宮崎正弘の国際ニュース・早読み
発行日:9/3
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年)9月3日(水曜日)弐
通巻第2307号
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グルジアを侵略したプーチンは1938年のヒトラーの顔に似てきた
英米、NATOはグルジアの苦痛を遠くから見ているだけなのか
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1938年(ちなみに昭和13年)九月だった。
ちょうど70年前である。
英仏独伊の四ケ国首脳がミュンヘンにあつまった。英国からチェンバレン、ドイツはヒトラー、そしてイタリアからはムッソリーニ。
会議はヒトラーが強硬に主張していたチェコのズデーテン地方の割譲を巡って協定を結ぶために開催されたもので、チェコはもちろん拒否したが、ヒトラーの圧倒的軍事力を前にイタリアに介入を依頼した。
当時、英仏とロシアはチェコ支援条約などを結んでいた。
列強は無力だった。
ヒトラーはチェコのズデーテン地方をまんまと懐にした。
この動きをみたハンガリーとポーランドも、チェコの地方割譲を要求した。チェコはばらばらに解体されてしまった。
そして70年の歳月。
2008年8月8日、プーチンは北京五輪開会式に涼しい顔をして臨み、一方ではグルジアへの軍事侵攻を命じていた。
そしてグルジア領内の南オセチアとアブハジアの独立を承認した。
グルジア難民およそ百万人。グルジア経済はロシアからのガス供給で成立しており、しかしグルジアのサアカシビリ大統領は、なんとしてもNATOに加盟し、西側の一員として国際社会に認知されようと獅子奮迅の努力をしてきた。
ロシアの圧倒的軍事力の復活を前にしてドイツもフランスもイギリスも、そしてイタリアも、肝心要の米国も、なにもできずにうろたえ、リップサービスでロシア軍の撤退と、南オセチア、アブハジア独立承認の撤回を要求しているだけである。
▲EUは何もしない、何もできない、「だってガスはロシアから来ているから」。
EUは緊急会議を開催した(九月一日)のに「ロシアへ経済制裁は行わない」とする決定をしたのみ、グルジア国民をひどく失望させた。
ロシアにおいてはグルジア労働者襲撃(殺されたグルジア人60名以上という報道がある)、グルジアレストラン襲撃事件がおきてロシアの異常なナショナリズムが爆発している。
ブッシュは「ロシアの軍事行動は主権国家を踏みにじる行為」となじり、支援艦を黒海へ派遣し、さらにはチェイニー副大統領をグルジア、ウクライナを訪問させるだけでジェスチャー演技のテレビ政治を行ったとはいえ、軍事的対決を巧妙に避けた。
七十年前の国際社会の縮図がカフカスの南で、国際社会のテレビ報道の前で堂々と繰り返されている!
次はグルジアの独立そのものが犯される危険性がある。
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(読者の声1)いつぞや貴誌を「早読み」ではなく「早すぎ」と揶揄調に比喩した読者がいましたが、早期警戒情報的な情報発信メルマガとしては、すばらしい貢献をしていると思います。
昨日つけのパキスタン情勢も、日本のマスコミ分析がほとんど無い時点でブッド元首相の夫が優勢という最終情勢は、はじめて知りました。
また米国共和党の副大統領候補ペイリン女史が新鮮なイメージで参戦したために「共和党にも勝機」という分析も「へぇ」と思いました。
或る保守系評論家の意見では、マケインが勝利するだろうと希望的観測を獅子吼するだけなので。つまり、共和党に勝ってほしいと念じるばかりに共和党有利とミスリードする保守系メディアのなかで、冷静に事態を分析する態度は冷たい気もしますが、大事なことではないかと思い筆をとりました。
(UU生、山形県)
(宮崎正弘のコメント)思いこみ、思い入れの報道が日本ではいかに多いか。たいそう危険なのですが、外国にいる、多くの特派員の質を見ていますと。。。
♪
(読者の声2)ムシャラフ(パキスタン前大統領)について。
もし日本の首相や外相に見識があれば、彼を潰すことが、短期的にも中期的にもいかに失策かを米国大統領か国務長官に伝えたでしょう。
彼が退陣したことによる空白がもたらす負の反動は恐ろしいものがあります。
ブットの亭主程度の人材しかいないところに、パキスタンの哀れさ。そして何をカン狂いしたのか、ブッシュの切り捨てに見るリアリズムの軽薄な非情さ。ムシャラフが求めても電話にも出なかったとか?
