国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/08/28

▲小誌、創刊3000号を迎えました
▲小誌、登録読者12130名!
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)8月29日(金曜日)
通巻第3000号  <創刊三千号記念大増頁号> 
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 五輪大成功と自画自賛の北京は「勝因はすべて社会主義の正しさにあり」。
   金メダル報奨金に群がった拝金主義が勝因だったのではないのか?
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 北京五輪が大成功に終わったとして共産党の自画自賛の弁がふるっている。
 「これらはひとえに社会主義という中国の特色による勝利である」と。

 第一に社会主義体制であるから、448億ドルもの大投資が可能だった(当初420億ドルに追加予算28億ドルは主として警備に回った)とする宣伝だ。
 これは過去百年の五輪史上、最大規模の投資であり、しかもG8加盟国で最貧国の中国が最大の投資ができたのは民意を反映し、媒体を総動員できた社会主義であるが故である(嘘つけ。民意を封殺し、予算の反対論を圧殺し、マスコミを五輪一色に統御したからではないのか)。
次期ロンドンは117億ドルの予算が議会を通らず、五輪施設地は貧困層の住宅地区再開発となる。

 第二は社会主義であるがゆえに人民は五輪に奉仕したという悪質な自画自賛。
金メダルへの報奨制度も、挙国体制を構築するのに役立った。社会主義の正しさが証明された証拠は、社会主義をやめたソ連がたちまち金メダルから遠のいたではないかと北京は獅子吼している。
 (嘘つけ。本質は拝金主義の勝利でしょうが。。。) 

 第三に開会式に関して西側がつべこべ言っているが、整然とした大動員が可能だったのも、社会主義だからではないかと豪語している(そうそう、マスゲームは北朝鮮が世界一ですからね)。
 CG花火も口パク少女も、「少数」民族を演じた漢族も、軍が大動員の開会式ならではの風景でした。

 しかしもしそうであるのなら、過剰警備にもかかわらず起きたテロ事件や社会不安、インフレ。旅客激減、ホテルがら空きも社会主義の勝利ですか?
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イラクの治安悪化? 「そんなの関係ない」
   中国、外資の石油鉱区再開発契約に一番乗りか
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 やはり神経が図太いのか、それともリスクをともなう人の死には不感症なのか。
 治安が回復しない物騒地帯のイラクへ勇躍、石油鉱区再開発に一番乗りしそうなのは中国だ。

 イラク石油相が北京を訪問した直後、或るプロジェクトが浮上した。
 シノペック(中国国有石油企業)は1972年にサダム・フセインとの間に交わした鉱区開発プロジェクトをふたたび俎上にして辛抱強い交渉を続けてきたが、どうやら契約寸前の段階らしいと英「フィナンシャル・タイムズ」が伝えた(28日)。

 同紙によれば、シノペックはバクダッドから160キロ離れたアルアダブ鉱区の開発に30億ドルを投じる。
契約は20年間の長期で、一日10万バーレルの石油生産が見込まれているという。

欧米の名だたる石油メジャーがイラクテコ入れに遅れをとっている理由は治安回復の遅れが原因と言うより、イラク側が提示している契約内容だという。
要は生産量に比例する株式配当形式ではなく、鉱区の埋蔵量に関係なく開発企業はイラク政府にサービス料を差し出せとするもので、石油が噴出しなければまったく不利となり、欧米メジャーはこの内容での契約履行に応じていない。

 中国はその隙をねらってさっさと一番の契約を取り、契約の中身なんぞ、あとでどうにでもなるさ、とばかりにことを急いでいる。
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<<<< 今週の書棚 >>>>

 中国のこれからを多角的視点から論じた三冊
   青木直人『北京五輪後に何かが起こる』
   黄 文雄『台湾は中国の領土になったことは一度もない』
   本田善彦『人民解放軍は何を考えているのか』
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 苦難の日本企業、苦戦する森ビルを描く中国経済の内幕

