国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/12/29


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年) 12月30日(火曜日) 
         通巻第2438号  (12月29日発行)
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<< 書評 >>
 
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竹本忠雄『天皇 霊性の時代』(海竜社)
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 著者の竹本忠雄氏といえば、すぐに連想するのはアンドレ・マルロォ。フランス騎士勲章受章。昨年は皇后陛下の和歌集をフランス語に訳された(『SEOTO』)。
 ドゴール政権で文化大臣をつとめたアンドレ・マルロォは波乱に富んだ冒険作家だった。そのマルロォが日本にやってきて伊勢神宮五十鈴川の清流で禊ぎをうけたおりに体得した震え、「このバイブレーションはなんだ」とフランスの文化大臣が震えた。霊的なる神秘を理解できる数少ない外国人だったが、しかし、その日本理解の影に竹本忠雄氏がいた。
 じつは評者(宮崎)は、不思議な縁で竹本さんと結ばれている。三島事件直後に渡仏した黛俊郎氏が「パリで竹本さんという人の呼びかけでフランスの知識人が多く集まり、ミシマを語った」(『パリ憂国忌』)。
 竹本さんは三島氏と面識はなかったが、評判を聞いて『豊饒の海』のサイン本をわざわざパリへ送ってくれたという。というわけで、名前は早くから知っていた。
その竹本氏がパリの生活を一度切り上げて日本へ帰国後、渋谷にあった氏の書斎を訪ねたのが初対面。1975年頃である。
というのも、氏がその昔、関東学院大学の夜間でも教えていたおりの生徒が、当時貿易会社を経営していた小生のパートナーだったからで「授業中に精神とか、霊の話をする教授で、マルロォとかの翻訳もしているらしい」と説明したのだ。
 村松剛氏もマルロォの研究家、二冊の評伝を書き残した。そのあとに筑波大学で教授になられた。
 さて本書は、霊性に関しての探求である。
 嘗てユングはこういった。「キリスト教中心の西洋文明の終末は二十世紀末から二十一世紀始めにかけて到来する。そして次の文明は、ゴッドではなく、霊性の支配する時代となるであろう」。
 アンドレ・マルロォは言った。「二十一世紀は霊性の時代となるであろう。さもなくば、二十一世紀は存在しないであろう」。
 日本の霊性の根幹には天皇がある。
 三島由紀夫は「天皇とは日本文化の統合である」と言い残したが、竹本氏は次のように繋いでいる。
「つまり、万世一系は、歴代天皇の連続性であるのみならず、日本文化の連続性の保証である。そのことを戦後日本は忘却してしまった。しかし、霊性の時代が、いまや、忘却の淵から日本の真摯を多々直すことを要請しているのだ、と」。
 本書は日本の最近の読書界に殆ど類書のない、まさに竹本忠雄の精神世界が広がる。

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(読者の声1)貴誌2437号(12月28日付け)の「編集後記」の、「また或る日、地下鉄に乗っていると市ヶ谷から某大学の女子学生が十数人どっと乗ってきて、これまた芸能界と化粧と漫画とテレビのお笑いギャグにファッションの話を大声で車内に響かせておりました。政治トピック?新聞さえ読んでいない様子でしたね。」(引用止め)。

このお話で思い出したのですが、ジャカルタ駐在時代(94−99年)に、広場の靴磨き少年達が、客待ちの間に現地の一流紙を読んでいるのを実見し、感銘を受け、「インドネシア人、侮るべからず」と感じたことを思いました。
    (KI生、尼崎市)


(宮崎正弘のコメント)1972年、ベトナム戦争中、サイゴンに一週間いました。物騒な町でしたが、書店をのぞくと西田幾多郎、鈴木大拙の翻訳(英語ではなく、ベトナム語訳)が並んでいました。明日戦死するかもしれぬ精神状況のもとで、人間は哲学をするのですね。
 靴磨きでいくつかのことを思い出しました。ジョン・F・ケネディの親父はギャングとのつながりも深い成金でしたが1929年のある日、ウォール街で靴磨きをしたところ、靴磨きから酷い不景気と言われ、持ち株を全部売った。そしてシカゴのワルを退治するためには「毒をもって毒を征す」として政権に取り入れられ、やがて駐英大使となります。JFK一家の誕生秘話です。
 戦争直後、野村證券に就職が内定した田淵義夫氏(のちの野村證券社長)が、やはり兜町で靴を磨いた。靴磨きの教養深き人が「あそこに入るだけはやめておけ」と言われた。入社するとなるほど、朝から夜中までこき使われ「へとへと証券」という業界の異名があることを知ったそうな。
 これまた戦争直後、上野の靴磨きを仕切っていたのが誰あろう、のちに「国士」と言われた末次一郎氏でした。



