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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:12/23


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 12月23日(日曜日) 
通巻第2036号 
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四年前の失策を踏襲するブッシュ政権。台湾に内政干渉
 住民投票をやめろ、と露骨な圧力に台湾民衆が反発
**********************************

コンドレーサ・ライス米国務長官が馬脚を現した。
12月21日の記者会見でライスは「台湾が『台湾名義』での国連加盟を問う住民投票を計画しているのは『挑発的な政策』である」と決め付けたのだ。
そして「台湾海峡の緊張を不必要に高めるだけであり、住民投票を中止するように」と強く警告する虚にでた。
スティタス・クオ(現状維持)優先の立場に立脚する米国としては、そういいたいのはわかるにせよ、明らかに内政干渉である。

だが、陳水扁総統は、このライス発言を待っていた節がある。
 四年前の総統選挙でも、土壇場で米国が台湾の住民投票に内政干渉し、反発を強めた本土台湾人が、優勢だった国民党・親民党連合を破り、僅差で陳水扁続投となった。
 1996年選挙でも、直前に中国はミサイルを台湾海峡へぶち込み、緊張感を高めた結果、台湾独立を主張する李登輝の圧勝に結びついた。

 2000年総統選挙は、国民党分裂により、陳水扁が漁夫の利を得たのは基本構造だが、やはり土壇場で朱容基(首相、当時)の強行発言が反作用を引き起こし、民進党の勝利となった。

 それゆえ、中国は台湾の総選挙と総統選挙を目の前に、久しくだんまりを決め込んでいた。
うっかり強硬な態度を示せば、北京の希望する馬英九の当選が遠のき、つまり台湾の挑発に乗れば、逆に台湾独立派を有利にしてしまうと踏んでいるからだ。
 
米国は北京の圧力にまけて、再び三度、台湾へ「独立を示唆するような、いかなる動きにも反対」という立場を鮮明にしてきたが、おそらく北京との連絡ミスか、あるいはライス国務長官のフライング失態であろう。台湾の挑発にまんまと嵌った。

 陳水扁総統は直ちに反論した。
ライス長官の警告に対して、「台湾に挑発政策はない。住民投票は2300万人の台湾人民の民意を示すことにすぎない」。

 問題の『住民投票』とは、じつは結果がどうでても、国際法的にレジティマシー(合法性)がない。
与党・民進党は2008年3月22日の総統選挙と同時に住民投票を行ない、「台湾の国連加盟は是か非か」と問う。
野党・国民党も住民投票には乗り気で、ただし「中華民国としての国連復帰は是か非か」と問う。
すでに台湾では憲法に従い、住民投票実施を求める272万人以上の署名が法に基づいて集まっている。

 さらに陳水扁総統は付け加えた。
「挑発しているのは台湾ではなく、中国だ。中国のほうが台湾対岸に988基以上の短距離弾道ミサイルを配備しているではないか。台湾はすでに主権独立国家であり、中華人民共和国の一部ではない」と明言した。
台湾の緊張が高まれば高まるほどに、台湾人アイデンティティへの自覚が広がり、その行き着く先の投票行動がどちらに有利になるか。書くまでもないことであろう。
  ◎◎み◎や▼◎ざ◎き◎◎◎▼◎ま◎さ◎◎ひ◎▼◎◎ろ◎◎
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(読者の声1)いつも貴重なニュースをありがとうございます。
 少し気になる文がありました。貴誌2035号の随筆に「これ(天草四郎の反乱)に加わった農民は、前藩主寺沢氏の苛斂誅求に耐えかねていた。貧困のどん底、絶望的境地にあった。そうした精神的空白状況にキリスト教が救いだと説けば、藁に縋る思いで叛乱に加わった農民が大半だったのではと推定される」。

 これこそが、マルクスが主張する「宗教はアヘンなり」ですね。宗教が心を癒すので、革命意識が弱るとマルクスは述べています。
 西欧の植民地政策は、搾取に耐えかねた民衆の暴動を防ぐ為に、宗教をセットにしていましたね。私は神の信仰者です(^^)。
   (おとうさん)


(宮崎正弘のコメント) 天草から長崎、平戸にかけて隠れキリシタンの施設が、点在していますが、いまでは観光名所になって、往時の苛烈な信仰を連想できるのみです。



  ♪
(読者の声2)天草の話面白かったです。
現在の視点から見ると次のように総括できるでしょう。
1、キリスト教の布教はスペインの日本植民地化の一歩だった。これは南米を見ると分かります。
  キリスト教会は残虐な現地人弾圧に参加しました。
2.秀吉、家康のキリスト教への警戒は賢かった。上記から明らかです。
3.現代日本人への戒め。正月の日本人の神社参拝対して、xx教徒がマイクでよく悔い改めよと叫んでいるが、これは本気である。
  日本人は警戒すべきである。一神教の世界は一神しか許さない。宗教的寛容は敗北に過ぎない。
4.「神」というのは日本の神道の神を言う。西洋の神はゴッドと呼ぶべきである。隠れキリシタンも神とは呼ばず、デウスと呼んでいた。
  日本の神がキリスト教に盗まれている。
    (MC生)


