国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/08/31


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)9月1日(月曜日)
通巻第2303号 
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 あの親中派代表格の米財務長官も「中国経済は危機に瀕するだろう」と認識
  「都市化と賃上げがエネルギー不足を深刻化させる。資源が底をつく」
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 米国財務長官の現職は歴代随一の親中派として知られるポールソン。
 「中国はまずます繁栄を続行するだろう」と言うのかと思ったら正反対の論文を最近号の『フォーリン・アフェアーズ』に書いていることがわかった(NEWSMAX、8月25日)。

 趣旨は「都市化と賃上げがエネルギー不足を深刻化させる。資源が底をつく」とするもので、詳細は以下の通り。

 「中国は深刻なトラブルに直面しており、五輪以後の国際的な関心は中国の国内経済の行方に移っている。とくに労働力の都市への移行(中国は都市化が40%から45%になった。ちなみに欧米は75%)と賃上げが顕著。他方で貧富の差が拡大しており、エネルギー不足に原材料、食料不足が加わる。やがて中国経済が米国を越えるというのは悪い冗談。すでに一億人が農村から都市へ移動したが、これに高齢化社会が2015年からは中国の労働力も下降に入る。ましておいしい、きれいな空気も水もなく、農地が減少している。すなわち深刻なトラブルにある」と。
 (拙訳により大意を意訳)

 ちなみに都市と農村の賃金格差は公式統計で3・3vs1(中国農業部長)。
 07年統計で、農村から都市への出稼ぎは2億2600万人(このうち郷鎮企業が吸収した農民が1億5000万人。この数字は新華社)。
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(読者の声1)貴誌通巻第2302臨時増刊特大号で西村真悟議員が「。。。気になるのが、インド洋ソマリア沖での海賊による日本タンカー乗っ取りである」と書かれていますが、同感です。
こういう重要な問題を日本のマスコミや政界がとりあげないのが不思議です。
独立後の米国が英国海軍の保護を受けられなくなりました。これは、由々しき事態です。
日本ではあまり知られていない地政学上とてつもなく重要なことですが、米国政府が独立の海軍力が充実するまで海賊にみか締め金を支払っていました。
ここ十数年来、私が主張している解決策があります。日本船籍の大型商船および小型でも貴重品を運んでいる輸送船に自衛隊員と銃器と観測機器を載せることを法律で義務付けるのです。
その結果、
1.日本船籍の安全が保たれる。
2.自衛隊員の実地訓練になる。
3.日本船籍の商船の保険料が下がる。つまり輸送コストが下がる。
海賊退治に役立つと歓迎する国も多くあるとおもいますが、自衛隊員の乗船や武器の搭載に反対する国もあることでしょう。
さしずめ日本との貿易量の多い国の中では中国が真っ先に反対することでしょう。そうしたらこう返答するのです。「了解しました。では、海賊が襲ったらすぐに発見でき対応できるよう、尖閣諸島に海上保安庁の基地を造ります」と宣言して、強力なレーダー付きの基地を造るのです。
要員は海上自衛隊から出向させればよいのです。
このレーダーで得た情報は、米軍には垂涎の的でしょう。これは、今後の日米間外交交渉の強力な武器となります。
   (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)「倭寇」を日本人海賊と勘違いしている向きが多いのですが、初期の倭寇は、たしかに日本人が指導者で乗組員がシナ人も多かった。後期倭寇は、日本人を偽装したシナの海賊でした。



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(読者の声2)米大統領選挙の記事、とても興味深く拝見しました。わかりやすい言葉で、要点がコンパクトにおさえられていて、読みやすかったです。今アメリカで起こっていることを、リアルタイムで読み解くための強力なサポートをしていただけているようで、本当に助けになります。
   (Y生)


