国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/12/04


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 12月4日(火曜日) 貳
通巻第2018号  
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あれが「公正」な選挙と言えるのだろうか、とロシア共産党までが批判
  プーチンの不正選挙で与党連合が九割を占める異常現象はロシア国民の絶望なのか
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 米国が遺憾の意を表した。プーチンの圧勝に異議を唱えたのだ。
全欧安保協力機構(OSCE)はロシアに70名の選挙監視団しか派遣出来ず、不正選挙の実態を把握できなかった。
前回のロシア総選挙では、OSCEが400名の選挙監視団をロシア各地に派遣した。

12月2日のロシア下院選(定数450)は、まさしく不正、偽造、開票操作などデタラメな選挙で、「儀式でしかない」(英誌エコノミスト、12月1−7日号)と酷評されている。
なにしろ、ロシア共産党ですらジュガーノフ党首が「選挙は不正がある」と抗議しているくらい。
ともかく選挙ではプーチン大統領が比例の筆頭に並ぶという与党「統一ロシア」が63・3%を獲得して圧勝した。「個人的なプーチンの勝利であり、与党は、これで道徳的権威が確立された、などと言っている」(ワシントンポスト、12月3日付け)。
大統領三選が可能とする憲法改悪が可能となる定数の3分の2、つまり300議席を超える見通しだ。

統一ロシアは選挙戦を有利に戦うため、プーチン大統領を連邦名簿のトップにおき、大統領の任期中は兼職が認められないにもかかわらず、これで次期首相につくという権力維持のシナリオに展望が開けた。

このロシア下院選挙は、プーチンの人気に便乗した与党が連合を組んで、まずテレビの買収に始まり、マスコミのプーチン批判を許さず、野党候補の拘束、逮捕、抗議デモの禁止、そのうえ、7%の得票がない政党からは議員が選ばれないとする仕組みに変えた。まるでプーチン大政翼賛会選挙だった。
それでも国民の多くが不平を漏らさなかったとすれば、過去数年の石油暴騰により、生活に多少のゆとりが生まれたから。これを再び冷戦時代の貧窮に戻されたくないと言う、ささやかな願望のなせる業だろう。

結果、議席獲得に必要な7%を超えた政党は最大野党の共産党(11・7%)、プーチン政権寄りの極右政党「自由民主党」(8・4%)、政権支持の中道左派政党「公正ロシア」(8・0%)の4党だけ。
議席配分は「統一ロシア」が309、「共産党」が58、「自民党」が44、「公正ロシア」が39と予想される。
かくて共産党を除けば、プーチン礼賛の三派で全議席の9割近くを占める。

西側寄りの改革派「ヤブロコ」、や「右派勢力同盟」はいずれも1%台に留まり、議席を獲得できない。
このような不公正な選挙結果を受けて、米ホワイトハウスのジョンドロー国家安全保障会議(NSC)報道官は「選挙不正の疑いが伝えられている」としてロシア当局に調査するよう求めた。
 米政府が厳しくプーチン批判を展開したことは記憶に留めるべきだろう。
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竹村健一『愚かな働き者になるな、愚かな金持ちになるな』(青萌堂)
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 “電波怪獣”こと竹村健一氏は、仕事に空きが出来たり、講演旅行に行った先のついでに世界の果てへ夫人を連れてスケッチと冒険の旅に出かけることに人生のなによりの生き甲斐を見いだしている。
 ときに同年生まれの初午会(昭和五年生まれ)の仲良し、日下公人、渡部昇一氏らが一緒になってツアーを組織される。
 それも北極、南極、マダガスカル、アイスランド、軍艦島、イースター島。58歳になってからスキューバ・ダイビングを始め、スキーに励み、畢竟、遊びが人生であり、人生は遊びであり、ところが旅先で真面目に哲学を考え、人生を思惟し、世界情勢を眺める。
 もともとフルブライト一期生として米国へ留学の帰り、当時の日本人としては珍しく世界一周をしてきた。
外貨に乏しく、まだ日本国民の殆どが外国へは行けない時代。ミッキー安川も小田実も、それから後の登場だった。
トラベル・ライターの魁(さきがけ)的な存在だった竹村健一氏は、誰よりも早く、たとえばバルト三国を見て歩き、中東を廻り、ミャンマーの素朴な生活を体験してきたのだった。
本書は、そうした先験的実験的世界旅行の集大成である。

しかも行く先々で夫人の竹村良子さんの書かれたスケッチが本書に溢れ、読者をしてどこかへ行きたいという旅情を掻き立てる仕組みとなっている。
夫人には数冊の画集がある。
8年前になるが、竹村夫妻と連れだって台湾へ三泊四日の旅にでた。小生も愚妻をともない、目的の第一は李登輝総統(当時は現職の総統でした)にお目にかかること。30分の約束が一時間近くになって、その模様はフジテレビで流れた。
第二の台湾行きの目的は竹村氏がどうしても花漣から山へ登り、秘境・タロコ渓谷を見たい、という。
タロコでは山小屋風のホテルに泊まった。絶景を早朝に散歩した。
若き日にタクシーで山奥に分け入り、夜中にタクシーがパンクして、往生したのがこのタロコ渓谷だったため、竹村氏には特別の想い出がある、という。
そして山小屋の春風に揺られながら、氏は読書、夫人は数枚のスケッチをさらさらと描かれていた。
この人生の余裕は、かの電波怪獣の印象からは伝わらない。本書を読んで、なぜか、ほんわかと、多忙な時間とは別世界の雰囲気に浸れる収穫があった。

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  • 名無しさん2007/12/04

    何でも行動・実施することが最善です、山本元帥も言明されていました。