国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/08/10


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)8月11日(月曜日)弐
通巻第2284号 臨時増刊
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 NYタイムズが「ロシアvsグルジア」は全面戦争の様相と警告
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 10日付けNYタイムズは、北京五輪から一転してカフカスへ視点を転じた。
 米国は自由民主、親米政権のグルジアに味方すべきであり、ロシアは全面戦争の準備をしている様相だ、とつたえた。
 カフカスが風雲急を告げている。
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 暗黒のカフカスの南に希望はあるのか
    世界資源戦争の要衝でなにがおきているかを活写
                     評 宮崎正弘

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廣瀬陽子『コーカサス 国際関係の十字路』(集英社新書)
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 このタイミングに書店に並んでいる。
 カフカスの南に関して日本人は関心の埒外、遠い遠いワンダーランド。
 ところがチェチェン独立戦争のおりに日本のテレビが相当数チェンチェンに取材に入り、ロシアの汚い遣り方を暴いた。
直近はロシアとグルジアとの戦闘、にわかにカフカスの南に関心が高まる(といっても一般市民は関心さえないが。。。。)。

 アゼルバイジャンの首都、バクーは石油基地として、国際政治学や資源の専門家には知られていたが、ここは世紀のスパイ=ゾルゲの出身地でもある。
 世紀のホロコーストをやってのけたスターリンはグルジア人。
 世界一と定評のあるコニャックはアルメニア産。こうしてみると幾ばくかの繋がりがあることが分かる。

 本書は上記三カ国(グルジア、アゼルバイジャン、アルメニア)の簡潔な歴史を叙しつつも、ロシアとの関連、民族問題に焦点を絞り込み、同時に資源との絡み、すなわち中央アジア、トルコ、EUそして米国との関連を大局的見地から繋げていく。

 焦眉の急はパイプラインだ。
 廣瀬陽子(静岡県立大学準教授)は言う。
 「(直接西側とをむすぶパイプラインは)予算70億ドルの壮大なものである。エルズルムからはすでにトルコの国内供給用のパイプラインが延びているが、さらに国際輸送向けのパイプラインを新設しようというわけである。ルートは、トルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアを結ぶもので、その距離は3300キロ」。
 ところが「ロシアが様々な手段で計画を妨害している上に、ガスの供給量の問題が生じるなど、プロジェクトが停滞し、2008年4月に、建設開始が2010年、輸送開始は早くても2013年にとなることがあきらかになった」(本書23p)


 ▼ロシアは陰に陽に妨害

 その本格的妨害が、オセチアを巡るグルジアとロシアとの軍事衝突である。
 本書では、じつに意外な事実が記されていて参考になった。
 親米自由派のサアカシビリはグルジア国民の待望のもとに産まれて、EU入りを目指し、またNATOに加盟しようとアフガニスタン、イラクへ派兵し、米国から大いなる得点を稼いできた。
米国マスコミを見る限りは「評判の良い政治家」だった。
 
ところが著者が現地で突撃取材の結果、サアカシビリの人気は最低、独裁化して政敵を次々と更迭し、失脚させ、ロシアとは余計な摩擦を引き起こす。
以前より暮らし向きは悪くなったとあからさまにサアカシビリを批判しているというではないか。
 ガムサフルディア初代大統領は詩人にして民族派だった。暗殺されて後をついだシェワルナゼは元ソ連外相にしてペレストロイカの実践者だった。が、シェワルナゼの施政もうまくいかず親米派のサアカシビリにとってかわられた。

 僅か三年前、キルギスでも民主政治家、清廉を唱われたアカーエフ大統領が眷属もろとも腐敗し、独裁権力となり、国民から追われた。
 
以下は評者の推理。いずこも同じ秋の夕暮れ、国民の目をそらすために、おそらくサアカシビリは無謀な戦端をオセチアとのあいだに開いたのかもしれない。
ロシアがそれを待っていたという図式になる。
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(((((( 樋泉克夫のコラム )))))
 知道中国 毛沢東

