国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/10/10


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)10月10日(金曜日)
         通巻第2345号 
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ウォール街発世界大不況、泥沼の最悪の底が見えてきた
 ファニー・メーの海外債権破綻が起これば、次は米国債のデフォルト
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 日米同盟が危殆に瀕する地獄のシナリオが見える

 三月のベア・スタンーズ救済から地下水脈で流れが大きく変わっていたウォール街の危機は、市場の水素爆弾だった。要するに「デリバティブ」とかの面妖なる金融商品とビジネスモデルの破産である。
 九月にリーマン・ブラザーズがいきなり倒産すると連鎖がおこり地獄が出現した。

 ヘリコプター・ベン(バーナンキFRB議長)とポールソン財務長官は救済の方向で議会工作を始める。
 ブッシュ大統領はいったい何が市場でおきているのか、正確には理解していなかったし、いまもおそらく出来ていない。

 AIGは救済、ファニー・メー、フレディ・マックは政府支援。この間にJPモルガン・チェースとゴールドマンサックス、メリルなどの合併劇が突如おこって金融界再編、現時点での結論を言えばデリバティブを主導した投資銀行が消滅し、ヘッジファンドは壊滅的打撃を受け、投資信託はMMFまでカラに近くされて運用不能となり、レバレッジ神話とデリバティブの陥没である。

 日本でもAIG関連のアリコジャパン、GEエジソン保険などが被買収対象と化し、リーマンジャパンは資産保全命令。REITの大手がはやくも倒産した。

 危機は世界に波及し、先進国はとりあえずドル資金を供給する態勢を短時日裡につくり、EU各国はこれとは別に協調態勢を敷く。G7が世界的な協調態勢の強化を宣言に盛り込む。

 アテにされた日本は三菱UFJ銀行が果敢にもモルガン・スタンレーに出資し、野村證券がリーマン・ブラザーズのアジアと欧州中東部門を買い取った。米国内でもウォーレン・バフェットがGSとGEに大幅な出資を鮮明にした。
 しかし危機は去らず、むしろ深まった。
 なにより議会を通過した金融安定化法案直後、ウォール街の株価はまだ下落したのだ。

 不気味な静けさを保つ中国は経済的判断より政治判断を優先、放置すれば次なる危機はドルの崩落だが、自ら巨大な犠牲になることさえおそれず、米国債購入に動かない。
 虚勢をはってきた韓国経済は一気に沈没、韓国ウォンは暴落し、アジア株式はウォール街に比例しての底なし下落となる。
 インドネシアは株式取引を停止し(9日)、ロシアは株式暴落の報道を禁止した。

 さて、小誌がたびたび指摘したように、これは戦後最大のパラダイム変更の節目である。
 石の貨幣が紙幣となったように、戦後英国ポンド体制がドル本位体制になった。冷戦が終わり米ソ対立が終わった。これらがパラダイムシフトであったとすれば、その世界的な金融の機能と機関を支えてきたブレトンウッズが崩壊してゆく過程にある。その認識が殆どの市場関係者にはない。
歴史家の目がないのだ。


 ▲米国債デフォルトがおきたら?

 ドル本位制が崩壊するまでには、代替通貨がない以上、時間がかかるだろう。
 ドルはじりじりと値を下げ、その分をユーロと補助的に英国ポンド、スイスフランが肩代わりし、日本円の国際的決済ポートフォリオも現在の4%台から7%前後には上昇するだろう(日本円はアジアのスイスフランのような独自の立場を確保できるかも知れない)。
人民元は香港ばかりかタイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、北朝鮮では既にハードカレンシー化しており、なんと台湾でも通用するまでになって地域貿易の基軸通貨に変貌しているが、そうはいっても国際通貨になるにはまだ要件を満たしていない。

 近未来のシナリオの一つとして考えられるのは、一種徳政令である。
 ドルは現在流通する通貨を無効とさせ、新札を発行する。
 或いは金にリンクしたドルの新紙幣を発行し、旧来のドルは「新ドル切り替え」で大幅な減価をおこなう(戦後、日本の新円切り替えのごとし)。

 米国債権のデフォルトもあり得ないシナリオではない。
 米国の累積赤字は10兆4000億ドル。これが10月3日に成立した「金融安定化法」により、11兆3000億ドルとなる。
過半を保有するのは日本、中国、EUなどである。

 もし米国債という世界最強の軍事大国の信頼が破綻した場合、日本はそのときどうするのか?
 イラン、リビアなどに米国は「在米資産凍結」をしたように在日米国資産を凍結する措置にでるという強硬手段もシナリオの一つとして考慮しておくべきだろう。
 何を担保に抑える? 核兵器搭載の米空母、原子力潜水艦、三沢などに配備されたF16ジェット機等ではないのか。むろん対米従属政治の発想しかない、アソウとかオザワとかに、そんな政治的度胸が期待出来はしないが。。。。。。。。。。
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(休刊のおしらせ)連休を挟んで地方講演などあり10月12日―15日が休刊です。
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(読者の声1)論壇の鬼才・黄文雄さんの六時間ロングラン講演があります。しかも入場無料です! 
日・台関係 過去・現在・未来 六時間講演会
時間:2008年11月29日(土)10:00〜17:00
場所:拓殖大学茗荷谷本校 C館
主催:拓殖大学日本文化研究所
講師:黄文雄(歴史家、評論家)

