国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/12/25


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 12月25日(火曜日) 
通巻第2038号   
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世界銀行が中国経済の評価を大幅に下方修正
  「購買力平価」で世界第二位の中国経済を下方へ40%収縮
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 誰も信用しないが、中国の国家統計局が公表したインフレは6・9%である。
 中国人民銀行(中国のFED、日本の日銀の相当)は、ことし六回利上げし、五回も銀行預金利率を上げた。つまり消費を抑制して物価の高騰を押さえ込み、預金を増加させることによって通貨供給量を調整するというマネタリストの真似事。(マネタリストの総帥ミルトン・フリードマンは中国経済に批判的だったが。。)。

 効き目がない。
 インフレは一向に収束せず、不動産価格は主要70都市部の先月統計でも10・5%の値上げが見られる。
 ちなみに中国の公定歩合は7・47%。 預金利率(一年定期)は4・14%(12月25日現在)。

 これではインフレ率に追いつけず、不動産投資のほうにまだ妙味があり、株式の高騰も預金利率よりははるかに高い。金は利率の高いほうへ流れる。
中国の株価は11月6日をピークに30%ほど下落しているが、それでも過去一年間でCI指標は147%の上昇だ。

 いまの中国経済にとって、ズバリ適正な政策はなにか、と言えば人民元切り上げである。
 人民元は2005年7月の2・1%切り上げから今日までに約12%切り上げになっている。
 人民元が理論的にあと20%ていど高くなれば、原油輸入代金が20%以上やすく買える。インフレはほぼ収束するほどの効き目がある。
円高=日本がながくデフレに悩んだように。

 さて世界銀行は今週、中国経済の評価を40%下方修正する(ヘラルドトリビューン、12月21日付け)。
 購買力平価で世界経済比較をおこなった場合、中国は米国についでナンバーツーの位置にある。2005年評価で中国の購買力平価インデックスは88億ドルと見積もられた。今回(07年度)の予測では、53億ドル。

 購買力平価のもっとも単純な数式は「ビッグマック指標」とよばれるもので、世界各地のマクドナルドの大ハンバーガーの価格から、為替水準を調整し、物価水準を推定し、ガソリン、家屋、レンタル、肉と野菜の価格を標準化して、その国の生活水準をはかるもの。

 世界第二位といえば、それなりに生活がしやすいということになる。
 だが中国の大都市と沿岸部の庶民の統計はやや正確にとれても、地方都市、砂漠の奥、密林の闇の経済が不明であり、もうひとつ致命的なのは地下経済である。
 地下経済は表向きの数字に20%ほど加える必要があり、表の銀行を通さない闇金融、地下銀行の繁栄をみていると、やはり中国経済を数式化して理論だてるのは無理である。

 大都市のスーパーマーケットの価格帯が、たとい統計のとおりであるとしても、そのスーパーへ通って買い物できる階層と、スーパーにもいけない八億農民との乖離を数式化できないところに、中国経済を判定する闇が存在している。

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(読者の声1)貴誌の愛読者ですが、2,3週間ほど前から急に届かなくなりました。お手数ですが再度配布リストに登録願います。
  (WW生)


(編集部から)当方としては、手の施しようがありません。原因はどこかの国家か、機関の妨害か、反日団体の妨害かはわかりませんが、宮崎正弘のhpから、メルマガ閲覧へと進んでいただきバックナンバーをごらんいただく以外、当面の手立てがありません。
 ご不便をおかけします。
「お気に入り」に宮崎のhpを登録していただき、随時メルマガのバックナンバーへ進めるようになさっていただけますと幸甚です。


   ♪
(読者の声2)  大敗戦を経ても、その四十年後には「通貨敗戦」、それでも足りなくて、更に「拉致敗戦」までしている体落の日本と日本人・・。
宵越しの銭に窮してきた日本、カネに依って立つしかない日本の金融問題の来歴を若干観てみようと思います。
 平成になってからの日本の二十年間近い金融界のヘタレさを眺めて思い出しますのは、昭和初期の金融恐慌です。
1927年(昭和2年)の金融恐慌で各都市、各地域の富裕富豪層たちはあはれな仕儀に到りました。国立銀行条例で、各地の有志の個人出資者や大名華族によってそれまでに設立運営されていた金融機関はあえなく次々に潰れて行き、三井、ミツビシ、住友、安田など大手財閥の大資本金融へ移行して行きました。
なかでも、森恪が貿易実務修業生として入り大番頭にまで伸し上がり、田中義一の政友会と結び付いて辣腕を奮い、権謀術数の果てに勢力を拡げた三井財閥は当時最も成果を揚げ成功しました。

世界恐慌から派生した激震がこの時の日本金融界にもたらした津波の第一波は渡辺銀行の取り付け騒ぎでした。
国会で大蔵大臣の片岡直温が官僚から渡されたメモをうっかり読み上げ、大騒動となる火を点けてしまいました。それに続いて起きたのが台湾銀行の倒産でした。当時随一の財閥企業だった鈴木商店は連鎖倒産の憂き目を見、日本の金融は破綻し経済界は大混乱に陥りました。

