国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/06/07



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)6月7日(土曜日)
通巻第2214号 
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石原藤夫『発明特許の日本史』(栄光出版社)
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 日本のハイテクは発明と特許によって成り立つが、その先駆的発明者と制度の確立をなしたのは高峰譲吉と高橋是清である。
 本書は元玉川大学教授の石原氏、渾身の書き下ろしで、高峯と高橋二人の人生にスポットを当てながら日本の発明特許の歴史を照射する。
 なにしろ『広辞苑』より厚い分量。書くのも大変だろうけれども、読むのも大変である。
そして本書を通読中に、な、なんと古き拙著からの引用があった。拙著『日米先端特許戦争』(ダイヤモンド社)。
 日本の特許制度の欠陥は防衛機密事項の欠落である。
 すなわちあらゆるハイテク情報は、特許を申請したら十八ヶ月後に「特許公報」によってすべて公開される。
日本では軍事情報も技術機密もへったくれもない。すべて公開。
 この制度上の一大欠陥は逆に諸外国へ翻訳して持ち出されても、スパイ罪にはあたらない。欧米先進国は防衛に関わる特許の公開を禁じている。
1982年に或る日米シンポジウムで、小生がこのポイントを突くと米国人学者らが一様に驚き、また通産省関係者が、そうですよねぇ、と嘆いた。
爾来、四半世紀の歳月が流れ、ようやく経済産業省が動き出して、防衛特許の機密条項の検討に入った。といっても国会の論議にまでは至っていない。
 著者の石原氏は「一刻を争う深刻な問題である」と提言されている。
 (本書は栄光出版社刊、1044ページ。定価4700円 プラス税)


 
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出雲井晶『戦をとどめえざりしくちおしさ』(K&Kプレス)
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 先帝陛下が伊勢神宮に昭和四十六年に御参拝おそばされたおりの御歌
 戦(たたかひ)を
  とどめえざりし
   くちをしさ
    ななそじになる
     いまもなほおもふ

 出雲井画伯は、日本神話にもとづく神秘的情緒的な絵画で知られるが、作家でもあり、その語彙の豊饒さと的確な駆使に驚かされ、その名文はつとに知られる。
 本書は、神話との会話と通じて先帝陛下の国家、歴史との関わり方、その御存在のありようを淡々と、格式高い日本語で綴っている。



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信太謙三『巨龍のかたち 蘇る大中華の遺伝子』(時事通信社)
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 この本は有名なチャイナ・ウォッチャー信太氏(時事通信元上海支局長)の近作。詳細の書評は次号の『改革者』に拙文を綴ります。



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加藤喬『加藤大尉の英語ブートキャンプ』(並木書房)
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 著者の加藤大尉は、米軍の現役教官。『名誉除隊』などの著作もある。
 本書は米軍のなかで実際に通じる英語を丁寧に、教科書風に書かれていて、たとえば「腕立て伏せ」(Push Up)とか、回れ右(About Face)とか、ああ、こんな風な表現をするのか、と参考になる。
 新兵さんの地獄の訓練からパラシュート降下、戦闘機塔乗、軍法会議など、見慣れない、あるいは日本の英語教育現場では聞いたことのない表現が次から次へと出てくる。
 整列は、ちなみにFALL INです。
  



谷沢永一『モノの道理』(講談社インタナショナル)
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 「独りよがりの正義より、ものの道理が世の要」と副題にあるが、本書は独りよがりの、老害的つぶやき。『正義、正論』を振りかざしわめく人を揶揄した毒素がまぶされている。
通読して事実誤認と独断とが多すぎて書評する意欲はとても湧かなかった。

