国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/02/16

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成20年(2008年) 2月16日(土曜日)
通巻 第2086号 
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 激増する中国とロシアの貿易、昨年は44・7%もの急増
  問題はロシア側から石油と原木、中国から機械、工業製品という不均衡の中身だ
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 中国がロシアから輸入している石油は年間1500万トンと推計されてきた。主として鉄道輸送、一部はモンゴルを経由する。
 シベリアの原木も主な輸入品目のひとつで、ロシアとの国境へ行くと、原木加工工場、家具工場が林立している。
シベリアの広大な森林資源開発の一部の権利を、プーチン政権は中国企業に売り渡し、多くの中国人労働者が、このルートからロシアへ移住した。

 さて、中ロ貿易だが、昨年は往復481億ドルで、前年比44・7%ものアップを記録した。
 ちなみに2006年度は前年比15%増加、05年は前年比37%増加。
問題の一つは貿易不均衡の中身である。近年は機械を輸出する中国側の黒字に転換したことで、たとえば中国製機械は80%増加の284億ドルを記録している。従来はロシアから武器を輸入していたため一方的なロシアの貿易黒字が記録されてきた。

 昨年、ロシア最大の石油企業ロフネフツは対中石油輸出を9%減らしたが、輸送インフラ上の技術的問題で、両国は合弁企業「ボストーク・エネルギー社」を設立(ロシアの「ロフネフツ」が51%、中国の「ペトロチャイナ」が49%)、イルクーツク付近の油田開発を手がける。
また2011年には、合弁で天津に精油所を建設する。

 プーチン政権は、2010年までに中ソ貿易は往復600億ドルが目標と標榜していたが、これは早めに達成されそうな勢い。

 もう一つの衝撃的な問題は、通貨である。
中国とロシアは、これまでの決済をドルから、それぞれルーブルと人民元という「ドルに変わる強い通貨」で貿易結成を行おうとしている。
 米ドルが天下だった二つの共産主義全体主義的市場で、それぞれの国家が、自国の通貨への信任を強めていることこそ、西側アナリストの想像をこえる事態の出来(しゅったい)なのである。

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(読者の声1) 14日の「正論を聞く集い」を楽しく拝聴いたしました。的確でバランスのとれた数々の分析に感銘を受けました。まさに賢者ですね。ありがとうございました。
「中国近未来図(仮題)」(並木書房、五月刊行予定)を楽しみにしております。
次回はぜひ軍と中国企業の相関についても掘り下げていただきたく存じます。2人の権力者にくわえて、中国の命運(暴力装置の行方)は、そこに要があるように思えるからです。
正論の会の講演で、宮崎さんは中国のことしのGDP成長率を7%を予測されていましたが、オリンピック後の経済の失速が中国企業の活動にどの程度の影響を与えるのかが気になります。
そうしたなかで(中国企業による)韓国企業の買収はありえると思いますか?
     (AT生、文京区)


(宮崎正弘のコメント) 中国の韓国企業の買収シナリオも大いにあるでしょうが、韓国企業はすでにLGもサムソンも、最大株主は米国勢、それも米国ヘッジファンド筋です。ですから、株式取得攻防戦が米中の抗争になる局面があるやもしれません。
 しかし一方で、韓国企業の山東省からの撤退が相次ぎ、それも夜逃げ同然というケースがすでに数十件です。
 主因は「労働法」の改正とコスト高、あこぎな中国官憲の「税金徴収」ですが、この異様な事態をどうみるか、韓国人ジャーナリストの池東旭さんの次の来日時に伺ってみます。 



   ♪
(読者の声2)愉しくも有益なお話を有難うございました。14日産経プラザで宮崎さんの講演を初めて拝聴しましたが、情報の密度が濃く、しかも現地で取材されたうえでの情報なので、大変興味深く聴かせていただきました。
   (MS生)


