国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/05/15


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成20年(2008年)5月15日(木曜日)
      通巻第2188号 
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 追加五万の軍隊を被災地に派遣、しかし国民の不満は相当に根強い
  四川省被災地に一番乗りは「中央電子台」。情報操作が明瞭
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 NYタイムズの記事をみて首を傾げた。
「いち早く現場から報道しようと、中国の歴史始まって以来、規制のない報道が続き、温家宝首相の現場での陣頭指揮が目立つ。『軍が諸君らを助けに来る』と温首相は激励しながら、軍指導部に強く命令している。『早くやれ、可能なコトはすべて迅速におこなえ』。ミャンマーの救援隊受け入れ拒否と対照的である」(5月14日号)。

 この記事を書いたアンドリュー・ジャコブ記者は、北京からテレビをみて記事をものにしているようだ。
現場で本当に何が起きたかを見ていないのではないか。

 国営「新華社」と「中央電子台」は温首相と軍の活躍しか放映していない。
 英雄的な救助活動、孤立していたチベット族とチアン族の多い「文川」への一番乗りの軍とヘリコプターの活躍。30時間ぶっとおしで歩いて駆けつけた軍が「英雄」らしい。
 目的は明らかである。
北京五輪を前に『愛国主義』に、災害救助を転用しているのだ。

 疑問はネットの書き込みから上がった。
 「こんなときに聖火リレーを派手にやるのは恥ずかしくないか」「外国の援助を受け入れるべきではないか」。
 もとより第一報の映像は成都大学の学生寮が揺れる映像で、学生が写メールから流した。ネットは「当局は一週間前から地震を予知していたのに知らせなかった」という投書も目立ち、軍の英雄的救援活動を激賛する「やらせ」の投書の間隙をぬって、頻々に掲載されている。

 

 ▲日本のテレビが以外に活躍した

映像の断片が或る事実を物語る。
 「怪我をした身内を抱える夫人が軍に『早くやれ(救援を)』と怒鳴っている。(ということはテレビのいないところで軍は動いていないようだ)
 「荷物を貨車につみこむ映像では、チンタラ、渋々作業している兵隊が映し出されている」

 日本と台湾のテレビが現場へ直行しての大活躍は、国営新華社や中央電子台の、制御された情報操作の情報を越えた。
 共産党中央宣伝部はにがにがしい思いだろう。

 各社、どういうルートを使ったか、軍隊と同じくらいのスピードで現場に到着して中継を始めた。
中継車ではないから画像は不鮮明だが、倒壊した家屋、ビル、病院の阿鼻叫喚、収容所の炊き出し風景。
そのどこにも軍の活躍がない。医者、看護婦と民間ボランティアが忙しく立ち回り、日頃住民に威張っている共産党員らしき姿もない。

 それでも評価すべき変化はいくつかある。
 SARS騒ぎのおりに中国は、情報を一切隠して、そのために伝染病は世界各地へ広がった。
SARSを告発した医者を中国はいまだに軟禁している。
 世界のメディアが、こうした類いの情報隠匿を非難した。

AIDSを告発した女医も、河南省で軟禁状態にある。AIDSの実態は、いまも伏せられている。

 1976年の唐山地震は、当初から完全に情報を伏せた。いまもって犠牲者の数が分からず、最近は少なめの24万人説を流している。

 北京五輪の聖火リレーでは世界各国の“歓迎”風景と巨大な五星紅旗の林立で『愛国』を煽り、胡錦濤の訪日は天皇陛下がホテルに見送りにきた場面を特筆した。
 愛国、愛国、愛国。いったい毛沢東思想に代替できるかのように愛国を吹聴したが、民草は立ちあがらなかった。

 四川省地震は隠蔽のしようがなかった。
ならば、愛国の旗を高らかに掲げて政治宣伝に転用し、大いに利用しようとした中央情報宣伝部の指令書の存在がばれた。それを伝えたのが日本の親中派のメディアだった。

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(読者の声1)貴誌昨日つけの「読者の声3」の「ST生」さんの兵庫県知事への理解あるコメント。小生には理解できません。
あの際はパニックではなく、拒んだのは、首長として何を優先すべきかが自身で明快でなかったところからのものでしょう。

 「読者の声4」への宮崎氏のコメント。
>日本人がノービザというのは、それだけ信用が厚いという証拠です。中国人は言うこと(反日)とやること(日本人観光客大歓迎)は、常に、必ず違います。<
 こういうところは貴台ならではの判断。中国人は、こういう面では日本人を信用しているのですよ。
実利優先。そこをシナ人嫌いのネット右派の人達はわからないようです。
 いつも(宮崎さんが)よくスイスイ(中国へ)入国できるなと思っていたら、なるほどご苦労されていますね。
(SJ生)
 

(宮崎正弘のコメント)大地震で、日本のテレビ局、よくまぁこのときとばかりに飛び跳ねていますね。
 新華社は、とうとう歩いて文川へ一番乗り。この報道合戦を意図的に北京は放置しています。巨大な五輪批判のすり替えを、この災害に便乗しているかのごときです。
 失脚寸前だった温家宝の、あの過剰なパフォーマンス、なんだか、痛々しい。京劇のクライマックスのようなスタイル、食傷気味であります。



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(読者の声2)中共地震援助は考えものです。中共の地震について早速援助運動があるようだが心配である。チョット考えてみたい。 
(1)金は届かない:まず金は被害者に届かないだろう。途中で中共幹部に私物化されてしまうのである。彼らは頭が良いから絶好のチャンスを見逃すはずはない。
(2)お人善しは馬鹿にされる:また日本人は援助すると感謝されると思うが馬鹿にされるだけである。
かれらは徹底的に自己中心的な民族なのだ。お人好しは利用され嘲笑されるだけである。
    (MARU)


