国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/11/21


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成20年(2008年) 11月21日(金曜日)弐
         通巻第2397号
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 ウォール街、いよいよ正念場
  シティグループの経営危機は想像以上。サウジ王子の梃子入れも虚しく
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 米国政府の救済法によって、シティグループは150億ドルの資本注入を受けたばかり。11月17日には世界的規模で、52000人の首切りを発表し、さらに同月19日にはサウジアラビアのアルワリード・ビンタラル王子が保有株式4%から5%へと買い増しをすると発表した。

 普通なら、これで株価は回復するはずだが、翌20日、シティグループの株価は26%の急落で、いまや4ドル71セントとなった。
同行の株価は十月だけでも53%下がっており、サウジ王室(正式には「キングダム・ホールディング・インベストメント・グループ」という)のテコ入れ発表は逆効果となった。

英国の経済紙「フィナンシャル・タイムズ」(20日付け)によれば、同行の不良債権は全資産の17%相当に見積もられており、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカに比べて「相当に悪い」という。

いよいよ正念場、世界最大の銀行のゆくへは?
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(休刊のおしらせ)地方取材旅行などにより小誌は11月22-24日が休刊となります。
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(読者の声1)貴誌2396号で中国のホテル事情が書かれていましたが、チェックアウト時の備品調べの手際よさは凄い。50品目ぐらいのリストがあって、すごいスピードでチェックしていきます。
ティー・バッグでも有料と無料とあって、有料の分に手をつけると追跡してきます。
世界各国、ケニヤ、アンゴラも行きましたが、このような備品チェックの経験は初めて。中国のホテルといえば、どのホテルにも湯沸しのT-Fal が備えられています。
これは日本より進んでいるといえます。日本でもかなり売れ行きがいいようですし、事実、たいへん安全で便利です。TVでも広告していますが、メーカー名は一切出ていない。T-Falとあるだけです。
多分、中国産だと思いますが、原産地はどこにも書いてない。
     (TK生、世田谷)


(宮崎正弘のコメント)おっと。小生が泊まる三つ星以下の、中国のホテルには、そういう洒落た設備はありません。そもそもクレジットカードが利かない。
 また逆に五つ星ホテルでは備品チェックはありません。冷蔵庫のなかみも自主申告です。
 客層によって、地域によって特色があるのも、差別を平然とおこなっている中国ならではのことか、と。



