国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/09/02


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)9月3日(水曜日)
通巻第2306号 
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 パキスタン大統領選挙、ザルダリ(ブッド元首相の夫)が優勢
  ムシャラフ前大統領は事実上の禁足状態、イスラマバードで事態を静観
****************************************

 ムシャラフ前大統領は「大統領弾劾」を回避するために大統領職を辞任した。国民の辞任要求圧力による、というより欧米がムシャラフ前大統領を見放したのだ。
ムシャラフ前大統領は米国のアフガニスタン空爆で空軍基地を貸与し、イスラム過激派から常にテロの標的とされた。
また軍の情報部はムシャラフに忠誠を誓わず、情報が時としてタリバンへ漏れた。ムシャラフはインド生まれで、パキスタン主流のパシュトン族出身ではなかった。

辞任へ追い込んだのはPPP(パキスタン人民党=ブッド派)とPML−N(イスラム教徒連盟シャリフ派)の連立作戦だった。
大統領弾劾要請は司法界への政治介入、とくに最高裁裁判官を罷免したことは独裁であるとする批判からだった。

 ところが二大野党は、大統領辞任を獲得するや、連立を解消し、分裂選挙となった。

 PPPはブッド元首相の夫であるザルダリが暫定党首となり、大統領へ立候補、かれはその昔「ミスター10%」と呼ばれたほどに汚職の噂が絶えず、ムシャラフ前大統領によって起訴収監された。
監獄に合計十一年間を過ごし、拷問で精神状態が異常を来したとの評判があった。

 シャリフ元首相は、99年無血クーデタにより、パキスタンを追われ、ドバイ、サウジアラビアなどを転々としていた。
 混乱する政治情勢に欧米のつよい圧力で民主選挙を強いられ、ムシャラフは渋々、シャリフの帰国を許した。
同時にブッドも帰国して昨年師走にカラチを遊説中に暗殺された。
 
シャリフ率いるPML−N(イスラム教徒連盟シャリフ派)は、その元最高裁判所長官のシデグィを大統領候補に立てた。

 ムシャラフ前大統領は辞任に際してドゴールの言葉を引用し「世界の墓場には避けることのできない人々で満たされている」と言い残し、サウジアラビアか米国へ亡命すると見られたが、野党が分裂したことによって、プール付きのイスラマバード豪邸にとどまっている。
選挙後、米国へ出国するだろう、という噂が絶えないが。。。
 またムシャラフ派からは党首が大統領選に立候補しているが、当選の圏外にある。


 ▲米国は静かにザルダリPPP支援の様相だが。。。

 さて、米国は漫然とザルダリを支援している風情がある。
 とくにザルダリと親しい米国国連大使は個人的にザルダリに肩入れしており、国務省から「中立であるべき」と忠告を受けているという(ヘラルドトリビューン)。
米国のスタンスはブッド元首相支援の延長であり、欧米理解派とならば、アフガニスタン作戦の継続が可能と踏んでいるからだろう。

 ザルダリの問題は精神障害が完治したのか、どうか。
 ワシントンタイムズのボルシェグレィブ編集局長は「フィナンシャルタイムズの精神医療専門ライターが、裁判記録を取り寄せての陳述記録を精密に検査した結果、とくに再発のおそれは低いと結論しているようだ」と書いた(同ワシントンタイムズ、8月29日付け)。

 投票は九月六日、土曜日。世界が注目している。
日本の首相が誰になろうと外交政策も経済政策も変更はないが、パキスタンの結果は米国やNATO加盟諸国を揺らす。安全保障と地政学に立脚すれば、日本の政局報道より遙かに重要である。
 八個の核爆弾を保有する軍事大国でもあるからだ。

