国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/04/22

 
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成20年(2008年)4月22日(火曜日)
       通巻第2169号
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 「北京五輪を虐殺競技会と呼ぼう」と書いた『ボストン・グロープ』が論評
   新中華思想は毛沢東思想、マルクス主義に代替できるのか?
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 ボストンを根城の進歩主義リベラル派の代表的な意見を吐くのは老舗『ボストン・グロープ』紙だ。
NYタイムズより、やや過激な左翼でもある。しかし人権擁護、法治に関して、自由主義の強い味方でもある。

 ボストングローブ紙は社説に書いた。
 「中国に新しいナショナリズムが勃興した」と(21日社説)。
 この論議の一番重要なる部分は「新中華思想は毛沢東思想、マルクス主義に代替できるのか?」という設問である。

 同紙の社説をやや意訳すると、「中国の『ベスト&ブライテスト』らが、新ナショナリズムに寄りかかって、中国の統治者の信条に近接した病的な主張をしながらも、天安門の過去を、これで消し去ろうとする権力側とどう折り合えるか。このナショナリズムは、1936年ヒトラーのベルリン五輪に際しておこなわれた病的なナショナリズムに似ており、逆に新ナショナリズムの興隆を恐れる北京がネットの規制に乗り出している」。

 在米留学生のなかには少数のチベット人留学生とこれを支持するアメリカ人学生らが、北京の国威発揚を中華ナショナリズムと結びつけて五輪擁護を展開する圧倒的な中国人留学生と対立し、キャンパスのなかでも中国人はみごとに分裂している(日本も欧米もそうだが)。
 
 そして両方の話し合いを求め、仲介役を買って出たデューク大学留学の女性学生に対してネット上での破壊的非難(「おまえは売国奴」、「売春婦め」、「おまえの墓を暴いて骨を一万個にばらしてやる」とかの脅迫メール)が集中し、親たちは中国国内で身を隠した)。これが中華思想の変形とみるわけだ。

 毛沢東とマルクスをいまも信条としている中国の統治者は、この激しいナショナリズムを新しい統治の道具に切り替えるか?
 もしそうなれば、次はヒトラーがそうしたようにチベット、ウィグルへの徹底的な血の弾圧を強化し、台湾への侵攻の牙を研ぐ。尖閣諸島から沖縄へのパラノイア的な領土野心もしかり。

 しかし中国のナショナリズムとは、所詮、阿片戦争と義和団に代弁されるように、病的に一時期燃えるだけの現象的なものでしかなく、いずれ政治の道具として利用されるだろう。『中華思想』に新と旧はない。
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(読者の声1)昨夜(平成20年4月20日)、中国人女性に声を掛けられました。
「台東区台東○丁目○番○号」と書いたメモを持ち、「ここへ行きたい」とたどたどしい日本語で言うのです。
不憫に思って案内してみると単なる民家で、どうやらそこに下宿していた中国人(既に居を移して不在)を訪ねたようでした。
知り合いでもない人を夜8時ごろ何ゆえ伺うのか、中国人のやることは分からんと思ったのですが下記メールで合点が行きました。
彼らは長野へ行く仲間を勧誘していたのですね。
中国人の持っていたメモはネットから画面コピーで取り出したようなものでしたから、組織的に動員を図っているのかもしれません。
いずれにせよコソコソ逃げ回る「聖火」(と言うより邪火)を日本に持ち込む必要は無いと思います。
(正遊人)


(宮崎正弘のコメント)どこかの宗教カルトの説得行脚のごとくでもありますね。
ところで、26日の聖火リレー、長野へ中国人留学生の動員は2000名を越えるようです。
 プロが混入し、むしろ日本側を挑発するテクニカルな行為をするでしょうから、抗議行動の参加者も十分に留意されますよう。
 マスコミ関係者、とくにテレビクルーは、その手口を撮影すること。



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(読者の声2)貴誌2168号を読んで、驚きました。フランスに抗議する中国人の若者のデモですが、中国全土で吹き荒れていると思いましたが、なんと上海とか広州は、デモがおこなわれていない。背後に権力闘争がある、などと。こういう発想をしたことがなかったので貴誌によって目から鱗でした。
 しかし上海は何故なのですか?
    (TY生、山梨)


(宮崎正弘のコメント)上海はもともと「呉越同舟」、「南船北馬」という地域対立の伝統から言えば北京の敵です。
その上、上海は2010年上海万博、広州も2010年アジア大会を控えています。じつは北京五輪など、彼らにとって「どうでも良いこと」なのです。
  ですから五輪聖火が英独仏で邪魔されたのが中華の国威発揚の妨げ? という愛国的発想は生まれない、すくなくともそういう発想をしません。小生は、このたびの中華愛国ナショナリズムを、権力側の演出した底の浅いものと考えています。
 上海ならびに江蘇省、浙江省などでは、上海派のボス(陳良宇、18年の懲役刑)をいじめた胡錦濤への怒りが渦巻いており、それなら胡錦濤の故郷である合肥(安徽省)でも行って騒いでやろうか、という思惑も働いたのではありませんかね。
  広東で例外的に抗議デモが組織されたのは深センだけですが、あそこは広東人気質はありません。広東人の気質は反中央です。
人工的な大都市、過去二十年で人口が二万人から800万人にふくれあがって、流れ者が寄せ集まった俄造りの町で、小生は1996年の『諸君』に「まるでハリウッドのロケのセット現場のような感じ」と書いたことを思い出しました(拙著『チャンスとリスク』所載)。
この町の特色は広東語が通じないばかりか、普通語さえ通じにくい。独特の北京語、英語で言うとコクニーとか、豪州のカングリッシュ的な流れ者の言葉です。



