している段階では夢の技術ですが、巨大なパネルが広大な地面や海面を覆うようになると(太陽光が地表に届かないと)、どのような事態は生じるか予想がつきません。少なくともこれから5,60年の間に太陽光や風力が新幹線を走らせることは期待できないでしょう。


 「まともな原発」とは170万キロワットレベルの大型かつ安全なものという意味で、そのために最も重要な装置は、万が一の原子炉事故の際、大量の放射線を封じ込める「圧力容器」です。(1976年のチェルノブイリ事故を起こした原発にはこの装置がなかった。それ以前の(1979年)スリーマイル島事故はこの装置お陰で、前者と比べて被害ははるかに少なく、また短期間に収拾できました。)この3000トンの鉄構物を非破壊検査する装置を持っているメーカーは、世界中で、日立、東芝、三菱の3社だけです。


 これら3社を中心に世界の原発メーカーの合併、寡占化が進んでいます。日立とGEの原発部門は実質合併、GEというブランド名は残りますがすべて日立製。東芝はウェスティングハウスを買収しました。
同社は長年三菱と提携関係にあり、共同パテントが多く、結果的に三菱と東芝の連携が強まるものと思われます。三菱はヨーロッパ最大手の仏アレバグループと中型原子炉を開発するための合弁会社を設立しました。

ちなみに、フランスが中国に建設した原発はアレバ製で、この会社はもともと大型のものは作っていません。昨年11月、アレバは中国の原子力発電大手、広東核電集団と第3世代原子炉の建設で協力協定を結びましたが、当然、ここに三菱の技術生かされます。日本の企業はセールスや経営が苦手ですが、GE・ウェスティングハウス・アレバは今でも世界中で原発関連企業の買収や協定締結、受注に励んでいます。当面、製造は日本、経営・営業は外国という形で分業しながら寡占化が進むものと思われます。

また、旧東欧諸国にはロシア製原発が多数ありましたが、それらの稼働停止・廃棄がEU加盟の条件でした。さらに、イランで商業用原発(100万キロワット)が動き始めましたが、イラン原子力庁の秘密報告は、チェルノブイリ型の事故が起きる可能性があると警鐘を鳴らしているそうです。(産経新聞1月29日)

4 
原発に限らず、先端的重厚長大産業に新規企業が参入できる可能性は非常に低いです。施設・設備投資が莫大である上に、技術の蓄積・人材育成が難しいからです。
1979年の事故以来、アメリカは原発を作っていません。製造施設はすべて廃棄、技術者も世界中に散らばってしまいました。アメリカ人は、改めてゼロから原発メーカーを立ち上げるより、日本のメーカーをいかに利用するかを考えるのが好きです。
 また10年以上運転停止していた高速増殖炉「もんじゅ」が再稼働を始めましたが、最大の問題は人材だそうです。散らばった技術者が蓄積したノウハウを再構築するのはそれほど大変なことなのです。
 やはりCO2削減の観点から、航空機や自動車・トラックに代わる高速鉄道が世界的に注目されていますが、この分野ではフランス、ドイツ、日本以外の国名は出てきません。アメリカやロシアでは、国内に競争相手がいないので、日本の新幹線を採用するのに抵抗はないでしょうが、ヨーロッパでは頭の痛い問題のようです。
イギリス政府は新幹線導入に前向きですが、産業界は雇用が失われると、反対です。しかし、ロンドンとパリを結ぶユーロスターは新幹線導入が決まっており、車両はすでに海を渡っています。

鉄鋼や造船でも同じですが、量ではなく質の比較となると、ナショナリズムと関係ありませんから、専門家の評価はそれほどバラつきません。ただし、どれを採用するかは政治の問題です。


「原子炉の炉心を保護する鉄製の鋳物を作ることのできるのは日本の鉄鋼メーカー1社だけ」とのご指摘がありましたが、日本には多くの分野で世界の数十パーセントのシェアを占める非上場の中小零細企業があちこちにあり、スペースシャトルにもそのよう会社の製品が多数組み込まれています。しかしそれらの多くは現社長一代で終わってしまう可能性高いようです(唐津一氏がこの種の企業を熱心に紹介されていました)。
また大企業の生産現場でも熟練工の技術を継承する若者の不足が大問題になっています。日本の技術は今がピークで、後継者を広く世界に求めることなしに、これまでに蓄積された貴重なノウハウを後世に伝えることは不可能かと思われます。この絶滅危惧職人の保護・増殖こそ国の緊急課題であり(残された時間は僅か)、人類に対する貢献と考えて取り組んで欲しいものです。


