国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/01/19

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成20年(2008年)  1月19日(土曜日) 
通巻第2057号  臨時増刊
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 絶望するには早すぎる 次期台湾総統選挙も国民党が圧勝?
  民進党支持者の250万人が大量棄権したのが、総選挙の番狂わせだった
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 あの夜(12日)台湾総選挙は国民党が81議席(友党の五人を加えると86)vs 与党27。
あまりの大勝ぶりを国民党系の「連合報」と「中国時報」が「狂勝」と書いた。
この結果だけを単純に図式化して誤解すれば、北京に寄り添う中華思想、統一派が民衆の支持を得たかに見える。
とくに民進党の牙城だった台湾南部が、陳水扁同窓会の台南をのぞいて総崩れ、「濁水渓以南は国民党と半々となった」(台湾各誌)。

勝利集会で、馬英九、連戦、粛万長、呉伯雄、王金平が壇上にのぼり、しかし、王金平いがいは「浮かぬ顔」をしていた。
勝利集会ではなく、まるで敗北集会のようだった。国民党幹部自身が、この勝利を信じられない顔つきでみていたのだ。

小生は、この現場をみていて、なぜか十数年前の都知事選挙でコメディアンの青島幸雄が当選したときの困惑しきった顔を思い出した。
本人自身が当選を期待してもおらず、おちゃらけで出たら受かってしまって、困り切った表情。あの困惑顔が、とくに国民党主席の呉伯雄に現れていた。
 呉自身も本省人であり、粛副総統候補も本省人であり、外来政権に批判的な人脈、国民党の「本土化」のために国民党に席をおいてきた政治家たちである。

 王金平がはしゃいだのは理由がある。
 81議席中、実に本省人が70人、外省人が11という内訳。国会議長でもある王金平(本省人)が、これからの議会政治の中心人物となるからである。

 民進党惨敗直後、総統候補の謝長廷は、密かに李登輝邸を訪れて話し込んだ。
翌日は正式に訪問しなおした。次の鍵は李登輝前総統が握るからである。氏が率いる台湾団結連盟が候補者を立てず、謝を支援してくれれば、民進党が逆転するチャンスが生まれる。

 総選挙は投票率が58・5%。大量の民進党支持者が陳水扁を嫌気して、投票に行かなかったのだ。その潜在票がおよそ250万票。

 総統選挙では国家の左右、運命を決めるだけに国会議員選挙とは違う。
 投票率は80%前後になるだろう。全有権者が1700万。もし、総統選挙で投票率が20%前後上昇し、さらにそのうちの80%が民進党に流れた場合、実際には1%前後を巡る熾烈な攻防となる。また勝利に酔う国民党は油断するだろう。党内の本省人脈が本気で馬英九に肩入れするかどうか、も大いに疑問とするところである。

 逆転の可能性は大きくはないが、残っている。
問題は残された60日間で、謝・蘇正副コンビが与党陣営をいかに立て直し、組織を結束させうるか、にかかっている。
 絶望するには早すぎるのである。 
        ○○○
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(((((( 急告 ))))))))


今晩(19日)
チャンネル桜  【注目番組!】 闘論!倒論!討論! 
       「台湾は日本の生命線か? −中台の行方と日本−」

 歴史、政局、安全保障、外交などなど、日本の直面している課題や時局のテーマについて、深く、鋭く斬り込んでいく 「日本よ、今。闘論!倒論!討論!」。  
  野党=国民党の圧倒的勝利に終わった台湾立法院選挙。
議席の2/3以上を国民党が押さえ、総統の罷免も可能にする勢力を得た。次に控えている台湾総統選挙の行方は?
第三次国共合作はあり得るのか?
今回は「台湾は日本の生命線か? −中台の行方と日本−」と題し、軍事・外交・政治・報道の専門家達が集い、日本と台湾の将来と中共の出方について熱く論じていきます!  
 地上波では絶対に見られない充実の討論会。週末の夜に、どうぞじっくりとお楽しみください!

