国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/12/03


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年) 12月3日(水曜日) 
        通巻第2412号
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 米中戦略的経済対話の開始直前、人民元の下落がはじまった
  ポールソン以後の米国の対中経済政策を率いるのは、いったい誰?
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 親中派ポールソン財務長官がブッシュ政権の閣僚を引き連れて、五回目の米中戦略的経済対話のため、北京へ飛ぶ。
 財務長官として夥しい訪中記録、その前、ゴールドマンサックス会長時代は70回の訪中。中国を知り尽くしていると自らを規定するポールソンだが、任期満了まであと50日。大衆経済政策の総仕上げである。

 議題はエネルギー、環境問題のほか、当然ながら金融危機について。
 しかし米国連邦議会にあがる対中批判の嵐、とりわけ中国の輸出振興のための人工的な為替操作による人民元安。これがつづくと米国では労組をバックとする民主党政権となるがゆえに保護貿易主義に傾かざるを得ない。
 ポールソンは、それを一番懸念しているという(ヘラルド・トリビューン、12月3日付け)。

 中国の対米輸出は激減の最中とはいえ、十月は352億ドルの黒字を記録した。
とくに輸出後に中国は税関還付を輸出業者に措置しているため、産業構造そのものが輸出偏重といういびつな体制になっている。

 そのうえ、米国の失業が今後、8−9%に増大すれば、人民元の20%切り上げ要求が議会からあがってくるのも当然だろう。

 次期財務長官に指名されたティモシー・ガイトナーNY連銀総裁は、外交官として日本勤務歴もあり、いやそれよりも中国へ留学経験があり、ポールソンの片言とちがって中国語を流ちょうに操れる。そして財務次官歴任者だから、適任といえば適任である。
 
だが、オバマ次期政権は閣僚の主要人事だけは発表したものの、明確な対中政策「チェンジ」の具体的な代案をいまだに見いだせないままである。
 その間隙をつくかのように人民元は過去貳年間ではじめて下落傾向を示している。
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(読者の声1)貴見に「日本外交にとって最大のポテンシャル・エネミーの登場、逆説的に言えばヒラリーの対日スタンスの乱気流によって日米間に緊張感が走り、みながワシントンと北京の薄汚い関係に注目することになる機会ともなるだろう」
とありました。
貴見に共感。日本のメデイアは沈黙。不思議でなりません。
 もひとつ。貴見に「1日のウォール街はヒラリー・クリントン国務長官と聞いて失望、700ドルの暴落で答えた(ダウ工業平均の速報値は、679ドル95セント安の8149ドル9セント)」。
さすが市場は正直な反応ですね。
 これで、チェンジの実態が徐々に明らかになっています。実際に新大統領が就任式を終えてから、後ろ向きの政策しか出てこないのでは?
(SJ生)

 
(宮崎正弘のコメント)当選した途端、チェンジはUNCHANGEになっちゃった。そうしないと総体維持が政治的に難しいのでしょうね。アメリカは!
いま、「やっぱり、ヒラリーのアメリカ」という論文を書いています。『月刊日本』12月22日発売分に。



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(読者の声2)雑誌『WiLL』の最新号では「田母神論文,どこが悪い!」と題して大特集が組まれてゐます。
その中で京大の中西教授や電通大名誉教授の西尾幹二氏が田母神論文を全面的に支持し,狂ったやうに田母神叩きに狂奔するマスコミや慌てふためいて臭いものに蓋をしようとする政治家たちの暴走や醜態を痛烈に批判してゐる。
中西教授や西尾氏の論は単に田母神氏を支持してゐるだけでなく,むしろ田母神氏より過激であるとすら言へる。
しかしマスコミも政治家もお二人を含も論者に対して何の批判もせず,ひたすら無視してゐる.少なくとも朝日新聞は田母神論文の中身を問題にし,「こんな歪んだ考えの持ち主が自衛隊のトップにいたとは.驚きあきれ心胆が寒くなるような事件である」と書いてゐるのであるから,日本を代表する国立大学の教授がそれ以上の”歪んだ”考への持ち主であるばかりか,頻繁にあちこちの雑誌にその所論を発表してゐることに対し,なぜぞっとしたり驚きあきれたりしないのか.なぜ「即刻罷免せよ」と言はないのか.全く理屈が通らない。
おそらく朝日新聞などはこれらの論者を排除したい気持ちは強いであらう。
それをしないのは彼らの策略にすぎない.論文や発言故に大学教授辞めさせようとすれば,それは戦前に何度か起きた筆禍事件と同じことになり,言論弾圧に他ならないことを彼らも気がついてゐることがひとつあらう.と言って堂々と論争で打ち負かす思想も心意気も彼らにはない.ひたすら寝技を仕掛けたり,中傷やデマで引きずり下すことしかできないからである。
またうっかり論争などしかけて世間の注目を浴びたら自分たちが不利だ,と知ってゐるからである.となれば,うるさく,目障りであるけれど所詮大した影響力のない連中は無視するに限る,と言ふことになる。
そして残念ながら朝日新聞やその他マスコミの作戦は成功してゐる.と言ふのも,これら論者の主張も義憤も保守論壇の狭い殻に閉ぢ込められ,一般国民に,ましてや世界には傳はらないからである.
今回の件も田母神氏と言ふ自衛隊トップと言ふ特異な地位の人の言説であったからそれなりにインパクトがあった.大学教授程度(?)ではあまり効果はないし,おそらく”都知事”でも大したことはあるまい。
それは靖国参拝問題における当時の石原知事と小泉首相に対するマスコミの注目度の違ひからもわかる。
石原氏が8月15日に参拝しても新聞はベタ記事でしか傳へず,一方小泉首相の動静は事細かに傳へ,批判の嵐であった.やはり歴史認識問題は時の首相が誠意を持って向き合ひ,自分の全人格と生命をかける覚悟であたらねば解決しないであらう.それを麻生首相に期待するのはないものねだりであらうが.
(NN生,横浜市)


