国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/12/21


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年) 12月22日(月曜日) 
         通巻第2430号  (12月21日発行)
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 GM、クライスラー。とりあえずの救済は却って徒花になるのでは?
  ブッシュ大統領「無秩序な破綻を懸念する」と記者会見
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 19日ホワイトハウス報道官のダナ・ペリノ女史が「金融危機による倒産からGM、クライスラーを救済するには法的な破綻(会社更生法?)という段階を準備しておく必要がある」と記者会見した。
 これって、衝撃的発言ではないのか?

 つまりGM、クライスラーの破産は時間の問題でしかなく、混乱、無秩序を避けるためには法的な段階を追え、と言っているのだ。無秩序な破綻は困るが、秩序ある破綻なら良いってわけじゃないですか。

 トヨタが上半期、史上空前の二兆円の利益をあげて我が世の春を謳歌して、その僅か半年後に赤字転落。GMが倒産秒読み、大不況はいよいよ本格化する。
 トヨタも朝日新聞も、日本の過去の優良企業はおしなべて百年に一度の危機に直面した。
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(読者の声1)我が国に欠ける最大のものは世界を相対的に見る戦略論がないことだと痛感しています。
貴誌2428号でも取り上げられた中国海軍のソマリア海域への艦船派遣のニュースは、これまで数年にわたって中国が築いてきたインド洋を支配下に置く鎖状の海軍基地建設の集大成の感があります。
海南島の大型潜水艦基地、東沙・南沙諸島、ビルマ・アンダマン諸島、パキスタン・グアダールと、中国が静かに進めてきた鎖状の基地建設はまさにアフリカ・中東に至る中国のシーレーン確保そのものです。
一方で、中央アジアを貫く陸路の確保も同時進行を見れば「太平洋ハワイ以西を分担しましょう」とアメリカに申し出る自信もむべなるかな。
おりから国連安保理がソマリア領海内での海賊退治に実力行使容認を決議したのだから 願ったりの状況で中国海軍が進出を決めたわけです。
日本が憲法解釈の低次元政治にうつつを抜かしている間に、退潮のアメリカに代わって中国が躍り出た。どうやら日本はアメリカ属国から米中共同管理国へと移行していく気配です。
マスコミが報じないから知らないのか、知っていても思考停止の習慣から抜け出せないのか、近い将来どんと現実が明らかになったとき、積もり積もった反中・反米感情がどう動くのか、なんだか日本上空は荒れ模様で心配です。
    (HS生、豊橋)


(宮崎正弘のコメント)田母神前空幕長はこうも言いました。「核を持たない国は、究極的に核保有国の意思に従属することになる」。



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(読者の声2)産経新聞12月20日付けに面白い記事を見つけました。
「緯度 軽度」というコラム欄にある「平壌が恐れる民心動揺」と題する論説ですが、以下のところを読んで笑ってしまいました。
とくに韓国には、民間団体が北朝鮮に飛ばしている金正日非難の宣伝ビラを執拗に非難し、繰り返し中止を要求している。「たかが宣伝ビラで何をいまさら...」と思うが、北朝鮮のこだわりは逆にその影響の大きさを物語っている。
この風船にビラをつけて北朝鮮に飛ばすという活動を始めたのは、日本人のジャーナリスト荻原遼氏です。
荻原氏は『赤旗』平壌特派員を経て外信部長となり、その率直闊達な発言、日本共産党機関紙赤旗とは思えないような記事が党内で批判され、ついに解任され、党からも除名されました。
キム・ウネ氏が大韓航空機爆破事件の容疑者として発表されたとき、日本の他のマスコミが韓国政府の自作自演ではないかと報道を躊躇するなか、いち早く赤旗が報道したのは当時外信部長であった荻原氏が記事にしたのでした。
その後、党内で査問されたそうですが、宮本氏の「(キム・ウネ氏の)あの顔は本当のことをいっている人間の顔だ」の一言でそのときは助かったそうです。
なぜ荻原氏がそう信じたのか。それは、荻原氏が平壌特派員時代モンゴルからの外交団が平城空港に着いたとき、外交団に花束を渡したのが、当時少女であったキム氏であったからです。
取材で空港にいた荻原氏がそのことを記事にし、キム氏の顔を覚えていたのです。当時の新聞記事を探し出し、写真で顔を確認し記事にしたそうです。
後に、荻原氏は自身の共産主義者としての信条には変わりがないが、金正日のおこなっている非人道的な行為は許せないということで、風船にビラをつけて送ることを始めたのです。
北朝鮮の実情、民情を知りぬいたうえで、得意の朝鮮語を駆使して短い文章の中に、北朝鮮国民に最も訴えかける文章を練り込めたのです。そこには、金正日が最も書かれたくないことが書かれています。
「金日成を殺したのは金小日である」。
未だに儒教の影響が強く残っている北朝鮮で、「親殺し」は最も民衆のこころに訴えかけることです。そして、人間は例えどんな小さなことでも本当のことを言われると一番衝撃をうけるというのは、心理学上よくしられたことです。まして親殺しです。
「『たかが宣伝ビラで何をいまさら...』と思うが」というところを読んで、内容を確認もせずにこんなことを書いた筆者の無定見に驚きました。
 荻原氏は、貧窮の中、また何時刺客にやられるかわからない中、自らの信ずるところと、悲惨な生活を送っている北朝鮮の人たちを救うことのため、日夜活動されているのです。鍋をつつきながらマスコミを批判し自分は上等の人間ぶっている似非愛国者は荻原氏の爪の垢でも飲むとよいと思います。
アウシュヴィッツ収容所で囚人生活を送った、フランケル博士が書いているようにどんな信条の人にも、上等の人間も下等な人間もいます。
   (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)日本共産党も、除名組には人材が多い。1962年だったと記憶しますが、志賀義男は「日本の声」を立ち上げました。志賀は徳田球一書記長時代の日本共産党政治局員。
中国をいかに評価するか、路線対立で党を脱退(除名)。そのときの秘書役が長谷川慶太郎氏でした。
 で、その党勢は一貫して衰退してきたのに、突如おきた『蟹工船』ブームに乗って、次の衆議院議員選挙で日本共産党が40議席を回復という、不気味なシミュレーションがあります。