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青木直人『北京五輪後に何かが起こる』(PHP研究所)
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 現場の日本企業の苦しみと懊悩、そして中国当局とのいじましいばかりの確執を、日本のメディアはほとんど伝えない。
中国でうっかり進出していった日本企業がいかにいじめられ、踏みにじられているかを、北京に遠慮してか、日本のマスコミが報じない。だから替わって青木氏が取材するのである。
 森ビルが中国一の高層ビルを上海におっ建てているが、その内情はまず日本の読者は知らないだろう。
 『特別に』「配慮していただいた土地」(森ビル関係者の台詞)に、将来のテナントの見通しもない厳しい環境で十年前に森ビルは基礎工事を始めた。それから六年間、工事を中断して店ざらしだったのは六センチの地盤沈下だけが原因ではなかった。資金不足だったのだ。
突如、「五輪に間に合わせろ」とせっつかれ、安全基準を満たせないせいか、日本のゼネコンはみんな逃げ出した。
資金不足を曖昧なままに森ビルは見切り発車したが、その間に台北に101階建てビルが建ち、上海浦東陸嘴金融街の目の前には金茂ビルがたって展望をふさがれ、あげくにテロ対策でしばしばの設計変更を命令され、あまつさえ森ビルが六本木ヒルズにつぐ「上海ヒルズ」と宣伝しようとした矢先、その命名はまかり成らんと上海当局からきついお達しがあった。
そのうえで、上海利権閥の陳良宇が失脚した。
 上海森ビルの内情をあますところなく描く本書は、結論的に現在の中国は混乱と混沌の経済下降局面にあり、いずれ「義和団の乱」に遭遇するであろうと予告している。
 もすこし欲を言えば、森ビルがヤオハンに次いで中国に乗っ取られる懸念を書き込んでほしかったのだが。。。
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 台湾は独立を主唱するのが一番ただしい

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黄文雄『台湾は中国の領土になったことは一度もない』(海竜社)
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 ご存じ黄文雄節、ますます声量よく夜空に冴え渡る
 本書も題名がしめす通り台湾の歴史を、特急列車のなかで星々のパノラマを見るように展望しており、中国の言う「台湾は不可分の中国の領土」なる言いがかりを、さらりと払いのける。
 北京が台湾領有を言いつのるのは、強盗がもっかのところ獲物に手も出せないのに「あれは俺のもの、これから強奪するのだから、ほかは手を出すな」と周囲に宣言して虎視眈々と盗取をねらっている構図である。
 始末が悪いのは、戦後、どさくさに紛れて台湾へ入り込んで、これを「中華民国」の台湾省だと言ってのけて正当性のないままに居座り、いやそればかりか、台湾に建設した日本の資産をほとんど横領した外省人だった。
 つまり「中国人には近代的な国家概念が欠けている」として黄氏は続ける。
 「かつて蒋介石の次男、蒋緯国は『独立を主張する人間は台湾から出て行け』とののしった。かれらはあとから台湾に流れてきたのだ。それを言うならば『台湾の独立に反対ならば台湾から出て行け』とするほうが正当であろう」(本書48p)。
 外省人の台湾横領とは「国民党軍は指令第一号の降伏受け入れという命令を拡大解釈して、旧日本軍の軍用機、戦艦をすべて接収し、二十万兵士を二年間支えることができるだけの装備や軍需品、医薬品、食料を国民党軍のものにした。されに台湾総督府をはじめとする官庁、公共機関や施設、学校、官営企業、病院などのすべての資産を接収し、そのうえ日本人経営者の持っていた企業や個人資産などまで『敵産』だと言って取り上げた。これらを金額にすると109億990万円、全台湾資産の60−80%に上ると推定されている。国民党は大陸での内線に敗退したが、願ってもない理想的なところへ逃げ込んだ」(39p)ということである。
 この国民党に横領された資産返還を日本政府は途中で放棄した。豊かだった台湾は、国民党によって貧乏のどん底に突き落とされた。
 読めば読むほどに台湾は独立しなければならないことがよく了解できる。
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 映画、テレビは軍国主義パラノイア主義からすこしは変貌している

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 本田善彦『人民解放軍は何を考えているのか』(光文社新書)
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 本書は極めつきにユニークな本である。
 軍人の物語や映画という視点から中国をみた、おそらく戦後初の研究書ではないか?
 つまり謎だらけの中国人民解放軍を、その宣伝映画、テレビドラマ、ポスターなどから読み解こうとする新しい試み、著者が台湾で活躍するジャーナリストと聞いて、さらに興味を覚える。
 軍人が主人公のドラマは多い。かつての中国映画はこれすべて反日映画で、しかも日本の兵隊を演じる悪相の中国人がいう台詞は「よしっ」「すすめっ」「撃てっ」の三つだった。だから中国の奥地や田舎町、辺境の村々へ行っても、多くの中国人は三つの日本語は知っている。というのは評者(宮崎)の経験。

