国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/10/21



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)10月22日(水曜日) 
         通巻第2355号  (10月21日発行)
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 7000億ドルの金融安定化法案を実施する男
   35歳のインド系アメリカ人が世界金融危機を救うのか?
***************************************

金融安定化法は11月4日に金融機関からの申請を締め切り、いよいよアメリカで発動となるが、評判が芳しくない。
「なぜ我々の税金のうちの100億ドルが、モルガンスタンレーの四万人の高給取りを救うことに使われ、他方、26万6000人も従業員がいるGMは救わないのか?」

金融危機に辣腕を振るうヘンリー・ポールソン財務長官に、陰のように従う若者がいる。
ポールソンと同じ禿頭、毎朝カミソリで剃っているらしい。ワシントン政界がかれにつけたあだ名はシークレット・サービス・エージェント。
2006年7月、ポールソンがゴールドマンサックス(GS)の会長からブッシュ政権入りしたときに古巣のGSのサンフランシスコ支店にいてコンピュータ・セキュリティの専門家だった男を引き抜いて、「財務長官特別補佐官」としてワシントンへ伴った。
爾来、ゴールドマンサックスは、ガバメントサックスと呼ばれるようにもなった。

 その男、ニール・カシュカリ弱冠三十五歳である。
このカシュカリが、7000億ドルの金融安定化法案が議会を通過したことにより、実際に現場で、銀行へのテコ入れの采配を振るうことになったため、にわかに全世界の注目するところとなったのである。

 ゴールドマンサックスでの金融取引の経験がわずか六年というインド系アメリカ人。名前の通り両親はインドのカシミール地方から米国へ移住した。精悍な顔つきは北部インド人の典型。彼自身はオハイオ州で育った。

オハイオ州ハドソン高校時代に、すでに大学院生並みの数学の才能がありと言われ、工学へ進んで、NASA勤務の妻とであった。そこで宇宙エンジニアを経験した後にMBA資格を取得するためにペンシルバニア大学ウォートン校へ入学(ウォートンは全米一のMBA校として知られる)。


▲CITICパシフィック、為替取引に失敗の模様

 「この未曾有の危機に、経験の浅いカシュカリに任せて良いのか。米国だけの金融危機ではなく、舵取りを間違えば世界全体の金融制度を揺らし兼ねない」と批判の声が強くあがった。
 げんに、アメリカ次第で、世界の金融情勢は刻一刻と変化している。
 現に中国は11%台だった成長率が9%台へ。鉄鋼輸出は激減し、車需要は横ばいとなる。「CITICパシフィックは、為替取引で20億ドルの損出を計上した」(英紙「フィナンシャル・タイムズ」、10月21日付け)。

 フランスは六つの主要銀行へ140億ドルを投入し、パキスタンは合計150億ドルの支援をIMFへ要請し、インドネシアでは有力エクノミ銀行の90%の株式がHSBCに買収された。

表だった行動を取る前に、カシュカリは動いていた。
三月のベア・スターンズ救済劇では、背後でカシュカリが動き、JPモルガン・チェース銀行が救済合併というシナリオを書いた。AIGの救済でもディビッド・ネイソン財務次官代理のもと、舞台裏で根回しをしていた。

 「平時には経験豊かな人材を起用し、その経験と人脈を駆使して、後ろ向きの衝突を回避しながら問題解決に当たるのも良いだろう。しかし、いまは短期決戦、むしろしがらみのない、即断のできる人材が必要なのだ」(ドナルド・ロンゲボルト、ジョージタウン大学教授がNYタイムズのインタビューに答えて。同紙、10月19日付け)。

 81年ミッテラン大統領時代、フランスは銀行を国有化した。その後、私営化し、またこうなるとサルコジは「レッセフォールは死んだ」と叫んだ。
英紙エコノミストは「資本主義は死んだ」とする特集を組み、欧州の多くの国で銀行への公的資金注入が決まり、スエーデンとデンマークは意固地だったユーロ非加盟をやめ、ユーロに加わる段取りを進めている。

米国の資本主義が変貌する未来は確実だが、さてどんな未来になるのか?
  ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ◎ ◎み◎や◎ざ○き○ ● ○ま◎さ◎ひ◎ろ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪♪
宮崎正弘の新刊
 『中国がたくらむ台湾沖縄侵攻と日本支配』
     KKベストセラーズ 1680円、ハードカバー

 宮崎正弘『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
      (全332ページ、写真多数、定価1680円)

宮崎正弘『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 
宮崎正弘・黄文雄共著『世界が仰天する中国人の野蛮』(徳間書店、1575円)

 ♪
 宮崎正弘のロングセラー
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
     ◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
 ◎小誌の購読(無料)登録は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
 http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2008 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2008/10/21

    ニール・カシュカリ氏についての紹介記事、興味深く拝見しました。どんな仕事をしてみせるのか興味津々です。多くの人の注目を集めている様子は、誰かが彼の名前について「マネーの循環を促進する立場の財務省高官として ドンピシャの名前だ」と書いていたので笑ってしまいました。カシュカリ→貸し借り。しょーもない駄洒落ですが、あだ名がついたら浸透は早い。どんな活躍を見せてくれるか楽しみですね。