国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/01/28


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成21年(2009年) 1月28日(水曜日)貳
       通巻第2474号  臨時増刊号 
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 “ユーチューブ大統領”はアメリカ国民に自信回復をもたらすことが可能か
   オバマのカリスマ性、はやくもメッキが剥げてきた
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 76年前にホワイトハウスの主となったフランクリン・D・ルーズベルトは所謂「エコノミスト」ではなかった。
状況はこんにちのオバマ大統領が直面する危機に酷似していた。いや、もっと危機的な事態に遭遇していた。

 しかしルーズベルトは恐慌心理を除去し、人々に自身を回復させるために何をするべきかを知っていた。
 預金を増やさせ、社会を安定化させるには、まず銀行を安定化することである。預金の保障、政府の銀行への資本注入、その替わりに銀行への規制強化。

かれはラジオ放送を通じて国民に直接呼びかける方法を採った。
これは80年代のレーガン大統領が踏襲し、その平明で力強い呼びかけは多くのアメリカ人を魅了し、レーガンは「偉大なるコミュニケーター」と呼ばれた。
こんにちオバマがインターネットとユーチューブで呼びかけるスタイルの原型である。

 現在の米国の問題は税金が投入された銀行が肝腎の貸し付けをしないという奇怪な状態である。
 シティ、バンカメ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスなどへ既に3500億ドルが投下された。
 なぜ、こうまでの措置がとられているのに、庶民は新しいローン、あるいは借り換えが組めないのか。

 1930年代の米国の結論は、戦争だった。軍需産業にテコ入れし、軍の肥大化で雇用を確保できた。
 ルーズベルトには他に景気回復の手だてはなかった。

 1929年の失業率は3%、1933年には25%となり、1930年代を通じて米国の失業率は17%平均だった。工業生産は三分の一に落ち込んでいた。
 街の辻々に失業者が屯していた。

 だがルーズベルトは国民に言ったのだ
 「恐慌、それは人々が恐れる心が恐慌を作り出すのだ」と。
 恐慌は経済用語ではなく、これは社会心理学の範疇に属する語彙だろう。かれはエコノミストではなかったが、卓抜な危機管理マネジャーだった。

 こんにちのオバマを囲む状況は、イラクから撤兵し、かわりにアフガニスタンへ増派する。
 主要な敵であるロシア、中国は立ち上がれない。産油国は米国と対峙できる軍事力も気力もなく、つまるところ敵はテロリストである。ブッシュの政策の継続が、オバマの世界戦略でありうる。

 オバマがルーズベルトと異なる点は「雇用」に力点をおくことはおなじでも、それを「グリーン・ニューディール」政策と呼称するように、環境、福祉、公共事業、教育そして減税に力点を移していることである。

 大統領就任後、「百日間の蜜月」が常識だとされる米国政治で、就任からわずか一週間でオバマへのマスコミ批判は遠慮のないものとなりつつあり、そのカリスマ性が剥げかけ、ブッシュ前政権が策定していった「TARP」(金融安定化法)につぐ{ARRP}(米国回復再投資計画)の8250億ドルの議会における承認はますます前途多難の様相である。

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(休刊のおしらせ) 地方講演旅行のため小誌は1月29日―2月2日が休刊です。
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アンディ・チャン氏のコラム
  

◎アメリカの立場は台湾関係法によって決められている。
◎この法律はアメリカ国内法であり、アメリカは台湾を領有する意図はないが、台湾の将来の位置については決定的な権利を保有しているというものである。アメリカが中華民国を認めないならばなぜ台湾関係法に沿って台湾人が中華民国の中国人に虐待されている事実を無視するのか。

◎体制外運動は革命だ、革命は流血になる、と危惧する人も居るが、そんなことはない。体制内の人がみんな体制外になれば体制は潰れるのだ。

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[AC通信:No.264]Andy Chang (2009/1/26)
   米国の「現状維持」と陳水扁
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台湾のメディアはこれまで「アメリカの政策は現状維持」と報道して、台湾の総統を始め、殆どの人がその意味を「中国と台湾の安定状況を」維持することだと信じてきた。
 しかし、アメリカは、「台湾と中国は別の国である、台湾の国際的地位は未定のままであり、この状態を維持していくべきだ」と主張しているのである。

