国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/02/05


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成21年(2009年)2月6日(金曜日)
       通巻第2481号  (2月5日発行)
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カザフスタンの「ロシア離れ・米国接近」はモスクワを深刻に苛立たせている
 カザフスタン軍将校は毎年米国軍へ留学、沿岸警備隊は米国のノウハウを習得
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 カザフスタンは石油と瓦斯に恵まれ、その豊かな資源を外交の武器としてきた。
 第一は地政学的に中国に隣接しているため、90年にアスタナと新彊ウィグルとの間の鉄道輸送を開始し、中国という新しい顧客を得た。
 中国は膨大な石油をカザフスタンからも輸入した。

 第二にカザフスタンはロシアへ従来通り、既存のパイプラインを通じて石油と瓦斯を輸出するが、ウズベキスタンやトルクメニスタンなどと異なり、ロシア以外の顧客を抱えるため、ロシアからの一方的な価格決めには反発できる立場を得た。
 この資源外交を主導した独裁者=ナザルバエフ大統領のしたたかさは特筆しても良い。

 第三の強みはウランである。
 日本ですらカザフスタン通いを始め、長期的なウラン獲得のために、同国の原発建設にも日本は援助の手をさしのべる。

 さて米国は中央アジアで枢要なカザフスタンを「戦略的」に重要視して、巧みな外向的接近をはかってきた。
在カザフスタン米国大使館には駐在武官。とくにカザフ軍将校を毎年30名の枠で米国へ「留学」させてきた。09年度は予算縮小の関係で20-25名規模になるが、くわえてカザフ沿岸警備隊(KNB)の防衛ノウハウを米国の沿岸警備隊が教練してきた。

 ウズベキスタンの米軍基地撤去に続き、キルギスの米軍基地契約終了の危機を迎えて米国は、このカザフスタンへのテコ入れを強化する模様である。

 手始めに「アフガニスタンへの米軍32000名増派にともなって、非軍事物資(テント、食料、医薬品)をカザフスタンで買い付け、運搬するロジェスティック拠点にする」(『カザフスタンディリー』、09年1月28日)。

 ロシアがジリジリと苛立っていることが手に取るように分かる。
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樋泉克夫のコラム

   ――韮や蒜を口にする際に心得ておくべきこと・・・とは
 『江南春』(青木正児 平凡社 昭和47年)
 

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 京都帝国大学で「支那学」を修めた著者が江南の旅に向かった大正11年は、中国共産党が上海フランス租界で設立された1921年の翌年に当たる。
23年には湖南省の長沙で学生による排日運動が発生し日本海軍陸戦隊が派遣され、24年に合作した国共両党は26年に軍閥打倒・全国統一を掲げて北伐を開始する――中国は激動のとば口に立っていた。
そんな時代の雰囲気も知らぬ気に、風光明媚な西湖を振り出しに蘇州、南京、揚州と続く気儘旅。旅先での庶民とのやりとりを楽しみ、日常の裏側に潜む彼らの生存原理に思いを巡らす。

 「上古北から南へ発展してきた漢族が、自衛のため自然の威力に対抗して持続して来た努力、即ち生の執着は現実的実効的の儒教思想となり、その抗すべからざるを知って服従した生の諦めは、虚無恬淡の老荘的思想となったのであろう。彼らの慾ぼけたかけ引き、ゆすり、それらはすべて『儒』禍である。諦めの良い恬淡さは『道』福である」と説くが、当時の著者の考えを忖度するに、あるいは、こういうことだったのではないか。

 黄河中流域の中原と呼ばれる黄土高原で生まれた漢民族は、やがて東に向かい南に進んで自らの生存空間を拡大してきた。先住異民族と闘い、過酷な自然の脅威にさらされながらも生き抜く。
こういった日々の暮らしの中から身につけた知恵の一方の柱が、何よりも団結と秩序を重んじる儒教思想だ。団結と秩序が自らを守り相互扶助を導く。