(宮崎正弘のコメント) デウスは信長の時代に「大臼」(だいうす)と呼んでいました。信長は比叡山と石山本願寺をやっつけるための方便で耶蘇教を徹底して利用しました。



    ♪
(読者の声3) 貴誌第2035号でHN氏が(読者の声1)で「思い返せば日本は、モルガンスタンレーの元の会社に日露戦役の軍艦費や関東大震災の復興資金を提供してもらった恩義があります」
といわれましたが、日銀総裁を恫喝して、旧平価で金輸出解禁をさせ、大不況に追い込んだのもモルガン銀行です。
現代の高橋是清がいるとしたら、常に現状を冷厳に見つめる観察眼と沈着かつ大胆に洞察し、その結果を行動に移すような人間でしょう。
所詮、株式会社など金儲けの道具、金融ギャンブルのルーレット上で転がるこまのようなものです。郷愁は目をくらますだけです。
ところで、もし万一(私は5%くらいは可能性があると見ていますが)Ron Paulが米国大統領に当選してnon-interventionist(不介入)政策をとって、在日米軍基地をはじめ在外米軍基地を廃止したらどうなるか、考えてみる価値があります。
米国政府は、パワーバキュームを埋めるため日本政府に軍備増強を要求するであろうと乳離れのしない日本人軍事評論家はいうかも知れませんが、おそらく、「中国の属国になろうが、自国の軍備を増強しようが好きにしてください」が答えでしょう。さてそのとき日本国民の世論は奈辺に? それが問題です。
   (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント) ご指摘いただいてから、まだロン・ポールを読んでいませんでしたが、そうですか、不介入主義者。拙著『ネオコンの標的』に書きましたが、米国の政治思想は大きく四つあって、孤立主義(モンロー主義)、多国籍主義(貿易重視=いまのブッシュ政権)、英米欧中心主義、そしてイデオロギー的リベラル(前のクリントンやカーター)。
 この点でいくと、ポール氏は、パット・ブキャナンの主張と似ていますね。
   
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(お知らせ) 年末特番
(1)桜チャンネル 29日三時間番組「討論闘論倒論」。黄文雄、宮崎正弘ほか。
(2)ラジオ日本 30日正午から三時間スペシャル 出演 平沢勝栄、宮崎正弘、南丘喜八郎、田中慶秋、原口一博ほか。
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『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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 宮崎正弘の比較的入手しやすい本の一覧 ↓
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  1. ST生様の投稿も合わせて読み考えたのですが、モンロー主義(孤立主義)も経済偏重主義も脳足りんで現状の打破には足りず、反って支那のような狡猾な経済政治両面の独裁体制を構築した悪魔の化身に悪用されるだけかと存じます。どの候補でも良いのですが、一人ぐらいアメリカ大統領候補が「民主主義国の連帯」を呼びかけないものでしょうか。。。自称いじめられっこの万年首相候補麻生太郎氏に出来てアメリカ大統領候補に出来ないわけはないと思いますが。。。そこがアメリカ人の頭の限界なんでしょうかね。<Akira.I>

     2007/12/23

  2. 読者の声欄への投稿方法が判らないので此方に失礼します。
    MC生氏のキリスト教総括は些か乱暴に過ぎるのではないかと思われましたので、取敢えず具体的な事実を記します。

    ・保守と国体護持とに教義としてのキリスト教が仇をなすと云う事はございません。御存知の通り李登輝先生はクリスチャンであられますし、麻生太郎氏も山谷えり子氏もカトリックです。
    ・戦前に上智大学(カトリック)学生による神社参拝の是非が問題となった折、バチカンから参拝は可能とのお墨付きが出ております。
    http://homepage.mac.com/saito_sy/yasukuni/H190215JSpamphlet.html
    ・戦後GHQが靖国神社の焼却を検討した折、意見を求められた上智大学学長・ローマ教皇庁駐日代表ブルーノ・ビッテル神父は同方針に明確に反対しております。
    http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid59.html
    ・少なくともカトリックは、拡声器で悔い改めよと街宣する行為に及ぶ事はないと理解しております。恐らく「聖書配布協力会」あたりではないかと思われますが、有体に言えば彼等は異端カルトであって、聖座の意思とは何らの関りもございません。例えればオウム真理教を仏教徒と見做されては、仏教界も迷惑でありましょう。

    ―キリスト教にもカトリック・東方正教会・プロテスタントと《大きく分けて》3勢力ございますし、3番目のプロテスタントに至っては末端が分派を繰り返した末に、上述のような正道から外れたカルトを膨大に抱えております。モルモンやエホバの様に自らはキリスト教を自称するが、一般的なキリスト教世界では異端とされる宗教団体も無数にございます。
    願わくば、そのあたりの実情も汲んで頂きたく思います。日本のカトリックに於いても恥ずかしながら中央評議会/正平協はあろうことか赤化しておりますが、これとて聖座の意思でも一般的な信徒の意思でも御座いません。
    http://www17.ocn.ne.jp/~antijpj/

    因みに米国の主流はWASPとあるようにプロテスタント、モルモンやメガチャーチにみられる通り、独自の教義に変化した勢力の多い土壌です。
    以上、何卒ご承知おき下さいますよう。

     2007/12/23

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発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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