国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/04/21

 
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成20年(2008年)4月21日(月曜日)弐
       通巻第2168号
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 「愛国主義」なる中国ヤングらの抗議行動の実態とは?
   上海と広州ではなぜ起きていないか、背後に権力闘争があるのでは。。
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 19日(土曜)から20日(日曜)にかけて中国の各都市で「愛国主義」とかを標榜する中国人のデモが演出された。日頃取り締まりの厳しいインターネットや携帯電話での呼びかけもあり、付和雷同の群衆が押しかけて遠巻きに見ていた。

西側でも欧米の数都市で、主として「西側マスコミの中国報道の偏向」に抗議する集会が行われた。「悪いのはダライ一味であり、中国は人権を尊ぶ国家である」そうな。
 (言論の自由のない国で、よくそんなことを言うよな)と感じた読者が多いだろう。

 中国全土には112店舗のフランス系「カルフール」(家福爾)が盛業中である。
 品そろえ、店舗内の明るい雰囲気、設計の良さ、などが受けて中国人消費者に人気が高い。イトーヨーカ堂と並ぶほど、買い物客でごった返す。

 そのカルフールの幹部がチベット支援に義援金をだした、という噂が流れ、攻撃のターゲットとされた。

 もっとも過激な暴力行為、店舗破壊は安徽省の合肥市にあるカルフールで、毎日新聞に依れば「千人が店舗に乱入し」、一部の店舗を破壊した(産経)。
 また瀋陽のカルフールでは「六人のデモ隊が、当局に連行された」(毎日)。

 NYタイムズは、反仏行動はほかに西安、ハルビン、済南、武漢でもおこなわれ、加えて、小規模な抗議行動は「天津、大連、洛陽、海口」(産経)でも。
読売は「広東省深せんでも抗議行動があった」と伝えた。

 まとめるとこうである。
 合肥のデモが暴力化した(朝日は抗議行動に一万人が参加した、と伝えている)ほかは、穏健な抗議活動で、大連で1000人(読売)、青島も1000人(朝日)。重慶でも不買を呼びかける抗議行動があった(日経)。


 ▲北京は厳戒態勢ゆえに抗議活動を許さず?


 肝心の北京では?
 「フランス大使館前に横断幕を掲げた50名」(NYタイムズ)、「車列がクラクションを鳴らしフランス大使館前を通過(日経)。
 上海と広州ではおこなわれた形跡が一切ない。

 もし「若者の自発的行為」であるとすれば、なぜ限定的な地域でしか抗議が起きていないのか。
当局の背後の操作でもなければ得心できる説明にはならないだろう。

 穿った見方をすれば、胡錦濤派の反仏行動の消極的推進に反胡派が過激に応じたか、あるいは無視したか。
地方幹部が江沢民派、太子党、あるいは胡直系かによって、地域的特徴が浮かんでくる。

 いずれにしてもデモ隊は巧妙に動員され、プラカード、国旗などが周到に用意され、暴力化しないようにデモの中核を指揮したのは公安系であろう。
05年4月におきた「反日暴動」のように、大使館或いは領事館前に「生卵」や「ペットボトル」の準備はされておらず、またフランス系とはいえ、フランスを象徴するルイビュトンの店舗は一軒も対象になっていないのは奇妙というほかはない。
カルフールは112店舗だが、ルイビュトンはそれ以上あるのに。

NYタイムズは、一部のデモ隊が「マックとケンタッキー・フライド・チキンにも行こう」と呼びかけた」という。だが誰も米国系に抗議しに今回は向かっていない。(きっと上からの指示がないからだろう)。

 海外ではパリ、ロンドン、ベルリン、そしてロスアンジェルで同様な「愛国主義」の抗議集会が行われ、大量の海外留学生が動員された。
 (おそらく出欠をとったのではないか)。

 パリは共和国広場では参加者が「そろいのTシャツ」、ベルリンのそれは「指示書がまかれ、こまかな注意がなれていた。とくに西側の混入(中国人をよそおい狼藉を働く)に注意せよ」などと書かれていた(毎日)。
 つまり、自分たちがデモを演出するときにそうするから、発想が防御的にもなるわけだ。

 ロンドンではBBC前にマスクをかぶった中国人が「偏向報道」に抗議した。この演出は沈黙を強いられるという西側左翼運動の真似。

 ハリウッドではCNN(キャスターが中国は小悪党と発言)前で抗議集会があった。
 しかい親中ラッド政権の豪州などでは「愛国主義」なるもののデモは起きていない。海外でもまた地域限定なのである。
さて長野ではどういう中国側の演出があるか? 

