国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/02/03


●小誌、愛読者13540名!
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成21年(2009年)2月3日(火曜日)
        通巻第2477号  
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「米国債の大量購入を考え直す」と中国温家宝首相がロンドンで講演中
  「この独裁者めっ」と靴を投げたケンブリッジ大学での抗議行動
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 ロンドンは雪景色。
 1月31日、ダボス会議出席の余勢を駆ってスペイン、ドイツなどを訪問後、英国入りした温家宝首相は、ブラウン首相と会見し、金融危機打開策について話し合った。
 フィナンシャル・タイムズのインタビューにも応じ、米国債購入を考え直すなどと発言した。
 それからケンブリッジ大学での講演(2月2日)。

 バグダッド訪問で記者会見中にブッシュ大統領に靴をなげたイラク人記者は「英雄」扱い。
 温家宝のいく先々には抗議行動、デモ隊の列があり、チベット抑圧反対などのプラカードが並んだ。
ケンブリッジ大学では靴が飛んできた。
 この「英雄」はロンドン警視庁に逮捕されたが、その記事は控えめ(フィナンシャル・タイムズ、2月3日付け記事の行間に貳行の記述があるのみ)。

 「中国の旧正月期間中、里帰りしたうちの2000万人は田舎にとどまって沿岸部へは再び出ないだろうが、都市部には、ほかに居残り組が1200万人いる。これは国家安全対策に脅威である」(中国農村対策担当部署)。

 「1億3000万の出稼ぎ農民のうち、15・3%が失業している」(英紙フィナンシャル・タイムズ、2月3日)。

 旧正月、「きみ(温家宝)はダボスへ行け、僕は井岡山へのぼり朝日を拝む」とばかり、胡錦涛主席は、現実に『八一起義』の南昌を訪問し、さらに井岡山へ登攀して、これら毛沢東の神話がのこる「革命聖地」で神頼みをしたのだった。
 
(注 南昌は共産党が初めて暴動(起義は蜂起の意味)を起こし、三日で鎮圧された場所。井岡山は毛沢東が最初に築いたコミューン)。
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中国の抗日記念館から不当な写真の撤去を求める国会議員の会
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 3月4日、『反日記念館』出版記念会を兼ねての集会が行われます
 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080619/stt0806191148001-n1.htm
 ◎どなたでも参加いただけます。予約不要!

 とき   3月4日 午後六時半
 ところ  文京シビック小ホール
http://www.b-civichall.com/access/main.html

 登壇国会議員 平沼赳夫、稲田朋美、西村真悟、島村宜宣、土屋正忠、亀井郁夫
 対談     宮崎正弘 vs 富岡幸一郎
        「南京の虐殺記念館を見た。中華思想の恐ろしさと新傾向」(仮題)。
 会費     2000円(新著『反日記念館』を贈呈します)
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(読者の声1)貴誌コメントにある「もう一つの出口がないか、或いは正面のスクリーンを突破したら別の抜け道があるのでは、と冷静に行動すれば助かる可能性も開ける。現在の大不況論議は或る意味で『悲観の誤謬』という弱気心理の複合ではないのか」
(引用止め)
 記憶は不確かですが、
「人の行く道の裏に道あり、花の山」でしたか?
今回の貴論は現実性のある憂国論と拝読。威風堂々として説得力ある文章に敬意を表します。
しかし視野狭窄は日本国政エリートや媒体人の習い。貴台のような少数意見が大勢を占める方策は無いのか、切ないところです。
 以前触れたことのある、丹羽春喜教授の提案と同工異曲、やっと世間に出てきましたね。
(SJ生)


(宮崎正弘のコメント)政府紙幣発行論は丹羽先生の独壇場。十数年前からチャンとメッセージを発信してきたのに、国会議員の理解者は十数名でした。
ところがノーバル経済学のスティグリッツが、「日本は政府紙幣を発行すれば景気回復の妙薬になる」と発言し、おなじくクルーグマン教授が、その波に乗ると、日本でもでるわ、でるわ、丹羽教授のお株を奪うほどの「論客」の輩出ぶりではありませんか。
そして昨今、細田幹事長から麻生首相まで、その議論の是非を論じています。



