国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/01/22

●小誌愛読者13400名

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成21年(2009年) 1月22日(木曜日)参
       通巻第2464号 
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(本号はニュース解説がありません)。

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樋泉克夫のコラム

   ――戦場にも笑いはある
             『「わらわし隊」の記録』(早坂隆 中央公論新社 2008年)

 “伝説の夫婦漫才“といえばワカナ・一郎。歯切れいい早口のしゃべくりのワカナを、おっとりと切り返すアコーデオン抱えた一郎。左が振袖姿のワカナで右がゲートルを巻いた一郎――
こんな舞台写真を手に著者は「南京で写されたというこの一枚の写真を前にしていると、速射砲のように喋るワカナの声域の高い声が聞こえてきそうである。シャッターが切られたのは、一郎が独特のおっとりしたツッコミを入れた瞬間であろうか。笑顔を浮かべる二人の背後に掲げられているのは、大きな額に飾られた孫文の肖像写真である」。

 昭和13年1月15日、空の英雄の荒鷲隊に因んで「わらわし隊(中支慰問班)」と名づけられた吉本興業所属のお笑い芸人の一行は日本を発ち中国に向かう。
一行の中にワカナと一郎がいた。戦地で兵士を慰問するため。彼らを送り出したのは朝日新聞社。
 2人は1月23日から27日にかけ、当時の南京で最大の収容能力(2500人)を持っていたと思われる国民大会堂の舞台に立つ。
 ワカナ:ち”や東洋平和の為、日支親善の唄をお聞かせしませうか?
 一郎:あゝ、お願ひします。
 ワカナ:熱海の海岸リュタ、リューター/貫一お宮の リャンコレン/共にショウファも チンテン限り/共にリュタリュタチンテン限り/あゝ、宮さん、アノ月カンカン。
 一郎:カンカンとは何ですか?
 ワカナ:来年のチンテンワンシャン、十五年後のチンテンワンシャン、オデの涙でシヤオチヱライクゥー。(漫才台本は『漫才作者 秋田實』平凡社ライブラリー)

 昭和12年10月12日の召集で柳川兵団に編入された島田親男さんは、「南京陥落後は、前進して来た道を逆行。再び杭州まで戻り、その地で軍務に就いた」。
その杭州で、わらわし隊の舞台をみている。
「劇場は立ち見まで出るほどの満員だったという。・・・島田さんはゆっくりと口を開き、遠い記憶を正確に辿ろうとするようにして話はじめた。
『ミスワカナがですね、「金色夜叉」を支那語を交えながら唄うんですよ。熱海の海岸リュタ、リューター、なんてね。リュタというのは散歩という意味です。で、貫一、お宮のリャンコレン、と。リャンコレンというのは二人連れという意味なんです。これには私たちは本当に喜びました。懐かしい日本のことも思いだせるし、それが支那語になっているのがなんだかおかしくてね』」。
「それでも島田さんは『三○万人』と言われる大虐殺については首を傾げる」。

 おそらく南京大会堂でも、ワカナ・一郎は同じネタで舞台に立ったのではなかろうか。
 「この当時、南京にいた日本兵の数は約四〇〇〇人。・・・その後(南京陥落戦後)も南京に留まったのは、奈良の三八連隊、津の三三連隊が中心で・・・南京で警備にあたっていた約四〇〇〇人のうち、わらわし隊の舞台に約二五○○人が集まっていたことになる。実に駐留部隊の約六二・五パーセントの兵力が一ヵ所に集まり、しかも演芸を観て腹をよじって笑っていた。それが昭和一三年一月二三――二七日にあった南京の本当の光景だ」。

 かくて著者は「兵隊一人ひとりに、壮大な人生ドラマがあった。これらは日本人の大切な精神遺産である。
そのことに対して、闇雲に蓋をする必要など、どこにもない」。
《QED》

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(読者の声1)国内のマスコミは、オバマ就任を熱狂的に報道していますが、現地の声なき声はどうなんでしょうか。
私にはなんとなく「ヨン様ブーム」と重なってみえます。
もしわが国にヨン様が帰化し、総理大臣になったとでも想像してみて下さい。マスコミは、新しい時代だともてはやし、そして熱狂している人々もいる。しかし、同時にどうして、という極めてさめた多くの人々もまたいるのではないでしょうか。
あるいは、「どうしてお前にいわれなけばならない」と冷めている人々も相当数おられるような気がして、マスコミの歓迎ムードに危うさを感じています。
   (NH生、大阪)


(宮崎正弘のコメント)米国のジャーナリズムは、おどろくなかれ日本のマスコミの常軌を逸した歓迎ムードではなく、きわめて冷ややかです。
 外交評論家の加瀬英明氏は、ヨン様というよりタイガーウッズ現象に喩えましたが。。。



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(読者の声2)オバマ新大統領への読者と宮崎氏のコメントについて通巻第2463号に寄せられた「伊勢ルイジアナ」氏に(宮崎正弘のコメント)「きわめてシンプルな語彙で、しかも力強くアメリカの現状をかたって頂きました。日本のマスコミも「もうひとつのアメリカ」を忘れている。いや、見ようともしないのでしょう」
とあります。
 まともな批評が今の時点で提起されていて安心しました。
ただ、一服の清涼剤であることを懸念しています。お祭り騒ぎはワシントンだけで十分なのに、日本のマスコミまで伝染したように狂態を演じている。
80代の小生の知人は、就任式を深夜まで見ていて風邪をひきかけたと昨朝こぼす始末。どうなるのかと聞かれたので、株価に反映していると答えました。
(SJ生)