 中国人民解放軍は急速に激甚に変貌している。
その変貌ぶりは昔のテコンドーとか古典武術の演武を外人の賓客の前に自慢して「これが人海戦術の解放軍の軍事演習だ」などとほざいた時代の中国軍を比較すればまるっきり違うのである。
(1)一人っ子が軍隊入りしている。
(2)装備の近代化がめざましい。
(3)情報戦、コンピュータの専門家が大学工学部から優遇されている
(4)軍幹部の腐敗と士官クラスのサラリーマン化も顕著である。
(5)だが、「国軍化」議論はいまもタブーである。

 トこういう環境の下で、現在どういった内容の軍物語が作られているのか、著者の本田氏は、たくさんの中国軍のヴィデオやDVDを鑑賞し、こういう。
 「(ハイテクの)劣勢を補うために解放軍も、人民戦争に代表される非正規戦を正当化する論拠を残す必要があります。そのうえで、解放軍は過去の人海戦術などに代表される『敢打敢戦』(とことんまで戦い抜く)の伝統と、ゲリラ戦に不可欠な機動力を残しつつ、同時に情報戦を戦うことのできる力を身につけ、現代化された武器による遠距離攻撃力を備えた軍に生まれ変わることを希求しているのだ、と(ドラマが)訴えかけている」
 本書でもっとも知りたいと思った視点のひとつは、それなら人民解放軍は台湾解放戦争をいかに予見し、どういう準備をしており、ドラマではどういう台詞が語られているのか。
 台湾を華々しく軍事攻撃してやっつけてしまえ、という短絡的直線的な台本は見あたらず、むしろ台湾侵攻の場合に中国の国際的孤立、経済的打撃を計算することができる指導部は、台湾経済の壊滅ばかりか中国の解放軍さえが存亡の危機に立たされるであろうことを計算に入れていると本書には現場でおきているリアリティを書き込んでいる。
 本書を通読して意表を突かれる面白さが個人的にはあった。
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(読者の声1)「グルジア情勢と台湾問題」
北京オリンピックの最中、コーカサス地方のグルジアで戦火が上がった。
親ロシア派が大半を占める南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の主権をめぐっ
て、グルジアとロシアが衝突したのである。
しかしこれは単に領土をめぐる局地戦ではない。
地政学的に見れば、親西欧路線のグルジアとこれを阻止したいロシアとの争いである。大局を見れば、アメリカ・EU(西欧文明)とロシア(東方正教会文明)との衝突といえる。
グルジアではペルシャ帝国・ローマ帝国・トルコ帝国・ロシア帝国など、大国による征服が繰り返されてきた。ソビエト連邦の崩壊により独立し、現在はキリ スト教・民主主義国家として歩んでいる。
グルジアがたどった道は、まさに文明の衝突の最前線であった。
有史以来、西欧文明にとって最大の脅威はロシアとイスラムである。
特に前者は東西ローマ帝国分裂以来の確執があり、現在では「人権・民主主義」と「権威主義・独裁」という形で戦いが続いている。西欧文明の目標は、地政学的に膨張すること(EU拡大)でこれらの脅威を排除することにある。ローマ帝国の再建といっても過言ではないだろう。
 そうした意味でアメリカ・EU・ウクライナが結束してグルジアを支援し、米軍を派遣した意義は大きい。地域の安全保障は文明の力学によって実行可能であることを証明したのである。
反対に、国連は無力であることが明らかとなった。平和的解決に向けた国連決議は未だに採択されていない。

