国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/10/28


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成20年(2008年)10月28日(火曜日)弐
         通巻第2365号
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 東欧の優等生=ポーランドにも、アフリカ経済の覇者=南アにも大不況の荒波
   アイスランドはついにサムライ債の債務不履行(デフォルト)
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 つい一ヶ月前までポーランドは世界同時株安の嵐とは無縁だった。
都市は美しく整備され、住宅地は静かで、人々は安定した生活を享受できた。消費は旺盛で、デパートは満員、各地のリゾートも観光客で溢れていた。ポーランドはドイツ向け商品の「工場」でもあり、米国からの投資も盛んだった。
 
 状況は一気に暗転した。
 ポーランドの通貨は「ズローチ」。過去一ヶ月でズローチは対ドルで30%下落し(この一週間だけでも17%下落)、対ユーロで20%下落。ワルシャワ株式市場は50%の大暴落(10月28日現在)。
ハンガリーやウクライナの破産は他人事だった。いまやポーランド国民の心理は「明日は我が身」の恐怖に陥った。

建設ブームに沸いてきた各地の高層ビルが建設中断に追い込まれ、「なんで俺たちまで災禍にまきこまれなきゃならんのか」と不満の声がポーランドの農家からもあがる。

 以下同様にトルコ・リラは30%下落、ブラジル・ランドは40%下落。
 ジム・ロジャースが予言した「商品の時代」も、終わりを迎えていた。原油の暴騰と暴落。金はやや下落した。

 レアメタルの王様=プラチナは2000ドルから800ドルを割り込むという異常な暴落。商品市場で60%以上の暴落が、嵐となって商品輸出国家の経済を直撃した。
最悪の被害は南アである。
 トレボー・マニュエル(南ア財務長官)は「嵐がやってきた。これまで経験したことがない嵐で、どんな被害になるのか想像も出来ない」とプレトリアの国会で演説した。

 アフリカ経済全体のGDPの三分の一を占め、アフリカの優等生として活躍してきた南アは、金、銀、プラチナなどレアメタル、戦略物資であるチタン、コバルトなどの集積と流通でも世界的な拠点であり、ダイヤモンドの拠点としても栄えた。


 ▲サムライ債がアイスランドで頓挫

アイスランドでは政府が国有化したはずのカウプシング銀行が猶予期限を過ぎても「円建て外債(サムライ債)」の利払いが出来ず、ついにデフォルト(債務不履行)となった。 国有化された銀行がデフォルトをやらかしたのである。

この「サムライ債」は、外国政府や金融機関が資金調達のため日本国内で募集し、円建てで発行した債券で、アイスランドの場合、デフォルト分は2006年10月に発行した500億円。

 銀行国有化のアイスランド政府は国際通貨基金(IMF)と20億ドルの緊急融資で合意したが、資金の振り込みが遅れ手元資金不足に陥った。この荒波はつぎにウクライナ、ハンガリーに及ぶ。

 従来の株価大暴落は、地域限定で、地球の裏側や北極から南極まで同時に飛び火するなどといった事態は無かった。世界史的展望からみても、いま地球には氷河が一晩でとけるような未曾有の事態が出来している。ウォール街の株価暴落は世界各地に最大級のTUNAMIをもたらしたのである。

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◎☆み☆や☆◎  ◎☆ざ☆き☆◎  ◎☆ま☆さ☆◎  ◎☆ひ☆ろ☆◎ 
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(読者の声1)『 WiLL』12月号の宮崎先生の論文を読んで変化の激しい中、この種雑誌の論文がstale(陳腐)になる中、先生の論文は問題点を網羅するだけでなくその先にどうすべきカまで示唆されていて感服いたしました。
正に日本の貴重なシンクタンクの重責を担っておられると思います。
   (MA生)


(宮崎正弘のコメント)オピニオン雑誌、とくに保守系メディアは経済の論争が不得手とされましたが、今月は多くが金融危機特集ですね。拙論にも、多くの反応があります。過分な御評価、有り難う御座います。



