国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/09/24


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)9月24日(水曜日)参
         通巻第2333号  
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 米議会荒れる。「ウォール街エリートの法外なボーナスを制限せよ」と民主党。
  共和党内の保守派は、意外にも救済案に強く反対、国民にも怒りと懐疑の大声
****************************************

 ポールソン財務長官とバーナンキFRB議長は9月23日、そろって議会(上院)銀行住宅都市委員会公聴会で証言に立ち、救済策の説明を行った。
 ポールソンは「火事場の投げ売りではなく、そこそこの価格を保証しなければ市場はますます混沌とする」と述べた。

 ホワイトハウスは「この法案が通過しないと米国経済はさらに悪化する」と議会に圧力をかけて救済法案の早期成立を促した。
ベン・バーナンキFRB議長は、「世界経済はいまも異常なストレス状況下におかれている」と発言し、雇用確保の重要性も説いた。

とくにバーナンキFRB議長は「市場の安定がいま一番求められている」とし、「もし現在の金融危機が長期化するとすれば、信用の収縮が拡大し、経済の回復・是正はさらに容易ではなくなるだろう」と発言した。

 上院議会は大荒れとなった。
ボブ・ベネット(共和党、ユタ州)は「何もしないという選択肢もある。しかし何もしなければ災禍は広がる」。
 
ダグラス・エルメンドール(ブルッキングス研究所。元FRBエコノミスト)は「騎士はやってくる。しかし、騎士は我々をどこへ連れて行くのだ?」

 「まだアイディアでしかない法案に巨額を投じる行為は愚かである」とほえたのは議会の有力者、リチャード・シェルビー上院議員(共和党、アラバマ州)。

 大統領選挙戦に巨大な陰を投げた。
 オバマ候補は「原則賛成であるにしても、規約を欠落させている法案は疑問だ」
 マケイン候補も、「かりにも納税者のカネをばらまくのだから(ポールソンが)『私を信じろ』と言うだけでは不十分だ」
 いずれもポールソン財務長官とバーナンキFRB議長への不信表明ともとれる。
 

▲院外団も黙っていない。
 
ニュート・キングリッチ元下院院内総務がテレビ番組で反対に回り、言論界でも与党陣営のなかから、ブッシュに楯を突くのはウィリアム・グレイダー(ワシントンポスト出身の作家)らである。
 「主要債権者の日本、中国も米国への投資に懐疑的となり、これ以上のカネをつぎ込もうとするだろうか? ブッシュ政権のプランはウォール街のエリートの延命でしかないのではないか」(『ザ・ネイション』、9月23日付け)

 「これではゴールドマンサックスの社会主義ではないか」と保守派のオピニオン誌。
 総合対策のために7000億ドルもの巨額を出費しようとしているブッシュ政権。ところが7000億ドルの救済策に反対している顔ぶれは共和党保守派が多い。
つまりは市場原理主義の基本を守れと言っているイデオローグらである(7000億ドルは、不良債権算対の5%である、ともバーナンキFRB議長は証言している)。

 「議会への説明書はたった3頁しかなく、しかも如何にして救済するかという肝心要のスキームに関しては何も説明がない。要するに『金を出せ、いますぐ。でないと後で何が起きても知らないぜ』と脅しているかのごとき、しかもこの政策を実行する責任者は訴追から免れるという特別条項だけはちゃんと挿入している」と前出のウィリアム・グレイダー。

 一部には『大統領選挙の土壇場で民主党路線のごとき、社会主義的ばらまきは、経済的クーデタ』という声も聞かれる。
また「これまでの投資家の自信を回復させようとしての小手先の政策はすべて失敗した。住宅ローン債権はほぼジャンク債となり、証券のみならず、銀行も資金不足、あたらしい貸し付けが出来ない。これぞ1929年の恐慌前夜の状況と酷似してきた」と保守派の意見が並んでいる。

リベラル派も、このイシューでは奇妙にも保守原理主義と肩を並べ、以下のように批評している。
「つい先日まで『金融危機の暴発を食い止め、恐慌を封じ込めた』と発言していたのは、ポールソン自身ではないか、その舌の根も乾かない裡に7000億ドルもの空白手形をポールソンに任せろということだ。信じろというのが無理」というのは、ワシントンの経済政策研究リベラル・センターのディーン・ベイカー共同会長。

金融専門家さえ、こう言う。
「これはまるでメロン財閥とロックフェラー財閥などの名門クラブが彼らの利益のためにだけ決めた政策の再来に似ている」。

ともかく、金融不況は長引き、7000億ドルの救済は新しい展開の始まりに過ぎない。
「保守とリベラルのイデオロギーを越えた、次の新しい発想が生まれ出るだろう」(ディビッド・ブロック、NYタイムズ23日コラム)。


▲野村證券はシンドバッドの冒険

 同日、欧州マスコミを派手に騒がせたのは野村證券だった。
 リーマンブラザーズの「アジア部門」買収に続き、野村證券はリーマンブラザーズへの出資を拡大して欧州、中東部門も買収すると衝撃的、冒険的発表を行ったからだ。