ここで文明の衝突という次元で台湾問題を考えてみたい。
最初に述べておきたいのは、台湾の文明史的位置づけである。戦後に限って言えば、日本文明の上に中華文明が入り、開発独裁と民主化運動を経て海洋文明国家の地位を築いた。華夷秩序と易姓革命を本能とする中華文明とは異なり、台湾は権威主義・覇権の生理を否定している。極論かもしれないが、台湾と中国は互いに異なる文明といえる。だからこそ両者は統一に向かわないのである。
台湾問題の本質は、地政学的に独立路線をとる台湾とこれを阻止したい中国との争いである。大局を見れば、日米(民主主義・海洋文明)と中国(権威主義・大陸文明)との衝突といえる。こうした構図はグルジア問題と似ており、台湾の安全保障も文明の力学に左右されている。

グルジアの強みは、近隣にEUという同一文明のスーパー・パワーが存在することである。これは軍事組織 NATO と一体であり、ロシアの核戦力に対抗できる。
しかし台湾にはEUと同じのような地域の後ろ盾が無い。日本は戦略的パートナーであるが、安全保障上のフリー・ハンド(核戦力)が無い。残念ながら、日本文明はスーパー・パワーではない。
ASEANも中華文明に対抗するには脆弱である。東アジアの有事で鍵を握るのは、やはりアメリカである。
言うまでもないが、国連は台湾問題には無力である。台湾は国連非加盟国であり、その恩恵すら受けられない。他方、中国は国連の常任理事国であり、自国に不利な決議には拒否権を行使できる。その点はグルジアに侵攻したロシアも同様である。
国連に幻想を抱いてはならないのである。

今回、グルジアに米軍を派遣したのは西欧文明が一致結束した結果である。
またソ連崩壊後のロシアが未だ再生途上にあり、国力が充分回復していないことも幸いした。現時点で西欧文明と全面衝突することは無いだろう。解決には程遠いが、文明の力学がグルジアを窮地から救ったのである。この教訓は台湾問題の参考になるだろう。
そうした意味で、台湾には異文明との協力、即ち戦略的同盟が必要である。
その唯一のアプローチは日米同盟への参加である。
台湾・日本・アメリカの三者はそれぞれ異文明でありながら、自由・人権・民主主義という価値観を共有する。そして膨張する中華覇権主義を脅威と捉えている。究極的には東アジア版NATOの結成となるだろう。
 日米同盟は台湾問題の平和的解決をその目標に掲げており、アメリカには台湾関係法もある。
すでに戦略の骨格は出来ている。台湾が日米と国交を有していないのは不利であるが、それは技術的な問題に過ぎない。最大の障害は台湾内部にいる中華文明勢力(国民党)である。
中国への配慮のあまり、生存に必要な戦略を自ら封印しかねないからである。逃れようのない宿命であるが、台湾の安全保障は内なる文明の力学にも大きく左右されてしまう。中華文明から民主主義をいかに守り通すかが、台湾の運命を決めるのである。今後も台湾情勢から目が離せない。
   (知床遙かなり)


(宮崎正弘のコメント)知床も台湾も遙かなり。上段の書評欄もご参照あれ。



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(読者の声2)貴誌2299号の「樋泉克夫のコラム」にある、『現代中国を見る眼』(姜克實 丸善ライブラリー)の書評ですが、なかに「本心から毛沢東・共産党を信じ、文化大革命を支持し、社会主義革命の成功を確信した」とあります。

意見:中共は1949年に政権を取ると、無実の国民の大量逮捕、強制収容所送り、そして大量処刑を始め、全土に恐怖政治体制を完成しました。ですから当時の大人の国民は恐怖の下に毛沢東に従ったものと思います。若い人は無知と強いものにつく本能から本気で共産党の宣伝に乗ったのでしょう。

 また「『大躍進』、『文化大革命』のような大衆的イデオロギーにあふれる事件、事象」とありますが、これらは毛沢東の指導する大衆動員運動であり、大衆が主導権をもった運動ではありませんでした。大衆は利用されただけでした。
中共の運動は名前が詐欺的であるところが特徴です。
「大躍進」政策の実態は毛沢東の飢餓政策であり、全国で4千万人が餓死したといわれます。この裏には外貨欲しさに国民に必要な食糧を与えない残酷な穀物輸出(飢餓輸出)政策があったという指摘があります。
「文化大革命」は共産党内部の抗争による内乱であり文化とは何の関係もありませんでした。
無知な青年が野蛮な本能を狡猾な毛沢東一派に利用され双方二千万人が犠牲になったといいます。当時紅衛兵が鉄道の赤信号を進めに変え、青信号を止まれに変えたために列車事故が多発したなど、その狂態は世界に報道されました。
「ワイルドスワン」にこれらの体験記録があります。