(宮崎正弘のコメント)知的破産人は、他者に不寛容で、虐める対象だけを虐め、虐めたら反撃されそうなタカ派には触らないんですね。
 「永田町の不動産屋」こと=オザワの不動産増殖疑惑は、政党助成金を巧妙に駆使しての、いわば詐欺まがいでしょ。なぜ起訴出来ないのでしょうね。新聞が騒がないからでしょ。朝日新聞は国有地払い下げのスキャンダルを自ら一度でも書いたことあるんでしょうかね。



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(読者の声3)友人が貸してくれた石平氏の『中国大虐殺史』を先頃読ませていただきましたが、本当にあんなに虐殺したのですか?
あまりの凄まじい内容と殺された人数の膨大さに、途中で気分が悪くなってたのは勿論でしたが、信じられないほどの数に、驚きを通り越して、逆に主人は「嘘じゃないか!?」と言い出す始末。
以前、ユン、チアン著『マオ』を読後・・・「このような事をした人がお札に?〇〇より何倍も悪い事してる人が?・・信じられない。」
石平先生が古典、書物等でお調べになられた本当の事なのですよね?・・・あれから中国の古典の見方が全く変わってしまい、どうしてもその事が頭を過ぎるようになりました。
中国とは古代からそういう国なのですか?
    (KY子)


(宮崎正弘のコメント)革命は、前の王朝を皆殺しにします。これが「光」です。
権力を握ると刃向かう者を皆殺しにします。毛沢東も蒋介石もおなじ歴代皇帝同様に敵対者を悉く葬りました。周恩来はそれが怖くて毛沢東の茶坊主に徹しました。
 日本は敵も味方も死ねば一緒にまつります。
 會津には西軍墓地と東軍墓地があります。『官軍』といわず『西軍』と言うところは味噌ですが。。。毛利家の菩提寺には大内と陶を弔っています。墓誌に驚くなかれ、こうありました。
「散る人も散らさる人も皆同じ」。
ですから日本人には中国人の虐殺を理解できない。中国人は日本人も同じと思って南京大虐殺があったなどと言っているに過ぎず、つまりはお互いに相互理解が出来るわけはないのです。
 
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(樋泉克夫のコラム)


「君はこちらでよくも四十数年も頑張ってきたな」
      『豚と対話ができたころ』(楊威理 岩波現代ライブラリー 1994年)


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 「一九二五年、台北近郊の古い町・台湾のナポリと呼ばれる淡水に生まれた」著者は、「学問は日本でしっかり身に付けよ、将来は中国大陸に戻って大政治家になれ」との父親の期待を一身に背負い、仙台の東北帝国大学医学部へ。
在学中に日本は敗戦。「祖国再建の熱情に駆られ」、1946年には台湾経由で中国大陸に渡り北京大学に入学し経済学を学ぶ。
「中国で搾取のない社会を造り得るのは、この党よりほかにない」と固く信じ、共産党に入党。24歳で党中央委員会直属の中央編訳局図書館長に就任。以来、64歳の退職まで「万年館長」を続けた共産党政権下での40年余の痛恨、悔恨、諧謔の日々を、赤裸々に語りだす。

