国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/10/28


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成20年(2008年)10月29日(水曜日)
         通巻第2366号 (10月28日発行)
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 イスラエルは、この金融危機に動ぜず国会解散、総選挙へ
  リブニ女史、シャスとの連立交渉を中止。「妥協には応じない」
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 シャロン前首相の申し子、タカ派。女性にして国防相。
 イスラエルは女性も国民皆兵のくにである。その象徴でもあるリブニ女史、連立工作をつづけてきたが、少数宗教政党シャスの説得に失敗、総選挙となる。
 
 リブニがなんと言ったか、麻生さん、よく聞いてくれ。
 「脅しに屈して政権を維持するよりも、国のためを考える」。

 リブニ女史はイスラエル憲法に従って、ペレス大統領(元首相)に組閣断念を伝えた。ペレス大統領が決めることは、他の有力政治家に組閣を要請するか、国会解散を命じるかの二者択一。
結局、ペレス大統領はカディマ以外の政党による連立政権は無理と判断し、国会解散を決意した。投票日は2月10日と決定。(「カディマ」とは便宜的与党で労働党の脱藩組が与党だったリクード脱藩組と組んで、いきなりの連立政権のための新政党をつくった)。

まだ政権に座にあるのは、スキャンダルにゆれて起訴される可能性があり、不人気のオルマルト首相だ。オルマルトは、それでもどこかの国の政治家に比べると決断力がある。
最新調査によると次の総選挙での議席予想は現在の連立与党「カディマ」が現有議席を維持する一方、オルマルト現政権の微温的アラブ外交に飽き足らないタカ派の「リクード」が躍進し、現有12議席から二倍強の26に伸び、労働党は19議席を11に激減するだろうと言われる。
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(読者の声1)現在の経済情勢を分析することも大切ですが、その後にどうすればよくなるかの処方箋が作れなければなりません。
政府が発表した10兆円の金融機能強化策の効果は限定的です。
なぜなら政府が金融機関を財政資金で救済すれば、結局、PSBR (Public Sector Borrowing Requirements)。
簡単に言えば赤字国債発行額が増加し、財政がさらに悪化するだけではなく、金融市場が逼迫し金利が上昇します。
さらにモラルハザードが蔓延します。
金融市場の問題を財政で解決しようとするのは、靴の上から足の裏の水虫を欠くようなものです。
効果がないだけでなく、手がドル(失礼!ドロで)汚れるだけです。

金融市場の問題は、金融市場で解決すべきです。
以下に私の解決策を簡単に述べます。
1.日銀の達成目標として通貨供給量を政府が課することができ、達成できない場合は、正副総裁と日銀の政策委員は全員解雇するという条項付きで法制化する。
2.政府は、半年以内にM2レベルで円の通貨供給量を60%増加させるという達成目標を日銀に課す。
3.政府は、「インフレを引き起こす可能性があるが、やむをえない」というコメントを発表する。
M2レベルで60%通貨供給量を増加させるには、メガバンクだけでなく、地方銀行の持っている債権も大量に日銀が買い入れる必要があります。
これで現在の日本の金融の大きなボトルネックが解消し膨大な雇用を抱える中小企業に資金が流れます。
さらにインフレ懸念をマスコミが何倍か誇大して報道すれば、大衆は今のうちに買っておこうと殺到して内需が拡大するだけでなく円高を狙った為替投機を抑え込みます。
それにしても60%は無茶だと言う向きがあるかも知れません。
これは大丈夫です。達成できなくても正副総裁と政策委員が首になるだけです。殺されるわけではありません。
安政の大獄で死んだ志士のことを思えばなんでもありません。
その結果、日本の金融市場だけでなく国民の福祉に貢献できるなら、銀行家冥利に尽きるでしょう。
効果が出るまでに6ヶ月はかかりません。
今すぐ実行すれば、今年中に著効がでて、来年一躍日本が金融危機回避でG8中での英雄となることでしょう。
しかし、そんな法律が議会を通るかと訝る向きがあるかもしれません。簡単に通す方法があります。ステグリッツ教授を国会に招いて演説してもらうのです。日本の左翼は、マルクス・レーニン信仰は表向き捨てましたが、ノーベル賞信仰が強いのでイチコロでしょう。
ただし私は日本の将来に楽観的です。
上記の策が実行に移されなくても、政治家が効果がなく選挙区向け宣伝と利権だけのための財政策にしか目を向けなくても、日銀が馬鹿政策を続けても、結局は現在の困難を乗り越えることでしょう。
ただし余分に時間がかかります。要するに、「慌てるな」、「地道に世に中の役に立つ事で稼げ」ということを国民の大部分が肝に銘じていれば大丈夫です。
なぜならそれでも日本経済が破綻するようなら、人類に未来はありません。どんな寄生虫も宿主が死ねば、駆除されます。
    (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)ところで、スティグリッツ教授のいう「政府紙幣」発行論は、もともとは丹羽春喜先生の論理です。
 日本でノーベル経済学賞にふさわしいのは丹羽先生ではないですか? 小生、その昔、丹羽論文を英語で読んだことがあります。米国で評価され、そして多くの物理学賞も化学賞も、それまで日本では無名だったように、丹羽先生は日本では知られませんね。