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(読者の声2) 10月25日、北京。
「中日和平友好条約締結30周年記念式典」の席上で麻生総理は「村山談話」を継承する表明をした。(26日、時事)。
 「ブルタ−スよ、お前もか!」と心頭に発した怒りと虚脱感とが相俟って明け方まで寝られませんでした。
 『茶坊主』が政治をする様な、体たらくな政府を造り出してしまったのはGHQの下で育った者達の、『日本民族』としての自覚の欠落によるのでしょうか。
 姑息な抜け駆けは得意だが、間抜けに、腑抜けで、腰抜けの、『三抜け国民』(酒井信彦氏指摘)では実に困ったものです。永井家風ではありませんが、「国家の乱れは国民の自覚の無さに起因する」、ですか。
     (北九州素浪人)


(宮崎正弘のコメント)トーマス・マンは、こうも言いました。「政治を軽蔑する国民には軽蔑に値する政治しか与えられない」と。



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(読者の声3)ホットな国際ニュースをわかり易く解説してくださりありがとうございます。先生の情報の深さと行動範囲の広さに感服しております。
BISの資料によると2007年12月の時点で先進諸国(G10+スイス)が抱えるデリバティブの規模は約6京円でその市場価値は約1400兆円と見積もられています。このうち5800兆円がCDS関連のデリバティブで、その市場価値は200兆円とかなり低く評価されています。IMFの損出見積もりはこの辺りの数字を基に計算されたものだと思います。
http://www.bis.org/statistics/otcder/dt1920a.pdf

因みに、アメリカの金融機関が保有するデリバティブは全体(G10+スイス)の25%程度のようです。
http://www.occ.treas.gov/ftp/release/2008-115a.pdf
 サブプライム問題に端を発する一連の金融機関の倒産で、誰がどれだけの損害を被るのか全体像が把握できないうちは、先進諸国の政府による救済処置が発表されたとはいえ銀行間の不信感が払拭されることはないでしょう。
その信用度の指数とされるLIBORも現在の3.5%辺りで下げ止まってしまうかもしれません。
最後の峠とされるAIG関連CDSの後処理がフレディやファニーのときのように90%位の決済価格で穏便に済むよう願っています。
今回の騒動では日本の不動産バブル崩壊のときとは異なり、米国の金融機関がレバレッジを20−30も掛けて投資しているため、あと20%住宅価格が下落すると欧米の大手金融機関は致命的な打撃を受け、それがドルの崩壊につながってしまうのではないでしょうか。
新移民による需要を期待したいところですが、クレジット危機で資金の回りが悪くなった米国では雇用状況も悪化しているため、南米などからの流入した不法移民が職にありつけず本国に帰国せざるを得ないという事態になっているそうです。
http://www.tennessean.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20081026/BUSINESS01/810260382/1003/NEWS01
 このような状況下でFRBの目論み通り来年中に住宅価格の下落が底打ちするのか疑問に思います。
本日発表された統計によりますと、9月分の新規住宅の販売数は8月と比べて2.7%伸びているものの、価格は0.9%下げているようです。
 http://online.barrons.com/public/page/barrons_econoday.html?mod=tools_eco
    (MI生)


(宮崎正弘のコメント)詳しい数字情報を頂きました。有り難う御座います。



   ♪
(読者の声4)いつも貴重な情報をありがとうございます。
貴見の「IMFの損出見積もりが全世界で140兆円というのはいかにも少ないシミュレーションでしかないことが分かる」とあります。

 信用の創造により膨張した部分は無視して、実態経済からデリバティブの世界へ流れ込んだ「元金」の部分と仮定すれば、妥当な金額のようにも思えますが、如何でしょうか。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。
      (NQ生)


(宮崎正弘のコメント)時価会計を基礎とすれば評価損があちこちで生じており、複合暴落ですから元金さえ割り込んでの「追い証」が、どこまでの泥沼なのか、それが問題でしょうね。
 余談ながら米国式「時価評価会計」は問題だらけ。三ヶ月に一度、帳簿の評価額を見比べながら決算するとなれば短期的な、視野狭窄の経営しかできない。これを米国から押しつけられた日本企業も、結局はへたった。



   ♪
(読者の声5)こんなのがありました。もしかしてロシア(骨断ち)がこけるまでアメリカ(肉切り)と根比べ?
 