(宮崎正弘のコメント)激励有り難う御座います。



    ♪
(読者の声3) 貴誌2085号、「ST生、神奈川」(読者の声1)を、興味深く読ませていただきました。
 曰く。「我々日本人は幸福にも今まで主権者などというものを一度も持ったことがありません。
 今後も持たないことを祈念いたします。主権など大和魂とは共存できません。」

ーなるほど、「主権」、そういうことでしたか。
ちょうど、読み終えたばかり、戦前の大冊『伊藤博文伝−下』(昭和15年)の巻末で、井上哲次郎が、こう書いていました。
(引用開始)
「(伊藤博文)公はよく外国の憲法を参考されたけれども、然しそれは参考で、日本の憲法を制定するには、どうしても日本の歴史によらなければならない。皇国の歴史をよく研究して、しかしてこの解釈を作られ、これを「義解」と名づけられた。
ところが、その後いろいろ憲法学者が出て、憲法の解釈をしたけれども、ことごとくとは云わないけれども、その中には随分外国の憲法学者の思想を基礎根本として帝国憲法を解釈したやうなものが出て来て、わが学界の思想を混乱に陥れたやうなことも少くなかった。
帝国憲法は帝国の歴史的事実によって解釈されなければならない。殊に第一条、第二条、第三条、第四条の如きは・・・・・・外国思想を以てこれを解釈するのは曲解で、帝国憲法の真精神ではないのである。」
(引用終り)

 万世一系の天皇は、神聖にして犯すべかず、憲法の条規により統治を総覧する、などとしているが、これを、西洋法制史上の、主権などと、同じものと見てはならない、ということでしょう。
日本には日本の、風土と地政学にまもられてきた、伊藤博文の常用句でいえば「和衷協同」する、美しい伝統があり、それは極東の小国に奇蹟をも可能にした、効率的な社会の根底なのでした。
ところで、、、
今さらながら、伝記を読むと、伊藤博文には国の伝統への深い理解とともに、抜群の法制頭脳があり、造幣局から内務省、帝国憲法、皇室典範にいたるまで、明治国家のあらゆる骨格制度の、設計請負人でありました。
しかもその運営についても、常識人で英明な、明治天皇の分身のようにして、板垣や大隈など観念的急進派をおさえ、議会との葛藤に苦しみつつも、「真に国家棟梁の材であった」(谷干城)。
この伊藤公の、最後の努力集中は、韓国の統治でしたが、明治42年2月、平城で公がしたつぎの演説にも、隣国指導の苦心と、誠意がしのばれます。
「自分は日本国を代表し、大日本天皇陛下の大命に基づきてこの地にのぞみ、韓国を保護扶植するについては、自己の微力をかえりみず、満腔の熱誠をもってその命にそむかざらんことを努め、かつ韓国国民の状態をしてますます進運に向かわしめんと予期するものなり。
あに敢えて韓民をあざむくがことき野卑なる意思を抱くものならんや。
かかる意思を抱くは、我が天皇陛下の叡旨にもとるものなることを、夙夜念々記憶して遺忘せざる所なり。」

