国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/10/23


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 10月24日(水曜日) 
通巻 第1968号 (10月23日発行)
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 流刑地、海南島はいま

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 共産党大会が終わって、なぜか、流刑地のことを考えている。
 今回、ひとりの失脚者もでなかった不思議。「腐敗」の象徴と言われる賈慶林が政治局に居残り、予想に反して、大会はPTA総会のごとくとなり「太子党」「共青団」「上海派」にくわえて「元老幇」と言われる古参幹部が、いきいきと大会を取り仕切ったからである。

 中国旅行にビザが必要だった時代、日本人のビジネスマンが急な出張での抜け道は海南島だった。
当時、海南島は観光促進のため「アライバル・ビザ」という例外措置が認められており、空港で30日間有効のビザが発給された。これさえ取得すれば、何処へ行っても良い。ほかにアモイも同じ制度があったが五日間以内、アモイ市内のみと限定されていた。

 もう一つの抜け道は深せん。
香港から電車ではいって羅湖国境の旅行代理店で2万4千円を支払うと数次ビザ(半年有効)が「買えた」。
筆者はよくここで緊急ビザを取得した。

 海南島へ行った理由は、ちょうど中国がボーアオ会議(アジア版ダボス会議)をぶち揚げた時で、2001年には中曽根大勲位が出席、02年は小泉首相が現職で海南島を訪問したため各社特派員が急遽、海南島を取材した。

  その間に、米軍偵察機の不時着事件があって米中関係が緊張したこともあった。
 玄関の海口へは飛行機でもフェリーでも行けるが香港からの便が一番便利だ。ここの工業団地に、当時猖獗をきわめた日本製バイクの偽物工場があった。

 海口で一番見たかったのは海瑞(明代の清廉な政治家)の墓。なにしろ文革の口火を切ったのは海瑞をめぐる京劇の上演だったからである。
 江青夫人は海瑞を劉少奇と比喩した反対派の策謀と妄想し、毛沢東に告げ口、それが実務派追い落としという文革の口火を切ったのだ。その海瑞の出身地でもある。
 その付近に記念館でもあって、どのような歴史解釈がされているか、興味があった。
 しかし、墓いがい何もなかった。
 あの清廉潔白の政治家を、おとずれる共産党幹部は、おそらくゼロに等しいのであろう。

 もともと海南島は流刑地で、漢族の入植は近代になってから。原住民はリー族、イ族など。漁業と農業、牧畜に従事しのんびりと暮らしていた。
いまも段々畑はのどかである。

 筆者は海口から最南端の三亜へ向かう長距離バスに乗った。
日本の援助でつくられた高速道路を突っ走り四時間で島の南端へたどり着ける。三亜は「中国のハワイ」と言われる風光明媚なリゾート、海水浴場、林立する豪華ホテルにはプールも完備している。


▼ 海南島のリゾートを買いあさる投機集団

 おり悪く風が強い季節で曇天、とてもリゾート気分ではない。私は日程を切り替え、リー族の集落があるトンザへ行くことにした。
 付近の海水浴場の周辺には豪華な別荘が建ち並び、売られていた。富と貧困の二極分化を回避するべき共産党が、その党を率いる人達と、その利権に繋がる投機集団が、こうした別荘群に投資しているのである。
 
三亜市内から郊外までの舗装路を離れると、酷い凸凹道を揺られること三時間、山間が急にひらけ棚田が広がる。(あ、これは平家落人物語か)と私は突然、栃木県の湯西川温泉を思い出した。風景が似ているのだ。
 
漢族に追われ、リー族は山奥へ山奥へと逃れ、途中の道を塞いだ。
 その名残がいまも山奥に突如拓ける棚田風景でユートピアのような場所である。途中で「入山許可書」をバスの運転手が貰っていたが、これは少数民族の居住区へ行く手続きというより山の中腹にあるレーダー基地への闖入者の警戒だろう。

 旅館では外国人賓館という別館に泊められ、食堂へ行ったら三百人の宴会が出来るスペースに客は筆者だけ。仕方がないので料理を四品注文し、地元の酒を飲んだ。それで440円だった。安いのなんのって。

 それから町へ再び繰り出したが、寂寥として屋台も何もない。
 ネオンどころか、午後八時をまわると店が一軒も営業していないのだった。このトンザ市は最近「五指山市」と改称された。

 (この拙文は『共同ウィークリー』三月号に加筆しました)

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(読者の声1) 貴誌1967号に転載された西村眞悟代議士のビルマ現状報告は、時宜に叶い的確な内容と思いました。
軍事政権のキン・ニュン第一書記との交流はさすがと敬意をもちました。
 日本の媒体はアプリオリにスーチー女史を持ち上げています。それは即英米に追従していることのわからない愚に辟易としていました。
 TVにでてくるジャーナリストは長井さんが撃たれたことを、月並みな表現ですが鬼の首をとったように騒いでいます。
西村さんは言葉尻を取られないように慎重にのべていますが、言わんとするところは明瞭にわかります。
 長井さんの出来事は不幸であるものの、これは私見ですが、画像から見る限りフォト・ジャーナリストとしてはあまりに無防備で、サバイバル意識の欠如を指摘せざるを得ません。
 今後も、宮崎さんの守備範囲ではない問題が生じた場合、今回の西村さんの紀行というか批評を紹介するような仕方での提供を願います。
 1年にもならない新しい気心の知れた知り合い(某公立大学教授)が、ある記事の載った最近の貴誌を転送したところ、貴誌を小生よりも長く読んでいるとのこと。さもありなんと奇遇を感じました。
(SJ生)


