国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/10/26



●小誌総発行部数 9、410、379部 ●小誌登録読者 10、105名(10月26日)
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 10月27日(土曜日) 
通巻 第1973号  (10月26日発行) 
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胡錦濤の党大会演出は抜群の成績だった、と高く評価する台湾元軍人幹部
 ポピュリズム、スピーディ、意表を突く戦法が胡錦濤の持ち味だ、と。
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 中国共産党の新しい政治局常務委員の顔ぶれをみて、胡錦濤はまったく人事を押さえ切れていない実態が表面化した。
九人の政治局常務委員には胡錦濤、温家宝、李克強の三人が辛うじての胡派。
 居残りの呉邦国、賈慶林、李長春の三人は明らかに江沢民派の残党。これに新任の習近平、周永康、賀国強の三人がいずれも上海派か、それに近い太子党からだ。
 3 vs 6 で、胡錦濤派は劣勢である。どうひいき目にみても、李長春と呉邦国が胡とも関係がよく、新人のなかでは李克強いがい、気心がしれた同志はいないようだ。

 政治局全体25人の中では、ようやく胡派が目立つが、ヒラの政治局員は、絶大な権限はない。
 胡錦濤は本気で李克強を後継者として公表したかったが、この状況になると、次期総書記は太子党の習近平にさらわれると観ていいのではないか。
これで「共青団」の次期総書記の目が消え、李克強は次期首相コースに乗ることになる。

 党内の地盤が脆弱で胡の主導は確立されず、大会直前に多くのウォッチャーは台湾に対して強硬姿勢を示すだろう、と予測した。

 ところが、この分析に異論を唱えた台湾の旧軍高官がいる。
  実際に、胡錦濤は、土壇場になって党大会での台湾強硬路線をひっこめ、台湾に「平和の話し合い」を呼びかけるトーンに変えて、柔軟な姿勢を見せた。台湾強硬派の守旧派、老幇、上海派を前にして、胡錦濤が柔軟路線の演説をなしえたということが彼のパワーアップを物語るのだ。
このようなユニークな分析するのは台湾の軍事専門家で、国際問題並びに台湾海峡財団理事長の林中斌である(ヘラルド・トリビューン、07年10月25日付け)。

林は台湾国防副部長を務めたことがあり、現職中の2003年六月にワシントンを公式訪問した。当時のカウンターパートはウルフォウィッツ国防部副長官(その後、世界銀行総裁)。
この林中斌の訪米は台湾で最初のシビリアン出身の国防部副部長として、79年の台米断交以来、じつに31年ぶりの台湾高官訪問となった。
このとき、林副部長は「台湾は台湾海峡防衛の責任から逃避しない」と改めて強調した。

  以下、林の分析に従うと次のようになる。
 第一に胡錦濤が主唱する「科学的発展観」を党規約に挿入させることに成功したのは、江沢民より実力が上の証拠で、なぜなら江沢民の「三つの代表論」は、かれが総書記を去る間際にようやく党規約としたことに比較すると、大変な力だという。

 第二に胡は陸軍の軍権を確実に手中にした。
06年にはじめて軍人事に手を染めて、徐々に軍管区のトップ人事をなしたが、そのスピードを上げた。
古参幹部、とくに江沢民派をはずし、陸海空幹部に大量の若手を起用した。

 第三は地方幹部と閣僚級高官人事を胡の子飼いで固めた事実。とくに省の書記、省長クラスに胡派陣営から大量の登用が観られる。

 第四に大衆に訴える力量を発揮する能力が胡錦濤にはある林元台湾国防副部長が言う。
SARS騒ぎのおりに江沢民は上海に隠れて伝染を恐れたが、胡は温家宝と分担してSARS患者を見舞うなどの演出を続け、テレビ時代のポピュリズムを計算できる能力がある。
 「これは先に農村をかため、都市を包囲せよ」とした毛沢東戦略を追随するかのごとくでもあり、かれは静かに周りを囲むまで時間を稼ぐが、陳良宇失脚のときは突然にスピーディに行動を起こした。この政治力量が西側では、あまりに過小評価されている」というのだ。
 つぎにバチカンとダライ・ラマという宗教問題に関して、胡錦濤執行部は、意外な手段を講じてくる可能性があるとも言う。
「宗教団体へのアプローチを変更することによって、むしろ社会的安定に逆梃子として利用することも睨んでいるのではないか」(林元台湾国防副部長)。
 
 だが、そうであるとすれば先週から今週にかけてなされた、ダライ・ラマ法王への批判罵倒の数々は、中国外務省と中央宣伝部に、まったく胡錦濤路線を違うことを言う人達がいるという矛盾を表していることにもなるだろう。
 変化に意欲的? だが真相は藪の中である。 