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(読者の声2)宮崎先生も出席された、去る1/24の拓殖大学の公開シンポジウムは、いろいろ感ずるところがありました。
京大時代の親友に批評を請う形で、感想をまとめてみましたが、貴メルマガの読者の感想も聞きたく投稿いたします。
「昭和維新再考」シンポジウムに参加し、非常に感ずる所があったので、気持ちの整理も込めてまとめてみますので、貴兄に批評してもらえたら幸いです。
「昭和維新」と言うと貴兄にはなじみが薄いと思いますが、5.15事件、2.26事件等を起こした革新派青年将校のバックボーンとなるスローガンで、この決起行動を契機として大日本帝国は破滅的戦争へまっしぐらに突入していくことになります。
 シンポジウムの基調講演は、私の知らなかった岩田温という若手論客でしたが、なかなかの勉強家で「昭和維新」の思想的根底を要領よく解説するとともに、情感に直接的に訴えかける迫力もあり(はからずも落涙してしまいました)、アジテータとして一流になり得る人物と思われました。
「昭和維新」が当時、社会的影響力を持つに至った根底には、1929年の大恐慌からの長期不況による悲惨な状況があります。
今回のシンポジュウムがこの種の企画として異常な程の関心を集めたことは、現在の経済状況への不安が根底にあると思われました。
 パネラーの1人である佐藤優(同志社大学神学部卒で鋭い男)が、田母神問題、厚労省元次官刺殺事件に対する国民心理にすでにテロ容認の心情が顕れていると指摘していました。 
犯人の小泉毅が訳の分からないことを口走らずに、堂々たる斬奸状を書いておれば、その影響力は恐ろしい程のものがあったと思われます。
 現実がここまできているのに田母神事件における各党代表のコメントがバカの一つ覚えみたいな陳腐な繰り返しで、ほんとうに情けなくなりました。相手は命を張っているのに、臭い物に蓋の対応で収まる訳がありません。

業績見通しを下方修正したばかりのトヨタが再度下方修正した。資源の無い日本の存立基盤である輸出産業の急低落に、暗い予感がよぎります。
 私は自慢する訳じゃないけれど、戦後世代としては、昭和前期史について相当の知識を有していると思っています。
その視点から、世間はあまりにも知らなすぎると慨嘆しています。
「日本が悪いことをして世界の諸国に甚大な迷惑をかけたので、深く反省する」というのは、度し難いたわごとで、「負ける戦争に、向こう見ずに突入してしまった」ことを反省し、その原因を究明し今後に備えることこそあるべき姿でしょう。
ルバング島から帰ってきた小野田少尉が広島の原爆碑の「ゆるして下さい。あやまちはくりかえしません」を見て、「今度は負けないから、許して下さい」の意味に取って、当然だと思ったのは、進駐軍の洗脳を受けていない日本人の当たり前の感覚だと思います。
    (IT生 千葉)


(宮崎正弘のコメント)そうでしたね。小野田少尉は、ヒロシマの碑をみて怒ったのです。原爆という無差別殺戮兵器による大虐殺を、日本人は米国に向けないで、内側の反省にだけ向けた。



