国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/05/06


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成20年(2008年)5月6日(火曜日)
       通巻第2173号
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

(連休明け直前、ウォーミングアップ号)

****************************************

宮崎正弘の「チベット紀行」(写真十葉挿入)
http://miyazaki.xii.jp/travels/index.html
HPを更新しております。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ♪
<< 今月の拙論 >>

(1)「ウィグル、モンゴル、チベット独立活動家大座談会」(『週刊朝日』、5月9日号、発売中。ただし明日まで)。
(2)「恐怖版 中国の歩き方」(『新潮45』、六月号、5月18日発売)
(3)「馬英九の台湾はどれほど変わるのか」(『自由』6月号巻頭エッセイ。10日発売)
(4)「チャイナマネーは張り子の虎」(『ボイス』五月号、発売中)。
(5)「追悼 片岡鉄哉先生」(『月刊日本』5月号、発売中)
       ▽
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
((((( 今週の書棚 )))))

 連休中にもたくさんの書籍を寄贈されております。一覧して簡介させていただき、後日、拝読後に詳細を論じる機会があると思います。
                          (宮崎正弘)

    ♪
井尻千男、入江隆則、小堀桂一郎『主権回復』(近代出版社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 昭和二十年八月十五日は、もう一つの戦争の始まりだった。本当の終戦記念日は4月28日であると保守陣営の重鎮三人が語り尽くす本物の終戦の物語。
 GHQが去り、本当に日本の独立が達成された、この日のことをなぜ日本人は忘れたのか?
 ことしも4月28日は九段会館で「主権回復国民の集い」が開催されました。


   ♪
鈴木敏明『逆境に生きた日本人』(展転社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 戦中戦後、強圧権力のもとで示した日本民族の行動を鋭く分析し、猛省を我々に迫る、と西尾幹二氏の推薦の言葉。
 本書は日本人の愛国心を戊辰戦争から説き起こしている。
 戊辰の役とアメリカの南北戦争を比較され、GHQ占領政治、シベリアのラーゲリ、そしてアメリカの日系人収容所への分析が比較検証されている。


   ♪
小山和伸『リーダーシップの本質』(白桃書房)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 副題に「失意から成功への回帰」とあって高市早苗衆議院議員の推薦の言葉には「リーダーシップの本質とともに、人生を精巧に導くための思考法や後世に残せる崇高な生き方を学んだ」とある。
 小山教授は経済学者、その本質をつねに見つめてずばり核心をえぐる論理展開には定評がある。
リーダーシップを正面からとらえて経営や政治の中核に斬り込む。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     ◎◎◎  ◎◎◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)支那から積み出されたジンバブエ向けの武器が南アのダーバン港で揚げられずアフリカ南部の諸港を漂い屁廻っています。四月末現在の話ですが。。。
そのニュースを聞いて思い出しますのは、二十年以上前プラザ合意で円高になるまで、日本からイワシの缶詰を南アに輸出していたことです。
日本近海で獲れたイワシ、サバ、サンマなどが水煮、油漬、あるいはトマト漬(!)の缶詰にされ、ヨーロッパ、アメリカ、中近東、アフリカ、東南アジア、パプアニューギニア、太平洋の島々、ニュージーランド、カリブ海の国々、と世界中の低所得者、出稼ぎ労働者、貧困層の貴重な動物タンパク源になっていた事実を多くの日本人は知らないでしょう。