   ♪
(読者の声2)解散が遠退き安心しました。唯解散をするためだけの安っぽい総理大臣に成った訳ではないから、成果を出せないうちに軽々に解散等すべきではない、下手をすれば末代の笑い者と成り郷土の期待も裏切る事になる、又、“おっちょこちょい”の総理大臣がでた処、と郷土の名も汚す。
 野党の野次など放って措けばいい、其の内ぼろが出て自滅するから、と強く申し入れていたらその様な雲行きに成って来ました。
「解散するなら法案に賛成するが、解散しないなら反対する」?
野党の『国家観』って、こんなモンですか!
「正体見たり枯れ尾花」ですね。
 日を追う毎に悪足掻きをして唯々墓穴を掘るみたいですね、読通りで安心しました。
 「トーマス・マンはこうも言いました。『政治を軽蔑する国民には軽蔑に値する政治しか与えられない』と」の紹介有難う御座います。
こちらの方が其の物ずばりで解り易いですね。この言葉、今後大いに活用させてもらいます。
     (TK生、佐賀)


(宮崎正弘のコメント)麻生さんが早期解散をしないのは政治的力量不足ですが、逆にこれが追い風となって、これからは麻生人気あがるのではありませんか?



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(読者の声3)ハンガリーの通貨が大暴落しましたが、どこかの商社がハンガリーから白ワインを大量に輸入してくれるとよいのですが。
ハンガリーはヨーロッパ随一の親日国であり、また中欧の枢要な場所に位置しています。
廉価なドイツ産白ワインは、半分がポーランドからの出稼ぎ農民が摘んだドイツ葡萄を醗酵させたものに、のこり半分はハンガリーワインを混ぜたものです。
直接、ハンガリーから買ってあげれば感謝されます。この不況でドイツからの買い付けも減っていることでしょうから、今が買いどきです。
    (ST生)


(宮崎正弘のコメント)ボジョレ・ヌーボーは、なんと世界消費の半分がフランスから、空輸で日本に運ばれる。初物好きの日本人、初がつお、初日の出、初秋刀魚。
中国でも上海蟹解禁日にはレストランで長い行列が出来ますが。
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(編集部から)昨日付け「ブラジル通貨」ですが、ブラジル通貨は「ランド」ではなく「レアル」です。訂正し、お詫びします。
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(((((((( 樋泉克夫のコラム ))))))))

 ――抱腹絶倒・痛快無比・荒唐無稽・妖艶華麗・残忍非情・猟奇無残
           『封神演義』上・中・下(講談社文庫 1988年) 


 △
 時は商から周へと続く易姓革命の時代。
名君の誉れも高い紂王は千年の齢を経た女狐が化けた姐己を迎えて以来、政治を顧みない昏君(バカ皇帝)となり果てた。
軍師に姜子牙(太公望)を得た周の文王は紂王討伐の旗を掲げる。だが壮図半ばにして世を去る。
後継者で息子の姫発は武王を名乗り、亡父の志を実現させんと決然と起つ。
一方、商の都の朝歌では、女狐の化身に篭絡された紂王はグニャグニャの骨抜き状態。政治を忘れ老百姓(じんみん)を顧みることなく自堕落な日々を送り太平の夢を貪るのみ。
 
「紂王討伐」を掲げ諸侯は次々に決起し、軍装を整え、盟主と仰ぐ武王が待つ会盟の地・孟津へ粛々と、時に猛々しくも軍馬を進める。
商周革命の決戦の火蓋が切って落とされた。
 歴史上に実在した(とされる)人物に新たな性格と能力と役割を与え、これに下界と仙界とを自由自在に行き来する仙人、道士、妖怪などを配し物語は千変万化してゆく。
「乾坤尺」「番天印」「定海珠」「降魔杵」「飛刀」「乾坤圏」「落宝金銭」「陰陽鏡」「照妖鏡」「掌中目」「風火輪」「雷公鞭」「白光」「黄気」「毒痘」「万里起雲烟」など、字ズラから想像するだけでもゾクゾクしてくるような空想上の秘密兵器がワンサカと登場してくるから痛快だ。