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 (読者の声3)『諸君』3月号の西尾幹二氏の『米国覇権と「東京裁判史観」が崩れ去るとき』はタイトルがその鋭い論文の核心を表していないうらみがあります。
『「歴史」を知らない「昭和史」家 〜 パラダイムの転換点の中の日本人は覚醒せよ!』というようなタイトルが相応しいと思うのですが、『文藝春秋』誌や『諸君』でご活躍の昭和史家たちがメッタ斬りにされていますから、編集長が苦心して付したタイトルなのでしょう。
 「歴史」はわれわれが歩くことによって、異なって見える高い山の光景に似て、絶え間なく変容するもので、固定した枠組み、動かないドグマ、信仰や信条を当てはめてはいけない、と西尾氏は鋭い歴史観を提示します。 
いま、世界は「認識の枠組み」=パラダイムの転換点に差し掛かっている。
田母神論文が「日本(だけ)が侵略国家ではなかった」と訴え、これが多くの日本人の共感を得たのは、日本だけが侵略国家だったという米英デモクラシーの主張する「正義の歴史観」のウソ、それに気づきだした日本人の意識に火を点けたのだと分析しています。
このパラダイムの転換のうねりに抗している抵抗勢力が、保坂正康、秦郁彦、反動イチリ(半藤一利)、いおきべ(五百旗)真、北岡伸一の各氏で、彼らは相変わらずアメリカの側に身を置いて歴史を見ていて、「史実」の「実証」が可能だと信じ、自分の主観的な「常識」で選択し、評価し、解釈した諸事実の絶対化を図っていると、西尾氏は厳しく指弾します。
彼らは昭和史しか問題にせず、当時の諸外国のあり方について何ら論じようとしないでいると、西尾氏は、傑出した内容と評価する中西輝政氏の論文「田母神論文の歴史的意義」(『ウィル』1月号)から次の件を引用し、自説を補強しています。

(引用開始)
「日本人の『東京裁判史観』なるものは、何によって支えられているのか。その中心点は、国際的な観点から物事を見ようとしないという点である。つねに『日本が何をやったか』だけを問題にして『他国がどうだったか』をほとんど完全に無視して、戦後六十年経っても本来的な歴史の議論に蓋をする。・・・戦争には相手がいるのだから、このことを戦後の日本人はすっかり忘れ、『歴史』を論じてきたのである。その最たるものが『昭和史』なるものだった」
(引用止め)
まことに正鵠を射た中西氏の分析です。
アメリカ側に都合のよいドグマに填まりこんだスタティックなままの『昭和史』はもはや用を為さないばかりか、日本国民の未来を過たせます。西尾氏は「世界は多極化する、あるいは無極化するということは、世界史が戦前の状態に急速に戻りつつあるということです。
戦前の日本が戦前のイギリス、アメリカ、ソ連と正面からぶつかり合っていた時代の再来です。
すぐ戦争になるという話ではなく、心の持ち方において、国益をぶつけ合う対決と葛藤の時代に入ったということです」と見立て、「であるなら、戦争への反省と謝罪を前提とした、最初から世界史への自己主張を放棄しているあの『昭和史』のパラダイムでは、日本国民はそのまま未来を失ってしまうでしょう」と警告しています。
と言うことは、21世紀の世界はあの「帝国主義」時代の様相を帯びる状況に向かっているのでしょうか。

拓殖大学日本文化研究所主宰の『「昭和維新運動」再考』のシンポジウムで佐藤優氏が発した、日本は品格ある「帝国主義」国家を目指すべき、との発言が気になります。佐藤氏も国益が激しくぶつかり合う帝国主義的な時代相を予見しているのでしょう。
佐伯啓思氏は近著『自由と民主主義をもうやめる』で、世界が再び「帝国主義」の時代に入ったと分析しています。食料・水・飼肥料などの生存資源、石油・石炭・ウランなどのエネルギー資源、鉄鉱石・銅鉱石・ボーキサイト・レアメタルなどの鉱物資源、それら国際間の資源争奪の様相を、かつての帝国主義時代と結びつけているのです。
世界同時不況下、就任したばかりのオバマ米大統領は「バイ・アメリカン」の施策を打ち出しました。これは大恐慌後世界が陥った保護貿易化に向かう兆しとなるのでしょうか。中野剛志氏は近著『経済はナショナリズムで動く』の中で、経済ナショナリズムを批判せず肯定的に捉え、経済的繁栄はしっかりした国民国家であってこそグローバル化の中で保たれる。
そうでない国や無国籍化した企業は生き残れず、その荒波に呑み込まれてしまうと説いています。
ネグリとハートは『帝国』という本の中で、主権が複数の国家あるいは国民国家を超えて束ねられていき、超国家的な組織がひとつの「帝国」を形作るという説を提示しています。
国民国家の単位で繰り広げられた「帝国主義」とは異なる近未来の「帝国」は中心が無く、領土は開かれていて、アイデンティティの無い、社会階級の緩い、その内部に世界の全体をしだいに取り込んでゆくものだそうです。気味の悪い仮説でそんな世界像に向かってはいけません。
西尾氏が危惧するとおり、パラダイムの転換点に立っていることを認識して、過去の「歴史」を正しく理解し直さないと我々日本人が生き延びられるまっとうな「未来」が見えてこないでしょう。
    (有楽生)


