国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/01/10

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成20年(2008年)  1月10日(木曜日) 
通巻第2050号  
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 やがて日本のワーキング・プアが就労人口の40%を超える日
  日本的経営(終身雇用、年功序列)が破壊されて、日本の存在が薄くなった
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 かくも軽き日本の存在!
 李鵬が「やがて日本は消えてなくなる」と豪首相に放言したという逸話がある。
原文を確かめようにも、中国の外交文書には存在しないため、正確に李鵬がどういいう語彙を駆使して如何なる表現をしたのか、言語学的に興味がある。
 物理的に消えるのか、それとも強い存在としての「個」が希釈されるだけなのか?
 おそらく、後者に近い意味のことを言ったのだろう。

 ヒラリー・クリントン上院議員が、『フォーリン・アフェアーズ』(07年11月12月合併号)に書いた「今世紀、もっとも重要な国は中国」とする論文では、日本という単語が二回だけ、アジアの項目に一括してでてくるが、インドより比重が軽く扱われていた。

 日米同盟のパートナーに対して失礼千万という怒りの声が保守陣営からあがった。
それもそうだろうけれども、それが現実なのである。日本は無視してもいいほどに軽い存在に成り下がった。
米国にとって人権や法治の価値観が異なろうが、どうであれ、目前の世界戦略の前に中国と絆を深めたほうが得策なのであり、インド洋上の給油も中断した日本には過度の期待をすることをやめた節が濃厚だ。

日本はどうやら政治的価値ばかりか経済的にも二流の国家に転落した。
通貨専門のバースタインともなると「円の時代は終わった。これからアジアでは人民元が世界的通貨に伍すほどになるだろう」といやな予測をしている。

株式と国際金融を見ても、日本のように我を張らない、「個」がない、ロボットのようなトレィダーと投資家。自分で自分の国の相場をはれない国に魅力はなく、これまでは安い金利の円を借りて(キャリートレード)、中国に投資するというメリットだけを外国人投資家は戦術をして行使した。
 国際金融ですら、メジャーなプレイヤーの位置から転がり落ちた日本。

 国際競争力? ゆとり教育で競争を奨励しない国が、これまでの競争力を維持できるとは考えないほうがいいだろう。小学校の運動会で一等賞、二等賞がないのである。しかし、一方では大学駅伝であれほど興奮するのだから、競争心はスポーツでは残っているようだが。。。

 技術開発力? 理工系に学生が少なくなり、優秀な学生はアメリカへ頭脳流出、さらに言えば、アジアから優秀な頭脳は日本に留学に来ない。だから日本のなだたる企業はR&D(研究開発センター)を中国やインドに移転しつつある。

 ベンチャー精神? 過去二十年間で、世界に名だたるベンチャーの日本での成功例はソフトバンクくらい。
創業精神さえ、これほど短時日に蝕まれている。明日のソニー、明日の本田技研、明日の京セラの誕生は夢幻のごとくなのか。

大学をでても、道徳を知らず言葉使いを知らず社会常識を知らず、スキルだけが一人前の人間は、その日暮らしの日雇い技術者か、派遣社員か、はてはネット・カフェで寝泊りし、救世軍の炊き出し弁当をたべ、将来への野心さえない。
 「自分が存在しない」のである。


 ▲国際化という美名のもとで日本破壊が進んでいた


 日本的経営が古きよき日本の伝統を守り、忠誠心をはぐくんで日本を強くした。
 それが徹底的に破壊された。壊したのは道徳教育の不在? 日教組教育? いや、おそらく主因はグローバリズムの攻勢と日本人の油断であろう。
 もともとグローバリズムは日本人が咀嚼不能な考え方だった。

 市場原理至上主義が日本的経営を破砕し、競争心のない日本人が慌てふためく間に、日本企業の「コクサイカ」が進み、果てしなき泥沼にはまり込んだ。個を前提としない国際化は、無国籍な、ロボットのような日本人を大量に育ててしまった。

日本独自の系列という経営風土は、グローバルスタンダートという名のアメリカの規則に当てはまらず、あたかも「悪」とされ、健全経営の銀行まで破綻に追い込まれたのも、グローバルスタンダードのBIS規制だった。
日本の経済力を弱めるためにプラザ合意をおしつけ、ローカルコンテンツ法を押し付け、それでもだめとなると年次改善要求の連発。同時に在米の大和銀行を意図的に手入れし、S&Pなどを使って日本の金融企業の社債格づけを劇的に下げさせた。
これで日本の金融機関は国際競争力を失った。

さらにはアメリカ的な方向への商法改正により乱暴なM&Aが解禁され、ヘッジファンド、三角合併が日本を蝕み、地方都市の商店街を廃墟と化し、所得格差を広げ、一方では悪しき平等主義に支えられた医療保険年金などの諸制度、祝祭日の乱発などによって、日本人ははたらく生き甲斐さえ喪失させつつある。
 冒頭に紹介した李鵬の予測は悲しいほどに当たるのである。