当時、南アにはSABS(サウス・アフリカン・ビューロー・オブ・スタンダード)という政府機関があって、世界一厳しい輸入食品品質基準を設けていました。
日本のイワシ缶詰を食べるのは白人ではなく黒人たちなのに、なぜそんなに厳しくするのか当初分かりませんでした。
 一回の買い付け数量は百コンテナ五百万缶を超え、契約額は数億円でした。
代金決済の信用状は南アの旧宗主国イギリスの貿易会社から開かれていました。南アの金、ダイヤモンドに限らず食品ビジネスも利権化されていました。
荷揚げ港は中国製武器のニュースにあったダーバン、それにケープ・タウン、ポート・エリザベスの計三港で、ここから日本製の魚缶詰は南ア、そして周辺地域へ流れて行きました。
 SABSの品質検査に合格することが契約条件ですが、厳しい検査基準は、南ア当局と繋がっている業者が輸入利権を独占することに寄与していました。なぜなら非合理的なまでに厳しい検査基準をパスさせる力を持っているのは南ア政府と繋がりのある業者に限られていたからです。 
円高になるまで日本はアフリカを含め世界中の人々に栄養価のある魚缶詰を輸出し供給していました。
片や中国政府はアフリカ、中近東、南米、中央アジアの強権独裁国家へ武器を売り渡しています。  彼我の差は覆うべくもありません。
    (品川の商社マン)


(宮崎正弘のコメント)ビジネスにも裏技あり。中国はロシアに変わって世界の紛争国に武器を売りつける凶悪国家です。



   ♪
(読者の声2)過日、「発言者」塾での富岡幸一郎氏の《チベット問題と日本人の宗教・人権・外交意識》を聴きました。
以前、西部邁氏が主宰していた「思邦会」をイメージして「発言者」塾に出掛けましたので、会場の聴衆の若さにまず驚き、中年風情が場違いな集まりに顔を出してしまったと赤面しました。
「思邦会」の聴衆は熟年貴顕の士が多く、西部氏から発言、質問を促されても一部の常連を除き反応乏しく、西部氏とゲスト・スピーカーの発言がほとんどでした。
西部節のファンとしては、西部論をふんだんに受容できるあの会は至福でした。然るに「発言者」塾の参加者は「聴衆」にとどまることを許されず、“発言者”たることを西部氏から求められます。発言を求められなくても自ら積極的に手を挙げる若者ばかりでした。
 チベット問題への日本の対応とヨーロッパ各国の対応との違いにあるのは「人権」意識の違いであり、西洋人の「人権」はゼーレ(魂)から発した神の像に裏打ちされた人間の尊厳に基づいている、との富岡氏の指摘に頷きました。
そして日本人の「人権」について、宗教的人間観の欠落した政治的処世のレベルと鋭い裁断をしていました。 

「人権擁護法案」の実像は、数年前に打ち切られた同和対策事業の代替物に過ぎず、人間の尊厳による「人権」思想とは無関係の政治的処世の産物との指摘に頓首百遍でした。
西部氏が指摘したように、日本人がチベット人の人権だけを云々し、チェチェン人へのロシアの迫害について等閑視するのは思想的平衡を欠き怠慢に通じる、とは日本の知識人たちへの厳しい一撃です。 
閉塞した日本には、それを打ち破る「思想」が見当たりません。
幕末英国船が常陸沖で座礁し異人が勝手に上陸し狼藉したことに、国家の危機を覚えた会澤正志斎は『新論』を著します。過激な攘夷論を展開した内容にその出版が禁じられ、手に取りたければ水戸まで出掛けなければなりませんでした。
久留米藩の真木和泉、長州藩の吉田松陰、薩摩藩の西郷隆盛など草奔の志士が正志斎の門を叩きます。
長州藩の木戸孝允も『新論』の熱烈な賛同者でした。
正志斎は『新論』を著してから四十年近く後死の直前の文久年間(1860年代初頭)に一転開国論を唱えます。
それが草奔の志士たちをどれほど驚かせ彼らの意識を変えていったことでしよう。さような思想家と思想が求められる「平成維新」前夜です。
  (有楽生)


(宮崎正弘のコメント)まさにご指摘になったように「閉塞した日本には、それを打ち破る「思想」が見当たりません」ね。



  ♪
(読者の声3)メルマガ愛読者です。いつも鋭い分析を楽しみにしております。
北京五輪もそうですが、文明国が中国に対するときに、政治(人権・世論)と経済(貿易など)が相克して、正面切った対応ができないかのようなニュアンスを感じるのですが、実際は、中国の台頭は世界全体としての豊かになっているのではなくて、実は貧困を招いているという分析結果を得ました。
であれば、文明国は何躊躇することなく中国なしの世界経済に進み、政治と経済の矛盾などに惑わされることもないと思うのですが如何でしょうか。
   (UK生)