私個人としては、日本にこれ以上の原発は不要と考えています。
地震と国民の核アレルギーの問題もありますが、水とメタンハイドレートという自然の恵みが十分にあるからです。その存在は何十年も前から確認されていましたが、政府は目先の安い石油に目がくらみ、あまり興味を示していませんでした。ところが、昨年、アメリカからの打診があり、急遽今年から商業化を目指す日米共同研究が始まります(もんじゅの運転再開もアメリカからの共同研究の申し入れがきっかけでした)。アメリカの魂胆は、中国が日本領海内のガスや原油を狙っているのと同じく、日本の太平洋側に豊富なメタンハイドレートをかすめ取ることに間違いありません。日本以外の国は、いかに「奪うか」を常に考えています。しかし、日本の「与える文化」こそラビ・バトラ教授の「ブラウト理論」にかなう美徳ではないでしょうか。


オーストラリアに原子力センターを設置するという提案には、実は、もう一つ大きな理由があります。研究者、技術者、運転要員、保安要員の教育機関を併設するのに適しているということです。
 原子力関連分野の教育機関として、国連機関および世界30カ国の大学、研究等が参加して、2003年9月、World Nuclear University なるものが設立されましたが、その提唱者は、ガイア理論で有名な、あの環境活動家レスター・ブラウン氏です。
地球環境を守るためには、原発は必要(悪?)との結論に達したのでしょうか。今のところカリキュラム開発や通信教育レベルに留まっているようですが、原発の設計から廃棄まで、そしてその周辺分野の学問・技術を一貫教育できる実践的教育現場としてやはりオーストラリアが最適地なのです。
開発から製造・建設までの要員だけでもたいへんな数になりますが、運転・保安さらには送電等々に必要な人材はその何十倍にもなるでしょう。その教育は、製造責任者である日本企業あるいは大学にはできません。理由は二つあります。一つは言葉の問題、もう一つは日本人のメルトダウン(?)。

しかし、これらは別のテーマになりますので、詳しいことは省略します。

言葉の問題を扱った本としては、最近話題の「日本語が亡びるとき」(水村美苗著)を興味深く読みました。
 日本人のメルトダウンは主として教育の問題です。教育は国家百年の大計と言いますが、明治維新を成功させたのは江戸時代の(藩校・寺子屋)教育、戦後の復興・繁栄を可能ならしめたのは戦前の家庭教育・学校教育・社会教育でした。家庭教育と社会教育が消えた戦後の学校教育はどのような未来を作るのでしょうか?
  (SK老)



(宮崎正弘のコメント)ご指摘の「技術は、夢の段階がもっとも美しいものです。原子力は、『鉄腕アトム』が活躍していた時代がもっとも美しく、その後、多くの問題が続々と現れてきました。太陽光発電も、ビルの屋上や壁面にささやかなパネルを設置している段階では夢の技術ですが、巨大なパネルが広大な地面や海面を覆うようになると(太陽光が地表に届かないと)、どのような事態は生じるか予想がつきません」。
 まったくその通りですね。
 長文の御力作を有り難う御座いました。
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  • TH生2009/03/19