ここまで極言している、統監・伊藤博文でしたから、総理大臣・桂太郎、外相・小村寿太郎は、韓国はこれを併合するしかない、と、決意を固めて、統監の説得にのぞんださい、
「公が堂々反対意見を唱えんことを予期し、幾多の弁明資料を携帯したるに、公は両相の説を聞くや、意外にもこれに異存なき旨を言明した。」
時に、明治42年4月10日。
大政治家として国際的にも威望をあつめながら、辺幅をかざらず、いつも快活で冷静、至誠を主義とし、包容力も格別な大政治家が、かたくなな半島民族の前にさじを投げ、屈折を見せた瞬間でしょう。
その半年後に、韓国を保つためにも重要な満洲の現場をみておくべく、(朝河貫一の『日本の禍機』を、おそらくかばんに入れ)、旅に出て、ハルビンで撃たれました。
 それにしても、圧迫する西洋に対抗し、「和衷協同」の大和魂を海外に延長して、東洋人としての権利と、東洋の文明の価値観を、理性的な形で守ろうとする方向を、アジア主義とすれば、そのようなものは結局、さびしいことに、日本以外を見わたすなら、今なお、微弱で云うにもたりないのかなあ、と思われます。
わが国では、奇怪に変貌したその理念の末が、今なおショウケツを極めているというのにーーー評論家・佐藤健志氏の『正論』3月号の論文では、こういいます、、、
(引用開始)
「戦後平和主義は、一見すると戦前の日本を強く否定するニュアンスを持っているけれども、その根底には「恒久平和をもたらす新しい世界秩序を日本主導で樹立する」と謳った昭和前半期のナショナリズム、いわゆる国粋主義が形を変えて生きつづけている。
それもそのはず、戦後平和主義とは、国粋主義を敗戦の現実に適応させようとして生まれた理念なのである。
この理念にしたがえば、世界は「諸国民の公正と信義」のもと、戦争のない状態へと向かってゆく(ないし向かってゆかねばならない)はずだが、だったら憲法で戦争や軍備を放棄したわが国は、あるべき理想世界の姿を他国に先駆けて体現していることになる。」
(引用終り)

迷えるアジア主義者の、ざっぱくな読書感想文でした。
(3cats,石川県)


(宮崎正弘のコメント) 上記ご高見へのコメントではありませんが、先般、石川県志賀町へ講演に行きました。この町の経済は原発で持っていて、現在休電中ですから、タクシーもホテルも民宿も商売あがったり。まさに原発様々で経済が持っている地区ですね。
 金沢から福井にかけては新幹線の施設工事がなされていて、しかし富山から長野は工事の音もなく、北陸新幹線は結局、鹿児島新幹線のように部分開業となるのでしょうか。



    ♪
(読者の声4) いつも貴重な情報をありがとうございます。
さて米国とEUがWTOに提訴していた自動車部品の高関税率の問題で、被告の中国が敗訴したと聞き、他国の事ながら思わず喝采したくなりました。
振り返って我が国を見れば、中国より不当なアンチダンピング課税をされても泣き寝入りを続けるしか能が無く、小生は頗る腹に据えかねておりました。
一例を挙げれば、例えば冷延ステンレス鋼板ですが、2000年に中国の対外経済合作部の調査に基く国務院関税税則委員会批准の公告として、信じ難いアンチダンピング税率(中国語で『反傾銷税』と言うそうな)を賦課され、2006年の期間満了見直し調査を経ても改善されずに今日に至っております。
その税率というのが、
新日鉄住金ステンレス? 24%
日本金属工業? 26%
日新製鋼? 17%
日本冶金工業? 27%
日本金属? 58%
高砂鉄工? 58%
NAS鋼帯? 58%
その他の日本のメーカーが58%
唯一中国の価格指図を受け入れた(つまり中国の命令に屈した?)旧川鉄のJFEスチール?のみが、「合意の関係規定を適用」という事でアンチダンピング税を逃れています。

