国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/03/03


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成21年(2009年)3月4日(水曜日) 
         通巻第2514号 (3月3日発行)
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

(速報)
 文春左傾化の犠牲?
   『諸君!』六月号で休刊へ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
 中国のネチズン、5840億ドルの景気刺激策の中味公開を要求
   人民大会開催直前、異様な事態に遭遇した
***********************************

 全人代は4日から一週間の日程で開幕する。「保八(経済成長8%死守)」が謳われるだろう。

 会議ではエネルギー開発、発電所建設増加に焦点が絞り込まれ、「146億ドル(邦貨1兆4000億円)の新規発電プロジェクトが了承され、また継続的に439億ドル(4兆3000億円」もの発電インフラ建設が確認されるもよう」(『ウォールストリート・ジャーナル』、3月2日)

 インフラ整備は良いにせよ、教育とヘルスケアに、わずか1%の予算配分。7%は公的な施設、建物、道路、ダムなどに向かうと予測される。
 香港筋シンクタンクは「ソーシャル・セーフ・ネットが謳われるが、この実現は2012年までに新たに、二兆六千億人民元(邦貨39兆円)、国民健康保険制度の実現は2020年までにほかに5兆7400億元(邦貨86兆円)が必要であり、実現は不可能であろう」と言う。

 ところで、英紙『フィナンシャル・タイムズ』(3月2日付け)によると、中国のインターネットのブログ、掲示板そのほかに「景気刺激策5840億ドル(8兆7600億円)の詳細な中味を情報公開するべきだ」とする意見が飛び交っている。

 公的資金のばらまきは賄賂と腐敗の温床になることは明白であり、実質的な経済浮揚にどれほど役立つのか、多くが疑問だらけだ。
  ○
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
樋泉克夫のコラム

“ポル・ポト革命”で道化役を演じた中国共産党工作員の悔恨
          『我与中共和柬共』(周徳高 田園書屋 2007年)


 △
 著者は1932年にカンボジア西部バッタンバンの農村生まれ。
父親は広東省掲陽県で農民だったが、カンボジアに渡り鉄道作業員となる。家庭が貧しく、著者は12歳から職人奉公。
自らが置かれた劣悪な環境ゆえに共産主義思想に強く魅かれ、中国共産党がカンボジア華人社会に設けた地下組織に参加。
やがてプノンペンで華字紙の「棉華日報」に職を得て記者として12年間働くが、この間、中国大使館にスカウトされ特殊工作を担当する北京の「中調部」に属する秘密工作員となり、“危ない橋”を渡る人生を歩くこととなる。

 1963年にはカンボジア訪問の劉少奇夫妻爆殺を狙った国民党の謀略を事前に摘発するなど、忠実で優秀な工作員として働くが、ポル・ポト政権成立前後から中国共産党の方針に疑問を抱きはじめた。
中国共産党の手駒であった華人地下組織の幹部に対し、中国大使館はカンボジア共産党の支配する「解放区」に入りカンボジア共産党の党勢拡大に努め、最終的にはカンボジア共産党を支配下に置くべしと指令する。
だが、カンボジア共産党の指導権を確保したポル・ポト派は中国共産党の階級分析を忠実に学んでいた。
だから彼らにとって、カンボジア人民の血を吸うブルジョワ階級である華人はカンボジア人民の敵でしかない。
加えるに、中国共産党は現地の情況を無視し強引にも地下組織をカンボジア共産党に編入してしまう。

著者ら“忠実な革命戦士“の運命はポル・ポト派の思うがまま。地下組織全員の中国に引き上げを懇願するが、中国共産党は無慈悲にも、「以後、我われと諸君とは一切関係なし」と、たったの一言。
やがて著者も、阿鼻叫喚の地獄絵図と化したカンボジアを彷徨う。

1978年夏、カンボジア東部からヴェトナム軍が進攻を開始する。
9月、救援を求めて訪中したポル・ポトに向かって、「ヴェトナムは裏切り、恩知らず」と痛罵した!)小平は、「カンボジアの苦境はポル・ポト極左路線が自ら招いたものであり、国民的支持を集めているシハヌークと統一戦線を結成しヴェトナムに対抗せよ。中国は反ヴェトナム支援軍を出兵できない」と熱弁を振るった。
だが、ポル・ポトは薄ら笑いを浮かべるだけ。この時、ポル・ポトは腹の中で、さぞかし「反革命の修正主義ヤローめ」と思っていたことだろう。

シハヌークに向って「殿下の愛国の熱情を汲み取らないばかりか、中国に対してすら反抗的であったポル・ポト派とはきっぱりと手を切ります」と表明したといわれる!)小平に対し、著者は「空しくジャングルに死んでいったカンボジアの数百万の人々、数十万の華人に対して侘びのことばすらない。
共産党は口を開けば『人民』を持ち上げるが、その実は王侯貴族なんだ」と斬り捨てる。