    貴誌第2532号掲載のSK殿の力作ですが、当該事業従事者(原子炉主任技

    術者免状所持者)の目からしますと、主旨には異論がないのですが、誤解を招き

    かねない部分が散見されますので、以下少々。



    ----



    > 冷却水を海に流す前に、廃熱の多目的利用を考える余地は十分あると思います





     基本的にご指摘の通りですが、実例が少ないのは「低温熱源」の輸送および

    活用の難しさ、需要の少なさにあります。

     実際に、日本国内で最近運転開始した火力発電所(コンバインドサイクル天

    然ガス火力)の場合、コンビナートの一角にあったため、最後の「低温熱源」

    としての蒸気を、コンビナート内各工場に配給するシステムが実現しています。

     しかし、これは「コンビナート内」という至近距離に「低温熱源」を大量に

    使用する工場があったために実現可能であったことであり、その他の事例では

    「熱」を有効な形で輸送できる至近距離に、需要施設が存在するか否かが問題

    となります。

     そのため、日本国内ではなかなか同様の事例がないのが実情です。

     一方、特に旧ソビエトで顕著ですが、原子力発電所の廃熱を蒸気とし、近隣

    の居住都市に供給している事例も実在します。

     以上、「熱」の長距離輸送およびその活用の難しさ(技術的以外にも経済的

    な整合性他)は、この場で十二分に強調してしかるべきと考えます。

    ----



    ----



    > 最も重要な装置は(中略)大量の放射線を封じ込める「圧力容器」です。



     まず、「大量の放射線」は「大量の放射能」の誤りです。

     また「圧力容器」という一般的な言葉が用いられていますが、原子力の世界

    では「原子炉圧力容器(原子炉容器)」とそれを覆う「原子炉格納容器」は全

    く別の物であり、明確に区別すべき物です。

     両方とも「圧力容器」であることには間違いありませんが、ご高説の文脈に

    おいて前後の用語が別の物を指しており、混同されるのは問題があります。



     なお、原子力従事者が最重要視するのは「原子炉圧力容器(原子炉容器)」

    の方であり、こちらの健全性が担保されない状態で原子炉の運転はあり得ませ

    ん。

     一方、「原子炉格納容器」は「原子炉圧力容器(原子炉容器)」及びその付

    属物が破損した際にも、放射能(放射性物質)を外部に放出されないものとし

    て重視されているもので、その有効性はご指摘のとおりです。

     なお、チェルノブイリ原子力発電所事故は、1986年4月26日に発生したもの

    です。単純な入力ミスと愚考しますが、10年もの間違いですので改めて指摘さ

    せていただきます。



    > 3000トンの鉄構物を非破壊検査する装置を持っているメーカー



     最新の原子炉では、必ずしも「原子炉格納容器」はその大きさから鉄構物と

    は限らず、鉄筋コンクリート造のものがあります。

    (ちなみに「原子炉圧力容器(原子炉容器)」ではBWRの最大級のものでも、

     910トン程度

    出典:http://www.pi.hitachi.co.jp/Div/power/product/abwr/reactor/p_vessel/inde

    x.html

     となっています。)

     また、当該の非破壊検査に用いられる機器のメーカーは海外にもあり、日

    本国内でもIHIが代表として挙げられます。

    <もっともIHIは東芝とセットで語られることが多いのですが

    ----



    ----



    > 同社(ウェスティングハウス)は長年三菱と提携関係にあり、(中略)

    > 結果的に三菱と東芝の連携が強まるもの



     三菱と東芝の連携については、まったく逆です。

     ご指摘のとおり三菱重工業はウェスティングハウスから技術導入を受け、

    その後は長年の提携関係にあったことは事実であり、ウェスティングハウス

    買収の大本命と目されていましたが、東芝に競り負けてしまったところです。

     この点の遺恨(特に三菱側)は激しく、三菱と東芝の技術者の接触は大学

    の同窓生であっても三菱側が制限するほど、と言われています。

     そのため、三菱と東芝の連携はありえないとまで言われており、三菱が仏

    アレバと提携したり、三菱独自の米国・欧州拠点を設けるなどするなど、露

    骨なまでに東芝(ウェスティングハウス)への対抗軸を打ち出すに至ってい

    ます。



    > フランスが中国に建設した原発はアレバ製で、この会社はもともと大

    > 型のものは作っていません。



     明らかな誤りであり、現時点でアレバは世界最大のタイトルホルダーです。

     アレバNP(Areva NP)の前身であるフラマトム(Framatome)の時代に、単基

    出力としては世界最大となる150万kW級の標準炉型N4シリーズを2000年に

    は完成させています。

    例:ショーB1、B2号機(PWR、156万kW×2基)

      シボー1、2号機(PWR、156.1万kW×2基)

    出典:http://www.atomin.go.jp/atomica/01/01070507_1.html

    ----



    ----



    > 「原子炉の炉心を保護する鉄製の鋳物を作ることのできるのは日本の鉄

    > 鋼メーカー1社だけ」とのご指摘がありましたが



     日本には世界的な非上場の中小零細企業があちこちにあることはご説の

    とおりですが、原子力の世界で通用するような超大型の「鉄製の鋳物(正

    確には鍛造品)」の製造は、先のご指摘のとおり日本製鋼所1社にほぼ限

    られてしまいます。

    (ほかにも製造できるメーカーはあるが、規模・技術ともに見劣りしてし

     まいます。)

     そのため、日本国内メーカーだけではなく、仏アレバNP社までが強引と

    も思われる方法で主要鍛造品を長期供給契約を交わし、それを受けて日本

    製鋼所が製造能力増強を図るなど、同社を巡る状況は急となっています。

    出典:http://www.jaif.or.jp/ja/news/2008/news1113-1.html



     なお、日本製鋼所自体は戦車や艦艇の砲を製造する防衛産業大手でもあ

    り、その意味でもかなりの注意が払われていることを付記します。

    ----



     以上、瑣末な点ばかりで恐縮です。

     しかし、せっかくのSK殿の論拠に瑕疵があっては、ご高察の価値を落

    とすこととなりかねないため、以上、指摘させていただきました。

     今後も高い見識を持った議論が展開されることを祈念します。

  • 名無しさん2009/03/19

    日本のメトルダウンの元凶はやはり文部省と日教組に有りますが基本的に教育制度の「規格」に嵌り過ぎた教育に有るのでしょうね。



    原発や国際的な営業業務は外国人に遣らすのも良いでしょうね。当座の対策として日本は教育の再生を図りながら力を付けていく?夢でしょうか?