一方で韓国の大手6社は、2000年当初は日本の会社に比べればかなり安い税率を賦課されました。
浦項総合製鉄?(POSCO) 11%
仁川製鉄?(INCHON IRON & STEEL) 4%
三美特殊鋼?(SAMMI STEEL / 新 BNG STEEL) 6%
大韓電線?(TAIHAN ELECTRIC WIRE) 7%
!)大洋金属(DAIYANG METAL) 6%
三原精密金属?(SAMWON PRECISION METALS) 9%
(その他のメーカーが 57%)
ちなみに上記の6社は2006年の期間満了見直し時に(JFEスチール同様)価格指図を受
け入れて、「合意の関係規定を適用」という事になっています。
 つまりはアンチダンピング税賦課の根拠が、不当廉売の有無ではなく、中国の命令にどれくらい屈したのかで決められている様です。 
その意味では高税率賦課の脅しに屈していない日本のメーカーは根性と度胸があるとも言えるのですが、隠忍自重にも限度がある筈。 何故日本の政財界がWTOに提訴しないのか不思議でならないのであります。
このままでは少なくとも2011年まではこの不当なアンチダンピング税が継続されてしまうでしょう。
因みに、2006年の期間満了見直し時に中国側でダンピング再審査の申請を行ったのが、山西省の2社・太原鋼鉄(集団)有限公司と晋中万邦工貿有限公司、及び上海の1社・克虜伯不銹鋼有限公司の計3社なのですが、この上海の1社とは、ドイツ・クルップの出資企業です。 
同社は多数の欧州技術者を派遣しており、この現地企業は人件費を含めたコストの高い事で有名です。
小生はEU企業が中共政権と共謀して、MADE IN JAPANを締め出している事例ではないかと考えております。
 一方で米国と組んで中国に自動車部品の関税を下げさせる。
また一方で中国と組んでアンチダンピングを仕組んで日本企業を駆逐し、投資した企業の収益を確保するという、ダブルスタンダードを駆使する欧州の強かさは呆れるばかりですが、これも世界の常識と理解すべきなのですね。
 (千葉 A.K.生)


(宮崎正弘のコメント) 物事をすべて「善意」で解釈し譲歩の限りを尽くす日本は、さらにひどい仕打ちを受けても耐えている。
 マゾヒスト的体質を改めない限り、鉄に限らずあらゆる商業、外交、軍事において日本の屈辱が続きます。「世界の常識」とは「この世に善意は通じない」と言うことですから、軍事力の背景がない国は外交力ゼロと同義語になる。
「世界の非常識」である日本は、中国からのみならず殆どの国からも永遠になめられるのです。 

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 (((( 鎌倉周辺の読者の皆様へ講演会のお知らせ ))))

小林秀雄先生歿後25年
  「小林秀雄と批評の精神」
日時 平成20年3月1日(土)午後2時〜4時(午後1時30分開場)
講師 新保 祐司氏(文芸批評家)
会場 鎌倉商工会議所ホール(JR鎌倉駅西口徒歩3分・鎌倉市役所前)
参加費 1000円 当日先着150名
連絡先 080-6603-5335(山内)予約不要
主催 鎌倉の教育を良くする会 後援 鎌倉市教育委員会
 
小林秀雄は、戦後『モオツァルト』を発表、文芸批評に新領域を切り開き、十年かけて『本居宣長』を執筆した。「言葉」「知」「歴史」など深く思索された鎌倉ゆかりの知識人・小林秀雄を偲ぶ講演会です。
講師の新保氏は、産経新聞正論「新風賞」受賞、新進気鋭文藝評論家。高校時代、『モオツァルト』に出会い、文芸批評家を志したとのこと、小林秀雄と批評の精神についてご一緒に考えませんか。
 講師紹介 新保祐司氏(昭和28年生れ、東京大学文学部仏文科卒業。都留文科大学教授 鎌倉ペンクラブ常任幹事。平成19年第8回産経新聞正論新風賞受賞。主な著書『内村鑑三』『国のさゝやき』『鈴二つ』、『信時潔』『「海ゆかば」の昭和』(編)
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『世界“新”資源戦争』 (阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『中国から日本企業は撤退せよ!』 (阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』 (PHP新書)
『三島由紀夫の現場』 (並木書房)
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宮崎正弘全著作一覧 (これまでの127冊の著作リストを閲覧できます)
http://miyazaki.xii.jp/tyosyo/index.html
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  • 名無しさん2008/02/16

    軍事力の無い「外交」なんてボランティアですね、中国相手に軍事力を持たないで商売しようなんて、ホントに良い度胸だと思います。

    別に言い方では「差別語」こんな事を真面目にやってる国恥ずかしいですよ。