だが獰猛無比な他民族、猛威を振るう自然、時代の激流を前にしては、団結も秩序も粉々に砕け散ってしまう。
人間なんて、どう足掻こうが所詮は無力。そこで、もう一方の知恵の柱――なによりも諦めを説く老荘思想の出番だ。
団結と秩序への盲従、つまり誰もが大勢に唯々諾々と迎合する情況を「『儒』禍」と、人の力ではどうにも動かしようのない自然や時の流れをそのまま受け入れることで自らを納得させる様を「『道』福」と呼んだのではなかろうか。
 
さらに著者によれば、「韮菜と蒜とは、利己主義にして楽天的な中国人の国民性を最もよく表わせる食物」となる。
そこで、「己れこれを食えば香ばしくて旨くてたまらず、己れ食わずして人の食いたる側に居れば鼻もちならず。しかれども人の迷惑を気にしていてはこの美味は享楽し得られず。人より臭い息を吹きかけられても『没法子』(仕方がない)なり。されば人も食い我も食えば『彼此彼此』(お互い様)何の事もなくて済む、これこれを利己的妥協主義とは謂うなり」という辺りに落ち着くこととなる。また中国芸術を指して「まさに韮のようなものだ。一たびその味わいを滄服したならば何とも云い知らぬ妙味を覚える」とも説いている。(なお、原文では滄は「さんずい」ではなく「にすい」)

 著者の考えを現実に当てはめ敷衍してみると、毛沢東思想万能時代の過激行動にしても改革・開放の時代の激越なカネ儲けにしても、率先垂範すれば「香ばしくて旨くてたまらず」「何とも云い知らぬ妙味を覚える」。調子よく立ち回っている人の「側に居れば鼻もちならず。
しかれども人の迷惑を気にしていてはこの美味は享楽し得られず」。かくて誰もが我先にイケイケドンドン。他人は関係ない。
これが「儒」禍。
だが時代の敗者になったらなったで諦めるだけ。これ「道」福・・・なあに百年生きたって、たったの36,500日。
著者は、「儒」禍と「道」福に裏打ちされた利己的妥協主義に中国人の行動原理を見出す。それにしても彼らの民族性を韮や蒜で表すとは、絶妙・慧眼・至言・秀逸・・・敬服。
《QED》
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(読者の声1)貴誌通巻第2477号(読者の声4)で論客である(ST生、神奈川)氏が拙論へご賛同いただいたことは若輩にとって大変名誉なことであります。
さて同(読者の声1)コメントにて宮崎先生が丹羽春喜教授に触れられておりますが、丹羽教授がさきごろメルマ
「甦れ美しい日本」http://www.melma.com/backnumber_133212/
の260号と263号で書き下ろしを発表されています。
当該誌は無断転載を禁じておりますので要約で書きますと、
まず
「政府紙幣発行論の盛行に思う」と題して高橋洋一氏の新著『この金融政策が日本経済を救う』(光文社新書)内の間違いを端的にご指摘され、先駆者として薄っぺらエコノミストに一矢を放っております。
そして論末に「ケインズ革命未だならず」とおっしゃり。さらに、新自由主義、新古典派経済学派の「反ケインズ主義」イデオロギーによる攻撃を受け、ケインズ主義のマルクス主義革命封殺の業績が亡きものにされたとし、我国が市場原理主義のニヒリズムのくびきから、先達としてブレイク・スルーするべきだ、としめられています。
つぎに263号では『 竹中氏よ、「機会費用」分析は、マクロ経済的に、政府財政支出についてやってくれ』では「かんぽの宿」をオリックスに売却した事案を竹中平蔵氏が擁護した論文を叩き斬っております。
竹中氏は機会費用を論点として擁護論を展開しているようですが、竹中氏が当局者であった頃を引き合いに出されてその欺瞞を暴きだしています。
この辺りはまったく異論はなく「御意」ではありますが、教授の視点では今回の危機の犯人を「新自由主義者」「新古典派経済学派」に向けておられるようですが、以前にも述べましたとおり、悪いのはクリントン周辺の「計画主義者」であます。
彼らはジェントルマンが集う健全な「カジノ」を「いかさま賭博場」に造り替え、自分達が賭けるときにお好みの目がでるようなあらゆる仕掛けを「IT」を駆使して構築しました。
しかも周到に計画したのちにカジノの運営側から身を引き、あとはお客としてそのカジノでぼろ儲けをしました。クリントン周辺のすさまじい献金額はこれらの共犯者達だと思っております。
 日本の世論が教授の達見を引用するときに、教授の論説が「全体主義者」へ利用されないよう細心の注意をはらって頂きたいものです。 
(万葉至乃輔)


