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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:11/16


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 11月16日(金曜日) 
通巻第2002号 “2000号突破記念特大号”(その3)
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 イラクから米軍は撤退するスケジュールだが
  真空となるイラクの石油鉱区を中国が代替するシナリオ
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 「イラクから米軍が撤退後、安全保障的にも経済的にも“真空“の状態となれば、イラクの石油鉱区開発プロジェクトを埋めていくのは中国となるだろう」(米国ジェイムズタウン財団発行『チャイナブリーフ』、07年11月14日号)。

 イラクと中国との関係復活は急である。
タラバニ(イラク)大統領は、イラク石油相を含む閣僚ら36名を引き連れて北京を訪問したのは07年6月20日だった。タラバニ大統領はクルド族の代表でもあり、個人としての訪中は四回目だが、イラク大統領としての公式訪問は初めてである。

イラクは過去の債務帳消しを要請し、中国は「一部」の帳消しに応じた。
イランイラク戦争中、中国は両国にシルクワームミサイルを含む重火器を輸出していた。
1982年から89年までに中国がイラクへ供与した武器は、合計40億ドル以上、利息を入れると80億ドルと推計されており、これはイランへ供給した武器代金のおよそ二倍に達する。

2004年統計でイラクの中国への債務は58億ドルに達していた(AFP、04年2月29日付け)。実際には80億ドルから100億ドルの債務不履行があり、中国側は「一部」の帳消しを発表したのみである。
温家宝首相は、その後「人権主義に乗っ取り医薬品、医療関係の援助を削減する」としたが、その額は五千万元(7億5000万円)に過ぎない。
パリクラブは対イラク向け債務の80%削減を主唱した。
だからイラクは80%削減を要求したのだが、中国はパリクラブのメンバーではない。

 もちろん、当時サダム・フセイン独裁下のイラクは、有力な油田開発を中国に認めていた。だから中国はシャカリキになって武器を売っていたのだ。
 97年に中国はサダム・フセインとの間で、23年間の長期契約を結び、12億ドルで最有力埋蔵の「アルアダブ石油鉱区」の開発を契約していた。契約はイラク国有石油機構と人民解放軍系列の「北方集団(ノリンコ)」との間で成立した。

 
 ▼イラクは中国側の投資に前向きな態度に豹変していた

中国は、この『反故』同然となったサダム時代の契約を箪笥から取りだし、改めての履行を迫った。イラク側は「テクニカルな問題が残るが、原則賛成」と回答したという。
 この間も、中国はせっせとイラクへ軽火器類を輸出していた。それらはイラク駐在の米兵の殺傷に使われていた(ワールドトリビューン、5月1日付け)。
 武器の中には82ミリ、100ミリのロケットが含まれており、イランからの密輸品のなかに混入していた。

 またイラクのテレビは「警察官の武装のため中国から一億ドルの武器を購入する。すぐにイラク警察を武装させるには米国での生産をまってはおられないからだ」とする報道をした。
 「イラクの警察官は五人に一人しか武装していないのは事実」(ワシントンポスト、10月4日付け)。

 十月下旬、上海重工業は、イラクの巨大発電所建設に合意した(バグダッドの南東ワシト発電所。1300メガワット)。これは現有発電能力の25%増の電力を供給できる(NYタイムズ、10月18日付け)。
 
 このような環境の変化は、米軍のイラクからの撤退が政治日程に入り、イラク側が「次のシナリオ」に備えているからである。イラク戦争からこのかた、あらかたの鉱区開発および石油輸出ビジネスは米国が独占してきた。

 かくしてイラクは、スーダン、アンゴラ、ナイジェリアそしてエチオピアと続く「石油鉱区の中国化」に邁進する気配濃厚なのである。

       ○●◎み◎や◎ざ◎き●◎○ま◎さ○ひ◎ろ●◎
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   ♪
((((今週の書棚))))