 「現代中国社会の最大の矛盾は、なんといっても、空洞化・形骸化した社会主義イデオロギーと、生身の存在である民衆の意識との乖離であろう。この矛盾を解決しないかぎり」
との樋泉氏の文章ですが、もともと社会主義思想の目標である自由、平等は,地上の目標ではなく、天国の目標であり実現不可能なものでした。
そしてその運動は社会主義思想の実現ではなく、思想をつかった権力の奪取でした。
運動の幹部にはマルクス主義により、無法性と無制限の暴力の行使が許されたのです。
そこでかれらは奪権に成功すると、国民と用済みになった共産主義者をも弾圧粛清し、家族と共に国民に隠れて王侯富豪の生活を楽しんだのです。
この社会主義運動の詐欺のカラクリはG・オーウェルの『動物農場』(角川文庫)に明らかです。
この政治詐欺運動カラクリは携帯電話で中共の国民大衆に拡がっていると思います。

もうひとつ。「日本における中国研究、報道は、戦後以来、一貫して『上から』の方法が採られていた」・・・「にもかかわらず、このような変化を無視するかのように、日本の学者、マスコミの大半は『上から』の研究方法に固執し続けた」とは著者の主張だが、民衆の動向に無頓着という姿勢は戦前も同じ。だからこそ大陸政策に関する大戦略構築に失敗した」
の箇所です。

これは研究者が共産党政府の政策や行動を重視したという意味だろうか。しかし共産主義独裁体制下では大衆社会は形成されず、民衆は支配され利用されるものにとどまっている。官製デモしかないことがよい例である。したがって当然である。
 また戦前の日本の大陸戦略と民衆の動向は関係ないと思う。満洲国では大量の支那人が流入するように国民が日本の善政に感謝していてもソ連に滅ぼされてしまった。というのは、大陸に社会的な勢力としての民衆というくくりは、形成されていなかったからである。
雑多で流動的な個人が多数いたにすぎない。
何でも日本を非難するのは誤りである。

 「著者は、天安門事件に際してみられた日本の学者やメディアの「『(天安門)広場にいた百万』市民の熱に浮かされ、農民を含む『十億』の存在に背を向け」た悪弊を鋭く指摘する」
とあります。
共産党の強権統治が緩むと大衆の反発が始まる。この反発のエネルギーを吸収し逃すシステムがないと必然的に暴動に発展する。これは支那四千年の歴史におきまりのパターンである。
その解決は自由秘密投票制度による議会制度である。
これでガス抜きをするのが現代の政治のキマリである。共産党幹部も自分と家族と財産の安全が保障されるなら、この方法に合意するだろう。
そうでないといやでも今後暴動が多発し、最後は共産党の幹部と家族は海外に亡命することになるだろう。
結局、社会主義思想とその独裁統治制度は20世紀の虚構であり、冷厳な現実と一億以上の犠牲によってその不合理性が証明されたのである。
   (MC生)


(宮崎正弘のコメント)話は飛びますが、いまの権力闘争の実態は次期総書記をめぐって、習近平と李克強との内ゲバです。ふたりは北京五輪の開会式では、中央ひな壇に並んで座り、お互いがそっぽを向いて一回も視線をあわせませんでした。
 で、腐敗腐食の権力中枢で、資金をつくった方が勝つのですが、いまの段階では財閥が多い浙江省書記から江沢民の引きで上海書記に栄転し、三段跳びで中央政治局常務委員、序列六位にいきない出世し、国家副主席に就いた習近平のほうでしょう。習は浙江省書記時代に温州のヤミ金融集団とのつながりも噂されています。
 李克強(副首相)は頭でっかち。共産主義青年団のエリートだけに、闇資金とか黒道(マフィア)とかのつながりが弱く、ま、権力闘争には負けるでしょう。おそらく(苦笑)。。。