 陰謀渦を巻き、軍師・姜子牙は秘術を尽くす。英雄豪傑は死力を振り絞り奮戦、激戦。やがて革命は成就され、時代は商から周へと移る。
“中華式永久革命”のはじまりハジマリ。
 歴代王朝は自らの統治の正統性と正当性を明らかにするために、前王朝の興亡の姿を歴史として編んだ「正史」と呼ばれる欽定歴史書を残す。
当然のように史実に一定の政治的・思想的・倫理的、有態にいうなら儒学的判断・細工が自らの都合に合わせて手前勝手に施されている。
一方、『三国演義』『楊家将演義』『隋唐演義』など演義と呼ばれる伝統的形式の歴史物語があるが、なによりも時代の流れ、読者の好みのままに絶え間なく書き改められ、新しい話題を加え潤色され、物語は変幻自在に転変し、融通無碍に膨れ拡張する。
演義とは、見方を変えれば老百姓の見果てぬ夢が盛り込まれた歴史物語ということになる。

無名の、無数の老百姓が編者であり、時代と歴史とに寄せる彼らの「願望」「怨念」「悔恨」「省察」「宿願」「野望」などが編纂の基準となる。
時代が変われば彼らの思念も嗜好も変化する。
有為転変する時代に合わせ、演義という彼らの歴史物語は次から次へと無限に書き改められ自己増殖してゆく。

『商周演義』の別名で呼ばれる『封神演義』もまた、そんな性質を持つ物語の1つ。だから『封神演義』にも、老百姓たちの融通無碍で豊穣・華麗・勇壮・残酷・非情・冷淡極まりない発想と想念とがギッシリと詰め込まれているのだ。
 周王朝没落から春秋戦国へと時代が続き、秦が天下を統一し、始皇帝の死がもたらした混乱から劉邦と項羽の死闘を綴る漢楚軍談が飛び出す。
さらに英雄割拠の三国の時代から暴君の名を恣にした隋の煬帝の爛熟たる王朝絵巻が紡がれる。かくして時代を一気に20世紀にまで下れば、そこに蒋介石と毛沢東の激闘物語が待っていた。
真実から壮大なホラ話が踊りだし、新たな時代は老百姓にとっての新たな英雄と痛快無比な物語を生みだすもの。
そこで『春秋戦国志』『隋唐演義』(共に『封神演義』と同じ安能務訳で講談社文庫)を読み継いでみれば、無限に紡ぎだされる荒唐無稽なホラ話や壮大なウソに驚かされるだけでなく、それこそが彼らの得意技であることに気づかされるに違いない。
 《QED》   

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  • 名無しさん2008/10/28

    >(宮崎正弘のコメント)麻生さんが早期解散をしないのは政治的力量不足ですが、



    麻生さんは最初から早期解散はほとんど考えていなかったのではないでしょうか?

    解散総選挙で現与党が過半数の議席はとれても3分の1は絶対にとれません、、、となると、仮に解散総選挙→現与党過半数議席獲得であっても、参議院を野党に取られているので国会をまともに動かすことはできなくなくなるのでは、、、、民主党は直近の民意を尊重するなんて言っていてもその保障はないでしょう、、、というか、そんなことをしていたら参議院の意味がなくなるのでは?



    、、、とすれば、麻生さんとしては、民主党の造反組で参議院の過半数を得られる目処がたつまでは、最初っから、早期解散なんてほとんど考えていなかったのでは?( 自民で早期解散を言っていたのは、倒閣を目指す反麻生派くらいなものなのでは? )

  • 名無しさん2008/10/28

    宮崎様

    とにかく 損出は間違いです

    損失ですよ

  • 名無しさん2008/10/28

    解散総選挙するイスラエルが偉くて、解散を数ヶ月先に延ばした日本が駄目とでも言わんばかりの論調ですね。というか今の日本政治の場合、「脅しに屈して政権維持」とは完全に正反対で「脅し(民主党の国会審議闘争と公明党の早期総選挙圧力)に屈せず政権維持」じゃないですか?

  • 名無しさん2008/10/28

    大変わかりやすくよかっつたです

  • ええと2008/10/28

    「脅しに屈して政権を維持するよりも、国のためを考える」

    →麻生さんの場合は、「脅しに屈して解散をするよりも、国のためを考える」でしょうね

    宮崎さん、最近の発言はちょっとずれてるような気がしますね。