放送日時  1月19日(土) 21:00 − 24:00
  
パネリスト [50音順]
   井上和彦(軍事ジャーナリスト)
 加瀬英明(外交評論家)
 黄 文雄(作家・評論家)
 佐藤 守(軍事評論家・元空将)
 張 茂森(自由時報・東京支局長)
 永山英樹(台湾研究フォーラム会長)
 宮崎正弘(作家・評論家)
 柚原正敬(日本李登輝友の会 常任理事/事務局長)
 司会  水島総 (日本文化チャンネル桜 代表)
    △ ○ ○
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   謹告
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   ♪
(読者の声1 ) 貴誌2054号 (1月17日発行)の「MI生」氏(読者の声2)にもう一つどうしても気になる点があります。
「。。。(この考えは松岡洋右がアメリカ留学時に体験した人種差別や、樋口季一郎少将がヨーロッパにいた時にユダヤ人に対する差別。古くは高杉晋作が上海で見たイギリスの中国人に対する横暴さなどから当時の指導者層に根強くあったと思います)」の中にある「古くは高杉晋作が上海で見たイギリスの中国人に対する横暴さ」という点です。
私は、上海訪問時の高杉晋作氏の日記は、抜粋に解説を加えた本しかよんでおりませんので、全文を確認したわけではありません。
上海で高杉晋作氏が「犬とシナ人入るべからず」と書かれた高札を租借地内部の公園で発見して驚愕したということを多くのテレビドラマや書物が記述しており、その中で高杉がイギリス人の横暴さに激怒したように一般におもわれているようです。
しかし、これは、事実と大きく異なると確信いたしております。
アヘン戦争はとんでもない英国の理不尽、横暴より起きました。その結果清朝は英国と結んだ北京条約で英国との交易を行い英国商館を上海に置くことに同意いたしました。しかし、清朝は英国商館を上海の市街地に置くという英国の要求を拒絶し、場所を指定しました。そこは、民間の所有地の荒地でした。その荒地を英国政府が自分で交渉して地主の民間人から手に入れて自身で荒地を開拓して、商館を立てるなら商館を建てることを許可したのでした。
英国政府はこの条件を受け入れ、荒地を開拓し、城壁で囲み、その中に商館を建てました。そして、英国政府はシナ人が租借地内に入ることを禁じました。
その後、初めてシナ人が租借地内に入ったのは、太平天国の乱の渦中、難民が難を逃れるために租借地内に入城させるように助けを求めたときでした。人道的観点からやむなく難民を受け入れたのでした。
太平天国の乱が治まった後も、立ち退き要求を拒み居座ったシナ人がいました。そしていつしか現状が黙認され彼らが租借地にいついたのでした。
自分の故郷に戻り、乱で破壊された故郷を再建するより、城壁内の安穏を選んだといえるのでしょう。犬を大切にすることでは世界に冠たるイギリス人がその犬すら入らせないほど大切にしていた公園にそんな自律心にかけた居候のシナ人たちに入らせるはずがありません。
たとえていえば、庭の一角に天覧用の菊を育てている愛菊家の家に招かざる客が押し入ってきて、その菊を育てている特別のところにずかずかと踏み込んできたようなものです。
その愛菊家はどうしますか。そんなことを許すはずがありません。
この事実を高杉晋作氏が知らなかったはずがありません。当時の維新の志士も幕臣も大変な勉強家たちです。現代の我々とは違います。この事情を知った上で、当時の清朝およびシナ政府、そしてシナ人たちの情けない状況、さらに英国人に馬鹿にされても仕方がない状況を日本の状況と引き比べて高杉氏は驚愕しいまさらながら覚醒したのでした。
高杉晋作氏は日記に上海で買って宿舎で読んだ本の題名を書き連ねています。その中には英語で書かれた国際政治や数学の本が含まれています。
二十歳を過ぎて英語を学び近代的軍事学を学ぶには数学の理解が必要なら英語で書かれた数学の本も読む、それが高杉晋作氏、否、当時のリーダーたちの生き様です。
今の我々と引き比べてください。
丁寧な学習書も辞書もない中で、我々の何百倍もの困難のなかでです。現代日本の自称愛国者たちは甘え過ぎていると私は断言いたします。事実も確認せず、いつかNHKの大河ドラマかなにかで確かこんな話も見たような気がするといったようなことを筋の通った論理展開もなく書き連ねるのはやめにしましょう。
そんな愚論は、良識ある中立的立場にある人間はあきれて聞いてくれません。まして、悪意や偏見を持っている人間をそんな議論で説得することは絶対に不可能です。
これは、なにもMI生氏だけのことではありません。私自身への自戒を込めて書いております。
もうひとつ付け加えます、高杉氏の日記には上海で白人の子供に路上で「おはようございます」と日本語で挨拶されたことが書かれています。おそらく、以前長崎に駐在していて上海に転勤になった欧米の外交官の子供だったのしょう。
その外交官の子供が日本語を覚えたということは、その外交官が外交官のコミュニティーの中の人間や欧米人在日商人とだけ付き合っていたのではなく、外交交渉を超えて日常的に日本人と家族ぐるみで付き合っていたということを示しています。
非欧米人に対して強固な偏見があったあの当時の欧米の外交官が欧米以外の土地でそんなことを行ったということは、彼らすら認めざるを得ないほど日本の民度が高く治安が良かったということを示唆しています。
これは、驚くべきことです。こういうご先祖様をもった我々は現在いかにあるべきか。これが問題です。
    (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント) ちょっと確認する時間がないで、ST氏ももっとも嫌う「不確かな記憶」ですが、村松剛さんのライフワーク『醒めた炎』(中央公論社、絶版)に、上の逸話、でてきたと思います。

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  • 投資家2008/01/20

    http://ovhin.blog56.fc2.com/blog-entry-374.html

    どうやらジム・ロジャーズ氏は、中国の環境汚染問題、水資源枯渇問題について知っているようですね。

    しかし彼はこれを逆手に取って大きなビジネスチャンスが来ると考えているようです。

    宮崎先生は、ああした問題で中国は

    混乱状態になると考えておられるのですよね?

  • 投資家2008/01/20

    http://ovhin.blog56.fc2.com/blog-entry-374.html

    どうやらジム・ロジャーズ氏は、中国の環境汚染問題、水資源枯渇問題について知っているようですね。

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  • 投資家2008/01/20

    http://ovhin.blog56.fc2.com/blog-entry-374.html

    どうやらジム・ロジャーズ氏は、中国の環境汚染問題、水資源枯渇問題について知っているようですね。

    しかし彼はこれを逆手に取って大きなビジネスチャンスが来ると考えているようです。

    宮崎先生は、ああした問題で中国は

    混乱状態になると考えておられるのですよね?

  • 投資家2008/01/20

    ジム・ロジャースを代表とするアメリカの投資家は中国に対して非常に楽観的、

    ポジティブな考え方を貫いています。

    http://www.gamenews.ne.jp/archives/2007/10/post_2788.html

    中国経済は”まだ”バブル状態ではない

    http://www.translink.co.jp/news/news.html?news_id=103903&tag=

    中国株のホールドを推奨、著名投資家のロジャーズ氏 



    宮崎先生は、彼(ら)についてどう思われているのでしょうか?

    中国に過大な幻想を持つ、欧米人によくあるタイプと思われているの

    でしょうか?

    ただ、彼(ら)は株式投資のプロであり、単にイメージだけで

    投資しているとも考えにくいです。

    人生の終わりにかけて最初で最後の大失敗をやらかす?