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(読者の声2)貴誌2396号(読者の声1)で「KI氏」の「日本が減らした1000億ドルの米国財務省債権の行方」
についての指摘に対する宮崎さんのコメント。
「日本の米国債投資は、しかしながら野村證券など大手金融機関が『自主的』判断で、有利だから買い、総合比較で、もっと有利な金融商品がでてくれば、乗り換えるというのが市場の現実です」
は的を射ています。
こういったことは事実を確実につかんで議論の論拠とすることが必須です。
8月に続いて10月も日本の貿易収支が赤字になりましたが、私はあまり悲観していません。確かに輸出は減りましたが、この環境でよくこれだけがんばっているというのが実感です。
これだけ石油をはじめ鉱物資源の価格が下がっているのにと短絡する向きもあるかもしれませんが、10月に日本が輸入した石油の平均価格は1バレル当たり102ドルです。注文してから届くのに時間がかかるからです。
しかしガソリン等の石油製品の価格は先物価格に引きずられて急速に下がります。
これが、石油会社が原油価格が上がると儲かり、下がると損をするメカニズムです。統計数字を解析する場合にはこういったメカニズムを理解したうえで行なわないと妄論になります。
また(読者の声2)にたいする宮崎さんのコメントにある「円建てによる米国債発行」には一つの大きな問題があります。
借りた円を他の通貨で使うとき円が売られ、償還期限が来たとき、償還資金を得るため、円が買われるため、円の為替レートがそれぞれの場合急下降、急上昇することです。「米国債権デフォルトの時、日本は空母を差し押さえよ」の方が実質的効果は大きいと考えます。ただし、実現できれば、の話です。
また(読者の声3)で「W氏」が指摘されたように「アメリカの金融工学の発展の土壌は、信用と実績を重んじる日本の商の道に、その淵源を尋ねることができ」
ます。
大阪の堂島での米の先物取引はシカゴの商品取引所に決定的な影響を与えたと推察いたします。
しかし、「すなわち日本の金融商学こそ、アメリカの金融工学の成立の前提となる近代的基礎だと思っているのです。そして、その金融商学の牙城、砦こそ、日本銀行、BOJなのです」
というのは日本銀行の買い被りでしょう。旧平価金解禁で日本の国富が大いに毀損したのは日銀の白痴的な金融政策が元凶でした。
米国に行費で留学した日銀職員が留学先の教師の学説のちょうちん持ちをして、日本の金融政策を誤らせています。
確かに伊藤清氏の研究成果が金融工学の発展(腐食的繁茂といった方が適切とも思えますが)に貢献いたしましたが、金融詐術の牙城、日本国民騙しの砦こそ、日本銀行、BOJです。
「日本企業の商道の中心、BOJの陰徳こそ、金融商学として、金融工学を支えるのです」と書かれましたが、私は徳は人にあるのであって、組織は単なる道具で徳があるとは思えません。
百歩譲って日銀に徳があるとしても、どんなに不況になっても失職や減給の心配もなく、大手金融機関以上の高給をはみ、バブル景気時代にはあおりたて、金詰まりで金融機関に運転資金を融資してもらえなくて黒字倒産する、つまり多くの額に汗を流して働くものが失職するのを傍観して、通貨供給量増加策もとらず、スーダラサラリーマン人生を送っている多くの日銀行員に徳があるとはとても思えません。
「愚かな戦争で、前途有為の青年のかけがえのない生命を絶ち、自らを掘り下げることもせず、戦う相手を悪と決めつけるのは傲岸不遜。そのような米国に、日本は、軍事、ビジネスの両方に亘って、道義と信義を教えていかなければならないのではないでしょうか」というのは鋭いご指摘ですが、その教える主は日銀マンではなく、勤務先が努力の甲斐なく黒字倒産しても新たな職場を探しもくもくと働く、市井の市民たちの後姿です。
  宮崎さんが、「瀋陽の旧日本人街に残る遼寧賓館の真ん前に聳える毛沢東像は、ちょうどタクシーを止める格好をしているでしょ。あれをさして地元の若者は『毛沢東がタクシーを止めている広場で待ち合わせましょう』と言っています」とかかれましたが、同様のことをレニングラード市民も言っています。
レーニン像を指してのことです。レニングラード市民のまねではないのでしょうか。

ビッグスリー救済案は上院で否決されましたが、オバマ上院議員は、TIME誌によるとワシントンDCには居ず、イリノイ州に引きこもっているとのことです。議会での発言やどう投票したかで、大統領就任後批判されり、その後の行動を束縛されるのを防ぐためでしょう。
オバマ氏はいま、ブッシュ政権の間にビッグスリーが倒産してくれることを祈っていることでしょう。
構造的問題を抱える企業にいくら融資を繰り返しても救済は不可能です。そしてその構造的問題の内最大のものはUAWです。米国の多くの一般市民は高給のうえ仕事の楽なUAW所属特権階級労働者に対して反感を持っています。
しかし民主党予備選挙でUAWの支持を得て当選したオバマ氏は表立ってUAWを批判できません。UAWの息の根を止めない限りビッグスリーの復活はありません。
   (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)お話が多岐にわたり、どの問題に対応すべきか、やはり最後のオバマ次期大統領のカメレオンの話題が良いでしょうか。オバマが直接、UAW(全米自動車労連)に乗り込んで諄々と説得すれば良いのです。雄弁と言われる政治家なら、スタート時点でそれくらいの芝居が出来なければ、次期オバマ政権は一期でお終いでしょう。
GMの経営破綻の主たる原因はUAWですからね。国鉄がJRになったときの左翼全盛の「国労」を思い出せば半分は当たっていますよ。当時のカネで24兆円、国労というガンが、国鉄をむしばんでいました。
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  • 名無しさん2008/11/21

    この方の分析能力は凄いと思います。良いメルマガに当たって嬉しいです。