●アメリカに逆らった陳水扁

この主張を誤解したため陳水扁政権とアメリカの関係が一時非常に悪くなったことは最近発表した、台湾南社の鄭正?社長が書いた記事に出ている。
鄭社長は、2007年に陳水扁元総統が国民党の作った「国家統一委員会」と「国家統一綱領」を凍結し、更に「国連加盟の是非を国民投票にかける」と主張したことで、アメリカの反対圧力がかかった。そして米国在台協会の楊甦棣(Stephen M. Young)主席(アメリカの大使に相当する)がホワイトハウスのメッセージ「訓令」を持参して陳総統を訪問し、ブッシュの「訓令」なるものを一字一字、陳水扁総統に読み聞かせたという。
そして陳総統はこれを黙って聞いたあと、「わかった(我知道了)」とだけ答えた、と言う。
しかし陳水扁はホワイトハウスの訓令に逆らって以上の三項目を実施したため、台米関係が急速に冷却したと鄭氏は書いている。
この事件について最近陳水扁が獄中から出版した本、「台湾の十字架」にも書かれてあり、アメリカが台湾の主権を弱体化していく圧力を加えたのでこのままアメリカの圧力に屈服すれば台湾に不利となる、「アメリカの立場は立を支持しないばかりか、反対の立場を取り、アメリカの主張する和平的に台湾問題を解決するという従来の立場から、台湾と中国が和平裡に統一する立場に変わっていった」と書いている。
 
●「台湾の十字架」と「中華民国の十字架」の違い

つまり陳水扁元総統は、台湾が中国に統一されることに反対し、アメリカの立場が徐々に中国よりになっていくことに逆らったからアメリカの不興を買ったのである、「台湾の十字架」を背負うことになったが、台湾のためなら甘んじて十字架を背負う、と書いている。
 私はこの主張に違和感を覚える。
陳水扁は中華民国と台湾を混同していたからアメリカが反対した真意を理解できなかった、それでも国民投票を強行したため米台関係が悪化したのだと思う。
 陳水扁は中華民国の総統である。
そして彼は「台湾と中国は、一辺一国」である、つまり台湾と中国は二つの違った国であると主張してきた。陳水扁は中華民国の総統でありこれまで台湾と言う国は中華民国のことである、「台湾イコール中華民国」と主張してきたのである。
これには賛成できない。

陳水扁の主張はアメリカの立場と違う。アメリカは中華民国は既に滅亡した蒋介石の亡命政権であり、台湾の国際的地位は未定であると言うのだ。つまり陳水扁が背負ったのは「中華民国の十字架」である。
陳水扁が国家統一綱領を凍結し、台湾名義で国連加盟する、などの国民投票を行うことは台湾の地位は未定と言うアメリカ従来の立場と対立するから、アメリカは楊甦棣(Stephen M. Young)大使に命じて陳水扁の採った政策に反対意見を通達したのである。

●アメリカの「現状維持」に対する考察

アメリカの台湾の国際的地位に関する主張は戦後から今まで一貫して変わっていない。このことは非常に大切で、台湾人を始め国際間で詳しく説明する必要があるが、アメリカは一貫してこの主張を故意に曖昧にしてきた。
アメリカの立場は台湾関係法によって決められている。
この法律はアメリカ国内法であり、アメリカは台湾を領有する意図はないが、台湾の将来の位置については決定的な権利を保有しているというものである。

もう少し詳しく説明すれば、台湾の国際地位は、サンフランシスコ和平条約に署名した48ヶ国の全体の同意で決めるものだが、48ヶ国のうち、主要戦勝国のアメリカが最大決定権を持つことはアメリカが台湾関係法を制定したことだけでも明白である。台湾の将来は台湾人が決定権を持つ、そして国際的にはアメリカが最大影響力を持つのである。
 しかし中国の対米貿易が増加して中国の発言力が強まってくるに従い、台湾問題は中国と中華民国の双方が平和裏に解決するべきだと発表するに至った。
陳水扁の危惧するように、台湾が平和裏に統一される可能性が出てきたのである。そのため陳水扁の中華民国名義を変更して台湾名義で国連加盟する動きはアメリカの立場から見ると間違い。しかしこの段階でもアメリカはアイマイな態度を維持して本音を現していない。
馬英九が当選して休息に中国接近をはじめたため、アメリカは直ちに二つの立場の表明を行った。
アメリカの本音を少しだけ表明したのである。