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(読者の声1)天皇(天皇制度)は、現代日本人の過半のみならず保守の論者にも、所与のスタティクな堅固とした予定調和のコスモス世界として刷り込まれ、思い為されているように見受けます。が、しかし天皇とはそうではないと思われます。
崇峻天皇、安康天皇の御二人は臣(やっこ)に暗殺されました。
皇極天皇はそれまで前例がなかった生前譲位を行いました。
天皇家(皇族、皇別氏族)からのみ立てていた正妻である皇后として、文武天皇は初めてそれ以外の藤原不比等の娘宮子を受け入れました。
孝謙天皇は、神と思いなされ、神道の最高祭司主であるにも拘らず出家して、仏に仕える「三宝の奴(やっこ)」となり大仏に拝跪しました。
藤原氏は摂政や自ら新設した関白職を占め、天皇の母方の外祖父として天皇親政を潛脱しました。
臣籍降下した源定省は定省親王として皇族復帰して宇多天皇となりました。
白河天皇は譲位して白河院となり、これ以降幾代かに亘り天皇の父方の祖父が政治の実権を握りました。
朝廷が持明院統と大覚寺統の二統に分かれ、両統から交互に天皇が立つ迭立時代がありました。
不文律、不文法で本来的に融通無碍だった皇統継承のしきたり。
それを明治維新政府は「皇室典範」として西欧風に成文化し、当初は内々のものとしていながら公布してしまいました。そうした失態に対して、皇室・皇族はあからさまに異を唱えず堪えました。
以上を観ると、皇統継承は教条的なものではなく、理詰めでもなく、又種が大事畑はどうでもよい、という認識レベルでも到底収まらない日本民族のイシューと心得ます。
はてさて畏れ多いイシューについて、果たして「平成の新井白石」は現れるでしょうか。
        (HN生、品川)


(宮崎正弘のコメント)「平成の新井白石」ですか。唸りますね。
三島『文化防衛論』の「西鶴も芭蕉もいない昭和元禄」をもじって言えば「白石も宣長もいない平成論壇」?
 への苛立ちですかね。



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(読者の声2)この度は、私共の「洞爺湖サミットでの対話実現をG8各国から提案してもらおう!」アクションへのご理解、ご賛同をいただきたく、突然ではありますがご連絡を差し上げました。
中国とダライ・ラマ法王間の対話は、特使との対話という形でごく最近も行われましたが、双方の発言に食い違う面があるため、ご存じのように現状では平行線のままです。
Free Tibet Team Japanでは、2008年7月7〜9日に行われるG8洞爺湖サミットのホスト国である日本に於いて「G8首脳や各国リーダーの揃う場でのダライ・ラマ法王と胡錦涛中国国家主席との実質的な対話を求める」というアクションを実行しております。
サミットには「サミット開催時の国際社会の関心を集める地域情勢につき議論を行う」という議題が盛り込まれております。今日、世界中が過日の北京五輪聖火リレーなどを通して、チベット問題に関して目を向け、声をあげております。
こういった情勢の中で、G8サミットにて両者が対話を持つことは、大変実りが多いと考えております。
現在、インターネットを通してG8各国のチベット支援者に賛同・協力を呼びかけており、また日本国内に於いても、内閣総理大臣宛の対話要望書に署名するアクションに多くの市民が参加しております。
http://fttj.org/ja/

世界的に有名なチベット学者であるA.F.サーマン教授(コロンビア大学宗教学部 『チベット死者の書』著者)などからも賛同の声を戴いております。
アクションを実行している私共は一般市民に過ぎませんが、社会的に大きな影響力があり、また多大なる信頼のある方にご賛同いただき、呼びかけ人・もしくはご賛同者様として、ご発言・推薦文などを戴くことができれば、この運動がさらに広まり、サミットにおける対話実現の可能性が高くなることは想像に難くありません。
Free Tibet Team Japan
info.fttj@gmail.com

(Free Tibet Team Japanとはインターネット上のチベット関連コミュニティ、またサポート活動を通じて知り合った者たちが チベット問題の早期全面的解決を求めるために連動している、 人数不定、メンバー不定のムーブメントの総称です)。


(宮崎正弘のコメント)チベット問題、支援グループは日本でも静かに、しかし着実な活動をしております。
問題は大手マスコミが、それを伝えないことにもあります。



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(読者の声3)人権法案、本国会提出は正式に自民党として中止となったようです。皆様のご健闘に感謝です。
 しかし推進派の本音は1月前から秋の臨時国会狙いにシフトしていました。連中にとっては本国会でなくてもいいので、とにかく調査会でどんな曖昧にでも「内容はともかく何等かの人権救済に関する一般法・包括法が必要」と結論付けられればいいのです。「あせらなくてもいい」と古賀も言っているようです。
調査会、そして自民党内で「人権擁護審議会13年度に基づくあらゆる一般法・包括法は政策リスク上危険なので法案化しない。人権救済は個別法+窓口施策の充実で」がコンセンサスにするまで阻止闘争に勝利したとは言えません。
手綱を緩めることなく、上記の結論と調査会での審議打ち切りを反対派・地元議員に積極的に働きかけていきましょう。また太田氏始め推進派に心理的圧力を強化して参りましょう。当座以下の調査会でトドメを刺すつもりで要請・抗議活動しましょう。
 
