国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/03/13


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成20年(2008年)  3月13日(木曜日)  
通巻第2123号  
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 吉と出るか凶となるか、台湾陳政権が台湾の銀行の大陸進出を許可
  劣勢の民進党政権、国民党路線を投票日十日前に先取り
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 土壇場の選挙戦術としか考えられない。
 陳水扁政権は3月12日に台湾の銀行の本格的大陸進出にGOサインを出した。

 もっかの選挙戦は、「独立」、「統一」の論争を離れて、経済一色。大陸とのビジネス強化の「速度」が論点である。
馬英九(国民党候補)は北京と早急な話し合いとすると標榜し、謝長廷(民進党候補)は40%の投資上限(資本金の40%をこえる大陸投資は認めない)をケースバイケースで考えるべきと言い、どちらも産業界からの強い要請に応える。

 一方、「共同市場」(中国と共有の自由市場構想)論争では、農業ベルト地帯で客家人も多い新竹から苗栗にかけての国民党の金城湯池で、馬陣営のいう「農作物自由化」により台湾農作物が競争力を失うとして、急速に国民党離れが起きている(自由時報、3月10日)。
有権者の関心は、しかし経済成長と雇用である。

 台湾には40の銀行がひしめくが、有力10行が大陸への本格進出を望み、最強の金融グループ「国泰グループ」も陳政権の政策転換を歓迎している。

 早々と金門島の対岸=アモイにある「厦門市商業銀行」へ20%の投資を表明したのが台湾第二位の「富邦」グループ(熊天行・頭取)だ。
富邦ホールディング(富邦金控)は、香港子会社を通じて、これまでも大陸へ進出してきたが、本格的な支店開設も認められることになり、厦門へ大々的進出を決めた様子。

 この動きを株式市場は歓迎、台湾株は上昇に転じた。
 だが、選挙にはどう跳ね返るのか、予測不能である。
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(読者の声1)これにより「国体」という “言葉”が恢弘され、その概念が明治維新の草莽の動燃となった会澤正志斎の『新論』を手に取りました。
1824年(文政七年)常陸の大津浜に上陸し薪炭を求めてきた諳夷(イギリス人)に接して、国家の危機を直感した正志斎はその翌年に『新論』を著して攘夷論を論展します。
単なる観念論でなく邪説(誣術、仏教、儒教、耶蘇教)の害を述べ、当時現下の海外情勢を緻密的確に説いて、国防の急務とその具体策を展開します。内容が過激なため公けにすることが許されず、門人など内々で筆写されてひろまり行きました。
九州の遠方から真木和泉が、長州から吉田松陰が、水戸藩の正志斎の許に駆け付け、教えを請いました。

注目すべきは、それから四十年経た1862年(文久二年)に『時務策』を著して一転開国論を唱えたことです。
正志斎は暗殺の危うきことになります。翌年没していなければ、畳みの上で生涯を終えられない内容の書で、八十一歳にして変節したと思われる異見を世に問うた豪胆さに感心します。『時務策』はきわめて簡潔なものですが、次のような冒頭で始まります。

(引用開始)
「国家厳制ありて外国の往来を拒絶し給うは、守国の要務なること勿論なれども、今日に至りては、また古今時勢の変を達観せざることを得ざるものあり。東照宮の御時、西洋の邪教人心に大害あることを深察し給い、厳禁を設け邪徒を尽く殺戮せられしが、其の根底未だ絶えずして、寛永の変(島原の乱)起るに及びて外国を拒絶し給うこと、号令厳粛にして今に至まで国家の厳制たり。然るに近時、外夷しばしば来て通信(外交関係)を請う。幕府にても通信のことには其の弊なしとせらるるにもあるべからざれども、時勢を斟酌ありて権宜の道(適宜の措置、諸外国との条約の締結)を用い給いしなるべし。天下を治るには時を知るを要す」。
(引用止め)