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(読者の声3)貴誌で中国知識人らの「08年憲章」を殆ど論究されないのを不思議に思っていました。
チャイナ・ウォッチャーとして定評のある宮崎さんの沈黙は解せないと思っていたのですが、貴誌2427号の「(読者の声1)中国の民主化要求「08憲章」についても、記事をお願いします」(A生)の質問に対して、「(宮崎正弘のコメント)現段階で論評しない理由は(1)署名人数が多すぎる(2)謀略の臭いが消えない。その貳点からです。第一に中国の多くの知識人が、あの憲章にかかれた概念をほぼ共有していることは事実です。が、これがインターネットを通じて本物の改革に繋がる前につぶされる恐れが高い。
第二に、従って、この憲章がチェコやキルギスやグルジアでおきたようなカラー革命にむすびつくというより、もし権力側が反体制派を根こそぎ逮捕するために仕掛けた罠であるとすれば、戊戌変法のごとき、後味の悪い結果に終わりかねない。89年民主化運動の失敗は学生指導者の未熟さでした。署名した知識人、それをオルグした人々は、勿論、善意の上での行動でしょうが、中国共産党のごとき謀略の天才を相手に戦っているのですから、善意だけの勝負では未熟という批判を免れないのではないか、と懸念するのです」(引用止め)。
納得しました。
やはりそういう背景があるのですね。
  (YU生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)友人のチャイナ・ウォッチャーの何人かにも意見を聞きました。やはり小生同様、なにがしかの胡散臭さの印象。そしてアメリカへ亡命したジャーナリスト、何清蓮女史がいみじくも言ったように「わたしも署名したけど、この政治的効果は疑わしい」のです。
 もうひとつ。
あの憲章は台湾独立を容認していない。憲章は統一を前提にした「中華連邦」が基本です。これでは署名できない知識人が他方で大勢いることも事実です。
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<<<<<<<<<< シンポジウム 予告 >>>>>>>>>>>

 拓殖大学日本文化研究所主催
 シンポジウム
      『昭和維新運動』再考
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  パネリスト(五十音順、敬称略)
  岩田 温  (拓殖大学日本文化研究所客員研究員)
  桶谷秀明  (文藝評論家)
  佐藤 優  (起訴休職中外務事務官)
  藤井厳喜  (政治評論家、拓殖大学日本文化研究所客員教授)
  宮崎正弘  (評論家)
  ロマノ・ヴィルピッタ(京都産業大学教授)
 (司会 井尻千男・拓殖大学日本文化研究所所長)
     ♪
 とき    平成21年1月24日(土曜日) 午後1時―五時
 ところ   ホテル東京ガーデンパレス
 http://www.hotelgp-tokyo.com/
入場無料。予約不要。
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宮崎正弘の新刊予告
 
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫)
        (定価980円<税込み>。12月25日発売!)
 
1ドル=90円を割り、87円をつけた! 迎え撃つ{円高時代}の日本を逆にチャンスと考えてみよう。百年に一度の危機をチャンスと捉え直すと世の中はこんな風に。
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┃好┃評┃発┃売┃中┃!┃
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宮崎正弘の最新刊
 『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
                 (全332ページ、写真多数、定価1680円)
 『北京五輪後、中国はどうなる』 (並木書房、1680円) 
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
 『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
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 http://www.melma.com/backnumber_45206/
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創刊日:2001-08-18  
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  • 名無しさん2008/12/22

    トヨタの凋落は予想通りだと感じています。トヨタが空前の利益を上げる裏に泣くものがいる限り、必ずそうした事態が来ると思っていたからです。

    トヨタ車は全くただ貰っても欲しくない会社です!