国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2008/01/06

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成20年(2008年) 1月7日(月曜日) 
通巻第2046号  
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  ハイテク日本を内側から脅かす法的不備
                               宮崎正弘



 防衛庁からイージス艦の機密が漏洩した事件では、日本に「スパイ防止法」がないために公務員法や窃盗罪などで逮捕するしか法的根拠がなかった。
 日米安保条約の同盟国=米国は、この情報漏洩状況に怒りを隠しきれないらしい。
 しかしハイテク立国=日本から技術情報を盗み出すのは造作もないことである。
日本人は情報の安全保障にまったく無頓着、前線にいる企業戦士いがい、問題の深刻さが分からない。なぜなら特許公報は申請から十八ヶ月後にすべて公開され、それを外国語に訳して持ち出しても合法だからである。

 民生用ハイテクのコインの裏側は軍事先端技術である。
したがって米英仏独など工業先進国では「秘密特許制度」があって微妙な防衛技術に直結する特許は公開を制限している。
 筆者は83年に『日米先端特許戦争』(ダイヤモンド社)という本を書いて、日本にも秘密特許制度が必要ではないかと問題を定義したことがある。
 特許を所管する当時の通産省は嗤って聞く耳をもたず、また民間企業の特許専門家の親睦団体で講演しても、「そういえば、戦前そんな制度がありましたね」と関心の薄かったこと!

 ようやく最近になって経済産業省は「技術流出を防止するための新法」に動き出し、「技術情報等の適正な管理の在り方に関する研究会」を設置した。軍事特許に非公開制度を設け、外国のスパイやテロリストの閲覧を防ぐ目的である。
 これまでは法的不備を補うため企業の特許本部はライバル他社、外国などに情報を盗まれないために申請上の「技術」を行使してきた。
つまり本丸を隠して周辺の特許を全部抑えることにより肝要な特許に他者が近寄れなくするという高等な戦術を用いてきたのだ。
 他方、米国からは「サブマリン特許」なる秘密制度によって日本企業が米国で申請した特許が、しばしば「公開していない米国の秘密特許と同じ」とクレームを付けられ、法外な特許料を毟られてきた。
 ハイテクと独創技術で経済が繁栄している日本は、米国の安全保障の庇護をうけている裡に、技術がもつ軍事要素という側面をすっかり忘れていた。

 通商政策に関してもうひとつ深刻な問題がある。
 ハイテク日本が、ますます技術を高めれば、たとえばハイブリッド・カーの高性能エンジンがそうであるようにレアメタルの戦略備蓄という問題が浮上した。
これも私事ながら筆者は82年に『もうひとつの資源戦争』(講談社)を上梓したおりコバルト、プラチナなど稀少な戦略物資の国家備蓄を提唱した(それまで国家備蓄は石油しかなかった)。

 直後に日米で専門家を呼んだシンポジウムなども開催され、国会で問題となって翌年から数品目に限って二十日分ほどの備蓄が始まった。
数量がすくなく、充分なシステムとは言えないが、国家安全保障の戦略的感覚があれば当然行っておくべき事柄だった。
 こうしてハイテクの躍進に追いつけない法的不備が最近とみに露わになっている。

(この文章は『北国新聞』12月31日付け「北風抄」からの転載です)

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(読者の声1)福田恒存氏の評論集を買いもとめて、しばし、ツンドク状態でしたが、貴誌の分析に触発され、また今朝(6日)の産経新聞では渡邊昇一先生が、同書を絶賛されており、読み始めるところです。ヒントをいただき、ありがとうございます。
      (HF生、水戸)



   ♪
(読者の声2)新年早々から三日連続で発行された貴誌の分厚い中身に驚きました。本格的な書評が三本、いずれも読み応えがありました。
今週から通常業務にもどる日本。小生も会社勤めに復帰ですが、正月休み最後の、貴重な読書となりました。ありがとうございました。
   (案山子)




(読者の声3)貴誌にでた福田恒存『福田恒存評論集 8』(麗澤大学出版会)。宮崎さんの一語一句胸に染み渡るような御文章。先生にしか書けない評論ですね。
読み終えたら自然と頬に涙がこぼれました。見通しの暗い今年のあれこれですが宮崎先生が一灯を燈して下さいました。
  まさに書評にでてくるのは青春ですね。気持ちが全く歳をとらないのです。
     (TF生、東京都)


(宮崎正弘のコメント)同様な読後感をほかに何人かからいただきました。とくに百人斬りの野田大尉のノート、『野田日記』のような日の当たらない書籍をよく紹介してくれたという激励から福田恒存への追慕的な読書への共感など、多くの意見をいただきました。
 正月休みが明けます。読書の時間がまた遠のきそうですが。。。

      ○◎△み○や□ざ◎△き○□○△ま□◎さ◎ひ○□ろ◎□△
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    ♪
<< 今月の拙論 >>
(1)「軍の腐敗がとまらない」(『週刊朝日』1月18日号、発売中)
(2)「何でもあり中国の北京五輪は開催中止?」(『週刊現代』、1月19日号。発売中)
(3)「台湾独立を日本は支援するべきではないのか」(『Moku』二月号)
(4)「中国反日記念館のデタラメ 南京大虐殺現場を往く写真集」(『WILL』臨時増刊号、発売中)
(5)「イラン雷帝の再来か、プーチンのロシア」(『自由』2月号、発売中)
(6)「旧ソ連民主御三家、そのごの悲劇」(『月刊日本』二月号。発売中)
(7)「台湾総選挙を展望する」(『正論』2月号、発売中)
(8)「僕を殺す唯一の男」(憂国忌シンポジウム記録――花田紀凱、堤尭、中村彰彦、宮崎正弘。『WILL』二月号、発売中)
(9)「金に群がり始めた中国人」(『共同ウィークリー』、12月31日号。発売中)
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 『崩壊する中国、逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ。1575円) 
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『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
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創刊日:2001-08-18  
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  • 拉致被害者の家族を応援するひとりの日本人2008/01/07

    フジ○ンドが経営する○井の保養所が神奈川県は箱根の強羅にあるが、そこの支配人は北の協力者の疑いが強い。従業員も工作員と思われる。間違いなく拉致はこういうところで起きている。朝鮮部落の多い平塚出身の従業員がいるが、やはりおかしい。顔は明らかに日本人ではない。フ○サ○ケイグループもおかしな人選があるようだ。そしてそこに派遣するヒューマ○ックという人材派遣会社がおかしい。事実解明のために宮崎先生の力をお貸し下さい。中国の手先で動いているのが在日朝鮮人です。箱根登山鉄道には韓国人会館があります。利用者ははたして韓国人だけなのか?ジャーナリストの間で神奈川県警が朝鮮総連と癒着しているのは有名な話ですが、やはり機能していないのでしょうか。

  • yamanote-12008/01/06

    種々勉強になります。 ところで(5)書名「イラン雷帝ーーーー」。イワン雷帝のまちがいでしょうか?

  • 名無しさん2008/01/06

    勉強になります。