国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/10/21


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)10月22日(水曜日) 
         通巻第2356号  (10月21日発行)
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次の世界経済体制はどうなる?
  ドル基軸が基本の戦後体制が崩落過程にあるのではないのか?


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 「次はどうなるのか」を問うと専門家でさえ「分からない」と曖昧な回答しかない。ウォール街発大暴落がもたらした世界歴史の変革に関してである。
 冷戦が終わって東西の軍事対決は薄まり、世界は自由と民主主義で覆われ、軍事力を相対的に軽減させ、覇権にとらわれなくなる大国はもっと繁栄するだろうという楽天的な主張が冷戦終了直後から論壇に跋扈した。
 それは間違いだった。

 ロシアが悲しい経済破綻を演出して西側の援助をむしり取り、おとなしくしていたのは十年あまり。プーチン大統領になって伝来のナショナリズムを鼓吹しロシア帝国の再現を狙うかのように軍事力を復活させた。かたや中国も繁栄の神話が陰ると人権弾圧を続ける独裁国家の本質が露骨となった。

 パラダイム変更とは従来の世界観が、あるいは物事への考え方がガラリと変わることである。
 戦後の世界を規定したヤルタ・ポツダム体制=パックスル・ルッソ・アメリカーナ(米ソ共存による和平)はあちこちに綻びがでているが基本構造はまだ変わらない
 大東亜戦争に敗れた日本は国内的には自虐史観とGHQの洗脳で精神を喪い、戦前の価値観をすべて否定する状況となった。しかしこれは戦後日本の国内的なパラダイム変更であっても世界史的意味をもってはいない。

 世界的視座から言えば、第二次世界大戦でのパラダイム大変換は独独伊三国同盟の否定と戦勝国=正義という価値観だ。しかしいまは経済方面の動きが重要となる。英国に変わって米国優位が確立した戦後経済体制の根幹はブレトンウッド(世界銀行、IMF)体制である。
 
スミソニアン合意、そのまた後のプラザ合意も、しかしながら世銀IMF体制の崩壊ではなかった。ドル本位制には変更が無かった。価値が低まったもののドルが世界貿易、金融の基軸通貨というブレトンウッズ体制は延命してきた。


▲ドル本位体制が存続する可能性は?

 「パラダイム」の変更がこれから起きるとすれば、その第一はドル本位体制がひっくり返る懸念である。
 まだ姿も形も見えないが複数通貨体制の出現の可能性が日々高まっている。五年から十年以内に、このシナリオは現実となる。

 外交防衛のパラダイム変更は、日米安保体制が崩壊へ向かって走りだす恐れである。
 九月十五日、リーマンブラザーズの突如の倒産で開始された世界金融恐慌、或いは世界の金融再編が、ドル本位体制崩壊の過程で次の状況を作り出す。それはひょっとすれば金本位制度の復活かもしれない。

 新興工業国家群の勃興、新しい富が産油国に集中し、レアメタルの高騰で豪州、カナダ、南アの通貨も膨らみ、日本以外の国々では「ドル離れ」を引き起こした。それらが変動相場制度、ドル本位制を大きく揺らし、世銀IMF体制を根底的に動揺させた。

 一つの時代が明らかに終わり、パラダイムの変更を余儀なくされる。しかし次の世界はいかなるイメージなのか? 
米マスコミには近未来の「不確実性」を、ともかく”建設的曖昧さ”が訪れるだろうなどと書いているが本当に誰も予想できないのだ。
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 (この文章は『北国新聞』コラム「北風抄」、10月20日付けの再録です)
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   ◎ ◎み◎や◎ざ○き○ ● ○ま◎さ◎ひ◎ろ◎ ◎
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((((((( 樋泉克夫のコラム )))))))
 
【知道中国 192回】                  
   ――「段ボール肉まん」のルーツは、ここにあったのか
                『山海経』(平凡社ライブラリー 1994年) 



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 中国古代に編まれた多くの書物と同じように、「せんがいきょう」とも「さんかいけい」とも読まれる地理書の『山海経』もまた誰が、いつ書いたのかよく判らない。
いずれにせよ最初の部分は戦国時代(紀元前5から3世紀)に成立し、秦・漢(紀元前3から紀元3世紀)と時代が下るごとに次々と書き足されて現在の形になったというのが一般的見解だ。