(( 主旨 ))
台湾は5月の政権交替後、経済・主権は未曾有の危機に直面し、日台関係もますます混迷に向かいつつあります。現在・未来の日台関係はいったいどうなるでしょうか?
拓殖大学日本文化研究所の主催で、日台湾関係について講演会を開催いたします。
黄文雄先生は久しぶりに長時間の講演会を行いますので、日台関係に関心を持つ方々の奮ってのご参加をお待ちしております。

参加要領(講演会申し込み)
会費:無料 
ただし二次会:5000円(茗渓会館、当日受付にて先着順60名)
教室収容人数の関係で250名限定とする
参加申し込みは11月15日まで
参加者名連絡住所を明記し、FAXまたE-mailを下記の連絡先に
黄文雄事務所 FAX:03−3355−4186
       E-mail:humiozimu@hotmail.com
           *電話での申し込みはご遠慮ください。
           *当日、会場で図書販売も行います

第一部 過去      10:00〜12:00
 !)解明されつつある日台超古代史の謎
 !)台湾から日本への「海上の道」を探る
 !)DNAが語る「日台同祖論」
 !)台湾をめぐる日西蘭三国の争奪史
 !)大日本帝国がつくった近代の東亜世界
 !)台湾近代の中での日本
 !)台湾人精神史の中での日本文化
 !)台湾人の共通歴史記憶としての228の文化摩擦と文明衝突
 !)台湾民主化への道とその特質
 !)文化・文明史から見た日台関係
 !)戦後60年の日台関係史を見つめて
 !)台湾史観から日台関係史の新しい読み方

第二部 現在      13:00〜14:50
 !)台湾社会力の構造とその分析
 !)民進党が8年政権を喪った本当の理由
 !)国民党の脱イディオロギー化と内部矛盾
 !)国民党の党産問題の徹底解明
 !)国民党と民進党の力構造と変質
 !)台湾の対中投資の事情と現状
 !)語らざる台湾のブラック・マネーとキャピタル・エスケープ
 !)日米欧の中国からの資本撤退と台湾の西進の裏事情
 !)戦後60年来の日台関係の構造変化はここまで進む
 !)馬英九政権の対日米中の外交政策を読む
 !)米中台の妥協的産物としての「現状維持」のさまざまの解読法
 !)尖閣問題に見る戦後日本人の国家意識

第三部 未来      15:10〜17:00
 !)台湾をめぐる日米中の力学関係とその未来
 !)日台から中印露の新三国誌演義を読む
 !)戦後台湾最大の経済崩壊と国権喪失の危機はどこまで進む?
 !)どう読む?馬英九政権の台湾香港化の虚実と可能性
 !)国共合作はどこまで進む?
 !)馬英九は第二のロムヒョウンになるか?プーチンになるか?
 !)中国の対台湾経済超限戦の現在と未来
 !)中国軍拡の真の目的と日台への脅威
 !)台湾の未来の運命を決める三つのベクトルと日本の役割
 !)21世紀の台湾の国家と民族の条件と行く末
 !)台湾有事、その時、日本はどうする
 !)日本が選ぶべき21世紀の文明史的な戦略


(宮崎正弘のコメント)黄先生、すごいエネルギーですね。小生儀、二十年前に朝十時から午後四時というぶっ通し講演を二回体験しておりますが、ついでとばかり速記を入れて、原稿をおこし、単行本にしたことを思い出しました。
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(((((((( 編集後記 )))))))))
●8日は台湾大使主催の「双十節」。オークラホテル平安の間は1500名で超満員。ことしは国民党系で、馬英九総統の外交アドバイザー、元ドミニカ大使でもある憑寄台新大使着任挨拶のセレモニーも兼ねた。外務省からの出席は現職は不在なれどOBの大河原、栗山など歴代駐米大使が出席するのも面白い。岡崎久彦氏もいた。日本側のメイン・スピーカーは石原都知事だった。
 さて今回から過去八年の会と雰囲気ががらっと異なる。
何が? 看板から「台湾」の文字が消えて「中華民国」だけ。旗は中華民国の青天白日旗。つまり昨年まで「中華民国(台湾)」となっていた看板からも独立色が消えてイメージは「統一派」のものとなり、旗も台湾を象徴する緑旗が消えていた。にもかかわらず憑大使は日本語で挨拶し、羅福全、許世楷の元・前大使の歩んだ日本重視路線を継承すると演説した。
●昨年までの主役格だった台湾独立派からの出席はゼロに近い。金美齢さんも黄文雄さんも欠席。それも当然だろう。親台派議員も出席少なく、会員らのボイコット運動もあった。
さて会場ではマスコミ各社の歴代台北特派員と北京特派員もずらり。知り合いがあまりに多いので食事などしている暇もない。つぎつぎと話が弾むうちミッキー安川さん、高山正之さん、某、某。。。雨が最後まで降りしきっていた。この雨は民進党の涙に思えた。
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  • 名無しさん2008/10/10

    米国債デフォルト→AMEROになるのではないでしょうか?