(宮崎正弘のコメント)日本の大手マスコミが、いつもアメリカ大統領選挙で予想を大きく外す傾向があります。第一に特派員の多くがNYタイムズなど北東部のリベラルな新聞の後追いが多いため、気づかない裡に民主党有利の記事を書いていることです。
第二に日本の特派員はワシントンやNYにいても、記者クラブというムラに住んでいて、独自取材が不得手。積極性がないのが致命傷ですね。もちろん産経の古森さんとか、例外もたくさんいますが。。。。
第三は共和党との人脈が極端に薄いためです。まして特派員の多くの日本人が本質的に民主党リベラル支持派ですから、その分析が偏向しているのです。



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(読者の声3)私は雑誌『諸君!』も郵便で購読しておりますので、いつも発売日の前日か前々日に自宅に届くので広告の出る前に、ほぼ読み終えています。で、今月の『諸君!』ですが(1日発売の十月号)、古森義久氏が北京五輪の総括をしていて、それなりの面白いのですが、宮崎先生がすでに開会式直前にレポートされた『週刊朝日』(8月15日号)の記事と、観察する視点が同じなので驚きました。
地下鉄で席を譲られた驚き、開会前にボランティアも警備員も疲れ切っていた話など。ひとつだけ宮崎さんがかかれていないことを古森さんが、伝えています。それは中国の女性がたいそう美人になったということでした!
 この分析はいかがですか?
    (UU生、川口市)


(宮崎正弘のコメント)ははは。小生は中国女性が美人になったというレポートはすでに五年前の『中国で本当はなにが起きているか』(徳間書店)などに書いています。
 複数の中国人男性に聞きました。
 「資生堂など化粧品の普及か?」と質問したら「違う。食べ物がよくなったからだ」という回答が圧倒的でした。開会式や授賞式に出てきた『美女軍団』は多く整形ですが、最初からの美形も増えた。飛び込みの郭昌昌が、その代表ではありませんか。
 あのクラスの美人は北京や上海の町を歩いているとゴロゴロいますよ。いやひょっとして全体の体型などのバランスを考えると、いまや中国女性のほうが日本人女性より美人が多い。
意外でしょうが理由は、中国人は朝もきちんと食し、日本のヤングのようにスポーツ飲料で朝飯をすませたり、昼を抜いたりの偏食をしないからでしょう。痩せた体型が美人という審美観は、いまや日本独特の考え方ではないでしょうか。
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(((((((( 樋泉克夫のコラム )))))))

【知道中国  183回】                   
   ――毛沢東革命のカラクリ・・・土地改革の実態
          書評:『私は中国の地主だった』(福地いま 岩波書店 昭和29年)

 明治大学法学部に在学中の福地は、昭和8年、ある中国人留学生と結婚する。
やがて北京に渡った後、南京の中央大学に転じ日本語教師として働く。2年後の1947年、彼女は「夫とともに夫の郷里の四川省達県に」移り住むことになる。
夫は先の四川大地震震源地の東に接する達県に地主の御曹司だった。彼女は「夫と死別し、やがてあの驚天動地の革命に遇った」。「驚天動地の革命」とは共産党による革命であり、毛沢東率いる共産党が中国農民の心を掴み取り農村に影響力を拡大するキッカケになったといわれる土地改革である。
 
当時、日本では土地改革ということばが醸しだす美しい響きのみ伝わり、その実態についての確かなナマの情報があまりにも少なかった。
そんな折の昭和28(1953)年、たまたま帰国した福地は中国研究所、東京大学東洋文化研究所などでの座談会に出席し、政治・経済・法律・農業・歴史・婦人問題などの専門家を前に四川省での体験を話す。
当然のように専門家の多くは疑問を持つ。それに福地が応え、さらに捕捉し、この本ができあがった。
つまり四川における地主と小作人の関係、四川に進駐してきた共産党軍の実態、農民協会の活動、地主に対する圧迫、共産党政権基盤確立の反帝・反革命鎮圧運動、建国直後の共産党政権を痛撃した朝鮮戦争、農民への土地配分、新中国における婦人問題と新婚姻法、新しい時代の激流に呑み込まれる地主とその家族――いいかえるなら毛沢革命の実像を、この本は明らかにする。
未曾有の時代環境の激変を名もない中国人がどのように生き、そして死んでいったのか。福地は自分のありのままの体験を、つつましく語りだした。

