国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/01/13


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成21年(2009年) 1月13日(火曜日)貳
        通巻第2451号  
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 米中関係は[G2]。ゼーリックの先を行く賞賛がブレジンスキーの口から。
  米中国交回復30周年に北京に集まったカーター元大統領ご一行
****************************************

 1979年、カーターは台湾との外交関係を絶ち、北京と手を結んだ。
 爾来、30年の歳月がまたたくまに流れ、米中関係は冷え冷えとした戦略的競合関係から「戦略的パートナー」に格上げされ、ゼーリック世銀総裁は、その国務副長官時代に「米中関係はステーク・ホルダー」と礼賛するに到った。

 1月12日北京で開催された「米中国交回復30周年記念写真展」の開幕式に米国から馳せ参じたのはカーター元大統領夫妻、キッシンジャー元国務長官、そしてブレジンスキー元大統領補佐官である。

 記念講演に立ったブレジンスキー元大統領補佐官(80歳)は、「米中関係はいまやG2の関係であり米欧同盟、日米同盟と等価である」と絶賛賞賛礼賛のレトリックに終始した。
 とくにブレジンスキー元大統領補佐官は、イランの核武装、パレスチナ問題で、中国は米国とともに外向的努力を傾け世界システムの安定に貢献できる、と中国を持ち上げたのである。

 よぼよぼジィさんたちの寄り合いに一般的な意義はないが、ブレジンスキーはオバマの大統領キャンペーンの段階から、ブレーンとして外交政策の顧問をつとめてきた人物だけに、そのレトリックにはリアリティがともなう。
    ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
****************************************
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎●BOOKREVIEW ●◎BOOKREVIEW●◎BOOKREVIEW●◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  ♪
高坂節三『経済人からみた日本国憲法』(PHP新書)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 財界主流派から国士的な、或いは壮士的指導者が消えて久しい。嘗て桜田武、今里広記、植村庚五郎、土光敏夫など、錚々たる財界メンバーが政治家を「指導」していた。
 国士がいなくなり、近年は経団連のトップが北京詣でを繰り返し、はては北京のご下命に従うかのように、一部の財界トップらが「首相は靖国神社へ行かないほうが日中友好のためになる」等と進言するに到っては、財界は無用の長物と錯覚するほど、その地位の低下は凄まじかった。
 渋沢栄一は右手に算盤、左手に論語と言った。
その気概は財界人から消えたのか?
 この本の表題は「経済人」である。しかし本書を通読すると、これは「経済人」のカテゴリーに入るビジネスマンの意見ではなく、財界非主流派(?)の意見、まぎれもなく改憲を説かれている本である。
 著者の高坂節三氏の名前からピンと来る読者も多いことだろう。氏は哲学者高坂正顕氏の三男、政治学者高坂正堯氏の実弟である。
 本書に一貫して流れる哲学的な骨格は、その華麗な家柄から来ているのかも知れない。

 さて現行憲法の矛盾や改正のための論点は具体的に本書にあたっていただくとして、評者がなぜか感心したのは、次のくだりだった。
 高坂氏は当時、伊藤忠の南米総支配人としてリオに赴任され、ペルーの首都リマへも仕事で行かれた。
リマの治安は最悪で、外国企業は逃げの態勢だった。
「迎えてくれたのは一台の防弾車と二台の護衛車でした(ペルーで三人の日本人技術者が殺された事件の直後だった)」。
事務所は独房のような寂しいオフィスで、伊藤忠はペルー撤退を熟慮した。しかし、フジモリ大統領からも「残って欲しい」と言われ、氏の企業はイギリスの警備コンサルタントと契約し、万全の対策をほどこす一方で、リマに残る。
のちに「ペルー大使公邸人質事件が勃発、多くの日本人が拉致されました。そのとき人命優先、平和的解決を金科玉条とする日本の対応が、皮肉にも海外から『誘拐を奨励する』(英『エコノミスト』、97年1月25日号)とコメントされ」た。
この事件が象徴するのは平和憲法の概念が、その観念的な平和の呪縛から逃れられない日本の不確かさ、ふがいなさである。
 現行憲法の諸矛盾はあらゆる局面に露呈され、改正が急がれているが日本の政治は半世紀前の感覚で国家の基本問題を先送りし、日ごとに危機を自ら深化させている。
全編を通して改憲というより占領憲法否定のパトスが感じられないものの、本書は憲法改正論に一石を投じる力作である。
   ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
########################################
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)貴誌2450号「読者の声2」のプアール茶の話題、大変興味深いものでした。店頭でお茶を淹れてくださったり、ゆっくりと二階で味わったりと、あわただしい毎日の中、癒される時間が持てます。忙しい中そんなヒマはないよと笑われてしまうかも知れませんが、一度足を運んで見てください。(お店の回し物でも何でもありません。ただのファンですので)(引用止め)
思い出:昔、台湾の高級茶館に行ったら、なかなか凝ったつくりで、赤と青の錦の刺繍の唐子風支那服を着た可愛い美少女が二人いてお茶を運んできました。
台湾の小ぶりのピーナッツをかじりながら、ウーロン茶を喫茶しましたが支那風の落ち着いた雰囲気でよかったです。
   (MC生)