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(読者の声1)貴誌2163号 (18日発行)NN氏の(読者の声3)にある「また愚生にとってさらに解らないのはダライ・ラマの支那に対する甚だ妥協的な態度です。チベ
ットの独立は求めない,ただ自治を認めて欲しいだけだとか,支那には五輪を開催する立派な資格があるとか,チベット人民がこれ以上暴力による対決をするなら自分は辞任する,とか。何かあるいは誰かを人質にとられてゐるのでせうか?」
のようにダライ.ラマ猊下のあまりにも控えめな要求の真意を訝る意見をよく見かけます。

私はダライラマ猊下の発言が高徳の仏教僧の真心から発したものであると信じます。
しかし、同時にこれは中国政府および中国共産党にとって非常に困ることなのです。猊下の謙譲な態度が諸外国の共感を呼び、共産党政府に付け入る隙をあたえないということだけではありません。
チベットに自治を認めるとチベット自治政府に教育内容、言論・報道の自由の範囲等を自ら決めることを容認することになります。
つまり中国国内に少数民族や反中央政府活動家の活動基地の存在を容認することになり、彼らにとってチベットが独立するより怖いことです。
共産党幹部の中で目先の利いた連中の中には、「毛沢東の馬鹿め。あいつがチベット併合なんてやってくれなければ、良かった。金がかかるだけでなくこんな厄介な事態になってしまった」
と内心で思っているものもいることでしょう。

日本が北朝鮮と外交関係をもって在日北朝鮮大使館に外交官特権を持った工作員いる状況を考えてみればわかります。
チベット自治は、中国共産党にとって在日北朝鮮大使館の日本とっての脅威とは桁違いに大きな危険となることでしょう。
そんなこと中国共産党が容認するはずはありません。

北京オリンピックの開会式に政府代表が出席すべきか、否かという議論がありますが、私には不思議に思えます。
所詮、民間営利団体が主催している行事です。(IOCを非営利団体だなどと思うことはおろかです。)
そもそも政府首脳が国費で出席することが不謹慎です。
さらにチベット等で騒乱が起きることは十分に予想ができたはずです。IOCの委員もNOCの幹部もそんなことも考えられず、あるいは気がつきながらも、北京を開催地に決めたよくボケした能天気な連中です。
そんな連中が主催・運営している行事に権威などありません。
またチベット人やウイグル人が騒動を起こさなければ、現政府首脳の足を引っ張って政局を作り出そうとうずうずしている共産党反主流派が、チベット僧に変装して騒ぎを起こすでしょう。
かれらにとってこんな便利なチャンスはありません。今回の騒動が、何%が反主流派による策動の結果かは判定しがたいことですが。

それより私が心配していることがあります。
それは、今年の8月ころの北京の水事情です。水不足の危険性はつと指摘されていますが、これは不評をかうだけです。中国政府はオリンピックによる水需要増大に対処するため、無理をしてでも北京に水の供給をするための手をうっています。
そこへ例年にない豪雨が訪れたらどうなるか。
8月は降雨量のすくない北京では比較的雨の多い時期です。
そこへ大型台風が2つ、3つ襲ったら大変なことになります。手抜き工事の競技会場の屋根が抜けるだけでなく、干からびて保水力の減退した華北の大地を大水がなだれを撃って駆け抜け、中南海が床上浸水になる情景を目に浮かびます。
今年は、雨の多い年になりそうです。
      (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)胡錦濤は北京五輪責任者の習近平を指名しました。
 上海派の利益代表、裏面で曽慶紅が画策して次期総書記にさせようとしている2階級特進の太子党のチャンピオンですが、北京五輪が失敗したら、胡は子飼いの李克強をさっと上位に付けて、習ら太子党の跳梁を防ぐ挙にでるでしょう。
三月、全人代で習近平は一部のチャイナウォッチャーが予測した軍事委員会副主席には滑り込みが叶いませんでしたし。



   ♪
(読者の声2)国民新聞(4月25日付)にでた加瀬英明氏の卓見を以下に引用します。
 「中国がチベットで民衆を弾圧したことから、中国が道義を欠いた国であることが露呈し、中国に対する避難が全世界にひろがっている。
 ロンドンを出発した聖火リレーは、行く先々で激しい抗議運動にさらされている。
 フランスのサルコジ大統領、イギリスのチャールズ皇太子、ブラウン首相は北京オリンピック大会開会式に出席することを拒んでいる。
 このようななかで、胡国家主席が五月に国賓として来日することになっているが、もし、日本政府や国会が、昨年の温家宝首相の訪日と同じように歓迎した場合には、日本は世界中から中国に媚態を呈しているとして、侮られることになってしまう。
 私はとくに宮中晩餐会において、天皇陛下が胡主席と乾杯を交わされている映像が、全世界に駆け巡ることを恐れている。皇室を政治利用することになり、天皇陛下のご品格に傷をおつけすることになる。
 胡主席の訪日は延期するべきである」。
     (HF生、東京都)
 
 
(宮崎正弘のコメント)延期、それも永久延期が望ましいのでは?

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