国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/12/25


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年) 12月25日(木曜日) 
         通巻第2433号  
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「現代の呉三桂」と比喩されはじめた連戦(台湾国民党名誉主席)
  漢族史観最悪の売国奴、山海関を明け敵兵を入れた呉三桂の再来?
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 どうやら国民党内部、がたがたの内紛、主流派の激甚なる内訌が始まっている様相だ。
 北京がターゲットに選んだ親中派代理人は連戦(国民党名誉主席、元副総統)である。
北京の言い分を聞く政治家として「遣いで」があるうえ、確固たる歴史観のない、間抜けな指導者、しかし党内に残る守旧派への影響力があり、本人は台湾外交を指導していると錯覚し、さらには馬英九より上席と思っているから始末に負えない。

 2000年台湾総統選で、連戦は国民党の正式公認候補だった。
 押し出しが弱く、リーダーシップの薄い政治家だった。
 しかし政権与党を掌握していた李登輝が、連戦を表向き支援し、よって国民党は分裂し、党内最大の実力者だった宋楚諭は李登輝に反旗を翻して、「親民党」をつくって脱党。だから陳水扁民進党が、予測だにしなかった「漁夫の利」を得た。
連戦は最下位だった。

 04年、連戦はふたたび総統選に挑戦したが、僅差で敗退して陳水扁の再選がなる。
連戦の政治生命は失われた。いや、その筈だった。爾後、国民党内で若返りを求める声が広がり、馬英九が、本省人政治家=王金平を大差でやぶって正式候補となり、08年三月の総統選挙では、民進党の謝長挺を軽々と破る圧勝。

 だが、馬英九が台北市長時代の機密費流用問題が尾をひいて国民党主席へのカムバックがはたせず、客家人政治家=呉伯雄が、主席に収まる。飾りである。
 また馬英九は粛万長を副総統として閣内に封じ込めて本省人派閥を取り込み、煙たい先輩格の江丙伸を海峡基金会理事長に、大陸委員会主任には李登輝系列の女性を充てるなどして、事実上の大陸問題の最終意思決定者を空白にする。

 このポストの星雲状態をみてとった連戦が、政治生命の復権をねらって鵺的な動きを始める。
 ポイントは国民党内の権力の分裂状況、派閥の分裂、最終意思決定者がいったい誰になるのか、分からない状況が出現したことである。


 ▲馬は基軸が不明瞭、背骨がない政治家

 馬英九総統は路線がジグザグ、左右のぶれが激しく、台湾の自主開発のミサイルを不要と言ったり、23日には台湾南部屏東での軍事演習を視察して「軍備は必要」と言ったり。
 反日活動家だったが、いつの間にか『私は反日ではない。日本はきわめて重要な国』と格上げし、呉伯雄、江丙伸、王金平らを次々と日本に派遣したり。

 北京は連戦を駆使して、馬英九の遠隔操作ができると踏んだ。
 馬英九が国民党を掌握していない現実に乗じたのだ。
 不遇をかこつ連戦を北京に招待する微笑外交から、国民党内部の切り崩しをはじめる。
 
 1999年8月、李登輝総統(当時)が「台湾と中国は特殊な国と国との関係」とする二国論を主張したとき、連戦は反論もせず、副総統としての職務をこなした。
同年六月だったか、連戦主宰の茶話会に招かれたおり、筆者は次の質問をしている。
 「中国は改革開放以来、深センを第二の台湾と位置つけて経済発展に歩み始め、つぎに広東が第二の深センとなり、やがては中国全土が第三の深セン化する。つまり深センの経済発展のモデルは台湾であり、いずれ中国が台湾化するのでは」と水を向けたところ、非常にうれしそうに笑った。
いまとなっては正反対で台湾が中国化していく日々だ。

 2004年三月、捲土重来を期した総統選で、連戦は台湾の土地に五体投地を演技して、台湾への愛を表明した。「台湾2300万人国民のために経済を富ませ、自由を謳歌する体制をまもる」とも言った。
 投票日直前の陳水扁銃撃事件で、連戦の復活はなかった。 