 いま、全国に出現したワーキング・プアのおびただしさを見よ!
 英誌『エコノミスト』(1月5日号)は、日本での特色だった「終身雇用、年功序列」が壊れ、正社員が80年代の80%から2003年ごろ70%を割り込み、いまや65%ほどしかなく、対照的にパートタイム(派遣社員を含む)が80年代の10%台から、いまや40%に迫る勢いにあると警告している。

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(休刊のお知らせ) 台湾総選挙(12日)の取材のため、小誌は明日1月11日から15日を休刊とします。
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(読者の声1) この正月、深田祐介氏の著書『大東亜会議の真実 〜アジアの解放と独立を目指して』を手に取りました。
帝国主義戦争の延長線上で開戦に至った大東亜戦争に名分を得ようとした日本政府は、欧米の植民地支配から脱したいビルマ・インド・フィリピン・中華民国、そして利害が一致するタイと満洲国の代表を昭和18年11月東京に招待しました。
ビルマからは策士バー・モウ首相、インドからは志士チャンドラ・ボース仮政府首班、フィリピンからはラウレル大統領、中華民国からは大東亜会議の翌年名古屋で生涯を閉じた汪兆銘院長、タイからはワンワイタヤコーン殿下、満洲国からは張景恵総理が駆けつけます。
本来ならインドネシアからもスカルノが代表として招待されるべきでしたが(そうしたら“八紘一宇”になりました)、そこの石油・天然ゴムなどの軍需物資を直接確保したい帝国陸海軍統帥部がインドネシアの独立に強硬に反対したために参加できませんでした。
しかしスカルノは大東亜会議の直後来日し、東條首相が先頭に立って私邸に招待し、昭和天皇への拝謁もかなえたのです。その時天皇陛下は自らスカルノに歩み寄り、手を差し出して握手を求めました。
旧宗主国のオランダ女王ならあり得ない天皇の振舞いは、スカルノを驚かせ甚く感激させたのでした。同書を脇に置いてつらつら思いましたのは、今夏予定されています。
先進国サミットをフクタ内閣が(たぶん)やった後、解散総選挙をし、次の首相には雄偉のステーツマンを選び、“地球環境”をテーマにアセアン+台中韓を束ねた『大東亜‘環境’会議』を日本で開催してもらいたいということです。
そこにはモンゴル・ウイグル自治区・インド・パキスタン・カザフスタン・キルギス・チベット自治区・ネパール・ブータン、そして近々水没すると喧伝されるツバルの代表も招きます。
ことの当否は別として、国際政治の舞台で“地球環境”が錦の御旗となりつつあるのが21世紀ですから、時宜を得た外交戦略プランではないかと思料します。
   (有楽生)


(宮崎正弘のコメント) 今村均(元帝国陸軍大将)とお目にかかったことがあります。昭和43年でした。
豪徳寺の今村邸(地名こそ豪徳なれども、氏の住まいは清貧なあばら家だった)の応接間で今村氏が(当時82歳でした)、「スハルト君がね、そこのいすに座ってね」と言い出したのです。
小生は不覚にもスハルトって誰のことか、まさか、インドネシア大統領をさしていることにしばし気がつきませんでした。
スハルトは来日して、真っ先に恩人の今村大将を訪問したのです。



    ♪
(読者の声2)  夕刊フジ2008年1月10日号(9日発売)に次のような記事があります。
(引用開始)
「学習教材大手「学研」(東京)グループが国内向けに販売する音声ガイド付きの地球儀が、中国から圧力を受けて、台湾(中華民国)をたんなる「台湾島」と記載し、また、樺太の南半分や千島列島をロシア領として色分けしている。これらはサンフランシスコ講和条約(1951)で日本が領有権を放棄した後、帰属先が未定となっているため、日本の地理の教科書では、日露のいずれにも属さない白い表記になっている。

台湾島という呼び名や千島などのロシア領表示は、いずれも中国発行の地図で一般的に使われる表記で、この地球儀は「中国仕様」だ。文部省や外務省は「前代未聞」、購入者からは「事前説明なしに売るなら食品偽装と同じ」、「主権侵害への加担」の声も。
> 帝塚山大名誉教授伊原吉之助氏は「世界地図の表記はその国の利益に直結しており、他国の主張にやすやすと屈服し、自国で販売するというのは主権侵害への加担であり、一企業の商行為でも不誠実のそしりは免れない。それが学習教材大手ならなおさらだ」とはなした。
 日本の市場で販売される地球儀がなぜ「中国仕様」になったのか。
学研トイズによると「もともと香港のメーカーが開発し、日本語版の製造、販売権を当社が取得した。当初は日本の学校教科書同様の表記をするつもりだったが、工場が中国にあり、中国政府から表記を変更しないと日本への輸出を認めないと迫られた。すでに玩具ショー等で注文がさっとうしていたので、仕方なく中国政府の指示にしたがった」と説明。
既に初回製造の一万個は完売。次回の入荷分には七千個の予約注文が入っているそうだ」。
(引用止め)。
 (TK生、目黒)


