国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/03/04


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成21年(2009年)3月5日(木曜日)
       通巻第2516号   
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 イスラエルの連立工作進まず、リクード主導は頓挫中
  ネタニヤフ次期首相、中道右派政権を構想、対立政党と連立を模索
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 イスラエルの総選挙からすでに三週間が経った。
だがエルサレムの政局は度し難く混迷の度を深めている。
 第一党となったのは与党「カディマ」だが、第二党「リクード」との議席差わずか、一議席(イスラエル国会は定数120)。
 基本的には第一党の党首が連立工作の主導権を握り、ほかの政党との話し合いを始めるのが通例だが、今回はそのしきたりを破ってペレス大統領は、リクードのネタニヤフ党首(前首相)に組閣を命じた(憲法による)。
 理由は大筋で右派連合の議席数が左派連合より多いからだ。

 ネタニヤフは、「大連立」構想が重要であるとして、対立する「カディマ」と最初に交渉を開始した。カディマ率いるのは女性外相のリブニ。美人でもある。
だが、ネタニヤフと会談後、リブニは「カディマは連立政権には参加しない」と繰り返した。

第四党に転落した「労働党」はバラク党首(国防相)が、「連立参加の見込みはある」としているものの、即断も出来ず、また第三党に躍進の「イスラエル、我が家」というタカ派政党とは水と油の関係で、バラクは、依然として世論の動向を見ている。

一方、引退表明しても、まだ首相の座に偶然居座るのがオルマルト首相だが、汚職事件で起訴される可能性が高い。
オルマルトは、米国のユダヤ系富豪・タランスキーに便宜を図った見返りに賄賂を受け取った疑惑がある。

ネタニヤフはリクード幹部会でハマスのロケット砲撃と経済危機に対応するためにも「大連合的な強力内閣を組閣するのが国民的要請である」として、中道左派を含む連立内閣構想をまだ模索している。
 このイスラエルの連立工作、明日の日本の政局の縮図かも。
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(読者の声1)中川大臣の「泥酔」記者会見のノーカット版をみました。
確かに体調はすぐれない様子ですが、一生懸命質問に答えている姿は感動的でさえあります。
マスコミの印象操作によって辞任に追い込まれたというところでしょうか? 音声が良くないので聞き取りにくいのですが、多くの国民に見てもらいたいものです。

http://www.youtube.com/watch?v=eBo3ON-alfc&NR=1  (前半)
http://www.youtube.com/watch?v=ztajn_jMUqw       (後半)
(板橋区MS生)


(宮崎正弘のコメント)次の選挙、かなり危ないという世間の噂あり、一念発起して貰いたいですね。
 


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(読者の声2)『諸君』休刊のニュース、衝撃を受けております。宮崎先生も発表の場が少なくなりますね。左翼雑誌の『論座』『現代』はともかく保守の良心ともいわれるメディアの休刊は、時代の逆行ともとれるのですが?
     (TY生、川崎)


(宮崎正弘のコメント)まず発行母体の文藝春秋が、左傾化しており、『諸君』はお荷物というより邪魔な存在となっていたのでしょう。田中健五、堤堯、花田紀凱といった名編集者が文藝春秋から居なくなり、その分、雑誌も左翼の論客が多く混入して、小生としては『諸君』はいずれ休刊に追い込まれるだろうとは予測しておりました。
 朝日新聞が嬉しそうに報道した「深刻な読者減」というのは、文藝春秋の左傾化が『諸君』をしても、保守の読者離れを作り出した、と解釈するべきではありませんか。
 基本的にはマーケット需要ではなく、発行母体の経営状態。講談社が、なんと76億円の赤字決算(3月3日発表)。角川なども週刊誌を休刊させており、全体の出版業界さえ、トヨタや野村證券と同様に不況に直面したのが貳番目の原因でしょう。
 二月には51年続いた保守の老舗『自由』も休刊しました。
 しかし保守論壇は健在であり、これらの空白空間を元気いっぱいの『WILL』、『ボイス』、『月刊日本』、『正論』などが補ってゆくのではないでしょうか?
 休刊雑誌と言えば、オピニオン雑誌ばかりか、『エスクワイヤ(日本語版)』も、沖縄の『うるま』、同季刊誌『カラカラ』も、関西の地域コミュニティ誌で有名だった『エルマガ』も休刊。幼児誌『マミィ』とか読売のパソコン雑誌に加えて創刊明治31年という伝統を誇った『英語青年』も休刊となり、金融恐慌異変が出版界に深刻な悪影響をもたらしていることが分かります。