天下の中心たる洛陽を囲む山々を起点に四方八方にウネウネと続く連山に広がる世界を綴るのが、「第一 南山経」から「第五 中山経」までと「五蔵山経」。そこに連なる山々の頂から裾野までを訪ねるのが「海外経」に「海内経」。
さらに「大荒経」など全18巻で構成されている。
いわば「天地四方の間、四海の内」に在る世界を、重畳と連なる山々と、そこを水源とする河川とで分かち、各地に産する物産、そこに棲むありとあらゆる生き物を数え上げ解説を加えたものだが、やはり注目すべきは摩訶不思議な生き物だろう。

たとえば尸胡という山の頂には金・玉が、麓には荊が多い。魚の目をした麋(なれしか)のような鹿がいる(「第四 東山経」)。結匈国の人々は胸が飛び出し、虫を蛇、蛇を魚と呼ぶ。翼が繋がった青赤2色の比翼の鳥が空を舞う。
その東南の羽民国には、頭が長く体に羽根が生え夜を支配する神人が棲む。
その東には人面で1本足の畢方鳥がいて、さらに南の讙頭国には人の顔に鳥の嘴、翼をつけて魚を捕らえる生き物がいる(「第六 海外南経」)。現代でも蛇を長虫とも呼ぶが、結匈国の伝統が今に伝わっているというわけでもあるまい。

「想像上の世界を縦横に走る山脈、そこに息づく奇怪な姿の怪力乱神たち。原始山岳信仰に端を発し、無名のひとびとによって語り継がれてきた、中国古代人の壮大な世界が蘇る」と表紙の帯封に書かれているが、確かに「奇怪な姿の怪力乱神」たちの線描画で描かれた奇怪だが素敵なイラストを眺めていると、想念の翼が次々に広がり、想像の果てまで飛んで行ってしまいそうだ。

気の向くままにページを繰れば、儒教経典である四書五経などにみられる四角四面で謹厳実直なウソ臭い世界とはまったく異なった、古代の人々が目いっぱいに広げた広大無辺の想像の物語に出会うことになるはずだ。おおらかな想像の翼に乗って、摩訶不思議で衝撃的な世界に紛れ込んでみるのも一興というものだ。

人面に似た面構えで豺(ヤマイヌ)の身に翼をつけ喚きながら蛇行する化蛇(コイツは洪水を呼ぶそうな)。人面に虎の身で嬰児のように鳴き人を喰う馬腹。3匹の青獣が一体化した双双。顔が3面の三面人。蛇に4枚の翼をつけたような鳴蛇。一本足の一臂人――こういった魑魅魍魎が中国古代に棲んでいたと妄想を逞しくしてみたらどうだろう・・・。

たとえば智慧なんぞは小ざかしいと鼻先で笑い飛ばし人生を達観しきったように振る舞う老子にとっての唯一無上の道楽が化蛇の捕獲であり、一臂人の弟子を引き連れ各地の君主に仁義廉恥の王道を説くべく道を急ぐ孔子が馬腹に出くわした途端に腰を抜かさんばかりに驚いて脱兎のごとく逃げ出し、法治を掲げた韓非子が双双に牽かせた愛車を“道交法違反”もお構いナシに猛スピードでぶっ飛ばしたり、現在でも漢民族の祖と崇め奉られる黄帝の好物が鳴蛇だったり――『山海経』という摩訶不思議な世界を生み出した想像力が21世紀の中国人にも受け継がれているとするなら、段ボール肉マンや農薬付き冷凍野菜なんぞを遥かに越えるシナモノが、そのうち登場することだってありうる・・・かも。
《QED》

(ひいずみかつお氏は愛知県立大学教授。華僑と京劇の研究に造詣が深い)

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(読者の声1)チベット・モンゴル・ウイグル三民族連帯シンポジウムおよびデモ
http://3natioco.web.fc2.com/