(宮崎正弘) このニュースは今朝の産経が一面にカラー写真で報道しました。学研が、香港のメーカー云々を口実にするのなら、ついでに本社も香港に移したらどうでしょうか?
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  (謹告)
 宮崎正弘 新刊 『崩壊する中国、逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ)
 定価1600円プラス税
 15日発売です!
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(お知らせ) 
台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)第106回定例会
■講師 宗像隆幸氏 (アジア安保フォーラム幹事)
■演題 「立法委員選挙、そして総統選挙―2008年台湾の行方」 
 1月12日の立法選挙、そして3月22日の総統選挙を通じ、台湾の情勢は大きく変わることとなる。そして日本を含む東アジアの情勢もそれに大きく連動することとなるだろう。この問題に関し、専門家である宗像氏にお話をお願いする。
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(むなかた・たかゆき)昭和11年、鹿児島県生まれ。明治大学経営学部卒業後の昭和36
年、台湾青年社(台湾独立建国聯盟の前身)に参加、機関誌「台湾青年」の編集長など
を務める。著書に『ロシア革命の神話』『新しい台湾』『台湾独立運動私記』『存亡の危機に瀕した台湾』など多数。その台独理論は、台湾では独立運動、正名運動の指針ともなっている。日本李登輝友の会理事。
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【日 時】 1月19日(土)午後5時45分〜8時30分
【場 所】 文京シビック3F 第一会議室(TEL:03-5803-1100)
      JR「水道橋駅」徒歩10分  
      都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
      東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円 一般1000円
【懇親会】 閉会後、会場付近にて。(会費3000円、学生1000円) 
【申込み】 1月18日まで下記へ。
       Eメール taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp
       FAX   03−3626−1520
【問合せ】  090−4138−6397

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((( 宮崎正弘のロングセラーズ )))
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
『2008年 世界大動乱』(改訂最新版、1680円。並木書房)
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
   http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
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  • 見とるで2008/01/11

    世界標準とは「自分以外はバカ」というカルト思考の人間の動きのこと。首都圏でもたとえば新宿御苑の土建関連施設に「おかしな日本人」がいるようだ。関係者からの情報では、明らかに中国人女性と在日朝鮮人の老人男性がいるのだ。そいつらは日本人が見学をすると怒鳴るようだ。よほど後ろめたいことをお客がいない中で行っていうるのだろう。やっかいなことに完璧な日本語を話すようだ。こいつらを帰化工作したのは誰だろうな。わが日本国の、しかも首都の道路建設に関わる歴史資料館に「間接破壊工作員」の疑いが強い人間が配置されている。そう、新宿御苑は新宿二丁目隣接だ。ここは左翼系の出版関係が多いが、上記のように考えれば学研の不審な動きも偶然ではないだろう。30年前学研は、もともと日本の幼児教育、特に歴史書に力を入れていた。その本の影響を受けた世代が段階の世代ジュニアたち、今の30代前半だ。なおかつ、ワーキングプアの温床になっているネットカフェが最も多いのも新宿界隈ではないか。はたしてそのオーナーは何者なのか。その不動産オーナーは?暴対法以降、みかじめ料を納めている「杯を交わさない企業舎弟、フロント産業」の動きも巧妙になっている。そこに入っている全国展開しているマッサージだか整体もあやしい。某あいりん出身インチキ親子の所属する北朝鮮系ボクシングジムも東新宿だな。そこには付属の整骨院が新大久保にあるらしい。で、下町の山谷出身の社長は浅草橋や三河島にあるその筋の理事長が創った専門学校に教員ではいっとるらしい。ここの学園グループはテレビ東京系エロ番組、ギルガメッシュナイトに出ていたツボ押しのおっさんが絡んでいる。このおっさんは関西なんとかという神戸の芦屋にある医療専門学校の学校長らしい。わが国の道路建設の歴史資料館といい、教育機関といい、確実に歴史を改ざんできる部署におかしな工作員がいるのが、今の日本国の現実である。こういう連中を野放しにしているのはそういう奴らに許認可を与える部署、多くは下っ端公務員、自治労や官公労に工作員がいる証拠。恐ろしい。闇は深いようだ。多くは統一教会や「なんみょうカルト」のようだがな。おおもとは同じようだ。

  • 山ちゃん2008/01/10

    アメリカ化を勧めてきたのは保守でした。そこが何とも歯がゆい。