 05年4月29日。連戦は突如、訪中する。
 「雪解けの時期が来た」と北京の地を踏んだ連戦は胡錦涛と会見し中台の歴史的和解を演出した。
連戦家の故郷といわれる西安にも行って、ご先祖の墓に詣でた。
嘗て反共を鮮明にして、「中国は独裁の妖怪が済む、悪魔の体制」と攻撃してきた連戦が、「豹変」したのだ。
反共の政治家は、一転して容共の先端を走る。

 同年10月海南島の農業フォーラムに出席し、技術交流、民間交流の輪を拡大し、経済での協調が、誤解を減らし、良い環境をつくる」として、さらに国共合作の歩みを進めた。

 2008年12月15日、連戦は天津に飛んで、中台海運直行便セレモニーに出席した。
そのまま滞在を続け、18日に杭州の記念館で反日演説、19日には上海へはいって中台国共論壇に出席し、賈慶林と握手した。
さらに12月20日上海で開催された中台経済合同会議に出席する。台湾の愛国者からは、連戦は売国奴と非難されても蛙の面になんとか。。
 かくて「現代の呉三桂」とは連戦であるのか。
 
(注 呉三桂は明代末の軍人。先祖は江蘇省、父親も軍人の代から遼寧が地盤。北京防衛の大役につくが、軍事情勢の激変にともない、李自成との対立関係からも清兵を山海関をあけて領内に入れ、明を裏切った。
呉三桂は清軍とともに北京へ進軍し、究極的には清国建国の軍事的貢献者となる。晩年に清国に反旗を翻し南国に独立国を樹立するも短期に潰えた。漢族史観にたてば、呉三桂は売国奴の典型)。
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宮崎正弘の台湾報告第二弾!

 「国民党の復讐劇に台湾本省人の反抗が始まった」
  雑誌『正論』二月号所載、本日発売!

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「田母神俊雄(前航空幕僚長)」講演会
     http://mishima.xii.jp/koza/index.html
・日時 12月25日(木) 18時30分から20時30分
・会場 内幸町ホール(千代田区内幸町1-5-1 TEL: 03-3500-5578)
     http://www.uchisaiwai-hall.jp/data/koutsu.html
・会場分担金  おひとり2000円、学生1000円
・主催 国防問題研究会 共催 三島由紀夫研究会 後援 日本保守主義研究会
・問い合わせ先  daihonei2div@hotmail.co.jp   
         携帯090−3201−1740
    △
 当日の式次第は下記の通りです(予告なく変更されることがあります)

1830  開会   司会 佐々木俊夫(三島由紀夫研究会を代表して)。
       国歌斉唱
       主催者挨拶   中西哲(元「全日本学生国防会議」議長)
       後援団体挨拶  岩田温(日本保守主義研究会)
 1837  審査過程    花岡信昭(政治評論家、論文審査委員)
 1845  講演      田母神俊雄・前空幕長
 2010  閉会の辞    高山正之(コラムニスト)
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(読者の声1)一昨日、23日は天皇誕生日でした。我が家にも国旗をたてました。所謂「物知り博士」に伺いたいのですが、天皇誕生日に「天長節」という歌が、むかし、小学校で歌ったと母が言うております。
どんな歌だったのでしょうか? ご存じでしたらご教示下さい
  (麿太、水戸)