    ▽
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
##MI##YA##ZA##KI##MA##SA##HI##RO#####
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)以前、読者欄にでた、「大前研一氏は中立的な考えを持つ知識人だが、極右的な傾向が強い雑誌に『実効支配を認める』という主張が掲載されるのはきわめて異例だ。」との(X生)氏の、大前氏評と『SAPIO』評は一寸違うような気がします。
「大前研一氏は中立的な考えを持つ知識人だが」、と評されていますが『中立的知識人』とはどう言う考えを持っておられる人のことを謂うのでしょうか。『国家感』を持った輿論の人と謂う意味でしょうか。
彼の場合、遺伝子がその様に指図するのかどうかは解りませんが、著書も然ることながら講演等においても『日本国』に対する『国家観』など微塵もなく、己の金儲けのためだけに蠢く『拝金主義者』を増殖しています。
一方では『反日』工作員か、と見紛う様な他国が利する論を巧妙にぶち上げている。
 この種の人は他にもいて大物と言われている政治家達に潤沢な『大金』で深く食い込んでいます。
実名を挙げるまでもなくご存知のことと思います。『SAPIO』への掲載は愛読者への正体告知であって『正論』者としての扱いではないと思います。
その証拠に次項頁には必ず『正論』者の論が、対比として掲載されている筈です。例えば西尾幹二氏とか。
『論座』にも時折り『正論』の方達が登場されますが『論座』愛読者達は「何で右翼を登場させるのだ」、などと騒いではいないと思います。
掲載は、彼の正体を広く知らしめるために大変有効である、と素浪人は思っています。
それにしても『SAPIO』が“極右的”な傾向が強い雑誌、と捉えておられる(X生)氏の様な偏向志向の方がおられることに逆の恐ろしさを感じ取っています。
無学な素浪人として一言申し上げます。勉学的に優秀な経歴を有しているとしても、又、唸るほどの大金を有していたとしても、その御仁が必ずしも『日本国』への愛国心を持った『国家観』を有しているとは言えません。目暗ましに騙されないように心したいものです。彼を信じた『ダスキン』は倒産の危機を被りました。  
    (九州素浪人)


(宮崎正弘のコメント)朝日新聞が出していた『論座』のことで思い出しました。『月刊現代』も年内で休刊です。『現代』は講談社の看板雑誌ですが、売れ行き急減の由です。
これで左翼系月刊誌で残っているのは『世界』だけですが、これは天然記念物、なにしろ図書館にはいっていても、誰も手にも取っていない。
 かといってサピオ、ボイス、諸君、正論、WILLなど保守雑誌オンパレードに見えても、熱狂的な売れ行きがあるわけでもなく、まだ一波乱、ふた波乱ありそうです。

       ◎◎◎◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
####MI##YA##ZA##KI##MA##SA##HI##RO##
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
宮崎正弘の最新刊
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
   (全332ページ、写真多数、定価1680円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4484082187/
(上記サイトから申し込めます。送料無料)
 
『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 重版出来!
(↓下記アマゾンから申し込めます。送料無料)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4890632298/
  ♪♪
宮崎正弘・黄文雄共著
『世界が仰天する中国人の野蛮』(徳間書店、1575円)
  ♪
 宮崎正弘のロングセラー
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
    ◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
 ◎小誌の購読(無料)登録は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
 http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2008 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2008/09/02

    貴重な情報をいつもありがとうございます。とても参考になります。

    ところで大前研一氏が話題になっています。

    私にも一言言わせてください。

    それは氏の設立した一新塾という政策学校のことです。私はそこの第12期卒業生ですが、その内容には失望しています。

    まさに左翼の活動拠点というべきもの。

    代表の青山貞一は”拉致問題について、それを悲しむならまずは日本国の過去の行為を反省すべきだ”と主張するとんでもない御仁です。青山のホームページに堂々と述べている。同じく代表の片岡勝は授業で”日本には世界に誇るものがなにもない。もしあれば挙げてみろ”と力強く述べている。

    こういう連中を大前氏は代表に選んだのです。大前氏の歴史観・世界観がわかるのではないでしょうか。私は卒業生のメーリングリストの中で塾のありようがおかしいと主張していると、ある日風紀を乱したとかで主催者から突然に除名されてしまいました。

    真に不愉快な塾です。



    神戸市在住の藤木克重と申します。