 海外取材中にも多くの書籍を寄贈いただきました。下記に簡略列記し、機会を見つけ次第、あらためて書評します。


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山口洋一『腑抜けになったか、日本人』(新風舎)
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 「国家意識」のない日本人を、日本人とは呼びたくない。戦後体制というのは、日本を徹底してダメにしてしまった。いかにして、この瀰漫状況を突破するか、と元大使が問いかける。
 著者の山口氏はミャンマー大使も歴任され、かのアウンサン・スーチー女史は極左だ、とはっきりと論評した、外務省では珍しい正論を吐く人。
 北京におもねりワシントンに尻尾をふる外交官が多い中で、骨太の論客である。
 ときにミニストリー・オブ・フォーリン・アフェアーズ(外務省)は「フォーリン・あほヤーズ」と改称したらどうだろう?


  ♪
石 平『中国大虐殺史』(ビジネス社)
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 どうして中国人はあれほど大量に人を殺すのが好きなのか?
 日本を貶めるために、うっかり三十万と言ったら(三万どころか、三人の虐殺もなかったが)、真っ赤な嘘がばれて、真っ青になった。かと思いきや、そんなこと、最初から歯牙にもかけていないのが中国人である。
 六千万から七千万人が文革で殺された。
 共産党には「虐殺」の特権が与えられ、国民党と分かれば、片っ端から一番残虐な方法を発明して殺した。毛沢東は『処刑』のノルマを課した。歴史を振り返ると中国の戦争では籠城戦も多く、城内でも城外でも殺した人間を食べた。本当の「南京大虐殺」とは、1854年、曾国蕃の湘南軍がひきおこした。
 あっと驚く歴史的記述が満載されている。


  ♪
ジェィ・ミラー著、石川潤一訳『最強戦闘機 F22ラプター』(並木書房)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 次期戦闘機の有力候補はステルス・ジェット機のF22ラプターという。
謎に満ちた戦闘機だが、この度、その全貌がはじめて公開された。
 F15との模擬戦争で、F22の成果たるや。108 vs ゼロ。
驚いたなぁ。
 じゃ、これを自衛隊は買えば良いじゃないと日本人は容易に短絡的に考えがちだが、じつは米国議会はF22を輸出することを当面禁止している。同盟国日本にも売ってくれないのだ。
とくに日本のように、外交官が「かぐや姫」のセックス・トラップに簡単に引っかかって秘密を北京に売り渡す輩が多いため、米軍も売る気はないという。
 本当かな。
コストを見合うビジネスにするために米軍需産業は、このF22を、日本のように高価な値段で言いなりに買ってくれる国家には売りたくて堪らないだろう。ちなみに製造メーカーは、かのロッキード・マーチンである。
防衛メーカーとは議会とは異なった考え方をする処である。
 売らないというのなら、欧州からNATO主力機トーネードか、次期ユーロファイターを買うぞトたまには米国に脅しをかけるくらいの交渉事を展開できる人、いないの。
 ともかく本書は新鋭強力ジェット機F22を、微に入り細に亘って、日本で初めて詳細に紹介した本だ。


    ♪
福島香織『危ない中国 点撃!』(産経新聞社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 産経新聞の北京支局にはユニークな中国通が揃っている。
 トウ小平秘録を書いているのはベテラン伊藤正支局長。そのもとで、砂漠の奥地、辺境へ飛んで庶民末端のネタを仕入れてくるバイタリティの富んだ女性特派員、知っていますか?
 徹頭徹尾面白い本書をモノにした福島嬢がその人。日本人特派員があまり書きたがらない、路地裏のネタをたくさん拾ってくるので、チャイナタウンのあいだでも抜群の人気です。
 で、本書に関しては、近く産経新聞の書評に書きますので、この欄での紹介はこのくらいで止めておきます。