(宮崎正弘のコメント)「天長節」は黒河真頼作詞、奥好義作曲で、次のようです。

 ♪「今日の良き日は大君の 生まれたまひし吉き日なり
     今日の良き日は御光の さしでたまひし吉き日なり

  「光りあまねき君が代を いはえ諸人もろともに
     めぐみあまねき君が代を いはへ諸人もろともに




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(読者の声2)貴誌通巻第2431号で中国の外貨準備が減少に転じた旨を書かれましたが、さすがに宮崎さん、見るべきところを抑えていられます。
私も21日にロイターの記事を読んで、やっぱりそうだったか。それは、元の上げ足が最近とまっているはずだと、納得しました。1600台から2000超に戻していた上海総合指数も21日から下げに転じ2000を割り、24日には1800台にまで下がっています。
外貨準備が下がり始めたのが9月なのに、ロイターの記事と軌を一にして下がり始めたということは、中国政府も株価対策をあきらめて、発表したのではないのでしょうか。
2週間ほど前に出たTime誌がサザビーのアジアの美術品の競売で、他の国の作家の作品が高値で落札される中、中国人作家の作品の落札値が非常に低くなっていると報じました。
これからさらに、中国で資産デフレの中、消費財のインフレが進んでいくことでしょう。
ところで、来年はトヨタの社長が創業家の豊田章男氏に代わるようです。来期の業績をよくするためにも、法律の許す範囲内で、今年に経費を計上していると推察します。ビッグスリーの破綻が予測される中好業績を発表すれば、ねたまれるだけでなく、どんな救済策への協力を押し付けられるかわかったものではありません。
来年、日銀による量的緩和が本格的化すると、日本経済は急速的に回復し、麻生首相の言われたように、「世界で最初に不況から脱却すること」になる可能性が高いと考えます。
潜在成長力が、金融事情のため抑え続けられていた状態に日本はありました。押さえつけられていたばねが解きはねられたように、来年は大飛躍の年となることでしょう。そう断言いたします。
   (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)トヨタは、ここぞとばかりの赤字を装っている気配がなきにしもあらずです。したたかなトヨタ商法ですから。
 日本は心理的弱さと、右へ倣えのムードに弱く、まして内需が弱いので、来年中にすこし上向きにはなっても大躍進とはいかないのではありませんか?



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(読者の声3)或るブログに下記の紹介がありました。
 「(引用開始)
とんでも中国 真実は路地裏にあり 宮崎正弘著
中国事情にとても詳しい著者の最新本です。中国の路地裏紀行を自認する表題とおり、細密な眼で中国を見た記録である。

プロローグから、「偽札発見器が偽物だったりして」という項がでてくる。ワタシも中国、北京のスターバックスで偽札をつかまされた経験があるので、そうなんだよな、と思いながら読んだ。この本によると偽札発見器はレストランでもホテルでも設置されているそうだ。彼らは会社として自分の身を守れるが、ワタシは単なる観光客。携帯の偽札発見器を持ち歩いていないので、レストランは偽札をつかんだら、次は誰に偽札のババを掴ませるかを考える。そこにノーテンキなワタシが「カフェ・ラテ、くださーい」と入ってきたわけだ。日本人をだますなんてチョロイものだろう。

さて、目次です。項目が多くて、よくぞこれほど多くの路地裏を徘徊したものですね。
プロローグ 危険がいっぱいの中国旅行
第1章    表玄関北京から中原へ
         こんな項がある。盧溝橋事件の黒幕は誰だ、通州事件の現場。
第2章    東北三省(旧満州)を往く
         こんな項がある。「アカシアの大連」は今、朝鮮族自治区で経済の変動が起きている、牡丹江に日本の面影なし。
第3章    上海メガロポリス
第4章    華南探訪
第5章    シルクロードへ
第6章    西南逍遥
第7章    チベットの現実
第8章    マカオ、香港、そして深セン
エピローグ  五輪後、中国が目指すのは国民国家?

エピローグの「ナマモノ、半煮えは必ず食当たりする」、第2章の「鴨緑江の向かい側は新義州」も面白い。鴨緑江の警備が少ない理由はこの本を読むとよく理解できる。鴨緑江の流れが早く、泳いで中国と北朝鮮の国境を渡れないそうだ。
 著者は、南京へ行ったら必見の場所を記している。反日記念館だそうである。出口付近には、「過去に反省を深くして謝罪するためにこの記念館を訪れた土井たか子、野中広務らの政治家。海部俊樹、村山富市は現職の首相時代に。……写真パネルが大きく並んでいた」と、ある。
 
中国を旅行すると、もう二度と行くのはヤダ。そんな気持ちになる。数か月もたつと、中国の騒々しい人々が、汚い食堂が、人々が殺到する列車が、なんとも懐かしくなり、行きたくなる。著者の本を持って中国に行こう。
  以上、引用終わり。
  (F子)


(宮崎正弘のコメント)このブログの方が言うように「もう二度と行くのはヤダ。そんな気持ちになる。数か月もたつと、中国の騒々しい人々が、汚い食堂が、人々が殺到する列車が、なんとも懐かしくなり、行きたくなる」というのは言い得て妙です。それこそが中国が持つ、独特で無定見で無責任で、言いようのないデタラメな魅力?
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  • 名無しさん2008/12/26

    台湾情報はよかった。矢張り馬英九政権の実態は私の中台の統一はないというイメージにもあっていた。