(宮崎正弘のコメント)或る哲学者いわく。『未来は過去にあり』。



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(読者の声4)貴誌通巻第2475号(読者の声1)で万葉至乃輔氏が[今回の米国金融システム崩壊による世界同時不況の原因をハイエクなどの「自由主義」に求める動きがリベラル諸氏において顕著になってきているように感じます]と書かれ、さらに、[正常に戻りつつあったハイエク的「自由主義経済」に悪魔の「計画性」をクリントンリベラル民主党が注入したと思っています。
クリントンは「国策」としてITと金融を進めますが、ここに全体主義が巧妙に入り込んだのではないかと推察しています]と書かれました。
私は陰謀論を避ける主義なので、悪魔の「計画性」とまでは言いませんが、この指摘はある面で的を射ています。

明治43年(1910年)イギリス生まれで戦後は主に米国シカゴ大学で活動した経済学者にRonald Harry Coase氏がいます。
コース氏は、昭和12年(1937年)に「The Nature of Firm」をあらわし、それに続くいくつかの著作で、私企業の効率性の問題点を指摘し、一切規制なく市場に任せきると返って効率が悪くなることを指摘しました。
その功績によりノーベル経済学賞を平成3年(1991年)に受賞されました。
コース氏のノーベル賞受賞理由となった主要3論文は、まとめて一冊日本語訳が出ています。コース氏がシカゴ学派の大御所的存在であったことを考えても、いわゆるシカゴ学派の自由主義経済学とは、単なる自由放任ではなかったわけです。健全な自由競争が行なわれるためのルール(規制)を前提としていました。
市場を混乱させ、詐欺的に儲けるやからがでてこないようにするための規制は、市場の自由を守るためにも必要なものです。そういう意味で、クリントン政権のもとで大増殖が始まった、デリバティブ取引や、サブプライムローンもその範疇に入るものであり、それを防ぐための規制を設けなかったことは、かえって市場の自由を阻害しました。
コース氏だけではありません。「Irrational Exuberance」でインターネット・バブル崩壊を予言したイェール大学教授RobertJ. Shiller氏は、サブプライム・ローン崩壊前に著書「The Subprime Solution: How Today's Global Financial Crisis Happened, and What to Do About It」で問題点を指摘していました。
こういった一流・超一流で自他共に認める権威が問題点を指摘していても、バブルは進行いたしました。
これは、経済的合理性に欠ける高い地租、高い小作料が農村の疲弊を起こしていることを、末弘厳太郎東京帝国大学教授のような当時の日本に於ける最高の知性が指摘しても政治家達はおろか、クーデターを起こした青年将校たちですら学んでいなかったのと同様です。
地道に現状を分析し論理を積み重ねるうえに解決策をもとめるより、一刀両断に君側の奸、財閥が悪いという方が心地よいものです。
人間とは哀しい存在です。問題点の多くを見過ごした単純な理論を好み、先鋭化することで自己の想いと魂の純粋さの証明としようとするものです。まさに浅間山荘症候群とでも呼ぶべきものです。
既に、理論的に問題点があることが明確になっていて、経済学者の間で常識ともなっていることにあえて頬かむりをしていたのでした。それを「市場の自由を擁護したのだ」いうことは、話のすり替えの詭弁です。
以前、私が貴誌に天皇陛下が既に結んでいる日ソ不可侵条約を廃棄して、ソ連に侵攻することなど許すわけがない。そんな陛下の許さないことを前提として戦略を立てるのではなく、道義的にも正しく陛下も許され且つ国難を解決する策を練りだす知恵を持つべきとの指摘を開陳したところ、昭和天皇陛下に敗戦の責任を押し付ける云々の詭弁的言辞を弄したオナンチン氏がいましたが、それと同程度の議論です。
   (ST生、神奈川)
 