第一は、2008年8月に馬英九がアメリカを経由して中米を訪問した際に、アメリカ在台協会の元主席リチャード・ブッシュが馬英九に「二つのノー」を通達した。二つのノーとは、
(1)中国が台湾の主権を持つと暗示してはならない、
(2)台湾の国際活動について北京側に最終決定権を持たせてはならない。

第二に、中華民国に関するアメリカの立場は、2008年9月にライス国務長官の名義でアメリカの各領事館に電報で通達したメモランダムである。
この通達には「アメリカは中華民国を承認しない、従って米国の官僚は如何なる場合でも中華民国の官僚と接触してはならない」と言うのである。

台湾の将来は台湾人が表明しなければならない。中華民国の総統が、独立でも中国統一でも如何なる政策を採ってもアメリカは反対する。人民が主張すればアメリカは受け入れる義務がある。

●体制内と体制外の運動

多くの台湾人はこのことにハッキリした認識を持っていない。
国民党は統一を望んでいるし、民進党は中華民国の体制の枠組み内で、選挙を通して国民党から「中華民国の政権を奪回する」ことを目指している。
しかしアメリカ及び世界諸国から見れば中華民国は存在しないから民進党の努力は認められないし、中華民国が存在する限り独立はできない。
アメリカは陳水扁に対し、中華民国体制から独立することに反対を表明したのである。

独立するには中華民国体制を破壊しなければならない。
これが体制外の独立運動である。中華民国体制を潰すのは容易なことではないが、これ以外に方法がない。台湾人民はこれを明確に認識しなければならない。
 体制外運動は革命だ、革命は流血になる、と危惧する人も居るが、そんなことはない。体制内の人がみんな体制外になれば体制は潰れるのだ。

●台湾の人権を放置してきたアメリカの責任

体制外の改革は中華民国と戦うことだけでなく、アメリカの人権無視の責任も追及する必要がある。60数年ものあいだ、台湾人民が中華民国の独裁下で苦しみ、228の大虐殺と、それに続く30年の白色恐怖統治、そして馬英九が独裁恐怖政治を再現しつつあることに対しアメリカは最大責任を負う必要があり、人民はアメリカの責任を追及すべきである。
アメリカが中華民国を認めないならばなぜ台湾関係法に沿って台湾人が中華民国の中国人に虐待されている事実を無視するのか。

林志昇/ハーゼルがこの問題についてアメリカ政府を告訴したが、アメリカ法院は告訴が政治問題であり、司法問題ではないとして却下した。
しかし林志昇/ハーゼルは直ちに高等法院に上訴して、これは政治問題ではなく、人権問題であると主張した。
この案件は来週の2月5日に第一回弁論が行われる。台湾人の間では林志昇/ハーゼルのアメリカを告訴したことについて反対者もいるが、独立を目指す努力に反対する必要はない。
台湾人同士が意見の違いで互いに攻撃しあうのは愚劣なことで、中国人が喜ぶだけである。今の台湾で最も重要なのは台湾人の大同団結である。
     ◎
 (アンディ・チャン氏は在米コラムニスト) 

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(読者の声1)貴誌通巻第2469号(読者の声1)に「しなの六文銭」氏が「昭和維新を巻き起そうと三月事件、十月事件、五.一五事件、神兵隊事件、二.二六事件などに青年将校や志士が決起し,あるいはしようとした背景の一つに、当時の農村部の悲惨な窮状、産業経済に基盤を置く都市部との格差の甚だしさがあったとの指摘がありました」とありますが、全く同感です。
農村部の悲惨な窮状の原因を探ってみれば、何故それが青年将校たちの決起につながったが見えてきます。
第一次世界大戦中の農作物価格の暴騰後、大戦後は、穀物価格の大暴落が訪れ、これが農村の窮状の原因となったというのが一般的な見方です。
しかし日本の農村の場合、日本固有の状況がこれをさらに悪化させたのでした。
当時の日本本土の地租(農地税)は、収穫物の価格の約20%でした。台湾では5%、朝鮮では3%でした。
大正末期から朝鮮半島における米の収穫高は飛躍的に増大し、大正11年から昭和7年までの10年間で約3倍になりました。この不平等な条件の下での国内(本土と台湾・朝鮮)競争が日本の農村の窮状をさらに悪化させました。
では地租を下げればよいのですが、簡単には行きません。小作料は通常地租の2倍、つまり地租分だけ地主のひところに入ります。
地租とそれに比例して小作料を下げるということは、地主にとって容認できることでは
ありませんでした。