(宮崎正弘のコメント)台湾でも茶館は町のほうぼうにあったのですが、最近の台湾も近代化、ビル家賃の値上げなどによって、茶館は激減です。
 将棋をさす人、談笑を続ける人々、本を読む人など、のんびりとした空間が消えつつあります。



   ♪
(読者の声2)初めてお便りいたします。3ヶ月くらい前から先生のメルマガ購読を始めたばかりですので新入りです。
さて宮崎先生のような中国語力(及びそこから派生する中国分析力)と保守的というか好国的(私の造った新語です!)思考の両輪駆動に新鮮な刺激を受けました。そこで無礼ながら、いきなり質問をさせて下さい。
●先生が中国語を学び始めたきっかけは? 偶然か? それとも、当時から今日の様に戦略的思考をお持ちであったのか?例えば、仮想敵国の言語を学ぶというような意識があったのか?
 ●時々、「〜生」という表現がありますが、これは中国語でしょうか?意味は?
   (doraQ)


(宮崎正弘のコメント)小生は、その昔、貿易会社を十年ほど経営しておりました。1970年代から香港、台湾に頻々に出かけており、最初は英語、台湾は日本語が通じる人もすこしはいましたが、いずれも年配者で、新世代は英語でした。中国語を喋る必要はなかった。
しかしある日、考えたのです。
中国語をすこしは話さなければ商売もうまく行かないだろうし、相手を文化ごと理解するのは難しいのではないか、と。
だからと言って中国語の会話学校へ行く時間もなく、率直に言って小生の中国は現場を踏む回数だけが多い耳学問です。日常会話、旅行会話はともかく、契約するときや、哲学的な話や医学的語彙が必要なときは上級の通訳を雇います。
香港の学者、ジャーナリストは英語を喋りますし、台湾でも李登輝先生は完璧な日本語、馬英九総統は英語でインタビューができますが、中国語しかできない学者と政治・経済のインタビューをするときは仲間のチャイナ・ウォッチャーに通訳をお願いしています。
「◎◎生」は、「小生」、「愚生」、「老生」のごとき慣用句からの用法です。
  △
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(おしらせ1)16日(金曜日)午後一時から「ラジオ日本」。ミッキー安川の「ズバリ勝負」に宮崎正弘が生出演します。(午後二時四十分まで)。
   ♪
(おしらせ2)小誌、地方講演のため1月18日―20日が休刊となります。
   ♪
(おしらせ3)三島由紀夫研究会からの御案内です。
1月14日(三島由紀夫 生誕83年)。三島由紀夫氏の誕生日に同会メンバー有志のお墓参りがあります。1月14日午後1時30分 武蔵境駅の西武線改札外に集合し多磨霊園の墓前に詣でます。
詳しくは下記へお問い合わせ下さい。
 担当 井上喜美子 y.k.kazuki@ezweb.ne.jp
    〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ◎INFORMATION ◎INFORMATION ◎INFORMATION◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ♪
<< 今月から来月にかけての拙論 >>

(1)「イスラエル、ガザ侵攻 表の目的、裏の目標」(『月刊日本』2月号、22日発売)
(2)「朝日新聞が廃れる日」(『WILL』三月号、26日発売。予定)
(3)「中国経済の数字は本当か?」(『ボイス』三月号、2月10日発売)
(4)「いま台湾で何が起きているのか」(『正論』二月号、発売中)
(5)「出版界の保守化を論ず」(『自由』2月号。発売中)
(6)「ルポ台湾経済も不況入り」(『エルネオス』正月号。発売中)
(7)「連戦という政治家は何者だろう」(『共同ウィークリー』、2月5日号。予定)
(8)「シンポジウム記録 米中に挟撃される日本」(『新日本学』09年冬号。発売中)
(なお『新日本学』は季刊、拓殖大学日本文化研究所発行、展転社発売)
         ▲
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
****************************************
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    △
宮崎正弘の新刊  増刷出来“ 絶賛発売中
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫)
     定価980円<税込み>。
     http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
         

宮崎正弘の近刊  絶賛発売中!
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 『北京五輪後、中国はどうなる』 (並木書房、1680円) 
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
 『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
     ◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
 ◎小誌の購読(無料)登録は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
 http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2009/01/13

    いつもいつも素晴らしい情報に感銘を受けております。ありがとうございます。

  • 名無しさん2009/01/13

    まさしく「中国」の発展が著しい中、米中関係はもちろんのこと、日中関係(特に経済関係)詳細に知っていきたいです。

  • 名無しさん2009/01/13

    経済界も戦後生まれが主流故の歴史音痴・東京裁判汚染者の経済とは「金」のみと言う短絡的な思考に成るのではないでしょうか?

    戦前に生きた人で有れば人種差別の激しさ軍事の必要性は身を持って肌で感じていたのでしょうが、アメリカの庇護の元での平和が如何に脆いものかも想像できない想像力の欠如は如何とも出来ません。



    「文事も武備」が有った上で機能する事を忘れているのですから救えません。