(宮崎正弘のコメント)丹羽先生の近作、うっかり見落としておりました。ご指摘有り難う御座います。とくに高橋洋一をばっさり斬ったというのは、なるほど。。。
 前にも書いたかも知れませんが、小生が丹羽春喜先生に注目したのは1981年。日本で無名に近い氏の名前が、米国では論文が翻訳されていて結構、有名人であり、正統派の論陣を張られていたからです。
 その頃は永田町TBRビルの五階に「日本安全保障研究センター」があり、毎週のように上京される氏と議論したものでした。



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(読者の声2)貴誌「W生」氏の「ただ昭和維新としてやるべき構造上の改革は、その辺にあったというのは、一つの鋭い指摘のように思いました。だから、土地所有の制限を謳った北一輝の社会主義の改造法案は、当時の社会政治状況から意味深いものになるという議論が展開され・・・・・> ただ、戦前のイメージに関して御蔭さまで風通しが良くなりました」
(引用終わり)。

意見:小生の意見がW生様のご参考になり幸いです。
戦前の政治思想的な問題は、右も左も社会問題は社会制度を変えると全部解決するという発想があったことです。逆に言うと社会問題をすべて社会制度のせいにする発想です。
これはいわゆる理想社会論です。
しかし過剰人口をまかなうという問題の解決は、社会制度を変えても駄目で、富の総体を増やす生産が必要です。失敗の例として理想社会を謳った社会主義国家は実際は貧困という社会問題を拡大しただけでした。特に幹部と家族が国民に隠れて王侯富豪の生活をし、大衆が極貧にあえいだ史実は良く知られています。
社会の富の限界の問題は、国家にとり適正人口の維持となります。
支那の自給人口は戦前4億人程度でしたが今の人口は13億人といいます。9億人が余剰人口で、これを食わせるために中共は唯一の過剰人口の無い米国への輸出利益でまかなっているのです。
日本も十分の一の規模で同じことをしています。
しかし人口を減らすということは、以前は餓死などの天災による調節がありましたが、今は政治的に出来ません。中共の毛沢東は大躍進運動で、四千万人を餓死させたといいますが。結局「人口増加は維持に必要な生産力を超える」というマルサスの警報が正しかったのです。
しかし誰も「人口爆発と貧困化」という猫の首に鈴をつけることが出来ません。
まだ西側の善意の人々はアフリカで幼児死亡率の低下運動を進めている状況です。人間の世の中には、短期的に解決のできない難しい問題があることを認める必要があります。
   (MC生)



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(読者の声3)貴誌コメント曰く。「これでクレムリンに全面降伏せずに独自資源外交を展開するのはカザフスタンのみとなったのである」。

ということは、カザフが相対的に中国との関係を強化することになる。
中国は地続きの隣国からエネルギーを輸入できる利便性あり、同時に新彊におけるウイグル族は益々孤立させられる。ロシアのカザフ囲い込みは中国による上海機構の有力な目的を達成する力学をもたらしている、と読めますが如何。
(SJ生)


(宮崎正弘のコメント)本日のニュース解説を御参照ください。
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宮崎正弘の新刊 
 『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫)
     定価980円<税込み>。
     http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
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宮崎正弘のロングセラー
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『出身地でわかる中国人』(PHP新書、861円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
 『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
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