また大正時代の議会は、そして昭和期に入っても相当程度は、地主階級の利益の代弁者であったのです。
地租とともに小作料を下げるなどということを法制化することはとてもできませんでした。
江戸時代一般農民→庄屋等農民上層部→武士の間は、厳格な差が差があるというよりは、何層にもなった緩やかな連続体でありました。
つまり農民上層部には武士道的精神がいきわたっていました。
したがって悪代官を訴える農民一揆を庄屋が先頭に立って行い、譲歩を勝ち取った上で、庄屋が自分の首を差し出したのでした。

明治維新により武士は特権を失いました。
それに際し大きな暴動もなく従容として従ったのは、武士道のおかげでしょう。
しかし維新後、特権を保持した農民上層部は、武士道的精神を失い私利にしがみつくものが、多くなりました。昭和初期、地主が土地を売却したときその上で小作人が行なった改善部分は小作人の権利であることが法律上明記されていたのもかかわらず、小作人になんら相談もなく第三者に売却し、小作人が追い出されるという事件が頻発しました。
地主階級の代弁者たる議会はだんまりを決め込んでいました。
農産物の国際価格の低落に伴い、生産財としての経済価値が下がっていたにもかかわらず、高い小作料、農地の販売価格にしがみついていました。
この外地との不平等競争(つまり本土農民を犠牲にしての外地援助)と経済原理を無視した高い小作料の二重の苦しみが小作農民を襲ったのでした。昭和初期には末弘元太郎東京帝国大学教授のようにこの現実を見抜き、小作料が不当に高いことを指摘する人もいましたが、効果はありませんでした。
地租と小作料を大幅に下げ、本土農民を活性化し、国家財政は所得税率と法人税率の増加と効率的な徴税機構の整備することこそが解決策でした。そうすれば、農村の貧困層の収入が増え、結果的に有効需要が増えて、工業製品の市場も拡大していったことでしょう。
しかし2・26事件の青年将校には至誠の魂はありましたが、経済を見抜く知恵が足りませんでした。
あるいは地主階級出身の将校達は無意識のうちにこの面から眼をそらして、財閥の君側の奸へと眼を向けていたのかともおもいます。

 「小村が頑固で意固地にならず、桂がハリマンと合意した満州権益の日米共同経営を決めた協定を反故にせず、桂の意思に従っていたらと思うと、慙愧に堪えません」と書かれました。
私も以前はそう考えていましたが、どうもそうとばかりはいえないようです。
今から10年ほど前、「選択」と「フォーサイト」の2誌を定期購読していてどちらかで興味深い記事を読みました。日本政府との南満州鉄道共同経営の交渉のために日本を訪れていたハリマン氏の日本人通訳に関する記事でした。
その通訳はハリマン氏が、南満州鉄道の経営権を手にした後、満州において現地人を収奪するための計画を語っているのを聞き、彼らを想う衷情から、そのことを小村寿太郎外相に訴えた。
それを聴いた小村外相は、既に日本政府がハリマン氏との間で合意していた協定を強引に破棄させた。
以上が、その記事の内容で、当時発見された資料を基に詳説していました。
満州の民を想う衷情でハリマン氏と組む目先の利益を棒に振り、日本政府の二十数回に及ぶ満州への不法移民禁止の政令を無視し、朝鮮系日本人が現地人の既耕地を奪い、万宝山事件、平壌事件へて、中国人に反日感情を招き、国民党、共産党はたまた連合軍による事実無根の汚名を着せられたのが、その後の日本の歴史です。
こういった中でも誠を貫くのが日本の国柄、国体です。それを乗り超えるためには、至誠の魂に加え、事実を客観的に見つめることとそれを解析し、解決策を見出す知恵が必要です。
この小文がそういった考えを持つことの重要性認識を喚起することになれば幸いです。
  (ST生、神奈川)