 著者が「この党よりほかにない」と思い込んだ「中国共産党統治下の社会では、・・・あらゆる政治事件に自己の態度を表明することが強制される。もちろん、その態度は共産党中央の態度と一致するようにと、有形無形の圧力がかかってくる。不一致の態度をとれば、不都合なことがやってくる。その典型的な例が文革であろう」。

10数年間も館長に留められたたまま鬱々と日を送り中央編訳局の「上司を恨み、同僚を妬んでいた」彼は「復讐の念に燃え」、文革を報復の好機と捉えて過激に造反活動を展開し、ほどなく「編訳局の文革の指導者となる」。
だが、69年2月に古参幹部が文革を批判した頃から彼の立場は激変する。「『革命幹部』から『人民の敵』になっ」てしまう。
そこで「北京の南、遥か千三百キロの寒村」に送られ幹部学校という名の「国家公務員の矯正労働の場所」に放り込まれた。71年からの2年間、彼は50頭ほどの豚の飼育係りを強制される。
やがて豚の「言わんとすることが分かるようにな」り「豚どもとの対話」がはじまった。

この本で興味深いのは文革中の闘争の凄まじさについての記述もさることながら、やはり農村の姿だろう。
63年の段階で早くも「農村の幹部は悪辣を極め、汚職、窃盗、蓄妾などは朝飯前のこと、投機買占めが流行し、高利貸しが流行り、一口でいえば、農村は生き地獄そのものであった」。

そして改革・開放後の農村は「一口で言えば、県長、郡長、町長、村長と、既に一つの搾取系列ができており、この系列がまた省の中枢と北京の中央に繋がっている」。
文革を経ても改革・開放されても、農村の支配構造は牢固として変わらない。
 文革も終わり元の職場に戻るが、「人民と甘苦をともにする考えなんぞ、高官の頭の中にはもう微塵もなく」、「ロボットより低脳なる人間」にならなければ生きられない社会に疲れ果て嫌気が募るばかり。

1988年の秋に訪中した日本の友人は、「こんなに魅力ある中国、こんなにつまらない日本。君はなんで悩んでいるのだい?」。
そこで、「一週間ぐらい名所旧跡を見るのはいいがね。三週間でいいから住んでごらん」と答える。
「その翌年、天安門事件の最中に一高出身の台湾の友人が訪中し、三週間滞在した。彼曰く『君はこちらでよくも四十数年も頑張ってきたな!大陸に来てびっくりした。全くなっちょらん。窒息しちまうよ。君は台湾に帰るか、日本に行ったほうがよい』と」。

やがて日本時代の「老朋友」らの助力で日本へ。数10年ぶりに戻った台湾で彼は「日本の政治家は中国に恐れをなして、台湾訪問をはばかっている。欧米諸国、東南アジアの高官は堂々と台湾をおとずれているのに、である。
日本が台湾問題でバスに乗り遅れる可能性は十分に存在する」と難詰する。日本よ日本人よ「全くなっちょらん」
著者の呟きが聞こえてくるようだ。
《QED》

(ひいずみかつお氏は愛知県立大学教授。華僑、京劇の研究では第一人者)。
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(サイト情報)オバマ次期米大統領は、12月1日シカゴで記者会見を開き来年1月の政権発足に向けて外交・安全保障担当の閣僚人事を発表。国務長官にヒラリー・クリントン上院議員、国防長官にロバート・ゲーツ現長官、安全保障担当の大統領補佐官には北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍のジェームズ・ジョーンズ元最高司令官を起用。
(1)オバマ次期大統領の発表 
 http://change.gov/newsroom/entry/the_national_security_team/ 
(2)米国務省国際情報プログラム局の解説記事 
 http://www.america.gov/st/elections08-english/2008/December/20081201143005esnamfuak0.172619.html?CP.rss=true 
(3)オバマ次期米大統領政権移行プロジェクト プレスルーム 
 http://change.gov/newsroom/press/ 
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宮崎正弘の新刊予告
『やはり、ドルは暴落する! 世界と日本はこうなる』(ワック文庫)
(予価933円。12月26日発売予定!)

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┃好┃評┃発┃売┃中┃!┃
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宮崎正弘の最新刊
 『中国がたくらむ台湾沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
               (全332ページ、写真多数、定価1680円)
 『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
 『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
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  • 名無しさん2008/12/03

    アメリカ・中国に振り回されるのでなく日本がどうするのかを考えてほしいです。今日の「国連の核廃止」の音頭を日本が取るのですから堪りません、「沈黙」すべき。そして日本は「唯一の核被害国」である事のみを「主張」して置けば良いと思うのです。「二度と許さない日本は(棄権)」とする度胸もないのですね。

    田母神論文打ち消しに「岡本某」なる珍奇な男を遊説に行かす外務省の神経では無理なのでしょう。