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(読者の声3)影山正治氏の「民族派の文学運動」(昭和四十年)を読んでいるところですが、戦前に影山氏達は文藝春秋社糾弾闘争をしていたことを初めて知りました。
昭和十四年当時の文藝春秋社が文壇の幕府的存在となっており、自社に気に入らない文士は排除していたり、反国、反軍、反神思想を知識層に注入したり、資本主義経済をバックに国対蹂躙運動の温床になっていると言う批判です。
保守論壇の一方の雄であり、70年安保闘争時に反左翼を通していた「諸君!」を経営上の理由から休刊(実質的な廃刊でしょう)とするなら、影山氏達が糾弾した体質が、今なお同社にあると批判さるべきでしょう。
     (YN生、会津)



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(読者の声4)やはり『諸君』の命運は尽きましたか。
三島さんが革命哲学としての陽明学を語りおろした『諸君』に小論を掲載することが私の夢でしたが夢で終わります。
『朝日ジャーナル』が33年間の歴史にピリオドを打った1992年、最終号に立花某が下村編集長を批判する寄稿をしようとしたらボツになったそうです。その朝日ジャーナルに遅れること十年、1969年に創刊された『諸君』は40年の長きに亘る発刊活動になぜ幕を引くことになったのかについての諸賢、言論人のオピニオンを忌憚無く正々堂々掲載し、併せて編集長以下の自己総括もやってほしいものです。
何せ大久保利通が暗闇の中に閃光を放った刀の露に消えた清水坂脇の「気負い坂」(紀尾井町)で営業しているのですから。
今週都内であった会見で志位共産党委員長は『蟹工船』ブームで党員が一万六千人も増えた、最近生活困窮者が役所に助けを求めに行くと、ここじゃなくて共産党に行って相談してもらいなさいと言われている、我が党は現代の駆け込み寺だと嘯いていました。
左傾化したがために露と消え往く『諸君』の常連執筆陣は赤旗編集部に駆け込むのでしょうか。
    (有楽生)



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(読者の声5)永田町に激震です。小沢一郎事務所に強制捜査。
  朝日新聞・小沢氏側団体捜査へ 西松建設献金巡り規正法違反の疑い2009年3月3日15時0分
http://www.asahi.com/national/update/0303/TKY200903030171.html
 小沢一郎の正体 国民が知らない反日の実態
http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/204.html
    (HK生、杉並)


(宮崎正弘のコメント)次期首相に一番近かった「永田町の不動産王」も、ここまで?



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(読者の声6)貴誌2501号(読者の声1)「司馬史観」への違和感続編のMI氏のご意見に対して、次のような私の意見も参考にしていただければと思います。
 司馬氏は、坂の上の雲で、良き参謀の不在は乃木の最大の不幸と書いています。(第4部、p186)また、「有能、無能で、人間の全人的な評価を決めるのは、神を恐れぬ仕業」(同p184)とも。
 想像以上の近代要塞が構築されていたのに、事前にそのような情報を与えられず、まして、そのような野戦要塞の攻防戦に不慣れな日本軍が苦戦するのは、当然だったわけで、乃木大将の責任というより軍の本部が何らかの支援をするか、できなければ、作戦中止を命令すべき状況だったと思われます。
こういうことを考えれば、乃木大将が抱えた近代の矛盾は、非常に大きく根深いものがあったと想像されます。つまり、日本の陸軍の当時の力量をそのまま映し出す鏡のような存在が、乃木大将以下の第三軍だったということになります。
しかし、この潜在的な悪条件を最大限に顕在化した最悪の条件になったロシアの鉄壁な旅順近代要塞との悪戦苦闘の果てに、甚大な人的被害を出しながら味方の助力を得て、最終的に旅順攻囲戦に勝利し、敵将ステッセルとの会見を経て、世界的な名声が高まったという流れは、劇的な運命回天の流れともいえるでしょう。
 