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(読者の声2)貴誌2467号でご指摘のあった、「日米関係という短眼的視野ではなく、世界的パースペクテイブにたてば、イラク戦争、アフガン戦争において、圧倒的空軍力をほこる米軍が地上戦に移り、ゲリラに悩まされるようになると、相対的軍事力のあるユーロ、ロシアのルーブル、中国の人民元の相場が強まり、ドル安に転じ、しかも経常収支大黒字のくに=日本の通貨が弱まる。日本には軍事力がないからである」
の通貨の地位と軍事力の相関関係の「日本には軍事力がない」という箇所ですが、どうなんでしょうか。

本当に「日本には軍事力がない」と言えるのでしょうか?
例えば戦闘機でもステルス性のものを除けば、いまだ世界最強の部類に入るF15戦闘機を米国外でライセンス生産しているのは三菱重工名古屋工場だけですし、ロシアや中国にそれに匹敵する戦闘機は無いと私は理解していますが。
もし日本が米国の景気対策を兼ねてステルス性のF22でも大量購入する事になれば事実上世界第2位の軍事大国ではないですか。(なお、私は以前先生が書かれたF16没収には反対です)
 海上自衛隊の潜水艦部隊も優秀のようですし。核兵器なんてイランや北朝鮮やパキスタンでも出来るのですから単に国家意思の問題でしょう。今日の日本の問題はそういうハード(軍事力)の問題ではないのでは?

日本人の特に政策決定者に足りないのはソフト(戦略的思考)。どういう世界を作れば短期的、中期的、長期的に「日本にとって徹底して都合が良い」のかと言うビジョン。そして、それをなすには何をどうすべきか。という実際的戦略。

すこし離れますが、貴誌読者で在米経験の長い伊勢氏が描かれる南部人達の素朴さは美しいし、人間として立派だと思いますが、逆に言えばそれ故に北部(東部)などの良くも悪くも洗練された人達に頭を押されるのでしょう。
そういう戦略的思考は中国人やユダヤ人に学ぶところが非常に多いですし、彼らのやり方が自己中心的で近視眼的だというのならば必要に応じて別のものを求めれば良い。
そこで自国の過去から学ぶと、先の大戦で日本はハード(軍事力)では米国に負けましたが、実は日本が最低必要とする3つの事を達成している。
1.皇室の存続。
2.(1と関連して)共産国にならなかった事。
3.アジア諸国が数百年の西洋の頚木から解き放たれて続々と独立した事。
我々日本人はアラブ人のようにマッチョかつ主観的にハード(軍事力)で負けた事を捻じ曲げる必要はありませんが、歴史的転換点に影響を与えて逞しく生き残る高い能力がある国民であると言う事は正しく認識しなければならない。
自虐でも自慰でも国民の成熟度を示すものにはなりえません。
   (doraQ)


(宮崎正弘のコメント)日本の自衛隊は「軍隊」ではありません。
 まず日米安保条約との関連です。戦後、朝鮮戦争によって事態は急変し、米国は占領政策を変更します。保安隊、警察予備隊、自衛隊と名前が変わりましたが、国内治安維持部隊が、朝鮮戦争の後方支援に回される性格になる。
 しかし基本的にアメリカ軍が日本に駐留して我が物顔を続ける。
 つまり米軍の日本占領の継続でしかないのです。

 これを不満として、より対等な立場の条約改定に人力を尽くしたのが岸信介でした。60年安保改定は、論理的帰結でもあり、ということは次は「完全に平等な軍事条約」へと改定する必要がある。
そこで、安保改定20年のときに大がかりな政治イベントを行い「安保改定」を提案したのですが、「戦後レジューム」に安住しようとする自民党政権(当時は鈴木政権で宮沢官房長官)が、この動きを無視しました。(安保改定百人委員会は加瀬俊一議長のもと、黛敏郎ら百人の文化人、学者、知識人があつまりました。その前の20周年イベントは、岸信介名誉議長、加瀬英明理事長、米国からはフォード前大統領以下、上下両院議員十数名、シンクタンク関係者らが来日。日本の議員団代表は三原朝雄議員。小生は広報担当でした)。
 安保改定50周年はまもなくです。
来年(2009年)6月15日をメドに、もう一度、安保改定を提議して、自衛隊をまともな軍隊、つまり国際常識でいうところの自衛の軍隊に昇格させる必要があり、防衛省は当然ながら「国防省」と改称するべきではないでしょうか。
 
 次の視点は装備を含めての日本の国防体系です。
 日本の「軍」は、アメリカの極東軍事戦略を補完する防衛体系に組み込まれています。米軍の後方支援が中核的性格です。
 第七艦隊を守るための装備、備蓄、訓練体制などがそうです。合同演習も米軍が主導です。p3c(対潜哨戒機)だけが突出して多いのは、米国の潜水艦を守る補完的役割を自衛隊がしていると同義語でしょう?