 地主から取りあげた「土地の分配が終わると、家屋の分配をして、その結果無産階級は突然有産階級に変わって来ます。・・・衣裳箱、テーブル、椅子、鍋、釜、湯沸しから花瓶まで分配されて、大はしゃぎです。・・・家族の多い農民たちは急に大金持ちになりました。
また農民以外の無産者も農民と同じ待遇でしたので、みんなは大喜びで毛主席を神様のようにあがめて毛主席と共産主義を信仰し始めました。
たしかに一生涯祈っても与えられなかった財宝倉庫を、毛主席から頂いたわけで、他の宗教などきれいさっぱりと投げ出しました。神様なんてどこにいましょう。起きるにも寝るにも毛主席です」との福地のことばにウソ偽りはないだろう。
ここに毛沢東革命の実態を解き明かすカギが隠されているようだ。土地を与えてくれたからこそ毛沢東を、貧農はカミサマと奉った。ただそれだけ。

 共産党は四川省で2年ほどかけ土地改革を進めた。
これに対し「打倒されるべき地主の側にあった著者」は当初は嫌悪感を隠さないが、「あとになるに従って共感のそれが大きくなっていく」。「土地改革の各段階で反発し、動揺し、また共感する著者の心情」から文献では知りようのなかった当時の農村の現実が想像できるが、半世紀以上が過ぎた現在伝えられる中国農村の現実と大差ないことに驚愕せざるをえない。
革命、革々命、革々々命。

 土地改革の裏側で地主たちが舐めざるを得なかった悲惨な現実は、「革命とは客を持て成すように、おしとやかで慎ましいものではない」と嘯く毛沢東の冷酷さ、中国政治の非情さを明らかにする。
それにしても“天下の岩波”が毛沢東革命の実態を赤裸々に暴露・告発した内容を持つこんな本を出版していたとは奇跡そのもの。
百聞は一見、いや一読にしかず。およそ中国に関心を抱く者にとっての必読書。再復刻を切望したい。
《QED》

(ひいずみかつお氏は愛知県立大学教授。華僑と京劇の研究では第一人者)。
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<< 今月の拙論 >>
(1)「先のビジョンが不明の北京」(「北風抄」、『北国新聞』、9月1日付け)
(2)「五輪後の中国を襲う事態とは何か?」(『テーミス』十月号、発売中)
(3)「唐突な中ロ国境紛争解決は経済的理由」(『経営速報』、9月5日号)
(4)「偽装国家中国の偽装五輪」(石平氏との対談。『WILL』10月号、発売中)
(5)「西安遷都説を追う」(『月刊日本』九月号、発売中)
(6)「北京の新名所」(『共同ウィークリー』、9月1日号、発売中)
(7)「中国経済はこれからどうなる」(『サピオ』、9月6日発売)
(8)「宴のあとの中国は大丈夫か」(『コーロン』十月号、9月10日発売)
(9)「パル判事の日本無罪論論争」(『自由』10月号、9月10日発売)
(10)「中国当世結婚離婚事情」(『新潮45』十月号、9月18日発売)
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宮崎正弘の最新刊
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
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『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 重版出来!
(↓下記アマゾンから申し込めます。送料無料)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4890632298/
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宮崎正弘・黄文雄共著
『世界が仰天する中国人の野蛮』(徳間書店、1575円)
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 宮崎正弘のロングセラー
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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  • 名無しさん2008/09/01

    樋泉先生が紹介して下さった『私は中国の地主だった』は、今アマゾンで500円からの出品が数点ありますね。私は幸いなことに、近所の図書館で1984年版を借りだして読めますが、そうもいかない方は復刊ドットコムでリクエストしてみるのが良いかもしれませんね。

    中国に対する感心がとみに高まっている今のうちに、復刊の機運をつくってしまえると良いですよね。