自分の国の飛行機の燃料にすらままにならない自称エネルギー資源大国。
ロシア:定期航空便運休の動き、航空燃料の高騰と世界的な金融危機の影響で…大規模な業界再編の見方も [08/10/26]
 
この夏の航空燃料の高騰と世界的な金融危機の影響で、ロシアの中小の航空会社は、相次いで経営難に陥っており、採算性の悪い路線を中心に定期便の運航を取りやめる動きが広がっています。 
 ロシアでは、ことし8月以降、航空燃料の高騰で資金が不足したうえに、世界的な金融危機によって金融機関からの借り入れができなくなり、中小の航空会社が相次いで経営難に陥っています。 
 このうち、極東のハバロフスクに拠点をおく「ダリアビア」は、モスクワや新潟を結ぶ路線のほか、採算性の悪いローカル路線を別の航空会社に譲って、19日から運航を停止しました。 
 また、東シベリア・クラスノヤルスクの航空会社も、社員の給料が支払えず、27日から、ほぼ全面的に運航を取りやめる見通しで、金融危機の影響が続けば、運航停止や大幅な減便に追い込まれる航空会社がさらに増えるものとみられています。 
 これを受けて、国営の軍産複合体企業が、経営難に直面しているロシア国内の中小の航空会社11社を統合して、新たな会社を設立しようとする動きも出ており、大規模な業界再編につながるのではないかという見方も出ています。 
▽News Source NHK ONLINE 2008年 10月26日 8時39分 
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014964671000.html 
http://www3.nhk.or.jp/news/K10049646711_01.jpg

世界一の嘘吐き国家、ロシアの「あるある詐欺」なんぞに騙された日本の商社なみだ目
 ロシアのエネルギー大手、金融危機余波で財務苦しく−日本企業にも影響を与える可能性[08/10/26]

 ロシアのエネルギー・資源大手企業の財務状況が悪化している。資源開発などに高水準の投資を続けて借入金の返済負担が膨らんだところを米国発の金融危機が直撃、新規の借り入れや借り換えの条件が厳しくなっているためだ。原油価格の下落で資源事業の採算性も一時に比べて低下している。エネルギー・資源大手の財務悪化が「サハリン1」など日本企業が参加する開発事業にも影響を与える可能性がある。 
 経済紙コメルサントによると、ロシアの大手企業の現預金残高は今年度上期末(6月末)から来年度上期末にかけて大幅に減少する見通し。エネルギー高を背景に成長を続けた天然ガス独占企業ガスプロムは今下期から来上期にかけて402億ドルの投資を計画、借入金返済は131億ドルに達する。同紙の試算では、配当金支払いが加わり、現預金残高は今年6 月末の157億ドルから来年6月末には37億ドルに急減する。 
▽ソース:NIKKEI NET (2008/10/26 07:00) 
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081026AT1D2404425102008.html

露エネルギア社が経営危機、新規のソユーズ宇宙船の建造費用が枯渇 
 ロシア宇宙開発の中核を担ってきたエネルギア(Energiya)社が資金不足から新規のソユーズ宇宙船の建造が困難な状況に陥っていることが24日、同社の発表により明らかとなった。 
 エネルギア社のヴィタリー・ロポタ(Vitaly Lopota)社長は同日、ノーボスチ・ロシア通信社のインタビューに応えて「あと2往復分のソユーズ宇宙船に関しては問題ないが、資本劣化が解消されなければ新規のソユーズ宇宙船の建造は困難」とした上で「我が社には現時点で新規のソユーズ宇宙船を建造できるだけの資金余力はなく、今後2週間以内に新規の銀行融資が実施されるか支払い猶予がなされなければ今後のソユーズ宇宙船建造には一切、責任をもてなくなるだろう」と述べ、同社の経営が危機状況に陥ったとする見解を明らかにした。 
 エネルギア社の財政状況が今回、突然、悪化したものなのか、あるいは以前より経営状況の悪化が続いていたものかに付いては不明。
 エネルギア社は1964年に旧ソビエト連邦政府の宇宙開発部門として発足した旧国営企業。ソ連時代からロシアの宇宙開発の中核を担ってきた組織となる。 
 ソ連崩壊もエネルギア社が宇宙開発の名目の元で膨大は国家予算を食いつぶしたことが一因となったと言われている。 
http://www3.nhk.or.jp/news/K10049646711_01.jpg
      (NK生)
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宮崎正弘の新刊
 『中国がたくらむ台湾沖縄侵攻と日本支配』
     KKベストセラーズ 1680円、ハードカバー


 宮崎正弘『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
      (全332ページ、写真多数、定価1680円)
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宮崎正弘・黄文雄共著『世界が仰天する中国人の野蛮』(徳間書店、1575円)
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 宮崎正弘のロングセラー
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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