インド洋上での給油を継続しても、パキスタンの政情が不安定になれば効果は半減どこではないはず。
ムシャラフの存在でからくも洋上補給の意味もあったわけで、両者は連動していることを辞任表明の福田や民主党の小沢代表はわかっているのか?
公明党はこの際は論外ですが。
(SJ生)
(宮崎正弘のコメント)パキスタンの地政学的重要性がわかれば、おのずと日本の外交の対応も異なるのですが、本当に永田町と霞ヶ関は「机上の空論」派ばかりで。
ブッドとスーチーは同じ穴の狢。欧米の価値観と土着の価値観の違いがわからない政治家のことを戊辰戦争のころの日本でも[天誅]と言って発言を封じましたが。
日本は言論の自由と暴力の排斥、ほかの国々や地域には言論の自由は存在しないか、政府系のメディアしかなく、政治の本質は暴力であり、それが政治文化の本質であり、しょせん、日本人から見れば理解しがたい事象の連続というわけです。
♪
(読者の声3)貴誌通巻第2305号WN氏の(読者の声1)への宮崎さんのコメントに、「日中経済はお互いが抜き差しならない状況というのはその通りですが、中国の仕掛けた『巻き込み』にふらふらと乗った日本企業、それを背後であおった政府、外務省とマスコミ。責任は中国だけにあるのではなく、日本の無自覚的な認識力のなさ、にあります」(引用止め)
とあります。
当件に関して興味深い記事を見つけました。
学士会会報2008年第五号にある「最近の中国情報」と題した阿南前駐中国大使の学士会館での講演録です。
阿南氏は駐中大使時代中国政府の横暴に対して何もしなかったと批判されました。しかし、退任後に行なった講演ではかなり中国に批判的な発言をしているとも報道されていました。
この講演録をパラパラとめくってみるとそこに書かれているのは宮崎さんのメルマガをコピーしたのかとも思えるほど辛らつな発言の連続です。
最終章は「おわりに」と題され、その書き出しは、「本日は中国の実情を、光と影と言えば影の部分を強調してお話ししました。。。。」とありますが、講演録の内容からするとこれ
はかなり控えめな表現です。
要するに判っていても現職の間は何も表立ってできないのでしょう。いや、陰では大いに努力していたのかもしれません。いやそうに違いないと思いたくなります。日中問題には判っていても本音どおりに行動することをとめる恐ろしく大きな化け物が巣くっているようです。
現在、阿南氏は新日本製鐵顧問ですが、大使時代とは違って本音を実際の行動、発言反映して新日本製鐵の対中ビジネスに貢献していただきたいとおもいます。
(ST生、神奈川)
(宮崎正弘のコメント)某大使を思い出しました。某大使は歴代のなかで「一番、中国にモノを申した」と評判だったので、保守系陣営が講演に呼んだことがありました。
小生もなぜか、会場で聞いておりました。某大使は、話半ばで「こんな反中国の本が出ている」と真っ先に小生の著作を取り上げました(爆笑)。
ご指摘の「講演録をパラパラとめくってみるとそこに書かれているのは宮崎さんのメルマガをコピーしたのかとも思えるほど辛らつな発言の連続」という箇所、思わずうなりますね。なぜ現職時代、あれほどの媚中派だったのか、と。
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阿南前駐在大使ですが、中共と交渉すれば物凄いストレスを感じていたと思います。それでも媚中姿勢を取っていたのは外務省の中国派の利権を考えての行いだったんでしょうね。やっぱり一回外務省は解体すべきだと思います。
2008/9/3
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発行者プロフィール
宮崎正弘
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/
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