(宮崎正弘のコメント)クリントンにそれほどの能力があるとは考えにくいのでは? かれぞまさしく政治がカネになり、ロビィがカネになることを知った、拝金主義活動家とでも言えばいいのか、アメリカの新聞で“ヒラリーにスポットが当たる、その裏の闇で世界の富豪から闇資金を集めているクリントン”という辛辣すぎる風刺漫画がでています。



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(読者の声5)貴誌2475号で「(宮崎正弘のコメント)第一次大戦がおわってドイツは当時の世界では最高レベルのワイマール共和国。民主主義の優等生のなかからヒトラーが登場しました」
とありますが、軍備を制限されていたドイツ国防軍はソ連軍部と提携しソ連領内に秘密
基地を作り、英仏に対し臥薪嘗胆の日々。ところがヒトラーの登場でソ連との連携どこ
ろか共産党弾圧などでソ連との対決路線に転換、スターリンもドイツと関係のあった軍
部の大粛清を行います。有能な将軍を失ったソ連に攻め入るナチス・ドイツ、日本はソ
連との条約があるとはいえ局地的な紛争からソ連を攻撃することもできたであろうに結
局は南進策となります。諜報戦ではソ連が一枚も二枚も上手だったということでしょう
か。

 ところで、江東区の深川図書館、戦前の東京市で二番目の市立図書館として誕生した
ためか戦前の蔵書が数多くあります。「支那」で検索しただけで399件、「支那事変」
で19件、「満洲」で75件もありました。
 さっそく借りてみたのが「外国から見た敗戦支那」 中村常三訳 昭和14年5月
 フォーリン・アフェアーズやニューヨーク・タイムズなど一流紙の記事をピックアッ
プ。当時の世界情勢がよくわかります。アメリカの極東政策についてはアメリカの極東
での貿易はアメリカ人の一年間のチューインガムへの支出よりも少ないなど具体例をあ
げながら「お伽噺のような支那市場」といい、1938〜39年に数十億ドルに達する新海軍
計画の90%はアメリカの極東方針の経費に加算することが出来るだろう、と書かれて
います。中国市場への幻想を煽りながら対日戦争を見据えた軍備の増強が図られている
のです。
 また「アメリカ国民が現在対日戦争を支持しようとしていないことはまったく明瞭で
ある」といいながら「しかしかかる状態を恒久的なものと見ることは間違いであろう。
アメリカが世界大戦に参加するまでには三年間を要したのである。・・・・アメリカは
将来強攻策をとることになるかもしれない。しかし突然宣戦を布告するというような方
法によってではなく、先ず戦争を伴わない一連の強行方策がこうぜられるであろう。そ
れが戦争回避の手段として役立つかどうかは別問題として。・・・・アメリカが如何な
る犠牲を払っても戦争を回避するであろうとの見解は根拠なきものである」とも。

 1938年に書かれた論文から三年後に真珠湾攻撃ですから、こうしてみるとローズベル
トの陰謀だとか言う以前にアメリカの戦争シナリオ通りに日米関係が悪化し戦争になっ
たわけですね。
 別の本ですが排日移民法が成立したころ、もしもフィリピンが日本軍に攻撃されたら
アメリカは反撃できなかっただろう、という話もあります。アメリカの戦争準備が整う
まで日本軍を中国で消耗させる、上海事変でも国民党軍の飛行機はアメリカ人が操縦し
ていたなど、日米戦争は真珠湾のはるか以前から始まっていたのですね。
    (PB生)