(宮崎正弘のコメント)「中国的社会主義市場経済」とは「軍国主義市場経済」ですから、貧富の差は開く一方で、共産党執行部で経済政策の対応が無理でしょう。
 北京五輪直後から、大変化が起きるでしょう。



   ♪
(読者の声4)貴誌先々週号にでた、(TE生、東京都)さんの、星野仙一氏批判の投稿記事ですが、16日の、「怒り心頭のぼやき」をしていましたように、『文・武両道』、『心・技・体』で成り立っていた
日本人の世界に誇るべき『武士道精神』が、長期にわたってアメリカの保護領民と成っているためか、『文』と『心』が抜け落ち、他国の悲しみなど『俺には関係ない』、と金の亡者の掌で『蛸踊り』を演じている。こんな情け無い男とは知りませんでした。
 ダルフ−ル、チベットは明日の日本であるかも知れないというのに。この男いっぺんに大嫌いになりました。最低国の最低な『聖火』リレ−では「オリンピック」其の物を見る気もしません。
 IOC関係者を賄う為だけの、金絡みの「オリンピック」など解体させたいですね。 
      (TK生、佐賀)


(宮崎正弘のコメント)小生儀、中国を回っておりました。
こんどは上海から武漢へ入り、それから湖南省を一周して、長沙から飛行機で広州へ。広州からガラガラのJALで帰国しました。
留守中の出来事ですが、中国の新聞には大きく出ませんでした。そもそも中国のマスコミにおいて日本の記事は殆どありませんが、例外的に大書された報道とは福田首相が北京五輪に出席するという記事でした。
 日本は“中国の家来”というニュアンスの書き方でした。



   ♪
(読者の声5)先月の23日産経新聞“産経抄”に、「パリ市議会は、中国当局者に悪魔呼ばわりされたダライ・ラマ14世を名誉市民にした。仏資本のスーパーが中国各地でいやがらせを受け、対中貿易に支障が出るのも承知の上での義挙だ」
とありました。
かたや東京都議会はどうしているのでしょう。中共政府に非難決議くらい出さないのでしょうか? 
トップの石原都知事が北京五輪大会開会式に出席しよう(と思案中?)という見識レベルですから、何のアクションも起こさないのでしょうか。そうまでして、8年後に東京でオリンピックを開催したいのでしょうか。
あれほど中共軍によるチベット人虐殺を非難していた「石原慎太郎」は、今の「石原慎太郎」とは別人なのでしょうか? 
彼我の落差はどうしようもありません。
    (HN生、横浜市)


(宮崎正弘のコメント)『テーミス』(会員情報誌)の最新号によれば、都議会は来年の選挙を控え、石原知事ではまずい、選挙応援を依頼しないほうが得策と判断している議員もいるとか。。。。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
新メルマガの推薦です

メルマガ「海を渡った自衛官─異文化との出会い─」
 発行者 荒木肇(あらきはじめ)
週1回水曜日配信(第1回配信 5月7日(水))
申込み先 http://www.melma.com/backnumber_174026/
  
■梗概
  陸上自衛隊が初めて海外へ一歩を踏み出したのは、1992年9月、行き先はカンボディアでした。93年にはアフリカの南端に近いモザンビークへ内戦後の国際平和協力業務活動に、94年には中央アフリカのルワンダへ難民救援に派遣されました。96年からは今も継続中のゴラン高原での輸送業務活動が始まり、99年から2000年にかけては東ティモールの復興支援、01年にはアフガニスタン、02年には再び東ティモールへ。そして04年にはイラクへと隊員たちは出かけて行きました。
  少ない人員をやりくりしながら、陸上自衛隊は見事にこれらの任務を果たしてきましたが、これまで隊員たちが自らの言葉で派遣について語る機会はほとんどありませんでした。
  このメルマガは、海外に赴いた隊員数十人を直接取材し、彼らが現地で何を体験し、どうやって任務を遂行してきたのか、その実際を聞き書きしたものです。
  派遣先での「異文化との出会い」に悩み、戸惑いながら、事態をどう解決してきたのか? 知られざる自衛官の活躍を等身大で紹介します。
 
