宮崎正弘の国際ニュース・早読み
2009/01/09
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年) 1月9日(金曜日)
通巻第2446号
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大不況のアメリカで、鉄の町ピッツバークが蘇生していた!
全米平均失業率は6・9%、ピッツバークは5・5%
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嘗て米国資本主義がピカピカに輝いていた1970年代まで、ピッツバーグは米国工業力の象徴だった。
技術開発に遅れを取り、一方で肥大化した経営の無駄を黙認し、労働組合の企業年金や福祉、はてはヘルスケアの特権要求に応じている間に、日本や韓国の追い上げがあった。鉄鋼生産のコストがあわず、鉄の町は寂れた。
鉄鋼で粗鋼生産世界一はいまや中国、ついで韓国。日本は自動車鋼板とハイテク産業用の特殊鋼を中心に技術力で生き延びている。
GMに象徴されるデトロイトは、いずれ1980年代のピッツバーグのように廃れることになりそうである。
GMの倒産はすでに織り込む済み、問題は「計画倒産」ののちの再生プログラムだが、ここで南北対立が起きている。
南部は外国企業が進出してエコカーや小型車などの自動車生産。北部、とくに中西部はGM、フォード、クライスラーの牙城、大型車は燃費効率が悪い上、小回りの利かないクルマを量産した。
したがってビッグ3救済に賛成する北部、中西部の民主党と、反対する南部民主党との対立が先鋭化している。ブッシュ大統領は、結局、「つなぎ融資」でお茶を濁し、時期オバマ政権に、このビッグ3の解決を先送りした。
ピッツバーグが甦っていた。
「全米平均失業率は6・9%、09年度にはおそらく10%に達する。しかしピッツバークは5・5%。
産業の転換は、ますエンジニアの再訓練、そのための教育施設の充実、新しい産業の誘致など定石的なことから始められた。ほかの自治体と違ったのは、州の予算、市の予算を大々的に「未来」に投資するという決断だった」(ヘラルドトリビューン、1月9日付け)。
鉄鋼に従事する労働者は、1980年代のピッツバーグでは10%もいた。いまや1%。産業構造が激変した。
長大重厚からソフト産業への切り替えは、容易な道ではなかった。
過去二十年間にピッツバーグは大学教育を充実させ、バイオ、IT関連の企業誘致に成功、地元の大学卒業生が、就労する。
ドイツの大手製薬二社も進出した。
ウエスチングハウスは原発を建設し、新しい雇用を運んだ。カジノ建設も実現した。
ピッツバーグでは全米の傾向とは逆に住宅価格が奇跡的に上昇している。
地元の銀行が不動産ブームに便乗せず、堅実な経営をする企業にしかカネを貸さなかったからだ。
だから不動産バブルはなかった。
こうして鉄鋼のシンボル、USスティールの城下町だったピッツバーグは、「バイオ、IT、教育、医療」の町へと変貌を遂げていた。
デトロイトが、二十年後に第二のピッツバーグになる可能性は、絶無とは言えまい。
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(おしらせ)明日、MX(東京メトロポリタン)テレビにご注目下さい
放映日時 1月10日(土曜日)午前1100―1130
「西部遭のゼミナール」第一回。
テーマは「中国は何処へ行くのか?」
ホスト 西部遭、秋山祐徳太子
ゲスト 宮崎正弘
再放送 1月11日(日曜日)午前730―800
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(読者の声1)先日の(読者の声)で、「非核三原則護持」という非戦ハト派と思われる方の投稿がありました。
それで、昔読んだ本の一節を思い出したので、参考までに下記引用しておきます。
(引用)
トラ・アンジェリコ=訳編『天使の辞典』(PHP研究所、1983年12月)より
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【ハト派】
自分の方が友好的態度を示せば、誰も自分に危害を加えないだろうと考える楽天的な人。
ハト派には、大別して次の四種類がある。
(1)現実のきびしさを理解できない幼稚バト。
(2)断固たる態度をとる勇気に欠ける臆病バト。