 第一に日本は戦略兵器を持たされていないうえ、自主開発を事実上禁じられている。
 つまりICBM、原子力空母、原子力潜水艦、長距離爆撃機、宇宙兵器などです。
 日本の保有するジェット機の航続距離はまことに短い。イラクへ派遣した自衛隊の輸送機が、現地に着くのに四日もかかるのです。
日本が自主開発できる技術力はあります。が、それを米国は絶対にさせないのです。

 第二に戦域戦力ですが、半分しかない。
 F15は「迎撃機」です。攻撃能力はありません。スクランブル発進して敵機が攻撃してきても反撃できないシロモノ。ゆえに自衛隊機は敵機の背後上空に回り、警告を発するだけです。
 駆逐艦がありません。北朝鮮の不審船を機関銃で撃沈したのは海上自衛隊ではなく海上保安庁であった事実をお忘れなく。しかもF15はライセンス生産しているとは言っても、ブラックボックスが多く、監視員が米国から来ている。

 第三に戦場兵器ですが、これも実情を言えば、半分近くがお笑いでしょう? 武器弾薬不足、火力不足は慢性的です。
 ところが野外炊飯器とかの、ロジェスティックは凄い。
 自衛隊内である時、川柳を募集しました。佳作入選作は「たまに撃つ 弾がないのが 玉に瑕」。

 最後の問題は「専守防衛」という手枷足枷です。
孫子がいみじくも言ったように「攻撃は最大の防御」。
この防衛の本義に立ち返ることが出来なければ、自衛隊は無用の長物、率直に言って米国への交際費、国際協力のアリバイ証明。また国防を担う自衛官の幹部の多くが親米メンタリティをもち、サラリーマン根性に成り下がってしましました。
あの防衛大学校長やら防衛大臣を見ていると、この「軍隊」なるものは一からたたき直さない限り、日本には救いがないのではありませんか。
勿論、志のある隊員はたくさんいます。田母神発言の余波を駆って、真の防衛をそろそろ考えようということです。



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(読者の声3)アメリカの大統領選で黒人のバラク・フセイン・オバマ氏が当選したからといって何故、日本人が騒ぐのか意味が全く解りません。
 マスコミも朝から晩まで“オバマ、オバマ”で囃子立てる。町をあげて馬鹿騒ぎしている異邦人市も在る。お前達一体どこの国に属している人間だ、お前らオバマの阿保徒か、と怒鳴りたくなります。
 この人たちはオバマ氏が大統領になった事で日本の総理大臣を兼務して日本の「国益」を図ってくれるとでも想っているのでしょうか?
“このど阿呆徒が”、と腹の中で怒っています。
過去に御人好し外交を批判されて「相手の国を思い遣るのも外交の一つ」、と伊吹幹事長が批判を躱していましたが、そんな国が日本以外に在ったら教えてもらいたいものですね。
オバマ氏が大統領になったからといっても、日本国を利用することは有っても日本の国益を考慮した政治を行う訳でもない。それなのにこの軽薄な浮かれは一体何が起因しているのでしょうか。
マスコミが比較して自国の総理大臣を揶揄するなどとは見苦しき恥知らずの所業だが、それに乗せられて“そうだ、そうだ”と馬鹿騒ぎしている『国家観』無き恥知らずの日本人が醸成されてきているのには、日本人として真に怒りを感じています。
此の現象は、戦後63年間アメリカの保護下で育成された民族の成れの果てでしょうか。
この日本国の恥曝し連中は、オバマ政権に無理難題を押し付けられた時は鐘・太鼓を叩いて懺悔参りでもするつもりでしょうか。
 この様な連中を見ると決まって思い出すのが、「日本人の『風俗といえば小事に聴く大事に疎い。衆人が尊び誉れとすることは、内容もよく調べずにひたすら従い、一旦惑わされてしまったら死ぬまで覚ることがない。これこそ蛮夷の陋劣というものである』」と本国に報告した姜!)の日本人観を思い出します。
  (北九州素浪人)


