国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/11/28


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成20年(2008年) 11月29日(土曜日) 
       通巻第2405号  (11月28日発行)
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 国民党、急激な不人気に党内バランスを均衡させ、副主席8人体制へ
    それでも経済運営は難しく、野党の攻勢にタジタジ
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 中国国民党は孫文が創設し、蒋介石が引き継いだ。
独裁強権政治で戒厳令を敷いて台湾を治めたが、民主化以後、野党に転落し、ようやく2008年3月の総統選で政権の座に返り咲いた。

そこまでは良かったが、権力回復後も党勢の伸び悩み、党内不統一、リーダーシップの欠如。
というより国民党のなかは各派閥の同床異夢、呉越同舟の状態である。

強い党指導者の不在で、あの国民党、じつは内情ばらばらなのである。
第一に資金面を長老達と組んでまだ牛耳っているのは連戦名誉主席だ。かれの周りには中華思想を奉じる蒋介石残党や高級軍人OBが固め、尊大ぶって権限を呉伯雄主席に全面譲渡しない。連戦は過去の政治家というイメージを別にして、APEC特別代表に馬総統から指名されるや(というより自分から売り込んだらしいが)、いそいそとチリへでかけ、そこで胡錦涛と会談した。
 
 第二は政治的動機が曖昧化している事実である。
呉伯雄・国民党主席は本省人であり、実兄はかつて国民党独裁時代に残酷な方法で虐殺された。その呉が国民党を主導するのも奇妙な話だが、国会を牛耳る王金平(国会議長)も本省人であり、いわば執権党の利権にすりよっている連中である。

 第三に実務派が不在で、党主席であるべき馬英九総統がそもそも金銭スキャンダルで党首を辞任したあたりから国民党組織はがたがたしているのだ。

 党勢を挽回しようと国民党は11月22日に台北の国父記念館で臨時党大会を急遽開催し、「副主席」を8人体制とした。
「ん?」。要するに団結をジェスチャーで内外に示す必要があり、実力者を各派から配置しただけにすぎない。
 副主席にあらたに選ばれたのは蒋考厳(蒋介石庶流)、朱立倫(桃園県知事)、黄敬惠(嘉義市長)、曽永権(国会副議長)、呉敦義(党秘書長)ら。とくに朱立倫は、四年後の馬英九の最大のライバルとなると言われるため注目だろう。

 この臨時党大会は孫文の銅像に花束を馬英九が捧げて参加者全員で敬礼し、大同団結を謳った。スローガンは「同船共済、戦勝逆境」。当面する経済的難題のために党をあげて前進しようというもの。

 嘗ての国民党は「党政合一、権力一元」による強い政治を発揮した。
いまの党は執行部の指導力が希薄で、各派のバランス均衡、高層部は行政能力不足、形式重視という矛盾を含んでいる。


 ▲台湾の主権は行方不明ではないか

 他方、陳水扁前総統の逮捕から距離をおく最大野党民進党は台湾独立派などの諸団体と共闘態勢を強化しつつ、連日のように政府批判の集会を各地で開催している。
 とくに民進党が主張しているのは「台湾の主権流失」と「人権」意識の希釈化、デモクラシーの大幅な後退、強権政治は戒厳令下と同じではないか、黒金(やくざ、選挙買収など)政治の復活であるとして、北京に急傾斜する馬政権をつよく批判してきた。
 雑誌『遠見』の世論調査は、支持率僅か28%でしかなかった。

 著しい譲歩を北京に繰り返して、台湾国民の尊厳を踏みにじり、台湾の主権を主張せず、ひたすら北京とのビジネス拡大だけが台湾の国益と勘違いする馬英九政権は、結局、台湾を北京に売り渡す先魁を演じているだけではないのか、とする不安が、経済の失速、失業の増大、株価急落という台湾の暗い状況の中で拡大しているからだ。
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(読者の声1)国籍法案が突如、改正されそうです。この法案の危険性も全く知らない国民が多いのは心配です。
友人も言うのですが、「こんな大変な法案について、何故どこも報道しないの!もっと皆に知らせて協力したいのに、こうして地下組織みたいにこそこそと。なんで堂々と言えないの!」
 先生のメールマガジンの配信の中で普通にお話している内容が、主婦の会話で話す時には躊躇する内容なのです。
 誰にでも話せる訳ではないのです(ある程度日本がどのような状態であるか理解できていて、同じ保守的思想である人、戦後の自虐史的歴史観が変だと理解している人)。
どっぷり左翼的マスコミの中に浸かっている平均的主婦の方々の前で話しますと、
「政治活動をしているの?・・・変な事を言い出す人?・・・過激!自衛隊?危険です!!憲法改正?とんでもない!平和第一!戦争はいけません!」
「話せば世界はわかってくれるはず、対話が必要です。近隣諸国とは過去についてきちんと謝罪し、未来に向けて仲良く共存すべきです。」。