(3)ハト派的言辞を弄した方が、マスコミの受けがよいと考えている俗悪バト。
(この種のハトは格好ばかり気にしているので、本当はハトではなく、カッコウだという説もある)
(4)自分たちの意見に同調しない、非ハト派を発見すると凶暴化するタカバト。
核持ち込みについて。
日本のいわゆる非核三原則の第三項「持ち込ませず」(non-introduction)が、核搭載艦の「一時寄港」ならびに「領海通過」をも含むかどうかをめぐって、論議がやかましい。
意見として、(東京)赤坂のパブ「イントロダクション」のママの発言がある。(下記)
私どものバーではお客様が店内にウイスキーなどを「持ち込む」ことをお断わり申し上げておりますが、その場合「持ち込み」とは、店内で「ビンの蓋を開け、飲むこと」を指しております。
買い物のお帰り途中やお土産のウイスキーを荷物として持って店内に入られること、つまり、ウイスキーの「一時寄港」や「領海通過」は「持ち込み」に含まないと解釈しております。しかし、あまり露骨に、むき出しのままでお持ちになるのは、ご遠慮いただいております。
私どもの業界用語ではこうした酒類の店内持込を、ウイスキーの角ビンをもじって「角持ち込み」と呼んでおりますが、「核持ち込み」も同じようにもう少し常識的に、めくじら立てずにお考えになった方がよろしいのではないでしょうか。
(TA生、川崎市)
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(読者の声2)イスラエルの対応は国家として当然なのでしょう。
日本にもそんな時が有ったのですが現状は惨憺たるものです。拉致家族すら「日本憲法」で取り返さない?アホな憲法を維持して居ることには呆れてモノも言えません。
テロ撲滅に協力?自国のシーレーンを守るのに特別法?訳が分かりません。
自衛隊を出す成らば「国際法」で対処する事で解決を図るのが常識ではないでしょうか?
東郷元帥と言う大きな「偉人」を持ちながら、マ元帥憲法に甘んじる日本? グローバル化からどんどん外れた国に成るのではないでしょうか? 余り「グローバル」「グローバル」と愚弄しないで欲しいものです。
(A生)
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(読者の声3)衆議員選挙のタイトルは、国防と経済 で決まり、「生活第一」など守りは口当たりが良いが、子供騙しで、国民も薄々理解している。
(B生)
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(読者の声4)貴誌2445号に転載された西村真悟氏の昭和天皇への尊崇の気持ち。
およびイスラエルの自衛のための軍事力行使と北朝鮮拉致への怒りに全く同感です。
(神奈川T生)
(宮崎正弘のコメント)イスラエルのガザ侵攻に関して、日本のマスコミ論調とネット上での意見が大きく乖離しています。キレイゴトの平和を獅子吼する、或る意味で無責任な大手マスコミの左翼的論調に、日本の保守派が飽き飽きしている証拠でしょう。
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創刊日:2001-08-18
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発行周期:ほぼ日刊
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名無しさん2009/01/09
今回も内容充実していますね。
・鉄の町ピッツバークが蘇生
→ 地方再生はアイデアとやる気なんですねぇ。
・東京MX「西部遭のゼミナール」第一回ゲストへ宮崎先生ご出演告知
→ MXのYoutube公式サイトでのアーカーブ後日公開あることを視聴域外から期待。
・読者の声1(TA生、川崎市)『赤坂のパブ「イントロダクション」のママの発言』
→ グッドな読者の声 -
名無しさん2009/01/09
毎号まっとうなご意見拝見しております。
最近、気になる事はマスコミの政治介入がし烈に成りました。マスコミが政治的介入する国はやがて滅びます。 -
名無しさん2009/01/09
ピッツバーグの記事は希望が見えてよかったです。終わりは始まりなんですねー・・・。
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