■荒木肇(あらきはじめ)1951年、東京生まれ。横浜国立大学大学院修了(教育学)。横浜市立学校教員、情報処理教育研究センター研究員、研修センター役員等を歴任。退職後、生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専門学校講師、現在、川崎市立学校教員を務めながら、陸上自衛隊に関する研究を続ける。2001年には陸上幕僚長感謝状を受ける。年間を通して、陸自部隊・司令部・学校などで講話をしている。著書に「自衛隊という学校」「続・自衛隊という学校」「指揮官は語る」「自衛隊就職ガイド」「学校で教えない自衛隊」「学校で教えない日本陸軍と自衛隊」「子供もに嫌われる先生」(以上、並木書房)
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■第1回目の配信(5月7日配信予定分)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 
第1回 ゲートに行けば日本のキャプテンに会える/イラク復興業務支援隊
 
《イラク復興支援軍の概要》
  2003(平成15)年3月、英米軍がイラクへの攻撃を開始した。5月1日には早くも大規模戦闘の終結宣言が出され、7月13日にイラク統治評議会が発足する。
  わが国では、7月26日には「イラク特別措置法」が成立し、自衛隊の部隊が医療、給水、施設の復旧整備に派遣されることになった。
  派遣される陸上部隊は復興業務支援隊と復興支援群に分かれる。
  実際に支援活動を行なうのは支援群の衛生隊、施設隊、給水隊だが、警備部隊や群本部などの人員がかなりの数にのぼった。また、イラク当局や、外国軍や、国連関係組織との交渉や調整・連絡にあたったのは業務支援隊だった。
  そして、前者は第10次、後者は第5次隊の撤収が完了したのは、2006(平成18)年7月29日だが、装備や物資の国内へ送り出す部隊、後送業務隊、約100名がイラクの地を最後に離れたのは9月14日だった。
 
▼「イラク人の目線で考えよ」ヒゲの隊長の方針
 
 N1尉に発令された職務は「連絡将校(幹部)」だった。
  イラク暫定政権がスタートする前、ムサンナ県は米・英占領当局(CPA)の治政下にあり、治安の任にあたったのはオランダ軍(CIMIC)である。
  N1尉は、業務支援隊の連絡幹部、つまり、CPA、CIMICと自衛隊復興業務支援隊とのさまざまな業務調整や連絡にあたるのが仕事のはずだった。
  職種(兵科)は通信科であり、通信学校で教官職を務めるほどのベテランである。それが、現地での実際の活動はといえば、働く場所と仕事を求めるイラク人たちの窓口になってしまった。
  「失業問題が何より深刻でした。働き盛りの人たちに仕事がない。就職を希望する人がほとんど毎日、宿営地のゲートに来ていました。通訳などの採用があるからです」
  イラク人の通訳に対応を任せてしまう方法もあったが、N1尉は自分でじかに話を聞こうとした。
  佐藤隊長(ヒゲの隊長で有名になった現参議院議員)の指針も、「イラク人の目線で考えよ」というものだったし、せめて話し合いだけでもしなくてはと考えたからだった。
  雇用できる数は限られていて、希望者は多いので、採用はめったにできなかった。でも、ゲートに行けば日本のキャプテン(1尉=大尉)が話を聞いてくれる。
  それが話題になり、現地の人はぞくぞくとキャンプのゲートに訪れるようになった。
 