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(読者の声2)貴誌2437号、読者の声3の、ST氏の、文民=政府を代表する政治家という一般的な定義は理解できました。
要するにアメリカの政治史で発展したと考えられる文民統制のシステムでしょうから、すなわち米国政府の代表である大統領が、軍事を制御するあり方が、現代における文民統制の実質的な規範になっているように思いました。
そのように考えると日本の場合、政府の代表、トップである総理大臣の権限が弱く、文民統制と言っても具体的なイメージが湧かないところに問題があると思います。
以前あった、首相を公選で選べばという考え方も、日本の政党内閣の総理大臣の伝統を考えると、新しい発想には間違いなかったのでしょうが、大統領のような強い権限やイメージが与えられることは、日本では難しいのでしょう。
 一人の強力な政治リーダーに率いられたような歴史が、日本の近代政治史にはなかったことも、そのような事情に何らかの影響を与えているとも考えられますが。
ただアメリカという国の成立事情が、大統領制という文民統制システムの発展に寄与したとしたらアメリカの政治風土の根幹に民草が生い茂っていたというアメリカ特有の土壌風土があったのかもしれません。
以前、アメリカ先住民の民主的な文化にヨーロッパ移民が大きな影響を受けたという著作を読んだことがあります。(魂の民主主義、星川淳、築地書館)
ブッシュ大統領は個人的には好きだから賛意を表したいが、国連無視のイラク戦争開始には反対ですと、真っ先に発言していれば、今日の状況で日本の総理大臣の地位は間違いなく上がっていたでしょう。
日本の総理としては、珍しいほど個人の顔の見えた、存在感のあった小泉さんは、その意味ではとても惜しかったのかも知れません。
真っ先に、賛成してしまったのですから。
 もっとも真っ先に反対の意をフランスなどと同じように、日本の総理が唱えていたら、アメリカに対する立場の脆弱な日本は、どんな目に遭っていたか、いなかったかは、分かりません。
そういうことを考えると、小泉氏の行動が間違っていたと言い切ることは一般市民の私には、そう簡単にはできないようにも思います。
それでも少なくとも心情で動くのではなく、確かな情報をつかむ日本独自のアンテナを整備して、それに基づいた行動が取れるような科学的な政治体制が整っていなければ、一国の代表としてアメリカに行き届いた助言すらできないということだけは、はっきりしたのです。
 このようなことを反省して、そのような日本になるべきだという議論はなされたのでしょうか。
そのような観点から議論のできる国ではないということなら、いつまでもアメリカから自立できない日本であるということになってしまうでしょう。
いい意味で、米国を補佐できれば、それは、日本の国益に直結するだけでなく世界的な貢献に繋がることになるわけですから、経済力だけでない多角的な観点から世界を導く知的システムを日本は獲得していかなければならないと思います。
(W生、武蔵野)


(宮崎正弘のコメント)アメリカからの自立。その前に戦後の神話の呪縛からの自立ですか。



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(読者の声3)貴誌通巻第2437号(読者の声4)でTW氏が
「先日、照会があった『朝鮮日報』の天皇の敬称をほかのマスコミでもチェックしました。やはり全部「日王」でした。 日本語の電子版は朝鮮日報しかありません。]
とお書きになられましたが、東亜日報も数年前から日本語電子版を出しています。
URLは以下のとおりです。
http://japan.donga.com/
12月29日に一面記事は以下のとおりでした。
「竹島は日本領土」日本が各言語でパンフレット作成し配布
http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2008122987928

数年前は朝鮮日報と読み比べていましたが、東亜日報の方が日本関連の記事が多少まともであるという印象がありました。ただし違いはわずかでした。
朝鮮日報の電子版は以前無料でしたが、現在は一部の記事が有料になりました。これが、「天皇陛下」と書くようになった原因ではないのでしょうか。
顧客サービスというわけです。
  (ST生)


(宮崎正弘のコメント)ウォン安でもあるし、韓国はそこら中が日本人観光客で満員の由。逆に韓国からのツアーでもっていた別府、湯布院、嬉野、武雄、黒川温泉など、ガラガラとなりました。
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