国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/12/13


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年) 12月13日(土曜日)
         通巻第2420号  <土曜版スペシャル>
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<< 書評 >>
 
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川口マーン恵美『証言 フルトヴェングラーか カラヤンか』(新潮選書)
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 ベルリン交響楽団の名指揮者・カラヤンの名前は知っているが、フルトベングラーって誰ですか、とおそるおそる川口女史に尋ねた。
西洋音楽に殆ど無知な評者(宮崎)にとって、この本はものの見事に取っつきにくいのだ。
 といっても学生時代はよく名曲喫茶にでかけたが、早稲田名物の「らんぶる」も閉店して数年、レコード喫茶は神田に一つかふたつのこっているくらい。
 ところが本書を読む切っ掛けが出来た。
新保裕司さんの『信時潔』(構想社)をいつか小欄でも論じたことがあるが、信時の作品は三百数十曲。なんと甲子園で慶応高校と某高校が向かい合った試合のとき、両校の校歌がともに信時作曲だった。
信時潔の代表作は「海ゆかば」である。
いつ歌っても感動する崇高な歌である。
 その民族の魂がこもった名曲を作曲したのが信時潔だった。近代では伝統的音楽家に黛敏郎がいるが、じつは意外にも、左翼を気取った武満徹も信時潔の弟子だった。

 本書はカラヤンよりも大先輩にあたるフルトヴェングラーと同時代人で一緒に演奏した人々を著者の川口さんが世界各地に訪ね歩いて突撃インタビューした労作である。ときおり『新潮45』などに分載された。
 インタビューはつっこみが凄く、迫力がある。
 川口さんは小説家でもあるので、描写が細かく叙情を忘れず、現在『MOKU』という雑誌に連載中のエッセイを読むと、稀な名文家でもあることがわかる。
 さてフルトヴェングラーはリハーサルを嫌い、本番で勝負した。対照的にカラヤンは、リハーサルを繰り返し、録音して人工的につなぎ合わせた指揮者だった。その対比が本書を通じて浮かび上がる。




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西尾幹二『三島由紀夫の死と私』(PHP研究所)
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 江藤淳は三島の楯の会を「ごっこ」と揶揄し、事件後は「三島さんには老衰がはやく来たに過ぎない」と放言して小林秀雄からたしなめられた逸話がある。
 江藤淳は、歴史認識を欠いた。だが晩年は西郷隆盛に近づく努力をして田原坂や西南戦争の跡地を訪ね『南州残映』を残した。
 西尾幹二は「三島において『ごっこ』が本領であり、文学のほうが『ごっこ』であり、つまり三島は無頼派の文学者が実生活も放埒であったという一元論を早くから排斥し、午後十一時にはどんなに銀座でのんでいても、きちっと帰宅し、執筆活動を続けた。驚くべき実生活と芸術の乖離の矛盾を生活態度で克服していた。そのライフスタイルで超克していた。
 本書は三島由紀夫に関して、事件後三十八年間沈黙してきた西尾氏が、ようやくにして完成させた三島由紀夫論であり、同時に精神の遍歴を吐露する心理小説風の読み物である。



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 以下の書物を寄贈していただきました。とりあえず列記して御礼を申し上げ、拝読後改めて書評をさせていただきます。(宮崎正弘)

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中西真彦『脱・衆愚国家 日本』(学習研究社)
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石原萌記『続・戦後日本知識人の発言記録』(自由社)
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日本の前途と歴史教育を考える議員の會編『南京の実相』(日新報道)
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吉村克己『満身これ学究』(文藝春秋)
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浜田和幸『大恐慌以後の世界』(光文社)
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中山太郎『実録「憲法改正」「国民投票」への道』(中央公論新社)
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福田恒存『福田恒存評論集5 批評家の手帖』(麗澤大学出版会)
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阿羅健一『日中戦争はドイツが仕組んだ』(小学館)
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(読者の声1) 先日の田母神氏の日本外国特派員協会での講演は見事なものでした。
田岡某のBelow the beltの反則技質問に反日の巣屈と思われる同協会員からブーイングが出たことにうれしい驚きを感じました。
田母神氏が歴史評価には近年明らかになった資料による研究成果を真摯に検討すべきとの持論を展開する中で取り上げたのが『真珠湾の真実』(文芸春秋 2001)。この原著である『Day of Deceit』(The Free Press-A Division of Simon & Schuster Inc. 2000)を買い求めた時の事を思い出しました。
定価US$26(カナダ$38.50)の本が多くの駄本とごっちゃにワゴンに載せられ新刊(古本ではありません)であるにも関わらずわずかカナダ$2.00の売価。すぐさま買い求めました。
定評ある出版社Simon & Schuster Incから出され、公文書から発掘した新資料に基づいた研究書が出版間もないのにこれほどの安売りをされている。局地的な出来事かも知れませんが西欧メンタリティーが露骨に顕れているなと感じたものでした。
 『陰謀史観』だとレッテル貼って思考停止するのは日本の左翼も白人社会も共通です。嫌なものはみたくないのです。白人の連中とたまにする歴史談義。騙されたと思って読んでみてと帰り際に渡すのがこの本。皆あり得る話だ、と言って返しにきます。
 特派員協会員の中でどれだけの人がこの本に眼を通していたか?
田母神氏が逆質問してくれたらおもしろかったでしょう。Venona文書に関する研究も着々と進んでいる由。新資料をベースとした新しい歴史評価に陰謀史観レッテルを貼っていればやり過ごせる時代は、もうすぐ終わるのではないでしょうか?
   (カナダ SW生)