世界でも初めての試みであった「3民族連帯シンポジウムおよびデモ」は予定通り執り行うことができました。
10月18日のシンポジウムには200人を超える方々が参加くださいました。他人の国を侵略した中国政府が、現地でどのような支配をしているのか、チベット、モンゴル、ウイグルの代表によって詳しく説明されました。中国政府による残酷な支配をやめさせるためには3民族が連帯していかなければならない、ということを確認しました。またアジアの民主主義の先進国である日本は、彼らを助けていく道義的義務があることを確認しました。
19日のデモには250人の参加者がありました。
チベット、モンゴル、ウイグルの旗、プラカードによって中国の圧政下にある民族の声を渋谷の町の人々にアピールしました。オリンピックが終わって徐々に関心が薄れているとはいわれているものの、沿道の方々の反応は暖かく、とても良いアピールができました。
 ご参加、ご協力くださったみなさま、そして参加はできなくても応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。
今回表明された3民族の連帯を、より一層発展的なものとして、今後も活動していきたいと思います。ご支援の程よろしくお願い致します。
3民族シンポジウム実行委員会


決議文は次の通りです。
「チベット・南モンゴル・ウイグル 三民族連帯シンポジウム
-真の多民族共生を考える-
 私達は本日、東京にて、「真の多民族共生を考える、チベット・モンゴル・ウイグル三民族連帯シンポジウム」に参加した。ここで訴えられた三民族の現状は、現中国共産党の一党独裁体制のもと、民族独自の言語、歴史伝統、文化が破壊され、当然の権利である民族自決権を主張しただけでテロリストと見なされて弾圧を受ける、まさに民族浄化政策と呼ぶべき暴政の支配下にあることが判明した。
しかも中国共産党政府は、これら民族の生活圏環境を徹底的に破壊し、民族は固有の生活伝統を維持できないだけではなく、核実験によるおびただしい人的災害を引き起こしている。かつて東西文明の豊かな交流をもたらしたシルクロードは、今や核汚染の危機に晒されているのだ。この事態は特にウイグルにおいて顕著であり、未来の子ども達への二次災害の恐れも危惧されている。
私達は、この残酷な悲劇の根源は中国共産党政権の独裁体制にあるものと見なす。
中国共産党政権は、言論の自由、結社の自由、民主主義の確立、そして民族自決権を承認し各民族の独立権を認めない限り、最早政権の座に留まることは許されない。
そしてこの様な民族浄化政策や環境破壊政策を国是とする中国は、国連の安保理常任理事国としての資格はなく、国際社会は速やかに中国共産党政権に対し抗議と制裁の意志を示すべきである。
そして自由と民主主義の価値を尊重し、民族自決権を歴史的に当然の権利と考え、かつ世界の環境改善に力を尽くす意志を持つ我が日本国政府並びに日本国民は、隣国中国で繰り広げられているこの現状を座視することは許されない。
私たちは中国政府及び日本国政府に対し、以下のことを要請する。

1、中国共産党政権は一党独裁体制をやめ、言論の自由、結社の自由、民主主義の確立、そして民族自決権を承認せよ。
2、中国共産党政権は核汚染の恐れのある核実験を全面停止し、国際的な調査団による汚染状況の調査と適切な措置を受け入れよ。
 3、日本国政府は、中国政府が上記2項目の姿勢を実行する事を求め、その実行なき場合は、対中経済支援の即時停止、中国に対する経済制裁などで抗議する姿勢を示せ。
 4、日本政府は中国共産党政権の民族浄化政策に抗議し、同時に独立運動や人権運動を積極的に支持し、また彼らの政治亡命を受け入れよ。
以上、報告です。
    (MU生、葛飾)


(宮崎正弘のコメント)大手マスコミこそ取り上げませんでしたが、あちこちで相当話題を呼んだようです。ただし一つだけ気になる情報は、左翼が相当数デモに混じっていた由です。



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(読者の声2)貴誌昨日付けで米国財務省のニール・カシュカリ氏についての紹介記事、興味深く拝見しました。
どんな仕事をしてみせるのか興味津々です。
多くの人の注目を集めている様子は、誰かが彼の名前について「マネーの循環を促進する立場の財務省高官としてドンピシャの名前だ」と書いていたので、笑ってしまいました。
カシュカリ→貸し借り。しょーもない駄洒落ですが、あだ名がついたら浸透は早い。どんな活躍を見せてくれるか楽しみですね。
     (A生)


(宮崎正弘のコメント)日本でしか通用しない駄洒落ですが、じつに面白いですね。
 カシュカリ→貸し借り。ですか。講演で使わせて貰いましょうか。
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