国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/01/27


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成21年(2009年) 1月27日(火曜日)参
       通巻第2472号 
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 日本を後回しにしたシベリア石油輸送パイプラインが挫折
   東シベリアから中国の大慶へ石油輸送プロジェクトが頓挫の可能性
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 ▲日本との約束反故が祟った?

 中国と露西亜の間を結ぶ石油パイプラインの建設が世界大不況と原油価格暴落の影響をもろにうけて暗礁に乗り上げている。

 東シベリアの資源を延々とパイプラインを敷設して、最初は分岐ポイントから中国の大慶を運ぶ。つぎにパイプラインを延々と敷設しナホトカまで運んで日本向けとするという世紀のプロジェクトが挫折する危機を迎えた。

 06年1月1日にロシアは突如、ウクライナへのガス供給を中断し、値上げ交渉の武器とした。09年1月にもおなじ暴挙を演じ、18日間、ロシアはガス供給を止めてウクライナを締め上げた。
ところがウクライナの先のEU諸国へのガス供給も、この措置により激減し、EU諸国が悲鳴をあげた。
「プーチンはガス供給の中断を政治的な武器として脅した」と。

 欧米の経済危機が深化する中で、ロシアの最初の思惑であったガス価格値上げはうまく機能せず、どちらかといえば中途半端に、今回の恐喝騒ぎは中断したため、「実りなき闘争」と批判がロシア国内にも沸き起こる。

 なぜならロシア経済、目も当てられない惨状となっているからだ。
 第一に「ペトロ・エコノミー」と別名されるロシア経済で、GDPの大部分をしめる石油とガスの収入が激減したために、財政赤字がGDPの5%に達した。

 第二に、09年に支払いを迎える対外債務合計は1600億ドル。外貨準備は4000億ドルと言っても、08年に、このうちの1300億ドルが海外へ流失したうえ、09年1月第二周だけでも303億ドルが減っている。

 第三に経済見通しの暗さ。
 09年のロシアGDP成長率は2・4%に落ちる。反面、消費者物価は13%値上がり予測だ。
為替レートは一ドル=24ルーブルかが、36に落下。50%の通貨下落となれば輸入物資の価格が暴騰するだろう。
 

 ▲はじめの計画より12倍のコストが必要と判明

さてESPO(東シベリア・太平洋・石油パイプライン)プロジェクトだが、当初の見積もりより十二倍のコストがかかるらしい。

 事業主体「トランスネフツ」社のニコライ・トカレフ会長によれば総予算122億ドル(当初見積もりは10億ドルだった)。
 第一期工事のスコボロディロから中国の大慶区間は3億ドル。タラカンータイシット間1100キロの工事は、すでに83%が完成した。
ところが、83%完成という数字はパイプライン敷設だけ、ポンプ拠点は65%しか完成しておらず、難工事区間に至っては27%しか工事が終わっていない。
 この区間が完成すれば年間3000万トンが中国向けに輸出される手はずだった。

 第二期工事区間はタイシットーフコボロディロで2009年末完成を目指す。これが出来ると年間8000万トン。
 ところが専門筋の見通しによれば、2020年までにせいぜい年間5000万トン、その裡の2500万トンがESPOに供給され、残りはロシア側へ運ばれるという。

 また東シベリアに眠るとされた無尽蔵の資源は、当初予測を大幅に下回り、このプロジェクトはコストに見合わないと露骨に反対するロシア側の学者も出てきた(欧米メジャーが逃げたのは、これが理由だった)。

 さらにややこしいのは中国側の事業主体「ペトロチャイナ」社とロシア側事業主体「トランスネフツ」との最終的詰めが成立せず、最終価格、信用枠とくに利子の支払い、中国側の建設主契約を誰にするかなどの問題で、依然として話し合いはもつれ、紛糾を続けているという。
   ◎
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(読者の声1)通巻2466号で拝読した佐藤欣子氏の訃報、名状しがたい感慨を覚えました。
といふのは、宮崎先生がお書きになつてをられる二十五周年の憂国忌の会場で、まだ東京に来て半年余りだつた二十四歳の私が佐藤さんの講演を聴いて居たからです。
あの時はまだ黛敏郎も健在で、演壇には桶谷秀昭、山崎行太郎、藤井厳喜、小室直樹など、錚々たる諸氏が立ちました。
佐藤さんはトップバッターだつたはずです。失礼ながらキンキラキンの派手なお姿で、「三島を悼む場にこんな格好で…」と絶句したものです。しかし、お話は実に理路整然として居て、憲法改正の必要性を本当に論理的に、そして明解に主張されたのでした。
お話が終はつて、先ほどの印象はどこへやら、熱心に佐藤さんに拍手を送つて居る自分がそこに居ました。
佐藤さんが検事だつたことは、かなり後になつてから知りました。
御夫君の佐藤誠三郎が他界した折にはお嘆きが甚だしく、あの華やかな欣子さんが別人のやうに感じられたと御夫君の愛読者より聞いたことがありました。
そしてあれから早くも十三年が過ぎ去りました。黛敏郎が亡くなり、藤島泰輔やサイデンステッカーが他界し、そして佐藤欣子も鬼籍に入りました。
これら故人の偉業を偲ぶとともに、わづかながらでも、後に続く我々若輩がその志を受け継がなくてはと思つた次第です。
面識などなくただの読者に過ぎませんが、佐藤欣子さんの御冥福をお祈りする次第です。
    (KN生、草加市)