(宮崎正弘のコメント)フライング・タイガーの基地跡に抗日記念館{飛虎記念館}があります。湖南省の山奥の、さらに奥地ですが、昨年春に高山正之氏らとこの場所を訪ねて展示をみて驚きました。
ご指摘の通り、最初に蒋介石軍を助けて「シナ軍」の名の下に「志願」というかたちで飛行機、パイロットはロシアから、やがてロシア志願兵らが去って、シェンノート率いるアメリカの空軍パイロットが「志願」という形で支援しました。彼らがやがて湖南省から湖北にかけての制空権を握り、日本の長砂、常州作戦は失敗し、およそ数万の日本兵が犠牲になりました。
 シェンノートの奥さんは中国人でした。
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宮崎正弘の新刊 
 『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫)
     定価980円<税込み>。
     http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
              ▲

宮崎正弘のロングセラー
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『出身地でわかる中国人』(PHP新書、861円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
 『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
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  • 万葉至乃輔2009/02/03

    貴誌通巻第2477号(読者の声4)で論客である(ST生、神奈川)氏が拙論へご賛同いただいたことは若輩にとって大変名誉なことであります。



    さて、同(読者の声1)コメントにて宮崎先生が丹羽春喜教授に触れられておりますが、丹羽教授がさきごろメルマ

    「甦れ美しい日本」http://www.melma.com/backnumber_133212/

    の260号と263号で書き下ろしを発表されています。



    当該誌は無断転載を禁じておりますので要約で書きますと、



    まず「政府紙幣発行論の盛行に思う」と題して高橋洋一氏の新著『この金融政策が日本経済を救う』(光文社新書)内の間違いを端的にご指摘され、先駆者として薄っぺらエコノミストに一矢を放っております。そして論末に「ケインズ革命未だならず」とおっしゃりさらに、新自由主義、新古典派経済学派の「反ケインズ主義」イデオロギーによる攻撃を受け、ケインズ主義のマルクス主義革命封殺の業績が亡きものにされたとし、我国が市場原理主義のニヒリズムのくびきから、先達としてブレイク・スルーするべきだ、としめられています。



    つぎに263号では『 竹中氏よ、「機会費用」分析は、マクロ経済的に、政府財政支出についてやってくれ』では「かんぽの宿」をオリックスに売却した事案を竹中平蔵氏が擁護した論文を叩き斬っております。竹中氏は機会費用を論点として擁護論を展開しているようですが、竹中氏が当局者であった頃を引き合いに出されてその欺瞞を暴きだしています。



    この辺りはまったく異論はなく「御意」ではありますが、教授の視点では今回の危機の犯人を「新自由主義者」「新古典派経済学派」に向けておられるようですが、以前にも述べましたとおり、悪いのはクリントン周辺の「計画主義者」であます。



    彼らはジェントルマンが集う健全な「カジノ」を「いかさま賭博場」に造り替え、自分達が賭けるときにお好みの目がでるようなあらゆる仕掛けを「IT」を駆使して構築しました。しかも周到に計画したのちにカジノの運営側から身を引き、あとはお客としてそのカジノでぼろ儲けをしました。クリントン周辺のすさましい献金額はこれらの共犯者達だと思っております。



    日本の世論が教授の達見を引用するときに、教授の論説が「全体主義者」へ利用されないよう細心の注意をはらって頂きたいものです。

  • 名無しさん2009/02/03

    最近気づきました。

    「台湾は日本の口と顎」「沖縄は日本のど元」。こう考えると非常にリアリティーがある。

  • 名無しさん2009/02/03

    「読者の声」意見はありません。

    先生の「未来は過去にあり」まさしく!