(宮崎正弘のコメント) ミャンマーについて、もう一人卓見を発言し続けている人は元ミャンマー大使の山口洋一氏です。
『週刊新潮』で「スーチー女史は極左」と断言して、日本のマスコミの欧米人権批判姿勢追随を激しく批判しています。今月号の『月刊日本』でも詳しい記事があります。
 ちなみに『月刊日本』11月号(22日発売)の当該記事は山口洋一元大使の、
「ミャンマーに見る『軍政=悪』という間違った認識――アメリカン・デモクラシーを押しつけるな」
です。
 『月刊日本』が、主要書店にない場合、同社の電話は(03)5211−0096です。



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(読者の声2) 以前、宮崎正弘先生のご著書で「美しい日本語が聞きたかったら台湾へ行け、」という文章がありました。
先日しりあった韓国からの引揚者だと仰る御夫人が言うには、「おとうさんも、おかあさんもきちんとした日本語が出来るのに、どうして私たちには教えてくださらなかったの」との問いに「教科書に書いてあることが全て正しいわけではないのよ」と答えたと言います。
彼らは、未だに美しい日本を話しておられる。韓国の友人の話では、日本人のいた頃(韓国併合時代)から続いている「俳句の会」がいまもあって、その機関紙も刊行されている。
韓国人が「反日」と一口に言っても、今の若い人達は、アメリカ留学から帰国して大統領に挑んだり。
反日教育も盛んですが、親日家は年老いた人達の中にまだいると聞いて、なんだか、とてもホッとしました。
    (F子、小平)   


(宮崎正弘のコメント) 当該拙論のでた拙著は『迷走中国の天国と地獄』(清流出版、2003年刊)の第十一章ですね。
ひょっとしてこの本は絶版になっているかもしれません。
さて韓国でも75歳以上のインテリはきわめて格調の高い日本語を話します。
20年前、彼らがまだ50歳代で、官庁でも政府でも民間企業でも、第一線にいたころ、よく韓国へ行っていたので、夜、宴会になると、突然、流暢な日本語を繰り出してきたのには、驚かされたものです。
金鍾泌(朴政権下で首相十年ほど)閣下とも何回か面談しましたが、金首相は日本人より達者な日本語。財界トップもそのころは殆どが日本語派でした。
 漢字をやめて、ハングルだけの国語教育として、英語がエリートの条件になるや、日本語を喋る若い世代は極端に減員。同時に中国を喋る韓国人も激減しました。
それが時代がかわって、韓国はくにを挙げて北京に顔の向きを変えるや、いまでは中国へ留学している韓国人が20万人もいるというご時世。ま、事大主義の典型というわけですか。
 ところで、台湾の日本語世代の日本語研究グループは「友愛」です。
 初代会長の陳絢輝氏は、淡水の奥の海辺に隠棲されていますが、まだまだお元気。昨年、見舞って来ました。テレサテンの墓がある金山の傍、海辺の風が強かった。
 『友愛』最新号は07年8月18日発行の第8号で、294ページ。『文学界』や『群像』なみの厚みがありますよ。
 ホームページは http://www.youai.org

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(サイト情報) 米国通商代表部(USTR)は10月18日、規制改革要望書(2007年)を日本政府に提出した。米国政府は日本に対し、医療機器および医薬品分野で技術革新を支援する政策の実施など、さらなる市場開放を求めている。
(1) 日本政府に対する規制改革要望書 2007年 
Annual Reform Recommendations from the Government of the United States to the Government of Japan under the U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative, United States Trade Representative、October 18, 2007 
http://www.ustr.gov/assets/Document_Library/Reports_Publications/2007/asset_upload_file751_13383.pdf (PDF 262 KB, 50 p.)
USTRからのプレスリリース 
http://www.ustr.gov/Document_Library/Press_Releases/2007/October/Schwab_Urges_Japans_Continued_Commitment_to_Reform_-_Annual_US_Reform_Recommendations_Presented_to_Japan.html
(3)USTRプレスリリースの日本語訳 
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20071022-50.html 
(4) ウェンディ・カトラー米国通商代表補の日本記者クラブでの講演 
http://www.ustr.gov/assets/Document_Library/USTR_Speeches/2007/asset_upload_file203_13388.pdf (PDF 33 KB, 11 p.) 
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(((  宮崎正弘の最新刊 )))
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)

『2008年 世界大動乱』(改訂最新版、1680円。並木書房)
 好評を博した拙著『2008年 世界大動乱の予兆』を大幅に改訂増補。新データを満載。大増ページ普及版。

((  宮崎正弘のロングセラーズ ))
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊)。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%8B%7B%8D%E8%90%B3%8DO/list.html
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『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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