(宮崎正弘のコメント)基本的に国家観がないということ、安全保障を旧敵国にゆだねて恬淡としていること。保護された温室で半世紀以上をおくったら精神を喪ったのが、いまの日本人ということでしょうか。
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(休刊のおしらせ)小誌は明日から2月2日まで休刊です。
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  • 万葉至乃輔2009/01/30

    今回の米国金融システム崩壊による世界同時不況の原因をハイエクなどの「自由主義」に求める動きがリベラル諸氏において顕著になってきているように感じます。



    79年サッチャー女史は首相に就任した当時、バッグからハイエクの著書を取り出し、「これが私達の教科書よ」といってその後、英国における国有企業労働組合との戦いに勝利して経済復興を成し遂げました。またレーガンとともに自由主義経済を推進して冷戦に終止符を打ったことは、記憶に新しいことであります。



    その当時米国、英国における金融システムは正常に機能していましたと思います。ではいつどのように暴走し始めたのでしょうか?私はリベラルの牙城民主党が一時期経済を「計画」したと思っております。つまり正常に戻りつつあったハイエク的「自由主義経済」に悪魔の「計画性」をクリントンリベラル民主党が注入したのだ思っています。クリントンは「国策」としてITと金融を進めますが、ここに全体主義が巧妙に入り込んだのではないかと推察しています。



    一旦「計画」された担当者は民公の区別なくその使命を推進させるとハイエクは述べております。つまり自由経済推進者はいつの間にか計画経済推進者となり暴走を始めます。一旦正義となったシステムの暴走を止めることはヒトラー、スターリンの歴史を思い起こしても明らかであります。行き着くところまで行って最後破綻する。まさに今回の金融崩壊もその通りになりました。つまり「自由放任」が破綻するのではなく「計画」が破綻を招くとハイエクの指摘の通りのことが再び起こりました。



    そして今日、米国でリベラル民主党の大統領が誕生して、再び経済に政府が過度に介入する動きが民衆の要求で強まることは、まさしく1930年代〜大戦までの世界情勢と酷似しているのではないでしょうか?そして当時の米国大統領周辺にユダヤ人共産主義者のスパイが跋扈して、人類に未曾有の災厄をもたらしたことは記憶に新しいにもかかわらず、我国も米国もその方向に向かっているのは真に残念であります。



    経済の「計画化」、「政府の過度の介入」はかならず全体主義に通じるとハイエクは述べています。我国も戦時中「大政翼賛会」と「統制経済」で全体主義に向かったと渡部昇一先生もハイエクの「隷従への道」の解説本で述べられております。そして全体主義は必ず戦争へ向かうともハイエクは述べております。



    私達は歴史と伝統に裏打ちされた「自由主義」を今だからこそ堅持していくことが大切であると強く感じるとともに、歴史がある我国だからこそ真の「自由主義」が顕現できるとも感じております。

  • 名無しさん2009/01/28

    日本の自衛隊は軍隊ではありません。米軍の為に存在しているそしきです。

    何故なら竹島を始め日本の領海領土に不法侵入されてもそれを阻止できません。只の張り子の虎・税金の無駄使い・無用の長物

    です。只・只・アメリカの為に海外派遣をするのみです。早くこの様な状態から抜け出さないと日本の将来はありません。

  • 名無しさん2009/01/28

    日本の国防は愉快でした。

    国防・自衛・専守防衛?こんな事を議論している国は本当に日本を除いてないでしょうが、この体制を維持して居たいと言う「政治家」「官僚」がこの国を動かしている。



    拉致家族一人取り消せない中で「北朝鮮」と国交正常化なんて「抜かす」ひ弱な日本の政治家には本当に「**玉」ぶら下げるんかよ。と汚い言葉ですが「罵倒」したく成ります。



    「専守防衛」初めから「本土決戦」を決め込んで居て不安ではない?他人に母屋を任せて安心して居るのですからホトホト呆れる事ばかりです。

  • 名無しさん2009/01/28

    オバマは大統領就任前と明らかに顔つきが変わってきました。何というか、不安げな様相が垣間見れるのですが。オバマ派といった確たる陣営もない中での若くしての大統領就任、重責と稀にみる恐慌に身を置き「えらいこっちゃ・・・どないしよ」と。私にはひ弱なオバマちゃんにしか映らないのですが、強い米国を欲するアメリカ国民の受け止め方が非常に興味あります。