(宮崎正弘のコメント)そうですか、おもわぬところで愛読者がいるのですね。



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(読者の声2)貴誌2466号で宮崎さんの「ネタニヤフが次期首相に確定と予測するには時期尚早」
とコメントですが、拙見はイスラエルの世論調査はかなり信用出来るという前提に立ちました。
そしてネタニヤフ優位という傾向はここ2年以上一貫しているという調査に判断の基礎を置きました。私はリブニやバラックに怨みは御座いません(笑)。

ペレスはイスラエル建国後すぐにベン=グリオン初代首相兼国防相の下に若干30歳で国防次官を勤めました。それ以来、イスラエルの核開発の責任者です。この事とアラブ指導者達と話し合う事は、両方ともイスラエルの安全保障に寄与するという意味で全然矛盾しません。
ちなみにイランの核技術の基礎となったのはイスラエルの技術でペレスが提供。1979年までイランは中東に於けるイスラエルの最大の友好国でした。
鉄の宰相ゴルダ・メイールですが、彼女には第4次中東(ヨム・キプール)戦争の失敗のイメージがこびり付いている。するとどうしてもリブニ=メイール=国家存亡の危機と連想されてしまう。女性に限らず、強い指導者でなければ余計に舐められて無駄な紛争が起こるという事もあるでしょう。
 貴誌2467号の(読者の声5)に関しては「女性に安全保障を任せられないなんて偏見」というのは、私の意見ではないとご理解頂きたい。
 あと、「リブニは弁護士業のかたわら世界最強と目されるモサッド(イスラエル諜報特務局)の工作員を勤めていた」というのは間違いです。リブニはバール・イラン大学時代に幼馴染の引きでモサッドに入りましたが調査部門の所属で工作員ではありません。これはイスラエルの女性ジャーナリストが明らかにしています。
http://www.jpost.com/servlet/Satellite?pagename=JPost/JPArticle/ShowFull&cid=1215331060828
 モサッドでは如何なる人も研修コースを終えなければ工作員になれない。
それでリブニは研修コースを受ける事にしたのですが優秀な成績だったそうです。だがコース終了直前にリブニは結婚を理由にモッサドを辞めた。
プレッシャーに耐えられないと判断したようです。そして、大学へ戻り弁護士への道を進んだ。
「彼女(リブニ)の父親(エイタン・リブニ元国会議員)はイスラエル建国運動に大きな役割を果たした組織(イルグン)の幹部だった人」という指摘ですが、建国前後シオニスト右派は「不良少年」的で今日のハマスのようでした。
イスラエル軍、各情報機関は皆主流左派(ハガナー)が元になっていて、1948年には右派の武器輸送船(アルタレナ号)がベン=グリオンの命を受けたラビンによって撃沈されています。
故にラビン暗殺の時に右派の間から「これはアルタレナの復讐だ」という声が聞こえたのです。
「その薫陶をうけて育った」に関しては、リブニの考えや行動が両親達のイデオロギーからは離れてしまったというのが答えになるでしょうか。
「信念や思想性のかけらも無い日本の政治家とは比較するのも失礼なくらい」というのは本当にそうなら、ただただ残念ですね。
  (doraQ)


(宮崎正弘のコメント)いつぞや、この欄でイスラエルのジャーナリストが30年かけてかいた労作『ヨムキプル戦争全史』(並木書房)をご紹介しました。
 ヨムキプール戦争全史 アブラハム ラビノビッチ 滝川 義人
http://www.amazon.co.jp/s/?ie=UTF8&keywords=%E4%B8%A6%E6%9C%A8%E6%9B%B8%E6%88%BF&tag=yahhyd-22&index=stripbooks&field-adult-product=0&hvadid=7028184041&ref=pd_sl_3jakkwvsyw_e



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(読者の声3)拓殖大学日本文化研究所の『昭和維新』シンポジウムに参列しました。
三島由紀夫の『英霊の声』を朗読された宮崎正弘先生の姿に不思議な印象を覚えました。威厳と慈しみと篤い覚悟をたたえたその内容とともに、凛とした涼しさを感じたからです。爽やかさと冷静さを基調にユーモアを交えて話される先生は不思議な存在に思えました。
これからもご活躍を楽しみにしております。
   (TT生、文京区)


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(読者の声4)シンポジウム本当にお疲れさまでした。「英霊の声」からの朗読、参会者に強い印象を与へて、その前と空気が一瞬にして変はつたのが客席に居て分かりました。
 寒い日が続きますが、宮崎先生におかれましてはくれぐれも御自愛専一に願ひ上げます。
    (KN生)


(宮崎正弘のコメント)3と4のご意見にあわせて御礼を申し上げます。
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(休刊のおしらせ)地方講演旅行のため小誌は1月29日―2月2日を休刊とします。
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宮崎正弘の新刊 
 『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫)
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     http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
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  • 名無しさん2009/01/28

    大手メディア同様のロシア悪玉説に異論です。ロシアは旧ソ連のシステムを継承しているので、 トルクメニスタンなどCIS諸国からウクライナ経由の欧州向けガスを購入しているが、今年は急な値上げをされて、仕入れ値が300ドルに跳ね上がった。

    その値上げをロシアが吸収して、なんとか欧州向けにウクライナ経由で250ドルで供給する契約を締結したが、ウクライナは支払いをしなかった。

  • 名無しさん2009/01/27

    自国に地下資源のある国は本当に(大)メリットだ。しかしロシアでは石油・ガスの供給が国に占めるGDPの割合の高さが財政収支に大きく響くのはどうかと思うが・・・日本に地下資源があればどう経済が動くか?でも仕方がない。