時勢の変化を見て、柔軟に対処することを唱えています。

掉尾は以下の通りです。
(引用開始)
「右に論ずるところも、必ずしも外国を拒絶すべからずというにあらず。万国の形勢を審察して、拒絶して宜しきに当る時あらば拒絶すべし。必ずしも戦うべからずというにあらず。孫子始計の如く、廟算して(戦いを始める前に作戦をたて)彼を知り我を知り、我に算を得ること多くば戦うべし。算なくして妄りに戦うべからず。孔子も、暴虎馮河して(血気に逸って)死して悔いなからんものにはくみし給わず、事に臨みておそれ(戒め慎み)、謀を好みてなさんものにくみし給う。されば万事について、その難きを知りて後に行うべし。軽易無謀にして暴虎馮河せんは、実に危うき事にして天下の大事を敗るに至るべし」。
(引用止め)

『新論』も決してイケイケドンドンの過激なものではないのですが、正志斎最晩年の『時務策』には感じ入りました。
   (有楽生)



(宮崎正弘のコメント)会沢も佐久間象山も、勝海舟も、思想遍歴は似てますね。横井小楠先生も。
 ところで『論語』の読み方が出版界ではブームなそうですが、それなら『新論の読み方』ってのはどうですか? いま、有志のあいだで進んでいる企画は内田良平のシナ論の現代語訳と現代的位相としてのかれの思想解題です。
 大川周明は、再評価が始まり、北一輝も別の角度から見直されてきております。
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(サイト情報)
(1)米国務省は3月11日、世界196か国の人権状況を調査した「2007年国別人権報告書」を公表した。その報告書全文 
http://www.state.gov/g/drl/rls/hrrpt/2007/index.htm 
日本に関する報告 
Jhttp://www.state.gov/g/drl/rls/hrrpt/2007/100522.htm 
ライス国務長官の声明 
 http://www.state.gov/secretary/rm/2008/03/102103.htm 
ファラー国務次官補代理の声明 
 http://www.state.gov/g/drl/rls/rm/2008/102116.htm 
人権問題に関する情報をまとめた国務省国際情報プログラム局のページ 
 http://democracy.america.gov/democracy/rights/index.html 

(2)連邦準備制度理事会(FRB)は3月5日、地区連銀経済報告書(通称ベージュブック)を発表した。地区連銀経済報告書(ベージュブック)  Summary of Commentary on Current conditions by Federal Reserve District (Beige Book) 、Federal Reserve Board, March 5, 2008 
http://www.federalreserve.gov/fomc/beigebook/2008/20080305/default.htm 
1970年以降の報告書 Federal Reserve Bank of Minneapolis 
http://www.minneapolisfed.org/bb/ 
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(休刊のお知らせ)小誌、台湾総統選挙取材のため3月19日から25日を休刊します。
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((( 宮崎正弘の新刊予告))) 
黄文雄氏との共著
『世界が仰天した中国の野蛮』(徳間書店、三月下旬刊、予価1600円)
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((( 宮崎正弘のロングセラーズ )))
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url?%5Fencoding=UTF8&search-type=ss&index=books-jp&field-author=%E5%AE%AE%E5%B4%8E%20%E6%AD%A3%E5%BC%98

  『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』 (KKベストセラーズ、1680円)
  http://www.7andy.jp/books/detail?accd=32009305

『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』 (徳間書店、1680円)
   http://www.business-i.jp/news/book-page/debut/200710130007o.nwc
   (書評と申し込み方法 ↑)
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『2008年 世界大動乱』 (改訂最新版、1680円。並木書房)
『世界“新”資源戦争』 (阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『中国から日本企業は撤退せよ!』 (阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』 (PHP新書)
『三島由紀夫の現場』 (並木書房)
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宮崎正弘全著作一覧 (これまでの127冊の著作リストを閲覧できます)
http://miyazaki.xii.jp/tyosyo/index.html
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