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 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:12/7


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年) 12月7日(日曜日) 
        通巻第2416号
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 新型「民工潮」は都会から地方へ逆流。すでに数百万人の環流流民
   中国経済、いよいよ未曾有の大破綻、それも唐突に超弩級に
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 ▲この異常な帰郷ラッシュの群れ

 先々月、上海から南京を長距離バスで往復した。
午前七時に上海駅北口の長距離バスターミナルで、チケット売り場に並んで、ようやく購入できたチケットは二時間後の九時半出発。つまり三十分ごとにある定期バスがずっと先まで満員なのだ。
 
帰路、南京からは早朝からチケット売り場に長い長い列。咄嗟の判断で、臨時便のチケットをダフ屋から買った。それでも午前7時にターミナルへ行って、乗ったのは八時半、上海着は午後一時過ぎとなった。
 オフシーズンなのに、この異常事態は何事か、訝しんだ。

 珠江デルタの生産基地(「世界の工場」と言われた)で工場閉鎖が相次ぎ、有名な玩具工場では倒産と給料未払いに激怒した工員ら二千人が、ロックアウトされた会社へなだれ込み、コンピュータをたたき壊し、駆けつけてきたパトカーを横転させて燃やした。

広東省では上半期だけで六万二千社が倒産し、台湾企業経営者は夜逃げ、香港系は逃げても追いかけてくるので米国へトンズラ。繊維、玩具、雑貨産業はとうにベトナムへ工場を移転させた。

 中国の「人力資源・社会保証部」の伊セキ民・部長の推計では、江西省から各地への出稼ぎは680万人、このうち30万余がすでに江西省に帰省した(江西省は上海や浙江省への出稼ぎの拠点)。
湖北省には過去二ヶ月だけで、都会で失業した30万余が帰国した。湖北省の省都・武漢市当局の予測では最終的に80万人の労働者が、いずれ近いうちに湖北省に帰郷するだろう、としている。

 中国の農民は8億人前後である。
都会への出稼ぎは1億3000万人と見積もられるが、このうち8000万人が帰省した場合、勿論、彼らには田畑がないから、事実上のルンペンとなる。

 「もっか、安定社会を最大級に脅かしているのは、この民工の逆流現象である。かれらの最就労機会を地方政府が促進しない限り、安定社会は維持できない」(孟建柱・国家公安部長)


▲世界金融危機が中国を直撃している

 上海郊外の工場地帯から広東一円にかけて閉鎖、企業倒産のあおりを受けて暴動が頻発、この激しい労働者の怒りの隊列は北京市内でも見られるようになった。北京五輪から僅か三ヶ月で、この惨状である。

 第一に世界金融危機が直接もたらした悪影響だ。
アメリカの購買力減退や毒入り食品、玩具などで輸出が激減したことに加えて、NYの銀行が麻痺し、資金不足のためLC(銀行信用状)を開設出来なくなったからだ。
12月4日からの米中戦略的経済対話で、ポールソン財務長官と王岐山副首相との間の合意とは、お互いに信用枠をLCに替えて新たに政府が設定し、この危機を逃れようとするもので、米側が120億ドル、中国側が80億ドルの上限を設定したほどだ。

 第二は中国が制定した新雇用法(労働合同法)に関係する。
十年以上のベテラン社員には終身雇用待遇を義務づけたほか福利厚生の強化が謳われた。その結果、企業はベテラン社員の首切りを始めたのだ。
 「アジア製靴連盟」の推計では、同法施行直後から毎月5,6000メーカーが操業短縮、工場閉鎖。零細企業六万社がビジネスをやめたという。
 「香港製造商業連盟」に拠れば、新法制定以来、工場の製造コストが15%程度はねあがり、このまま福祉や休暇増大、そのうえ賃上げを認めれば、とても製造業は立ちゆかないとの結論に達したという。

 第三に社会を覆う不穏な空気だ。
 REIT(住宅投資信託)のインチキ商法や原野商法に引っかけって投資家らの「金返せ運動」が各地で暴動を引き起こしたのは既に日本のマスコミも報じた。
 新型の一例がタクシーの連続的ストライキである。とくに新興都市のタクシーは農家出身者で高利貸しや親方から資金を借りての深夜営業組が多く、そこへやくざが絡む「白タク」が当局と警察に賄賂をおくって不法な営業を始めるから揉めるのだ。


 ▲タクシーのストライキが地方都市の交通を麻痺

 タクシー・ストの端緒となったのは重慶市で、白タクの存在に抗議した正式のタクシー乗組員が8000台のタクシーを動かさなくなったため、交通が麻痺状態に陥った。
この動きは海南島の三亜市に飛び火し、次に湖北省刑州、甘粛省蘭州、広西省北海、福建省甫田、広東省潮州、仙頭、東莞、茂名など合計十五都市にまたたくまに広がった。
 これらの地域はやくざが多い場所としても知られる。