   ♪
(読者の声3)聖火ランナーに「チベット虐殺抗議要請」
有森裕子さんは悩み始めたようですが、許せないのが下記二人です。
日本国参議院議員である、荻原健司議員と橋本聖子議員であります。
如何に過去に五輪で活躍したからと言って、いやそうであればこそ、現職の国会議員である現在は政治的メッセージとなるにも拘わらず、脳天気に斯様なリレーに走者として参加するなどは、呆れて物が言えません。
 以下の抗議メールを送りました。
 
 橋本聖子 日本国参議院議員殿
 
 桜前線も北上中で長野ではそろそろ満開でしょうか。
 さて、長野市のHPを見たところ、聖火リレーのランナーの中に橋本聖子議員の名前を発見致しました。桜も散り終わるであろう4月26日、日本選手団が金メダル5個を含む10個ものメダルを獲得した冬季五輪の聖地を、チベットで自作自演の暴動を演じて僧達を弾圧するという、卑劣極まりない人権蹂躙国家「中国」で開催されようとしている五輪の血塗られた聖火を、事もあろうに日本の立法府に籍を置く現役の国会議員がランナーとして走るとは、世界を股に掛けて活躍された方とは思えない所業ではないでしょうか?
 一体如何なる良識、国際認識による物なのでしょうか?

 「五輪と政治は別」等と言えるのは、一般のスポーツ選手に言えることで、政治的理由で数度に渡り五輪をボイコットしてきた中国に対し、政治の中枢にある国会議員が語れる事では無いと思います。ましてや、聖火ならぬ、人権弾圧の片棒を担ぐランナーとして走るとは、かっては先生を声をからして応援し、今般は先生に投票した方々を愚弄する行為ではありませんか?
 女性として、過去7回も五輪に出場した経験をお持ちの先生であれば、その中に斯様な人権蹂躙に血塗られた五輪があったかどうか一番ご存知ではないのですか?
 先生の持っておられた純粋なスポーツ精神とは、斯様な政治的イベントの片棒を担ぐような非人道的人権無視の精神だったのですか?
 それで、あの時のメダル、涙を流して喜んだ国民に顔向けが出来るのですか?
 日本の伝統的な文化に「恥」という物があります。日本人として、日本の国会議員として、世界的に著名な元メダリストとして、恥ずかしくない行動をとって頂きたいと思います。
  荻原議員にも、ほぼ同様なメールを送っております。
 
 「運動馬鹿」というのは、ある意味大変尊敬を持っての呼称だと思いますが、立場が変わった以上、そこで「運動馬鹿」をやってしまっては「運動」が取れてしまいます。
 他のランナーはスポンサーがらみもあり自ら恥を晒せば済むとも言えますが、現職の国会議員が人権蹂躙国家の宣伝イベントに参加するなどは、言語道断ではないかと思います。
   (トノゴジラ)


(宮崎正弘のコメント)政治とスポーツは別、というのは便利な逃げ口上ですね。



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(読者の声4)神奈川の「ST生」さん。よくぞ書いてくださった。(貴誌2164号。ダライラマ法王の発言は「高徳の仏教増の真心」云々)。
ダライラマ猊下、今回、来日された折のお顔は、以前、両国国技館で拝顔したそれとは全く別人でした。
当時、チベットの方たちと、二日間にわたってダライラマさんの本を売るために両国に通ったのですが、(ボランティアで)、せっかくだから、講演聴いていらっしゃいとチベットの方々に、薦められて拝聴しました。とても穏やかで、ジョークがお上手で、知識が豊富なのも解りましたし。
 先日は成田に立ち寄っただけでしたが、来日時の猊下の御相をみて、苦悩の深さが伝わってきて胸が苦しくなりました。
    (FF生、東京都)


(宮崎正弘のコメント)欧米ではダライラマ猊下が訪問すると、大統領も首相も面会します。北京に大甘のクリントン、ブッシュ大統領も、そろってホワイトハウスに招いて面談しています。日本は、ダライラマ猊下の休憩先のホテルに、せいぜいが「前首相」の「奥方」の訪問。
 彼我の差、かくも大きく。これでは日本「も」、某大国の家来?



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(読者の声5)「中共の皇室利用を防ぐ」。
さきに天安門事件で世界が中共の暴挙に警戒心を高めた時に、中共は天皇陛下の訪中を行い西側の結束を破壊した。
これを一番弱い輪を切ったと中共の外務担当者が豪語したことは記憶に新しい。それと同じことが行われようとしている。
中共の皇室利用は予定通りの作戦であろう。これでは福田首相は日本の名誉を守れない。 
加瀬英明氏が言われるように誰も歓迎しないコキントウの訪日をキャンセルすべきである。
     (MC生)
 
 
(宮崎正弘のコメント)歓迎する政治家がいますよ。愛中派、媚中派など、それも与党のなかにさえウヨウヨと。
 中国がチベットは古代から自分たちのものと言い張っている論拠は下記の宣伝にあります。独善的歴史解釈の見本のようなものです。
http://j.peopledaily.com.cn/2008/04/21/jp20080421_87101.html
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(お知らせ1)25日(金曜日)午後一時から1440頃まで、ラジオ日本「ミッキー安川のずばり勝負」に宮崎正弘が生出演します。関西のリスナーの方は午後二時まで。
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(お知らせ2)小誌は4月26日から5月7日まで海外取材のため休刊になります。
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 『世界が仰天する中国人の野蛮』(徳間書店、1500円プラス税)
  http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
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『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』 (KKベストセラーズ、1680円)
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『世界“新”資源戦争』 (阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『出身地でわかる中国人』 (PHP新書)
『三島由紀夫の現場』 (並木書房)
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