この時の若規礼次郎内閣は緊急勅令で台湾銀行に融資し救済して、金融界の混乱を抑えようとしました。この緊急勅令を裁可する機関は枢密院でしたが、これを認めず、若規内閣は総辞職してしまいます。政府は仕方なく支払い停止という金融モラトリアムを実施しますが、効果はありませんでした。
実はこの枢密院が緊急勅令に反対した背景には、伊東巳代治を中心とする枢密顧問官の対外積極策がありました。緊急融資勅令裁可案件と支那への派兵問題がリンクされていたのです。
若規内閣は、緊急勅令裁可に支那出兵を条件付けするような枢密院の要求を呑むわけにいかず、結果倒れてしまいます。
しかし田中義一内閣は、金融問題解決に衡り、「達磨」と呼ばれた高橋是清を三顧之礼を尽くして蔵相に迎え、枢密院との協調を図ります。
是清は見事な手腕を発揮して事態を収拾し、一仕事が終わるや否や内閣を去りますが、田中内閣には枢密院との裏約束である支那派兵の宿題が残されます。
 帝国憲法の諮問機関として伊藤博文により設立され、憲法成立の後は憲法の守護を役目として存続し天皇陛下へ国家枢要の案件を具申する機関となり、議員は勅選の顧問官として終身その地位に留まりました。
 しだいに名誉職化して行き、大正末期以降は顧問官の老齢化とともに形骸化が進み、煙たい仁士をそこに押し込めたり、政界貴顕界の老残者が屯ろしたりで衰亡化します。 

 昭和初期の枢密院のボスは伊東巳代治でした。伊藤博文に引き立てられ金子堅太郎、井上毅らと帝国憲法の草案作成を務めたひとりです。
伊東はいやらしい性格の持ち主で周囲から嫌われ、枢密院に押し籠められたか自らそこに逃げ込んだのでした。
そこで身勝手な対シナ強攻論を打ち、これを受け入れようとしない若規内閣から諮問された対台湾銀行救済融資の緊急勅令を認めず若規内閣を瓦解させてしまいます。
これを見ていた田中義一は枢密院の意を受け入れ山東出兵を決し東方会議をやり、大陸積極策を進めることになります。 
昭和初期の金融混乱と大陸進出は枢密院を結接点にして、それぞれが不幸な展開を遂げていたのです。
枢密院とそこの老残者にだけ罪を押しつける気持ちはありませんが、不幸の源のひとつに枢密院の存在があったことは歴史の真実です。
   (有楽生)



    ♪
(読者の声3) 政官財マスコミ教育関係者必読の書、「売国奴」(ビジネス社)よりの抜粋です。
 「こうすれば日中・日韓の「歴史問題」は解決する」
 黄文雄:
 日本人に言いたいことは、自分自身独自の歴史観をはっきりもって、相手に対して主張したいことはきちんと主張すべきだということです。これを続けていけば解決できるのではないかと考えますが、どうでしょうか。

 石平:
 私は日中間の歴史問題を解決するためには、お互いに外交の場に歴史をもち出さないことだと思います。歴史を外交問題にすること自体が間違っているんです。
それぞれの国には、それぞれの国の歴史の見方があることを認めて、気に入らなくても外交的に文句をいったりしないこと、それしかありません。
 しかも、中国の主張している歴史は、いい加減な自己主張以外の何ものでもない。それでも、国内でどんな歴史を主張したっていいですよ。それは自由ですからね。しかしそれを日本に対してまで押しつけることが、大きな間違いだということがわかっていない。わかっていないんですよ、わかった上でやっているんじゃないんです。
 中国は小泉政権時代に、靖国問題で5年間喧嘩をしかけましたね。その結果、中国に何かいいことがあったかというと、何もないわけです。それどころが、日本国民の対中感情は最悪の水準になってしまった。(中略)
 中国が日本の歴史問題を、自国の外交問題として持ち出すのはおかしなことですが、そうして当然だという気持ちにさせているのは日本なんですよ。日本がもし、あくまでもそれは日本の国内問題だ、あなたたちが抗議するならどうぞ抗議しなさい、しかしそれと外交は別なことだよと、一貫して主張していれば、中国は打つ手がなくなっていたはずなんです。

 呉善花:
 日本は、それは国内問題だとつっぱね続けること、相手にしないこと、それ以外にありません。そうし続けていって、これでは韓国としてはちょっと困る、国益を損ないかねないとなれば、韓国としては何とかせざるを得なくなりますから、日本はそれを待っていればいいんです。
 なんとかしないで困ることになるのは韓国であって、日本ではないんです。日本から距離を置かれて困るのは、経済や技術や投資で日本の力を得なくてはやっていけない韓国の方なんです。
 フランスとドイツの関係でも、どちらかが歴史認識を改めたから仲良くなったわけではなく、外交問題にしなくなって、話し合いができるようになったわけですね。これを解決というなら、日韓もそうする以外にはないと思います。

以上を『売国奴』(黄文雄、呉善花、石平《鼎談》ビジネス社)から引用抜粋しました。
(IT、滋賀県)
 

(宮崎正弘のコメント) ここにペマ・ギャルポさんも入ると、四人組で、もっと面白かった?

          ○○○
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(年末年始の小誌発行予定) 暦どおりです。12月29日―1月3日を休刊します。
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<< 今月の拙論 >>

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(7)「中国反日記念館のデタラメ 南京大虐殺現場を往く写真集」(『WILL』臨時増刊号、発売中)
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  • 名無しさん2007/12/25

    石平氏・呉善花さんの方が日本人らしいのは何でしょう?

    良い加減に日本人も中国に漢字を教わった恩があるなんて古い話を信じるのは止めて欲しい。

    近代中国・韓国の分化・文字が明治の日本が無ければ、今だ闇の中、日本人も正直に口にすれば良いと思います。

    又この忙しい暮に「朝貢」に出かけますね、行く度に借りものを押し付けられる嫌に成ります。