▼毎日が手探りの異文化体験
 
 これは違うな、これもずいぶん自分たちの常識とは変わっているなと思うことの連続だった。まず、給与の支払い方法である。
  こちらはドル建てで金を渡す。その米ドルと現地通貨、イラク・ディナールとの換算率が高額ドル紙幣ほど有利になっていた。
  例えば、100ドル札は13万5000ディナールになる。ところが、1ドルは1100ディナールにしかならない。細かい札で給料をもらうと、およそ2割も損をする計算になるのだ。
  だから、現地の人はなるべく高額の紙幣で支払いを受けたがった。こうしたことは、現地の事情にうといと何も分からない。どうして、通訳たちはこんなにむきになって高額紙幣を欲しがるのか、その謎はやはり現地の人から聞いたことで理解ができた。
  若い独身男性も就職に必死だった。結婚するために働きたい、金を貯めたいという意欲が並大抵ではなかった。それは、結婚しているかいないかが、現地での社会的地位にひどく影響するからだった。
  イスラムの文化として一夫多妻の制度がある。もともとは、働き手の夫を失った家族は悲惨な目にあうといった歴史が背景にあるらしい。甲斐性のある男は、たくさんの妻をもつ。そうして家族を養うのは一人前の成人男子の役割であり、責任だという考えがたいへん強いのだ。
  「雇っているイラク人が勤務時間についてこぼしたことがありました。自衛隊の仕事は契約では朝9時から、午後5時まで。そうすると、昼に家族といっしょに食事をとることができない。それが悲しいというのです」
  けしからん、仕事だぞ、家族がなんだ、あるいは、何を大げさなことを言うのだ。日本人は家族と夕食もいっしょにしないで働くのが普通だなどと言ってしまうかもしれない。でも、ここはイラクであり、イラク人の常識は違うのだ。N1尉は勉強になったという。
 
▼戦争をしに行くんじゃないんだから
 
 N1尉は親子3代陸軍の家系である。祖父は旧陸軍から陸上自衛隊へ、父も陸上自衛官だった。中学生の時には韓国へ行き、分断された国家の厳しい現実を見た。高校ではタイ王国へ研修に行った。そこでベトナム、ラオス、カンボディアなどからの難民キャンプでボランティア活動をした。国を追われた人々の悲しい表情が目に焼きついたという。
  イラクへの派遣前、緊張感はたしかに持った。でも、祖父に報告がてら会いに行ったら、戦争をしに行くんじゃないから任務を楽しんでやってこいと言われた。それで、ずいぶん肩の力がぬけたとN1尉は言う。
  「自衛隊はこれからも多様な任務環境の中で、さらに海外で活動することが増えるでしょう。今まではPKOや、人道派遣などはもともと兵士・軍人の仕事ではないと思われてきました。でも、ほんとうは兵士・軍人でなければなければできない仕事です。自衛隊は力むことなく淡々と活動していくことが大切だと考えています」
  N1尉は太ももに付けた拳銃のケースが目立つ、当時のゲートの写真を見せてくれながら、にこやかに語ってくれた。
 (このメルマガは下記へお申し込み下さい。購読は無料です)
 http://www.melma.com/backnumber_174026/

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
< 宮崎正弘の新刊予告 >
『北京五輪のあと 中国はどうなる』(仮題、五月下旬刊行予定。並木書房、予価1600円)。

   ♪
(( 最新刊 ))
  宮崎正弘・黄文雄共著
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(徳間書店、1500円プラス税)
  http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
    

((( 宮崎正弘のロングセラーズ )))
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』 (KKベストセラーズ、1680円)
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』 (徳間書店、1680円)
『世界“新”資源戦争』 阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『出身地でわかる中国人』 (PHP新書)
『三島由紀夫の現場』 (並木書房)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
 宮崎正弘 全著作一覧 (これまでの128冊の著作リストを閲覧できます)
 http://miyazaki.xii.jp/tyosyo/index.html
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
 ◎小誌の購読(無料)登録は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
 http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2008 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。