国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/05/28


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)5月28日(水曜日) 
通巻第2205号 
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大地震を奇貨に国民国家を目ざすのか、中国。
                        宮崎正弘


 四川省で発生した大地震は悲しいニュースだったが、これを奇貨として中国は国家の体質を変えようとしているかに見える。
 早急すぎる判断は「旧ソ連のグラスノスチ(情報公開)、ペレストロイカ(改革)の中国版が胡錦濤の手でまもなく始まる」などと過重な期待も欧米の一部マスコミに顕著なことである。
 幻想に終わらなければ良いが、と思う。

 まず地震情報を伝える視点が中国と日本と欧米でまるで異なった。最初にこの事実を比較しておきたい。

 日本のマスコミは「パンダは大丈夫か」と第一報、それから軍と行政の救援活動が遅いとか、「テントと食料がたりない」と民衆の不満を中心に報じたが、神戸や新潟の被災報道を踏襲した情緒的なものだった。

 中国のマスコミは「温家宝首相が現場入りして陣頭指揮」を大々的に報じ、ついで軍の大量投入を「英雄的救済活動」と宣伝をつづけた。挙げ句に「中華民族の団結」を謳って愛国キャンペーンにすり替えた。国民の不満の声は殆ど伝えられず、二次災害への警告も後手後手に回った。中国の情報公開は極めて限定的だったのである。

 欧米マスコミの関心は「核兵器製造工場」と「原子炉」の安全だった。
 ついでインターネットの書き込みで中国政府批判が意外と自由だった点、官製マスコミが日頃の統制を突破して、かなり奔放に被災地から報道した点をとらえ「百八十度の変化」と前向きに評価したメディアがあった。


 ▲「中華民族」は架空の概念ではなかったのか?

 北京五輪ボイコットもチベット問題も画面から消え、中国への同情がわき上がった。
 この機を逃さなかった中国共産党は外国の援助をはじめて受け入れ、日本、韓国、ロシア、台湾、シンガポールのチームが被災地へ乗り込んだ。

 しかしながら中国人民解放軍はメンツにかけて日本チームを最も遠隔地の生存が絶望視される場所を意図的に指定し、民衆の歓迎反応とは別に「ありがた迷惑」という攘夷感情が露骨だった。

 中国が北京五輪を前にして展開してきた官製の愛国キャンペーンがやらせの演出に近かったことに比べて、震災直後からの「助け合い」活動やボランティアの広がり、中央のテレビでは芸能人らのチャリティ合戦を目撃すると、これまでは架空の概念とされた「中華民族」が一般の民衆に届き始めたという意外な側面も観測できる。

 つまり中国は漢族を中軸に少数民族への容赦なき弾圧による力の統合から、より広範な中華民族の団結を標榜し、近代的国民国家を明確に目指し始めたことが確認できる。
 とはいうものの近代政治学における国民国家の成立は民主化とセットであり、一方でウィグルやチベットでは分裂や独立運動が地下に燻り続け、聖火リレー妨害のテロ(たとえば5月16日、温州でのバス爆破で16名が死亡)に見られるように中華思想への不信も甚だしい。「団結」はかけ声倒れに終わる可能性が高い。

 中国で最も高価なタバコの銘柄は「中華」というブランドで一箱千円もする。日本人は「ピース」を煙にするように、中国人は「中華」を煙にしているようでもある。

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 (この文章は『北国新聞』のコラム「北風抄」に5月26日に掲載されました)。

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(読者の声1)同時刻同日に読めなかった過去の貴誌を一週間分にまとめて目を通していましたら、凄まじい四川の地に、間もなく起こりえるダム決壊の濁流も畏れをなすくらいの怒濤の情報と分析の奔流にくらくらしてしまいました。
しかも台湾、ロシア情勢などにも怠りなく目配りされ一気に時勢に追い付くことができました。
  (有楽生)


(宮崎正弘のコメント)ダムの決壊予測は、ようやくNHKも特集で伝えていますが、最悪の想定を中国当局がしはじめている証拠でしょう。



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(読者の声2)シャロン・ストーンのことが貴誌に報じられました。四川大地震はチベット弾圧への因果応報と言ったそうですが。不穏当な発言かと思います。
   (TW生、栃木県)


(宮崎正弘のコメント)中国系メディアが仕組んだ可能性がありますね。
 シャロン・ストーンは記者会見で「中国の遣り方、地震被災への救助活動はチベットの時と違うわ。あの差別はなによ、不愉快だわ。わたしたちはダライラマと親しいけれど、あの天災は因果応報かもしれないし。。。」と発言しているのですが、「因果応報」の部分だけを抜き出し、中国系のアナウンサーが米国で街の声を聞いている。
そうすると、民衆は「不適切きわまりない発言」「政治と人助けは違う」という批判に集中して行った感じをうけましたね。
 こうした反撃でリチャード・ギアらの中国批判をうまくそらそうとする情報戦術の可能性もあります。
 