 ■ 「一つの世界」、「一つの夢」を掲げた北京五輪開会式の模様をTVで覗いてみた。
人類共通の「一つの世界」「一つの夢」というより、飽くまでも中国人にとっての「一つの世界」「一つの夢」というのが第一印象。
中国における視聴率98%という数字が、その傍証だ。
■産経新聞(8月10日)によれば、総合演出を担当した張芸謀は「10本の映画と撮るより疲れた」が、「世界のすべての人が百点満点と評価すべきではないか」と、まさに”自画自賛”。だとするなら、北京五輪は、張にとっても「一つの世界」「一つの夢」ということになりそうだ。
だが、あの大仰な衣装の群集とレーザー光線と空中浮遊をみせられると、最近の彼の映画をより大仕掛けにしただけではないかとも思える。
彼はまた、「今回の開会式をひと言で表すとロマン」と説明し、「世界の人に中国のロマンを感じる演出を心がけた」とも。
だが思う。ロマンをいうなら、毛沢東の大長征もまたロマンもロマン、大ロマンではなかったか、と。
だから、あの夜の壮大なアトラクションの終幕近くに紅軍を登場させ「ハンニバルもなしえなかった」大長征のシーンを再現し、会場全体の照明を落とす。漆黒の闇に覆われれた「鳥の巣」全体を沈黙が支配する。
やがて地鳴りのように「毛主席万歳、毛主席万歳」の喚声。微かな光度のレーザー光線がトラック中央に当てられる。喚声の高まりと共に、トラック中央に巨大な毛沢東の立像が浮かび上がる。
と、その足元に四方八方から紅衛兵に扮した若者が雲霞のように集まってくる。
もちろん薄緑の軍服に軍帽、腰には太い皮ベルト。手には真っ赤なビニール表紙の毛沢東語録。「毛主席万歳、毛主席万歳」が鳥の巣に反響し、巨大な音に柱となって北京の夜空を揺るがす。
紅衛兵はトラックを埋め尽くすだけではなく、鳥の巣をも十重二十重に包む。レーザー光線は極彩色に変化し、真っ白な毛沢東の立像も、それに合わせて千変万化する。
喚声と光の演舞が最高潮に達したとき、再び会場全体の照明が落とされ、喚声は次第に低くなる。
漆黒の闇のなかで微かな「毛主席万歳」。次の瞬間、照明が灯ると、トラックには何もない。誰もいない・・・。
■こうだったら「一つの世界」「一つの夢」をお笑いと共に共有できたはずです・・・残念至極。
 (ひいずみ・かつお氏は愛知県立大学教授。華僑と京劇の研究者として知られる)。
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創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
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  • 名無しさん2008/08/11

    打倒中共!

  • 名無しさん2008/08/11

    北京オリンピックで中国というより中共の国歌を屡々聞きますが、歌詞はどんな内容なのでしょうか。まさか民族解放とか世界共産革命など歌ってないでしょうね。教えて下さい。

  • 名無しさん2008/08/10

    宮崎先生におかれましてはお忙しい中、大変申し訳ございません、

    この「日本グルジア文化協会」サイト掲示板のこの書き込み

    http://www.music-tel.com/cgi-bin/bbs2/apeboard_plus.cgi

    [712] グルジアとロシアの状況  

    mari -2008/08/09/07:58-

    『日本の主なニュースはロシア寄りで驚いています。海外に住んでいるので

    こちらのローカルニュース(カナダ)、BBC(英),CNN(米),ZDF(ドイツ)

    を見る限りでは個々のレポーターが他国のフィルターを通さずに独自の

    レポートを行っているのが印象的です。

    南オセチアが1991年から独立を目指しロシアへの併合を望んでいると

    いうのがロシア側の見方ですが、ではソ連以前はなぜ独立運動がなかった

    のでしょうか。ソ連崩壊後、歴史上一度もグルジアから独立を目指した事

    のない南オセチアへ、自称南オセチア大統領がロシアから派遣され、ロシア

    は南オセチア住民にロシア国籍を与え、KGBは「平和維持軍」と名前を替え、

    現在の10年の歴史を誇る独立派南オセチアが出来上がった訳です。

    以来、独立派南オセチアという衣をかぶって、ロシアはグルジア国境を何度

    も挑発攻撃してきました。グルジア側はそれに対し武力で応戦する事を今まで

    回避してきましたが、今回はロシア側のグルジアに対する挑発攻撃の際死者

    が出た為、グルジア側は武力行使に踏み切ったと見られます。

    グルジア軍は南オセチアの軍施設を狙って大規模な攻撃を行いましたが、

    驚く事にその際、ロシア空軍は南オセチアの街を空爆し、あたかもグルジア軍

    が南オセチアの住民を攻撃したかのように見せかけている、との目撃情報もあります。



    南オセチアは1991年以来無法地帯となってからは薬物ルートとしても有名

    であり、この小さな地域内で巨額な取引が行われている事実もあまり知られて

    いません。

    ロシアのみならず、薬物売買に関わってるグループは南オセチアを無法地帯

    として保持する事を望んでいる訳です。

    大国に隣接する小国が安全で平等な発言力を持つような世界がいつの日か

    やってくる事を心から望まずにはいられません。』



    の裏づけとなる情報を、先生でしたらお持ちではないでしょうか。

    個人的に、今回の戦争の開戦理由について、どう考えても合点がいかなかった

    のですが、これをみてはっと気づきました。

    この情報が真実であれば、確実に「開戦止む無し」の状況ではないでしょうか?

  • 名無しさん2008/08/10

    紹介された

    廣瀬陽子『コーカサス 国際関係の十字路』(集英社新書)

    の通り、グルジアのサアカシビリ政権は所詮独裁で米国の傀儡ではないのでしょうか?自由民主主義政権などプロパガンダに過ぎません。それでも米国が熱心に支援するのはグルジアが戦略的要衝だからでしょう。米国が自由と民主主義を広めるなどというのは嘘っぱちでただ国益追求をしているに過ぎません。それで別に米国を責め様というつもりはありません。日本以外の国では当たり前のことですから。ただそれをわかっていない人間が多すぎるのが問題です。建前と本音を見分けないと国際社会では騙されるだけです