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(読者の声3)貴誌のコメント、2016年の東京オリンピック誘致に反対の基調ですが、「日本は運動会に興じているときではないでしょう。石原知事はなにを血迷っているんですかね」とありました。
石原知事はTOPの座に座っていたいだけ、他にすることがないからです。「太陽の季節」は、賞に値する小説ですか? 若者の生態をもじったポルノです。「太陽の季節」に勝る作品はごまんとあります。「太陽の季節」に賞を与えた選者に問題がある。
以来、奇をてらうものが氾濫し、日本の文学は廃れた。氏の発言も、奇をてらうものばかりである。政治家の器ではないと誰もが思っているだろう。
   (KO生)


(宮崎正弘のコメント)いささか辛辣ですね。小生は『太陽の季節』は時粧という文脈で、文学史的な意義があったと思っています。
 作文の能力? 近年の芥川賞に比べるとましな方ではありませんか。当時、選考委員会でも多くの文学者が反対しました。まだ、あの頃、文壇には良識があったのです。
その後、話題作はあっても傑作が書けず、嫉妬心からの三島由紀夫に対しての罵詈雑言がみっともないと思います。
 小生のやや冷淡な石原慎太郎論、じつは石原総理誕生論がブームとなった数年前に、政治学者の藤井巌喜教授が編んだ本のなかに挿入されています。(藤井著『石原慎太郎総理大臣論 日本再生の切り札』(早稲田出版、2000年)。
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すべての拉致被害者救出、国民運動実践の秋
                    No.367 平成20年 8月28日(木)

                     衆議院議員 西村真悟

 二十七日午後三時から、拉致議連役員と被害者家族会役員そして救う会役員は、外務省の斎木アジア大洋州局長を呼んで説明を受けるとともに、今後の方針を協議した。
 まず先の時事通信で提起した六月と八月の日朝実務者協議における「再調査」とは何かということに関し、実務者協議の当事者である斎木アジア大洋州局長が明言した外務省の見解をまず記しておく。
「調査の対象には、政府が認定した被害者やその他に提起された行方不明者が含まれ、すなわち、すべての拉致被害者が対象となる」
 次に、平成十四年九月に訪朝した小泉総理に対して、金正日が説明した拉致被害者の内「八名死亡」を白紙に戻した上での再調査なのか、それともそれを前提にした上での再調査なのか、という質問が出た。これに対する斎木局長の回答は、
「八名を含むすべての拉致被害者が対象となる」
であり、八名も調査対象になることを認めたものの、その八名が「死亡」したとする金正日の発言を白紙に戻したのか否かについては明言しなかった。
 思うに、実務者協議において「金正日発言は白紙に戻す」との言質はとれていない。

 次に、制裁の一部解除を何時するのかということに関しては、
「北朝鮮側が調査を開始すると同時に、日本側も!)人的往来の規制解除、及び、!)航空チャーター便の規制解除を実施する用意がある旨表明した」
ということである。
 これに対して議連側から、北朝鮮は過去4回も「調査」を捏造してきたではないか。信用できないではないか。にもかかわらず、「調査開始」とともに制裁を一部解除するとは何事かという反論が為された。
 議連や家族会が協議に入る前に、外務省は退出したが、その前に私は、斎木局長に次のように要望した。
「すべての拉致被害者が調査の対象となるという。では局長は、すべての被害者とは一体総勢何人であるのか、把握して協議に出ているのか」
「総数何人か知らない」
「では、北朝鮮に反論できず、いいなりになるではないか。」
「・・・」
「貴方は、武器も与えられず政府から協議の場に出されているに等しい。従って貴方からも政府に対して、実務者協議を続けるならば、拉致被害者は総数何人なのか全力を挙げて調査するように訴えるべきである。」

 要するに、福田内閣は、被害者総数が何人なのか全力を挙げて調査もせずに、「実務者」を協議に派遣して「すべての被害者が調査の対象となる」との合意をさせているのである。
 実務者協議を「戦術の場」とするならば、「戦略の場」は福田総理の首相官邸である。そして、現在、この「戦略の場」が空洞なのである。これでは、如何に「戦術の場」で奮闘しようとも拉致被害者救出という目的は達成されない。
 福田総理は、「すべての被害者を調査する」との段階に入っている今、国民救出のために「スパイ防止法」の制定が必要であるとの問題意識を持ち、まさにそれを実現すべき地位にいることを自覚されたい。