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(読者の声3)いつも精力的なメールの配信有難うございます。
日本の大手の運送業者(HK−CHINA管轄)から昨夜(26日)に入ったニュースです、自分で確認できるものではないのでその旨ご了承ください。
最近、深センのコンテナポートで(塩田か?)、欧州製の武器を満載した(?)コンテナが見つかったようです。(ロシア製ではなく)。
まさか!と思うのですが、最近日本から中国へ入れる荷物の検査に4−5日(以前は1−2日)かかり税関がやけに厳しくなったので調べて分かったようです。
色々なニュース見ても、こちらの新聞にも出ていないので本当かなとも思うのですが、大手運送会社の担当者もうそを言うこともありませんし。
最近、日本パスポート、ビザ無しの入国もパスポートを透かしてチェックしたり、厳しくなっています。
先日、車の爆破事件もありました。8月(の五輪)に向け大きなうねりがでるのかと危惧します。
(香港読者)


(宮崎正弘のコメント)今月初旬まで湖南省を一周して来ましたが、国内で飛行機に乗ったのは上海―武漢。それから長沙―広州です。
 手荷物検査ばかりか、預けた荷物まで、もう一度みるという始末。ライターも持ち込めず、液体は全部捨てさせられます。
 ですからセキュリティ・チェックに時間がかかりました。
 国際線でも中国から乗り込むときは同じでした。預ける荷物も開けて、液体を逐一調べていました。特別警戒は六月十日からの筈なのに、北京五輪、本番となるとどうなりますか。



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(読者の声4)「WILL」の最新号に高山正之さんの「中国旅行記」が掲載されており、よんでいると、宮崎先生と一緒にいかれたのですね。
ご一行の写真も掲載されていました。
それにしても毛沢東時代、対ソ戦準備の為の三線建設の際、四川では大量の防空壕やら地下軍需工場が建設されたはずでしょう?
それら施設は今次地震でどうなったのか。被害拡大の因となったのか。大いに興味があります。
北京はいつ、どのような機会を捉えて国内輿論を地震救済から五輪に切り替えるのか。興味は尽きません。
(KH生、名古屋) 


(宮崎正弘のコメント)四川省地震で、じつは軍事施設の被害に関して、中国マスコミはまったく報じていません。勇躍、愛国、団結などと軍の救援活動のみを大写しにしていますが、軍事作戦にかかわるニュースはまったくない。
 パラシュート部隊が6400前後派遣され、落下傘降下の場面は飛行機のなかからのシーンだけでしたね。
いったい何処へおりたのか。香港紙の一部は、落下傘部隊の死者四名、行方不明十名とつたえていますが、核兵器関連施設への降下だったと考える方が理にかなっていませんか?



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(読者の声5)『月刊日本』六月号の貴論「シェンノート記念館にて」を拝読しました。
黄金週間に同館を含めて視察された宮崎さんご一行の写真が『WiLL』七月号(発売中)の高山正之氏の論文中にもあります。
今回も途方もない奥地に向かわれたことが分かりました。
フライングタイガーの頭目シェンノート、その中国人の妻は「中国版・くの一」とは畏れ入谷の鬼子母神です。
その記念館がとてつもなく不便な場所であるにも拘らず、大戦中、飛行兵だったパパ・ブッシュが立ち寄っていたとは仰天閣です。
展示パネルに国民党の評価の変化を見逃さなかった宮崎さんの観察眼には再度畏れ入谷です。
その国民党軍を『偽軍』と展示して憚らない中国共産党には呆れたボーイズです。
       (HN生、品川)



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(読者の声6)以下の朝鮮日報の記事は、まさしく日本の朝鮮統治が正当だつたといふ証拠になりませんか?
支那にしてやられる韓国人漁民は口惜しさうに以下のやうに言つて居りますぞ。
延坪島民のキム・ヨンシクさん(57)は、「船員たちが小便をしている様子が見えるほど、中国の漁船が近くまで来ている。力のない国ゆえの悲しみというところだろうか。これが日本だったらとっくに一網打尽にされていただろうに」と話した。
こういう韓国庶民の本音こそ、日韓合邦を望んだ李容九や宋秉 、一進会百万人の請願にまさしく相当するものではなかつたでせうか!

http://www.chosunonline.com/article/20080527000055
http://www.chosunonline.com/article/20080527000056
http://www.chosunonline.com/article/20080527000057
       (HT生、大田区)
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(休刊のお知らせ)地方講演旅行のため小誌は明日5月29日から6月2日付けまで休刊となります。ご了承ください。
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宮崎正弘の新刊『北京五輪後、中国はどうなる?』(6月15日発売。並木書房)。
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  宮崎正弘・黄文雄共著
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(徳間書店、1500円プラス税)
  http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
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『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』 (KKベストセラーズ、1680円)
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』 (徳間書店、1680円)
『世界“新”資源戦争』 阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『出身地でわかる中国人』 (PHP新書)
『三島由紀夫の現場』 (並木書房)
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