(宮崎正弘のコメント)ジコチュウは軍人の末端まで。救援物資を運んでいる軍隊の映像、でもあれは自分たちの兵糧です。



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(読者の声3)このたびの四川省での大地震は、コキントウ政権にとって奇貨であろうと思います。
海外からの救援隊を受け入れず情報遮断するなかで、やたらと中国共産党の救援活動のみを宣伝する映像を流す反面、チベット族の被災者への救援を遅らせて見殺しにすることを狙っているのではないでしょうか。
五輪聖火リレーはうまく中止できる口実を得たことでしょう。
予定通り実行すれば不測の事態が生じ、コキントウのメンツは丸つぶれになりかねません。
    (KG生、練馬)



(宮崎正弘のコメント)星野野球はプロの集まり、このさいにこそ、災害見舞いで自粛といって世界に先駆けて五輪出場を辞退すると良いと思います。
 五輪はそもそもアマティア・アスリートの集まりの筈、プロがなにをしに行くのですかね?



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(読者の声4)、通巻第2186号の武侯伺について、昔、読んだ本の中に面白い記述がありましたのでメールしました。
文化大革命期に武侯伺も当然のごとく破壊対象になったが、周恩来が壊した者を見つけ出して必ず殺す旨布告したため破壊を免れた(岩波文庫、北京三十五年下巻)
 本当ならまことに結構な話ですが、五人組に目立った抗議ができなかった周恩来がそのような態度に出たとは考えにくいものがあります。現に、文化大革命では、劉備が入城した当時の漢代城壁も壊されたとのこと。
 (AO生)


(宮崎正弘のコメント)周恩来への評価が日本では異様に高いのです。客観的に言って、毛沢東の茶坊主。最後にも、それほど忠誠を尽くした毛沢東に凄まじく虐められた様がユンチアンの大著『マオ』で暴露されました。
 一般の中国人が周恩来を評価するのは暴君=毛沢東があまりに酷いため、比較優位にたてるからで相対的なものです。
天津の周恩来記念館、紹興の周恩来故居などを見ると、主体的展示ではなくいまも毛沢東が「主」、周恩来は「従」の関係が浮かび上がります。
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 四川省大地震発生などにより発行が十日ずれます!
『北京五輪後、中国はどうなる?』(6月10日発売。並木書房、予価1680円)。
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(1)著者サイン入り、(2)送料無料、(3)振り込み手数料無料。(4)発売前日までに到着の四大特典。
応募要領は「並木書房」から本欄に月末に告示されます。
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(( 最新刊 ))
  宮崎正弘・黄文雄共著
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(徳間書店、1500円プラス税)
  http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
    
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『世界“新”資源戦争』 阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
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『三島由紀夫の現場』 (並木書房)
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 宮崎正弘 全著作一覧 (これまでの128冊の著作リストを閲覧できます)
 http://miyazaki.xii.jp/tyosyo/index.html
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  • 名無しさん2008/05/16

    先日、TVでの報道の少なさについて文句を書いた者です。

    日本のTVの活躍をご指摘頂きありがとうございました。

    今夕配信の先生のメルマガまで再度合わせ読み、支那軍のぐうたらさ加減と温家宝のパフォーマンスのバカさ加減

    『「君たちがどうであろうと民衆を救わなければならない。これは命令だ」(産経記事

    http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/144825/

    より)』

    と、日本であったら「おまえらなんか

    二次災害の中で死んだ方が私の人気取り

    になって良いんだ!」といわんばかりの

    救助というものを(ほぼ素人の私と比べても)

    全く知らない不勉強さ! を即座に

    理解することが出来ました。

    自衛隊はまだ出ていませんが、消防

    のレスキューが出ていったことは

    支那の民草の驚くべき反応を呼んで

    いるようです。

    「反日」消えた? 救援隊派遣でネットに「謝謝」の嵐 

    http://www.zakzak.co.jp/top/2008_05/t2008051625_all.html

    『中国メディアは援助隊到着前から「阪神大震災などで豊富な経験があり、世界最先端の機器を携えやってくる」と大々的に報道。≪ただ、ただ、感謝している≫≪なんでもっと早く呼ばなかった。彼らの経験はすごい≫≪ずっと日本に偏見があったが、日本人はいい人だ≫ とネットの書き込みが相次いだ。



     騒ぎには予兆があった。地震直後から中国人の間で「なんで経験豊富な日本の部隊に派遣を要請しないんだ」という声が出た。日本が5億円の支援を表明すると「もう歴史なんて言い出すべきじゃない」「未来志向だ」との意見まで出た。』

    ペテン五輪の聖火リレー続行の醜態に対し

    ネットでの民衆の反応が批判的であり、

    かつ「支那共産党はここに来て民衆の

    声を抑えきれなくなって来た?」と

    思わせるような状態でもあるのですが

    先生は如何思われますか?

  • 名無しさん2008/05/15

    日本マスコミはチャイナのピエロです、チャイナが救援を拒んでいるのですからニュースなど私個人は必要としていません、メジャでも見ている方が健康には良いようです。

  • 名無しさん2008/05/15

    世界世論を一掃するならば、ヘリコプターの出動もされているのだから、チベット自治区への即座の支援を行うべきだったでしょう。無論、他被災地区と同時に。

    「天罰」と言う方々も身近にいますが、日本国内でも、この大地震の前は、一日に数回地震があり、ちょっとビビッていました。しかし、結果的に中国での大震災になり、ホッとしてしまったのは、日本人である前に人間として恥ずかしい思いもあったりします。こういう思いは私だけでしょうか?