◎○み□▽や◇◎ざ○△き□◇ま◎○さ□▽ひ◇◎ろ○◎
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    ♪
(読者の声1a)宮崎正弘の国際ニュース・早読み2000号記年号発刊、誠におめでとうございます。
毎回、中国を中心にすばらしい情報を提供して頂き、いつも面白く読ませていただいております。心より厚く御礼申し上げます。     (KH生、姫路。HI生、掛川)
(読者の声1b)宮崎先生の疲れを知らない行動力には、本当はサイボ−グではないか、と疑っています。(TK生)


(宮崎正弘のコメント) ほかにも同様な励ましを多数頂きました。有り難う御座います。



    ♪
(読者の声2)貴誌のレポートにあった、「これらの米国の変身ぶりは日本の有識者に強い不審と衝撃を運んだ。『米国は日本を見捨てるのか』と。ありましたが、日本の有識者とはどの様な人達ですか。
信念ですが、主権を持つ国家の維持は「富国強兵」以外に道はない、と思っています。
見捨てる国に不信感を持つより、見捨てられる様な自国に不信感を持つのが先だと思うのですが、独立自存の国家堅持を忘れた保護領国家の民達は、一千人も大挙して訪中するのですか、訪中団の中には自民党内の似非保守達も参加するのでしょうか。名前は公表するのでしょうか。

 「原理原則のない、目先の利益を優先する財界人。国家の利益より私企業の利益保護という視野狭窄の性質は、日本も米国も台湾も変はらない。」の指摘ですが、或る経営者と最近激論しました。
  台湾国「国連」加盟運動を押し進める為の集会を開くので、○月○日某所へ来てくれないか。「今頃そんな事をしてなんになるか、もう遅い俺の知った事か」。
おい一寸待て、お前だって台湾のお蔭で会社を大きくする事ができたのではないか、其れよりも何より台湾が民主国家で在ってくれないと日本国が併呑される危機が生ずるからだ。だから、貧者の一灯ではあるが出来る限りの協力を惜しんではいないのだ。
  「偉そうに、お前一人が頑張って何に成るか、全財産を投げ出して支援しているとでも言うのか、台湾の事は台湾人任せとけ」。
 お前は何時から心変わりをした、何であんな人食い人種の国に憧れる。
 「俺にとって台湾なんかどうでの良い事、そんな事より会社を存続させ、従業員の給料をどう確保するか、其れが俺の課題だ、お前の戯言に付きあっている暇は無い、中国経済を抜きにして何が出来る」。
 お前の気持ちも分らんではないが、俺に取ってはお前の会社の事より「日本国」が大事だ、国を亡くしてはお前の会社の存続も無いぞ、いい年こいて其れくらいの事も分らんのか。
というわけで、其処でも嫌われ、友を失いましたが金が絡むと万国共通ですか、虚しいですね。
   (TK生、佐賀)


(宮崎正弘のコメント) 波風の立たぬ日はなし、カネの音。

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((( 宮崎正弘の最新刊 )))
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
   ♪
『2008年 世界大動乱』(改訂最新版、1680円。並木書房)
 好評を博した拙著『2008年 世界大動乱の予兆』を大幅に改訂増補。新データを満載。

((( 宮崎正弘のロングセラーズ )))
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊)。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%8B%7B%8D%E8%90%B3%8DO/list.html
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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 宮崎正弘の比較的入手しやすい本の一覧 ↓
 http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
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  1. 「特」良いです、是非政治家諸氏・外国間諸氏に読んで欲しいと思います、現場・現実から逃げている日本の政治力、嫌になります。

     2007/11/16

  2. 財界人はそんなものです。私も商社におりましたので財界人の人柄は少し承知してますが、彼らの心得は要領よく、調整力に重きをおき国家にたいする思いも要領よくなのです。歴史にかんする話をするとほとんど勉強してません。私もゴルフなどの話をしても面白くないので、あえて話を国、歴史の話題にもっていくと、大概決裂します。基本的なところでほとんど知識がありません。「もっと勉強したら」と言ってさよならとなります。相手は激怒。
    まあそうゆうことです。
    SH埼玉

     2007/11/16

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発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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