マクロ的にみれば、日露戦争の流れは、極めて憂慮すべき戦況に見舞われながら、天の助力か運命の恩寵に助けられながら数々の窮地を突破し、最終的に、日本が勝利するという成功物語ですから、多数の戦死者も浮かばれた面があります。
しかし、坂の上の雲の構想は、第二次大戦の日本の決定的な惨敗から日本の軍事体制に不信と疑念を抱いた、学徒出陣で陸軍少尉で終戦を迎えた経験のある司馬氏の目で、明治期の歴史の見直しを科学的な視点で総点検しようとした気持ちもあったと思われ、日露戦争のミクロ的な欠陥も、その一環として暴露せざるを得なくなったということになるのでしょう。
つまり、旅順要塞の厄介な実情もろくに知らずに乃木軍を先発させた軍本部の責任はともかくも、現地の状況をいち早く察して、戦術面での即応体制を迅速に敷かなければ、総司令官としての能力を疑われる状況だったのに、肝心の参謀長は最も無能の烙印を押されるような柔軟性に欠けた頭の固い人物だったこと、それが、乃木稀典の最大の不幸という、司馬氏の叙述になるのです。
だから、司馬氏は、作戦に参与しない指揮官の責任として乃木の無能を責めたが、戦術面での失態は作戦参謀にこそ、その責任は帰せられることを承知の上で、乃木を愚将と評価したように思いました。だから、本音では、乃木大将その人を、さすがに貶めてはいないと思います。
 ただ、たしかに、高等司令部は軍事技術や軍略の科学的知見が、近代戦争においては、大和魂より優先するという指摘は、勝利を得るためには全うなもののように感じました。
 結局、勝利することで、マクロ的に考えることのできた日露戦争と、大敗北を通して、明治維新以来の日本の近代国家の体制、体質を見直した時の、科学的合理主義で見えてきたミクロ的な欠陥が、乃木大将に寄せられた司馬史観による、無能、愚将という批判だったのだと思われます。
これに関して、司馬氏もそのような判断自体、一面的な見方だと自身でも認められているわけで、あまり表面的な言葉にこだわると、司馬氏の指摘の意味も一知半解に終わるように思います。また、もし司馬氏の記述に言い過ぎた面があるとすれば、歴史作家といえども、所詮、人の子、時代の子であることに変わりないということでしょう。
 結局、吉田松陰という近代日本の思想的叡知を文学的に浮かび上がらせた司馬遼太郎氏も、自ら戦地に赴き現実の日本の敗戦に立ち会って、神国神話の空しさ、その非近代的な現実無視の側面を痛切に感じられたのでしょう。
 このことに関しては、戦後世代の人間は戦前に生まれ育った先人に対して、もっと思い遣ってしかるべき歴史事情ではないかと、思われるのです。

 さらに2514号の、読者の声2(KI氏)の方のお話を伺って、司馬氏が扱うことのできないほどの暗黒の歴史が、昭和前期の歴史であることが分かりました。
 それほど、世界の矛盾と混迷が一挙に降りかかってきたのが、昭和期だと思いました。
私は先に三島由紀夫の『英霊の声』も読んでみました。
三島氏の小説は若い頃大体読んだのですが、2.26事件は昭和史の闇と謎を解く鍵になる事件だと思いました。端的に天皇陛下に関する情報もろくに与えられないまま、攻撃的な英雄主義に陥ってしまったことが、2.26事件の悲劇の主因だと思います。
またそのような青年将校達の思い詰めた考えのもたらす危険に、事前に対応できなかった軍部の上層部にも責任があるように思います。
  (W生、武蔵野)


(宮崎正弘のコメント)司馬遼太郎を論ずることは、今後それほど意義ある作業とは思えず、いずれ忘れ去られる作家だと思いますよ。前号の拙文をもう一度掲げます。「(宮崎正弘のコメント)司馬遼太郎が、いつまで読まれるか。或いは何時、日本人はこの乱世史観とかのインチキから決別できるか。ひとつのメルクマールになるでしょう。そういえば、福田恒在も三島由紀夫も、徹底的に司馬遼太郎を軽蔑していたことを思い出しました」。
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(休刊のお知らせ)地方講演旅行のため小誌は3月6日から8日が休刊となります。
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<< 今月の拙論 >>

(1)「悲観論の誤謬について」(『正論』四月号、発売中)
(2)「インドをめぐる武器商人の魑魅魍魎」(『月刊日本』3月号、発売中)
(3)「中国経済の数字は本当か?」(『ボイス』三月号、発売中)
(4)「旧正月が意外に元気だったチャイナ」(『共同ウィークリー』、2月26日号)
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  • 名無しさん2009/03/04

    司馬遼太郎や阿川弘之のようなインチキ史観作家は今後、歴史研究の領域からはフェードアウトしていく一方でしょうね

  • 名無しさん2009/03/04

    「諸君」の左傾化良く判ります。私も読者でしたが頭の悪い私でも読みたくなく成り昨年の夏からは読んで居ません。司馬歴史観の明治は良いが昭和は「悪」これで私は氏の本は一切読まなく成りました。

    モンゴル語が得意とか聞きますが、やって居られる事は違いますが平山郁夫さんと同じ様な感じを受けて居ます。

    家内には「お父さん」は極端で困るといつも云われますが「嫌」なものは「嫌」ですから仕方がない様です。