(宮崎正弘のコメント)サイモン社といえば、名門中の老舗出版社ですね。小生も昔、NYへ行くと古本屋さんで多数の書籍を買い込みましたが、サイモン社の本が目立ちましたね。新情報を有り難う御座いました。



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(読者の声2) 最近出た村田良平氏の回想録を手に取りました。下巻の14章が肝だと聞き、まずそこに目を通しました。
なかなか筋の通った主義主張ばかりでした。
氏は、日本は本来孤立していて、将来も孤高の運命を歩まねばならないと述べていました。
他国と交わることが本業の外交官なのによくぞ書いた、なかなかの卓見だと観じ入りました。氏は生来、アメリカを批判的に看ていた由で、本心から嫌がったのに駐米大使にされずいぶんなストレスを味あわされたとあり、これには苦笑しました。仕えた上司や交わった仕事仲間を個々具体的に評していました。
竹下、安倍晋太郎、大平、宇野、岡崎久彦、椎名素夫各氏を正当に評価していました。
一方、三木、海部、宮澤、村山、河野洋平、小泉、川口順子、栗山、田中均らをかなり批判し、手酷く非難していて痛快でした。
マッカーサー、ホイットニー(ドイツ系)、ケーディス(ユダヤ系)らのGHQに押し付けられた現憲法、身勝手な米国、日本政府の対米へり下り外交をしっかり批判していました。
村田氏のGHQへの罵詈雑言に等しい書き付けは怨念のように凄まじく、マッカーサーを自己顕示欲、唯我独尊、、ええ恰好しいの性格異常者と断じていて実に爽快至極でした。 
ロシアをG7のオブザーバーにしたクリントン、G8の正式メンバーにしたブッシュを貶しているのは的確でした。
終戦時満州、樺太、千島に暮らしていた多数の日本人を惨殺、拷殺、凌辱、蹂躙し、私有物を略奪し、日本の国有資産を強奪したソ連。民主化の衣をまとって再び専制化してきたプーチンのロシアを手厳しく糾弾していて納得、頓首百遍でした。
中国については宮崎さんを含め批判的な書を十冊以上読み込んだと述べ「進歩のない国」と評していました。天安門で虐殺事件のあった1989年6月3日は宇野政権組閣の日だったとあり、あっ、そうだったのかと思いました。
外務省には「悪のサンタ(赤帽のサンタクロースではなく苗字に”田”の付く”三”人の害務官僚)」以外にまともな村”田”さんもいたことを知りましたが、お一人だけでは如何ともし難いことです。
田母神氏のように現役でこのような言論活動をしていたらさぞや衆目を集めたことでしょう。
村田良平氏のような全うで、より果敢な外交官が日本国に陸続と顕れてほしいものです。今宵の顯証なる極大の満月のように。
    (しなの六文銭)


(宮崎正弘のコメント)じつは当該書を村田氏から頂いているのですが浩瀚なので、未読です。正月休みに必ず読みます。
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((((( 編集後記 )))))●というわけで(いったいどういうわけで?)、駆け足取材行の台北では例によって毎晩、晩餐のあとに宴会。一夕は産経と東京新聞の台北支局長も交え、さらに台湾在住の旅行作家・片倉桂史氏らと名物雲南料理レストランへ繰り出したのです。ここへ『老台北』こと、蔡昆燦さんが加わって騒然とした環境のなかでの酒盛りになりました。蔡先生、意外とお元気でした。関係者各位、ご安心下さい。電話をした朝に「偶然だなぁ、昨日眠れなくて読んだ論文が宮崎さんの『正論』だった」。本気にとるべきか、どうか。つねに蔡先生は、そういう台詞を駆使するユーモア連発のひとでもありますので。●先週、出国前も木曜夜はオークラで来日中だった池東旭氏と。翌日は新宿で黄文雄先生の恒例の忘年会。知り合いの編集者が多いなか、中国学の権威、岡田邦彦先生、ワックの鈴木社長、拓殖大学の井尻千男教授らの顔もありました。それから同席していた高山正之氏らと、珍しや、ゴールデン街へ出かけたのでした。●月曜は台湾にいたため小生、欠席となりましたが、恒例『自由』の忘年会には百名前後もあつまって会場が満員になった由でした。●さらにまだあるのです。昨夜は来日中の川口マーン恵美さんを囲んで、小規模に、しかし家庭的に「新刊」(上記)を祝う会。牛込のイタリア料亭で三十名近くが集いました。ピアニストでもあり、小説家でもある川口さんですが、ピアノがないためにせっかくの集まりに彼女の弾き語りを聴けず。残念と思ったことでした。あ、そうそう。川口女史は和服でした。親友の宮脇淳子さんや花田紀凱、元木昌彦・両名物編集長、評論家の高山正之、西尾幹二、植田剛彦、水島総の各氏も駆けつけました。司会は小生。ほかにも想像できる、『想定内』の出席者の紹介は敢えて措きますが、「想定外」の出席は田中健五元文春社長でした。
●トこう書いてくると、まるで毎晩飲んでいるかのような錯覚がありますが、日夜、原稿を書いております。新年号の原稿、ようやく最後の一本を仕上げたところです。
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宮崎正弘の新刊予告
  一トル=90円を割り込む未曾有の事態!
『やはり、ドルは暴落する! 世界と日本はこうなる』(ワック文庫)
(予価933円。12月26日発売予定!)


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┃好┃評┃発┃売┃中┃!┃
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宮崎正弘の最新刊
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  • 名無しさん2008/12/13

    しなの六文銭さんの読書評に誘われます。