(宮崎正弘のコメント)「宴は終わった」。今朝のヘラルドトリビューン一面トップの見出しでした。



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(読者の声3)日本の新聞社はアメリカ南部に支局はなく、南部に関心もないのです。
国際部はDC、NYC.だからNY・TIMESか、W・POSTなどの偏向記事を和訳しているだけなのです。
南部(中南部、最南部)アメリカの半分であり保守です。
これらの東部リベラル新聞によって、南北戦争時代には、南部は北軍に侵略され、奴隷州という罪を現在でも着せられ、現在でも貶められている。
今度は、米民主党(ボストンのジョン・ケリーの復讐計画)は黒人票やリベラル票を狙って、オバマを担ぎ出したのです。
オバマの閣僚の中に南部人はひとりもいないのはそれが理由。巧みにキング牧師の公民権運動の亡霊を利用して、再び南部共和党州を貶めたのですね。昨日、南部に星条旗がはためいていない理由です。
「日本軍は悪玉だった」と日本を貶める小沢民主党、左翼・マスコミに似ていませんか?
ところでオバマは南部の黒人ではない。もう指摘され始めているが、ついでに、英国ポンドは暴落(下落などではない)し、長年の連れ添いウォール街に、ついにあいそをつかした。ブリッツ(ザマァ見ろと言いたい)は、ユーロ圏入りを模索中です。
(伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)対円で一ポンド、ついに120円を割り込み119円です。ユーロは121円前後。ドルは87円(いずれも21日の為替)。
 オバマ政権は「強いドルを目指す」そうです。世界で一番強い通貨は、しかし、日本円という皮肉。
 さてアメリカ南部情報ですが、1972年にフロリダ州パナマシティに移住したのが、今上陛下の同級生、作家の藤島泰輔氏でした。藤島さんがフロリダから送ってきたアメリカのもうひとつの顔は長く『諸君』に連載されました。
 その毎月のレポートは大新聞が伝える北東部と西海岸のアメリカとは違う国のごとし、でした。



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(読者の声4)貴誌2455号で、「アラブとかイスラム教徒の辞書には「敗戦」という言葉が欠けている」と接見を述べました。
すると早速「ハマスのイスマイル・ハニヤ元パレスチナ自治政府首相は、テレビ演説で「偉大なる勝利」を宣言」だそうです。
我々も彼らを見習って終戦記念日を戦勝記念日に変えて、軍事パレードでもすれば国際的緊張感が出て面白い(笑)。
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2559790/3698150
 ところで宮崎先生も述べられたオバマと中東、なかんずくイスラエルとの関係ですが、今回の選挙で米国ユダヤ票の80パーセントがオバマを支持です。
前回のケリーの時にユダヤ票が民主党に集中したのですが、今回はそれ以上。ここから単純にユダヤ=イスラエルでないと分かります。
勿論、イスラエルの安全保障に関してここという時に米国ユダヤ人が動くのは事実だし、宗教的文化的連帯感もあるが、イスラエルが右派福音派と一体化する事に危機感を感じているはずです。
もともとシャロン前首相などは、ブッシュを非常に強く警戒して恐れていた。父親のパパブッシュが反ユダヤ的であったからです。
そういうところから、リベラル派のユダヤ人に取ればオバマはむしろ中東の安定に好ましい指導者に見えるのではないでしょうか。

もう一つ。神話ですがイスラエルに関して必ずしも、右派=戦争で左派=平和ではない。むしろ、逆といったくらいです。
例えばイスラエルがパレスチナ人を追放したのは第一次中東戦争とその前のパレスチナ内戦ですが、これは左派主導で停戦中右派は左派により弾圧されています。
第二次から四次までの中東戦争も左派政権の指導。対し、右派のメナヘム・ベギン首相はエジプトとの平和条約を結びイスラエル本土の何倍にも当たるシナイ半島を返還。そういう意味で、一度強硬派首相として失敗したネタニヤフの復活に注目すべきで、実際パレスチナ自治政府やシリアは接触を始めている。
実は、この返還時にモサッド、シャバック、アマンなどイスラエルの各情報機関幹部達が猛反対。
シナイ半島返還がイスラエルの安全保障上の危機に繋がるという懸念から当然です。
だがベギンはこれら安全保障専門家の反対を押し切って中東地域に於ける政治的安定を求めたのです。
孤独な戦いだったのでしょう。その時に断然とベギンを支持したのがシャロンです。その後、エジプトが期待に答えて今日までイスラエルとの合意を守り地域の安定に貢献している事は言うまでもありません。
 今回のガザ紛争でハマスやヒズボラなど「不良少年達」はエジプトを裏切り者と罵り、その国旗を燃しましたが、結局は同国諜報部にイスラエルとの停戦交渉の仲介をして貰わざるを得なかった。
本当に面倒見切れないという感じでしょう。
  (doraQ)


(宮崎正弘のコメント)イスラエル総選挙は二月十日です。ネタニヤフ復活なるか?
 負けても勝ったというのはアラブ世界に限りませんが、湾岸戦争でまけても、サダム・フセインは『勝利宣言』をだしました。
「なんと勝利は甘美な味だろうか!」。
 ナセルが第二次中東戦争の敗戦の責任をとって「辞任する」と言ったとき、エジプトでは「負けてはいない」と全土的にナセル復帰のデモが巻き起こりました。
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     http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
         

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  • 名無しさん2009/01/22

    「伊勢ルイジアナ」氏のコメントが大変興味深い。生身の米国が読み取れます。

    オバマは張りぼての中身の無い操り人形だと思います。南部人は本質を見抜いているから醒めている?