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(読者の声1) 愛読者の皆さま
「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンを応援してください。
宗教ジャーナリストの斎藤吉久ともうします。
 宮崎先生のメルマガの愛読者の1人です。私の主要テーマの1つである靖国問題を理解するには、中国という視点が欠かせませんが、先生の幅広い知見と確かな分析はとても参考になり、多くの示唆を与えられています。
 今日は先生のご好意に甘えて、この場をお借りして、新しいメルマガの宣伝をさせていただきます。

 平成19年10月16日に「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンがスタートしました。
 日本のように君主制を採用する国は世界的に少なくありませんが、神話の世界につながるほど古い歴史を持ち、国の歴史とともに、1つの王朝が連綿と続いているのは日本の天皇以外にはありません。
 天皇の存在があまりに当たり前のことなので、私たちはあまり意識もせずにいるのですが、それではもう済まないのではないかと思われます。

 安倍政権から福田政権に変わり、「女性天皇・女系継承容認論」の復活が心配されています。皇位が男系によって維持されてきたのが日本の歴史ですが、「男系でも女系でも構わない」などと、国家の中枢にいる政治家が簡単に発言するような時代になってしまいました。
 しばしばテレビのニュースなどに登場する天皇は、本当は何をなさっている方なのか?
 日本人が古来、守り続けてきた天皇とは何か? 知っているようで意外に知られていない天皇・皇室の世界を謙虚に学び直してみたいと願っています。
 第1回目は「天皇陛下のお稲刈り」、第2回目は「天皇に私なし」がテーマでした。
 「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンのURLは以下の通りです。ご登録の上、ご愛読いただければ幸いです。皆さま、どうぞご支援ください。
http://www.melma.com/backnumber_170937/



(宮崎正弘のコメント) というわけで、愛読者の皆さん、上記へ登録して御試読ください。
とくに福田「森の木陰内閣」は男女共同参画、皇室典範改悪、靖国にかわる追悼施設の建設などに前向き。皇室への崇拝の態度がかすかにも伝わらない、へんな政権ですから。



   ♪
(読者の声2) S誌の巻頭に今まで安倍首相に擦り寄っていたY氏の一文があり、そこで郵政民営化法案で自民党を放逐され無所属になった平沼赳夫氏をヨイショしています。
佐藤優氏は『月刊日本』11月号で、次のように彼らについて触れています。
(引用開始)
「ついこの前まで安倍首相のブレーンと言われた有識者の中には、まるで犬の死体から蚤が逃げるように『私はブレーンではなかった、そのように思われては迷惑だ』と安倍さんと距離を置くような言論を展開している人もいます。じつに見苦しい」。
 (引用止め)
見るからにスマートな出で立ちのY氏らしく、失墜した安倍首相を顧みることなく、すばやく他の政治家に乗り換えています。 
お見事というしかありません。それにしても上に引用した佐藤氏の表現には、すさまじいものがあります。 彼らを「犬の死体から逃げる蚤」だというのですから。一寸の虫にも五分の魂、しかし一毛の蚤には五尺の厚顔無恥。 
      (HN生、品川)


(宮崎正弘のコメント) 戦後だけでも何人も首相が替わりました。その度毎にこういう場面を観てきましたので、佐藤さんのような凄まじいルサンチマンは沸きませんが。
しかし行政にいる人間ならばトップである首相の顔色をみるのは当然、反対すればラインからはずされるのも当然、それが人間社会ですから。ですから佐藤氏の言い分にも、いまさら、という気もします。

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創刊日:2001-08-18  
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  • 名無しさん2007/10/27

    オルタナティブ通信から

    2007年10月27日

    暴走する中国軍部

     米国議会中国問題特別委員会の対中「報告書」で、委員のラリー・ウォーツェル博士は、2007年1月に行われた中国の通信衛星攻撃システム実験ASATが、中国の国家主席.胡錦涛と温家宝首相の「知らぬ間」に、軍部の「独走」の下に行われた事を指摘している。



     これは、中国政府の政権中枢が軍部と地方政府に対する支配力、コントロール能力を喪失しつつある事、中国が複数の地方政府に「空中分解」する端緒、亀裂が起こり始めている事を示している。



     この暴走した軍部は米国への留学帰国組であり、中国政府の複数地方政府への「空中分解政策」が米国諜報組織CIA等の「工作」であることを、これは示している。(引用おわり)



     このことが事実であるならば、中国共産党の次期トップは李克強になる可能性のほうが高いのではないでしょうか。

     つまり中国の宇宙航空産業及び弾道ミサイル技術の中枢は遼寧省にあるはずです。その軍管区(八路軍の末裔を自認する)が中央に遠慮なく衛星迎撃実験を行えたとすれば、既に李克強の実力は相当程度になっていると判断できるのではありませんか。