 議連側として出席した安倍前総理は北朝鮮に対して、「日本のいうことを受け入れなければ國が危ない、崩壊するという思いをもたせるまで制裁を強めるべきである」と発言した。これは、「戦略的思考」である。
この戦略のもとに、実務者が協議に派遣されて始めて事態が動くのである。私の隣に座っていた安倍氏の発言を聞いて、この点に思いをいたし無念であった。

 さて、次に、我々の協議に入り、声明をまとめ発表した。
 その考えの骨子は、次の通り。
!)対北朝鮮制裁は効いており、拉致被害者救出のために極めて有効である。
!)従って、調査結果を確認するまえに、制裁の一部解除を行うことは絶対にあってはならない。
!)さらに、調査結果次第で、追加制裁を躊躇してはならない。
 最後に、家族会の増元事務局長から、我々拉致議連の役員に、もっともな発言があった。
「拉致議連に加入している議員のなかには、新しくできた日朝国交正常化を目指す議員連盟にも入っている議員がいる。こういう人は何とかならないものか」
 確かに、平成十四年の小泉訪朝によって拉致被害者救出問題は国民的課題になり世論が盛り上がった。その時、多くの議員が拉致議連に加入してきた。そのなかには、拉致議連役員を務めた人もいる。そして、今日朝国交正常化議員連盟にも加入している。
 これが、我が政界の実情だと説明しても詮ないことであるが、この政界の実情が拉致被害者と家族に如何なる悲哀を与えているかを思うと、情けなく、また、すまないと思う。
 振り返れば、平成九年に発足した最初の拉致被害者救出議員連盟の時代にも同じことが起こった。新しくできた日朝友好議員連盟の幹部に拉致議連幹部が就任して、拉致議連は活動休止を余儀なくされた。これでは困ると、最初の拉致議連を解散して旧役員を一掃して平成十四年に、新しい拉致議連を造ったのだった。
 そしてこの新しい拉致議連は、現在、平沼赳夫会長のもとで最強の議連として活動できている。
 さて大挙して北朝鮮を訪問したいという日朝国交正常化議員連盟のことであるが、この動きに対しては、この議連の盟主に対して安倍晋三前総理が言った次の言葉ほど適切なものはない。
 「百害あって利権あり」

 なお、二十七日に協議した家族会、議連、救う会の三団体は、次の通り、緊急国民集会を開くことになった。

 日時 平成二十年九月十五日(月、祝日)
    午後六時から八時
 場所 星陵会館大ホール(03−3581−5650)
    国会議事堂駅5番出口から徒歩5分
 司会 櫻井よし子 
    ◎ ◎ ● ◎ ◎
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『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
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  • 名無しさん2008/08/28

    貴誌は読み始めてまもないですが、

    石原慎太郎氏のことが書かれてありました。

    最近、福田首相が五輪選手団の選手たちに、せいぜい頑張って、と声をかけたことに石原氏は、せいぜいと言う言い方は失礼だと批判しました。

    辞書で調べれば、精精(せいぜい)は、

    1、努力の及ぶ限り、できるだけ

    2、多く見積もって、たかだか。

    の2通りあります。福田首相は、1の意味で使ったのに、石原氏は、2の意味に近い解釈をされたようです。つまり、大したものにはならないだろうけど、まあ頑張って、と。人を馬鹿にしたこのような意味で使うわけはないので、石原氏も作家にしては頭が硬くなってしまったようです。たしかに、せいぜいという表現は、最近はあまりよい意味で使われていないようです。ですが、言葉の本義に立ち戻って考えれば、福田首相の使い方は、間違いではないと思います。本人も調べて釈明すべきだったと思いますが、本来の精精という使われ方は最近はあまりしないのだとおそらく周囲から聞かされた福田さんはあえて釈明しなかったのでしょう。

    ちなみに、太田農水相の、やかましいという言葉も、厳しいという意味があると辞書には出ています。消費者がやかましいという言い方は、消費者は厳しいという意味です。辞書に載っていますから用法を見てください、と言えばよかったと思います。例、規則がやかましい=規則が厳しい

    ただ、消費者がやかましいという言い方は、消費者批判にも受け取られかねない

    微妙なニュアンスがあるので、控えた方が無難なことは間違いない。もっと実績を上げて、国民の信頼を深めてから使ったほうが良かったのでしょう。残念なことでした。N男