 第三は農地法改正である。
 或る農民によれば「農地へ課税させるんが毎年3500人民元もあっぺ。これで家族五人は食べられないべ。だから月給800元でも、都会へ出稼ぎに出んだべ」と語っている(台湾の有力紙『自由時報』、12月3日付け)。

 農薬と肥料付けの中国農業は金融の問題がきわめて不透明、くわえて農地の所有権や転売規制の緩和などがあって、畢竟するに農民が裨益せず、利権を独占するマフィア、地方幹部の暗躍が、法改正をむしろ法改悪へと結果させている。

 ひとしきり「二月危機」が懸念されるけれど、二月の旧正月を待たずして、中国経済は未曾有の混沌に陥るだろう。
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(休刊のおしらせ)小誌は12月8日―11日、台湾取材のため休刊となります。
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(読者の声1)何時もアメリカは中国を見る目で狂うのです。日本人も同じ様なものですが、何回失敗すれば中国が見えるのか?不思議で仕方が有りません。
戦前も戦後もメクラ(何でも不適切語と言うらしいのですが)のマスコミに踊らされる政治家・経済人・加担する外交には呆れはてます。
    (X生)
 

(宮崎正弘のコメント)おっしゃる通りアメリカの外交は大概が失敗の連続です。中国ばかりではなく対露西亜、中東、イスラエル政策もおかしい、完全な誤謬は対台湾政策でしょう。
180度の転換を何回もやりながらテンとして恥じない。
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(緊急講演会のおしらせ)12月25日午後六時半。日比谷にて、田母神前空幕長をお招きしての緊急講演会を催します。詳しくは下欄を。日程を是非お空け下さい。
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 12月25日に田母神前空幕長を招いて緊急講演会
   「日本は侵略国家だったことは一度もない」
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 爆弾発言とマスコミが命名し国会喚問も行われながら、その訴えの本質をなに一つ論議されなかった田母神論文。
国防の本質とは何か? 我々は何を何から守るべきなのか。
本人からすべてを聴きましょう。
 いわば三島事件のごとき、静かな精神的クーデタを言えるかも知れないのです。
 
           記
 とき         12月25日(木曜日) 午後六時半
 ところ        内幸町ホール
            http://www.uchisaiwai-hall.jp/data/koutsu.html
 会場分担金      おひとり2000円、学生1000円
 主催         国防研究会
 後援         三島由紀夫研究会
どなたでも予約なく、ご自由に参加できます
              ◎
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 (三島由紀夫研究会よりご連絡)

第四回 三浦重周氏を偲ぶ會「早雪忌」。
厳粛に静粛に心和む會となりました。
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 「三島由紀夫研究会」前事務局長、重遠社代表だった三浦重周さんの四回忌が、12月6日、九段会館において厳粛に行われました。
三浦さんは平成十七年十二月十日、新潟の岸壁で壮絶な割腹自決を遂げました。直後の追悼会は全国から三百名以上の同士が駆けつけ会場は花で埋まりました。
爾後、毎年命日の前に開催されてきました。
 演壇のバックには看板のしたに重遠社の旗、脇に日本学生同盟旗が飾られました。
式台には遺影、好きだった日本酒とタバコのピース、二冊の遺稿集、憂国忌のDVDなどが捧げられました。
 会は参加者ひとりひとりが菊花で献花を行い、司会を後藤晋一郎が、主催者を代表して宮崎正弘が開会の挨拶、ここで故人の実兄からの手紙が朗読され、政治学者藤井厳喜教授からのメッセージも披露されました。
 献杯の儀を片瀬裕(近代史家)が、来賓挨拶には『中山成彬はなぜ日教組と戦うのか』を上梓されたばかりの伊藤玲子・元鎌倉市議と鈴木邦夫(一水会顧問)がマイクを持ち、このあと参加者それぞれが三浦氏の回想や、決意表明などを行いました。
 歴代委員長だった斉藤英俊、山本之聞、玉川博巳、阿曽白志、高柳光明の各氏ら三十名ほどがマイクを持ちました。また名古屋や神戸から駆けつけた元メンバーの顔もあり、しばし会場は懐旧談に花が咲きました。
 途中、川内康範作詞の日本学生同盟の同盟歌♪「風が吹くなら吹くが良い」をコンピュータで再現した音が披露され、最後に全員で「海ゆかば」を合唱し、閉会の辞を井上正義が行って散会しました。
厳粛に静粛に、そして心和む集いとなりました。
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(休刊のおしらせ)小誌は12月8日―11日、台湾取材のため休刊となります。
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宮崎正弘の新刊予告
『やはり、ドルは暴落する! 世界と日本はこうなる』(ワック文庫)
(予価933円。12月26日発売予定!)

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┃好┃評┃発┃売┃中┃!┃
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宮崎正弘の最新刊
 『中国がたくらむ台湾沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
               (全332ページ、写真多数、定価1680円)
 『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
 『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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 http://www.melma.com/backnumber_45206/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2008 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
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  1. 中国の現状、恐いですね。中国の過去の歴史を思い出して、反政府デモ→自民蜂起!になりはしないか?なんて考えてしまいました。

     2008/12/9

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宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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