また死の直前、病床を見舞ったポル・ポト派最高幹部に対し極左路線の文革が中国人民にもたらした災禍を例に引きながら「心の底から忠告したい。我われが犯した極左の道を歩んではならない」と教え諭したといわれる周恩来に対しても厳しい糾弾のことばを投げかける。
「敢えて周恩来に問い質したいのだ。中国共産党が錯誤の道を驀進している時、周恩来よ、いったいアンタは何をしていたんだ」
1979年夏、広州に逃れていた著者に対し、党中央はポル・ポト政権崩壊後のカンボジアに戻り情報収集すべしと命ずる。
だが著者は断固として拒絶し、決然とアメリカに去った。
中国共産党は我が人生を狂わせた疫病神――著者の回想が、そう語りかける。
 《QED》

(ひいずみ・かつお氏は愛知県立大学教授。華僑、京劇研究の第一人者)
◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)以前、毎日新聞と朝日新聞の社説に同じ内容のコメントが載り騒ぎになった事がありましたね。
コメントの主は確か中国大使で、毎日新聞と朝日新聞の記者が、大使の言葉を加工せずに掲載したのが原因だったとか。まさに新華社通信の下請けに成り下がったかの様相ですね。
先般もテレビ朝日の局長が、民放連合会で非自民党政権誕生を意図した報道をすると息巻いていたとか。広く真実を知らしめるという報道の精神からかけ離れていて困ったものです。
   (TH生)


(宮崎正弘のコメント)ジャーナリズムの志操を忘れたか、いや最初からないか、理解できないかでしょ。



   ♪
(読者の声2)通巻第2501号にある、(読者の声1)「司馬史観への違和感」に関連して、一言申上げたく、「戦中世代・司馬遼太郎の戦後世代への甚大なる悪影響」について、昭和40年頃からの昭和時代の四半世紀、日本のマスコミ界を一世風靡した偉大なる国民作家文化勲章受賞司馬遼太郎、というイメージですが、彼は「大正時代ー昭和時代」については一切小説には著しておりません。
しかし「ノモンハン事件」に関する歴史資料については日本の古本屋のすべての資料を買い占めるくらいに集め調べたようです。
しかし「調べればしらべるほど、精神衛生に悪い」とか称して当時の文藝春秋編集長半藤一利のだび重なる出稿依頼を拒絶し、最後には「このオレをキチガイにしたいのか!」と怒鳴りつけたと半藤氏は回顧しています。
けれども司馬遼太郎はその評論集とも云うべき「この国のかたち」では、昭和の時代(敗戦まで)を「日本歴史での異胎」とこれ以上ない無残な表現で切り捨て、昭和軍閥(とくに陸軍軍閥)を徹底的に罵倒・憎悪しています。
「竜馬がゆく」、「坂の上の雲」に代表されるごとく、司馬の日本の近現代史観は、「幕末・明治賛美、大正無視、昭和憎悪、切捨て」です。
日露戦争終了が1905年、第一次大戦時の日本の対独宣戦と青島占領は1914年、シベリア出兵が1918年から1925年、満州事変が1931年、この間(26年間)の日本の近代史の変遷をまったくネグレクトする(大正無視)司馬史観は、いきなり「昭和軍国主義断罪」となり、昭和「異胎論」であり、読者たる戦後世代には、「あの時代は、私はくわしく日本史を調べましたが、日本の歴史からして「あり得ない」一時代です。あれは軍閥が日本を乗っ取ったと考えるほかありません。
あの20年は無視してもよい、忘れるべき時代です」と説きました。小生(昭和19年生まれ)も、当時はとりあえずこの司馬史観に説得せられてか、あの時代を自ら検証することを怠り、高度成長社会で一心に働きました。 
しかし次弟.に、昭和異胎論ならば、「オレは異胎の子になるのか?」という意識に目覚め、自分なりに調べてみますと、「異胎どころか、昭和は明治の子じゃないのか!?」という感を強くし、(以後、日本の近現代史をライフワークとして独習しております)、あの時代を真摯に検証することを(戦後世代が)いかに怠っていたかを痛感させられました。 
これはいまの60−70−80代の世代、(高度成長期に30−40−50代であった人々)の昭和への歴史観がいかに同時代の寵児・司馬遼太郎の史観に毒され、「自らの父母の歴史」を切り捨てたままにして、対峙することを避けてきたかを、小生自身がその世代であった反省から、つよく自覚しおる次弟.です。 勿論、すべてを司馬史観のせいにするのは卑怯千万というものでしょう。
しかし、昭和の最後の四半世紀、司馬遼太郎の史観が日本を席巻していたことも事実ではないでしょうか。
   (KI生、尼崎市)


(宮崎正弘のコメント)司馬遼太郎が、いつまで読まれるか。或いは何時、日本人はこの乱世史観とかのインチキから決別できるか。ひとつのメルクマールになるでしょう。
そういえば、福田恒在も三島由紀夫も、徹底的に司馬遼太郎を軽蔑していたことを思い出しました。
 △
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(休刊のお知らせ)地方講演旅行のため小誌は3月6−8日が休刊です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

宮崎正弘の新刊 
 http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
       ▲
宮崎正弘のロングセラー
『やはり、ドルは暴落する!』(ワック文庫。980円)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書、861円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
     ◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
◎小誌登録は下記サイトで(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
 http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 転送自由、但し転載は出典明示。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。