次回の自民党人権問題等調査会
 11日(水曜)午前8時 自民党本部101号室
 
(以下産経新聞ウェブより転載)
 人権擁護法案、今国会への提出断念 議論は継続
2008.6.6 20:14 
 「自民党人権問題調査会(会長・太田誠一元総務庁長官)は6日、人権擁護法案の今国会への提出を断念した。ただ、調査会は人権委員会の権限を大幅に縮小した修正案(太田私案)の次期国会提出を目指し、協議を継続していく構え。反対派は協議打ち切りを強く求めており、党内の軋轢(あつれき)は今後も続きそうだ。
 調査会では、修正案にも反対派の納得が得られない上、党法務部会(倉田雅年部会長)が慎重姿勢に転じたため、会期中に党内の法案了承手続きを取ることは不可能だと判断した。
 調査会は6日朝、自民党本部で14回目の会合を開いたが、「人の心や道徳まで法律で管理するのか」(衛藤晟一参院議員)など批判が続出。中川昭一元政調会長は「私が政調会長の時も議論の末に断念した案件は山ほどあった。議論を聞いて、とてもこれ以上前に進めることはできないと思うので、ぜひご判断をお願いしたい」と述べ、 太田氏に議論打ち切りを迫る場面もあった」。(資料引用止め)。


(宮崎正弘のコメント)皆さんのご努力に感謝したいと思いますが、今後も、油断するとさっと法案を出してくるのが「かれらの常套手段」、油断は禁物です。



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(読者の声4)貴誌2210号への拙論投書の続きです。
 佐藤優氏はカルバン派だったお母さんの影響の下にまずあって育てられました。
カルバン派は教条的で嫌だと感じながら宗旨は変えられないジレンマに今尚いると告白しています。
 一方お母さんのお兄さんが筋金入りの社会主義者で兵庫県選出の日本社会党代議士。この伯父さんに思春期の彼は多大な影響を受けています。
つまりキリスト教に出会いそれからマルクスを知り、その両者に惹かれ身も心も引き裂かれる体験に十代の多感な青春期遭遇しているのです。
同志社大学の学生運動で敵対した学友会の委員長と個人的に親しくなり、彼から佐藤氏のカリスマ性は周りの人間をヘロヘロにしてしまう危険性があると指摘されます。佐藤氏自身はそれを否定します。その蹉跌が彼の青春でした。偉大なオルガナイザーになるチャンスを逸したのです。
しかし彼の野心野望は世俗的な権力や栄達を些かも志向してしないのです。
チェコのプロテスタント神学者フロマートカの研究に青雲の目標と人生の帰結を定めていたのです。その青春期の軸が些かもブレていないから神学部の仲間が収監された彼を親身に支えたのでしょう。
或る人が「マルクスは神に直結している。彼の思想は、云わばキリスト教の土壌に咲いた徒花。神がいなければマルクスの思想そのものも生まれなかった」と述べています。鋭い省察です。
   (しなの六文銭)


(宮崎正弘のコメント)先日、小誌の書評欄に紹介した佐藤優さんと村上正邦さんとの対談(『大和ごころ入門』、扶桑社)は、大変参考になりました。
基底に流れている両人の志操に小生はもっとも強く惹かれました。思想ではなく、志操です。
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(休刊のお知らせ)地方講演旅行のため、小誌は6月8日―10日が休刊です。
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(三島研究会、国防研究会合同「公開講座」のご案内)
6月17日、高山正之氏の公開講座は下記。
『サダムは偉大だったが、スーチーは悪女だ』
http://mishima.xii.jp/koza/index.html
 (まだ少し席に余裕があります。予約はお早めに)
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宮崎正弘の新刊
『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円)
 6月15日 全国一斉発売。都内主要書店は10日に並びます。

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(( 発売中の新刊 ))
 宮崎正弘・黄文雄共著
『世界が仰天する中国人の野蛮』(徳間書店、1500円プラス税)
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(((( 宮崎正弘のロングセラーズ ))))
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』五刷!(KKベストセラーズ、1680円)
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『出身地でわかる中国人』増刷!(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
 http://www.amazon.co.jp/s/?ie=UTF8&keywords=%E5%AE%AE%E5%B4%8E+%E6%AD%A3%E5%BC%98&tag=yahhyd-22&index=stripbooks&field-adult-product=0&hvadid=10385707041&ref=pd_sl_2hw8hjkvl8_e
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