英紙フィナンシャルタイムズなぞ「2500人の雇用もそのままに」と、日頃の辛口な日本批判を忘れて、救世主騎士団代表の日本を英雄視する論調を展開した。
ついでに言えば中国新華社もこのニュースを辛口を交えて報じ、「(奇貨に便乗し)日本の金融巨魁、(ウォール街へ)乱打入」とした。
     ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)貴誌前号の「この土壇場で欧米金融界には亀裂がはいった」。
にもかかわらず、貴見によれば、日本は踏まれても、踏まれてもドル一筋ということですね。以前から貴台が言われている通り、主権としての「円」の自意識は、日銀にも政府にも政権にも無い、ということですね。(SJ生)


(宮崎正弘のコメント)ドル一辺倒。日米安保条約で自国の安全を他人に任せているわけですから、自嘲気味にいっても精神の独立を失った日本! 経済主権というのは、金利を自分で決める権利。為替を自分でコントロールできる権利。特許を、秘密条項を作ってでも守る権利など。どれ一つ、日本は行使していないのですから、ドル一辺倒に対して、不感症ということになったのでは?



   ♪
(読者の声2) いつも貴重な情報をありがとうございます。
一つ、疑問がございます。
 サブプライムに端を発する金融危機ですが、2006年秋頃にポールソン氏が、米国の世界経済牽引は2007年夏頃までだろうと予告し、その通りになりました。
 民間金融機関である「FRB」を運営する「ニューヨーク連銀」の株主の半数以上は、欧州の金融機関です。残りの株主もユダヤ系です。
 一連の金融危機は或る目的に向かった芝居のようにも感じますが、如何でしょうか。
   (TH生)


(宮崎正弘のコメント)「ウォール街のエリートの延命のためのプラン」という批判が米国でも広がっていて、そのような性格の側面があるでしょうね。
 ご指摘の示唆、ユダヤ主導説ですが、これはあり得ません。



  ♪
(読者の声3)いつも良質な情報、ありがとうございます。つい一昨日まで台湾旅行3泊4日に行って参りました。
 八田與一の造った烏山頭ダムを見たこと、および彼の業績の内容ビデオを記念館で見たこと。228紀念館で案内人の陳さん(80歳)から台湾80年の話を聞いたこと。
「日本の統治50年は夢のような(素晴らしい)時代でした」と語った。
そんな事情は全く知りませんでしたから、呆然でした。
 羅福全(前大使)、蔡焜燦(台北市李登輝之友会、名誉理事長)、黄昭堂(台湾独立建国連盟主席、76歳)の3人の話を90分くらい聞いたこと。まことに立派な話で日本にこんな人達がいれば、と思いました。
 いずれも大変勉強になりましたが、台湾の歴史を私は全く知らず、汗顔の至りでした。これを機に台湾の事情もしっかりと調べます。
   (AO生、伊豆)


(宮崎正弘のコメント)羅福全元駐日大使は早稲田大学に学んだ後、アメリカへ留学、事実上の亡命先から日本の国連大学へやってきた逸材。祭さん、健康状態が悪いと聞いておりましたが、会合に出られるまでに回復しましたか。安心しました。いつも、きついジョークを連発する得意技があります。
黄昭堂先生も前の許世楷大使らとともに日本亡命33年、世が世なら台湾総統ですが。
 小生儀、もちろん参人ともよく存じ上げています。
台湾は戦前の日本的な情緒が残り、あの時代の日本人らしき価値観を大事にしてくれている。ですから何時行っても心が和みます。
 八田さんのダムの人工湖、ボートを浮かべると、すばらしい景観ではなかったですか?
  ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(休刊のおしらせ)小誌は海外取材のため9月26日―30日が休刊予定です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
☆み:*:'☆や.:*:'★ざ:*:☆き.:*:☆ま:*☆さ:*:'☆ひ*:'★ろ:*:☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪♪♪
宮崎正弘の最新刊予告

『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
 25日ごろ、主要書店に並びます。1680円。256頁、上製本
 (予約は下記アマゾンのページから)
http://www.amazon.co.jp/dp/4584131007/

  ♪♪
好評発売中!
(↓下記書籍はすべてアマゾンから申し込めます。送料無料)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4890632298/
  
 宮崎正弘『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
      (全332ページ、写真多数、定価1680円)
宮崎正弘『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 
宮崎正弘・黄文雄共著『世界が仰天する中国人の野蛮』(徳間書店、1575円)
  ♪
 宮崎正弘のロングセラー
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
     ◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
 ◎小誌の購読(無料)登録は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
 http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2008 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2008/09/24

    日本の教育も訳の分らない韓国に合わせる事無く日本の教育を堂々とやるべきでしょう、戦後のハングル教育で昔の歴史書も読めない韓国を見るより台湾に行き日本人の遺跡を見るだけで戦後の教育かの呪縛が解けるでしょう。

  • 名無しさん2008/09/24

    10月の金沢での講演会の予定を教えて下さい。是非駆けつけたいと思っていますので。石川在住者より