 まだまだこんな感じが一般的なのです。ここ数年で多少は、マスコミってちょっとヘン? と感じ始めても、まだまだ。特にテレビの影響力は大なのです。
有名女優や好感度タレントの微笑みの影響力は。これって大変な事です。
 衆愚政治とはこういう事?(扇動されている事に気付かない)
 ただ少しづつ少しづつ、変わってくる方が増えている事も感じています。しばらく前は私一人が言っても変わらない、と半ば諦めていた時期もありましたが、友人が「少しづつでも言うべき、少しづつ分かって下さる人が増えるように、黙ってないで言うべきよ、そうしないと日本は大変な事になる!」と言われ、変な人と思われようと、少しづつですが、私なりの考え方を言うようになりました。
 日本人がこの今の状態が大変!危険な事がいくつもある、事に気付き、正しい方向へ動いてくれるなら安心なのですが。
   (YK生、愛知)


(宮崎正弘のコメント)最近、保守系の集会やパーティへ伺うと女性パワーの凄まじさが伝わります。女性が男性を引っ張っている団体もありますね。



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(読者の声2)貴誌2404号(読者の声2)でのW氏の「日本はオバマ政権の誕生に伴い、従来の非核3原則を発展させた非戦3原則を、この際、打ち出すべきではないか」というご提案は、まさに熱誠あふれる獅子吼です。
さらに現実に結果を生むにはどうすれば効果があるかという観点から、追加させてください。
「非戦3原則
1、戦争行為をしない。
2、戦争をする国に、いかなる援助も行わない。
3、不当な戦争を仕掛けられた時、あるいは、仕掛けられると確信される時、正当防衛に限って、反撃としての戦争行為は許される。(防衛戦争の正当性)」とありますが、国際法上、自衛のためか否かは、軍事行動を起こした国の自己判断(autointerpretation) とされています。
すると自衛目的以外の戦争を行なう国はなくなってしまいます。
この国際法の盲点を解決するための方策は既にいくつか試されており、W氏が言われた「国連が承認する限りにおいてのみ許される」というのもひとつの案です。
では国連のどの機関が判断するのでしょうか。安全保障理事会も総会も役目を果たしてきませんでした。
新たに自衛かどうかの判定をするために委員会ないし理事会を創る場合、どの国から委員を出すかが問題です。まっとうな理事会を創るなら侵攻や戦争を起こすことから無縁の日本、ブータン、サンマリノ、コスタリカ、パラオなどが理事国となるのでしょうが、実現の可能性は極端に低いと考えます。
国を代表した理事会ではなく、世界中から賢人を集めたらよいかも知れませんが、賢人の選考はさらに難しいと思います。
それよりも非戦宣言が有効となる環境を創り出す努力が緊要と考えます。
現在、非戦をどこかの国に代表が宣言すれば、その国の外交上の発言権は雲散霧消します。
これが現在の世界の「人類普遍の原理」です。
これを非戦宣言をなし、それを裏付ける国には一切侵攻できない。そのような国に他の国が軍事行動を起こせば、世界中で非難ごうごうとなるという状況が出来上がることが、まず第一歩です。
そのためには、政治家が賢人・聖人ばかりになるなどという夢のようなことは必要はありません。マスコミがまともになるだけでも、健全なミニコミが育つだけでも効果があります。この点で人類は現在非常に低い状態にあります。百点満点で2点くらいでしょう。2点とはひどすぎる思われる向きもあるかもしれませんが、事実です。
証拠があります。
憲法で非戦を宣言し、それを実現するための立法処置を行い、PKOに参加した警察官すら丸腰で送る国が、北方領土、竹島、尖閣諸島に侵攻されても、国際世論からは何の抗議も起きませんでした。これが現在の人類を支配している普遍の原理である以上、非戦宣言は無効果どころか逆効果です。
まずこの点を変革するための行動が第一歩です。W氏の書かれたものもその一歩です。
また第一次湾岸戦争のとき、武器輸出三原則の制約で日本から防毒マスクを中近東に在留していた邦人におくることができませんでした。こういった、概括的かつ一方的な宣言は効果に乏しいだけでなく行動を束縛し、思わぬ障害を生む危険性があることを肝に銘ずべきでしょう。
上記第一次湾岸戦争の時の防毒マスクは、駐英日本大使が説得して英国からまわしてもらいましたが、いつもこんな具合にいくとはかぎりません。
 早く世の中を良くしたいという気持ちは理解いたします。
しかし現在の世界は、icingが一杯付いたcrap cakeです。まずicing を剥がすところから創めなければいけません。かなりくさいとは思いますが、我慢が必要です
   (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)イラクへ邦人救出のために日本政府がチャーターを要請したら、JALもANAも断りました。助けてくれたところはトルコ航空でした。
 その前にも紛争地へ援助物資を送ろうとしたらJALもANAも拒絶し、結局、チャーター便を出してくれたのは台湾のエバ・エアーでした。ANAは民間であるにせよ、JALは政府がまだ株式を保有しているはず。はたしてフラッグキャリア(国家代表航空会社)と言えるのでしょうか。
 もっとも四川省地震のおり、自衛隊機を成都へ派遣しようとしたら、それを北京へご注進し、断念させたのは日本のマスコミと親中派政治家でしたが。
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