国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/10/19



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 10月20日(土曜日) 貳
通巻 第1964号 
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 ペトロチャイナの躍進、躍進、また躍進
   だが、面妖すぎないか、と全米一の投資家バフェットは全株を売却した
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 ヒラリー・ローダム・クリントン上院議員の『フォーリン・アフェアーズ』への寄稿論文が話題を読んでいる。
 「中国との関係は今世紀もっとも重要となるだろう」という基本路線で書かれたヒラリー論文には、日本に関しての記述が殆ど無い。
ジャパンパッシング(日本無視)である。

国際通貨基金(IMF)の報告書『世界経済見通し』(07年10月17日)は「中国が世界経済発展の最大の推進力になりつつある」と予想した。
同時に中国を含む新興市場経済(ロシア、ブラジル、印度など)の急速な発展により、米国、日本、ユーロ圏の経済低迷は効果的に緩和されたとしている。 

 ゼーリックが世銀総裁となって、初めてのIMF報告は、「西側先進国が信用危機に直面している間に、世界経済は中国、インド、ロシアといった新興市場の経済活動への依存度を深めた」とも指摘しており、2006年度だけでも、中国、露西亜、印度の参加国が世界経済成長に果たして貢献度は50%超だったとなんだか、これも中国を絶賛気味なのだ。


▼ そんなことより、もっと衝撃的ニュースはこれだ!

 英紙『フィナンシャル・タイムズ』は中国の資源企業「ペトロチャイナ」が不抜のトップ企業「エクソン・モービル」を抜き去る可能性が高く、おそらく世界一の企業の座に着くだろう、と予測したのである。(同紙、10月19日付け)。
 
 ちなみに、時価総額でランキングを作成すると(10月17日の世界市場のデータをもとにトムソンデータストリーム調査)、次のようになる。

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順位       企業名            時価総額(億ドル)
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 1  エクソンモービル            5260億ドル
 2  ペトロチャイナ             4330
 3  GE                  4200
 4  中国移動(チャイナモービル)      3820億ドル
 5  ICBC(中国工商銀行)        3380
 6  ALTRIA              3310
 7  マイクロソフト             2910
 8  ガスプロム(ロシア)          2780
 9  ロイヤルダッチシェル          2730
10  シノペック               2700
11  AT&T                2560
12  中国人寿(生命保険)          2410
13  BP(ブリティッシュ・ペトロ)     2400
14  香港上海銀行              2320
15  BHP                 2240億ドル

 世界のメジャーを押しのけて、ペトロチャイナが世界一企業となる日は本当にあるのか? 
このランクは、あくまで時価総額を並べてのもので、株式は夢を買う側面があるから、急成長の企業の情報の透明性なぞお構いなしの欠陥もある。

 それにしてもペトロチャイナの株式が急騰している背景には、第一に業績の伸びの凄まじさ、とりわけガスの商売が85%も伸びたことばかりか、第二に渤海湾の埋蔵が世界一のランクらしいという業績予測の上方修正が大きい。

 エクソンの保有する石油鉱区の埋蔵は228億バーレル。ペトロチャイナは、205億ドルの埋蔵量へと急激な増加ぶり。ちなみにロイヤルダッチシェルは、113億バーレルに過ぎない。


  ▼ところがバフェット氏は、ペトロチャイナ全株を売却した

 予測とは反対の行為に出たのがウォーレン・バフェット氏だ。
氏は全米最大最強の投資集団「バークシャー・ハザウェイ」を率いる。
 七月にもペトロチャイナ株式を大量に売却していたが、バフェットが保有した全株ではなかった。
 議会や左翼マスコミから「スーダンのダルフールにおける虐殺と政府の武力弾圧に手を貸す中国、その当該企業の株式を保有することはスーダンの虐殺に手を貸すことである」と非難されたため?
 
 ではなかった。
バフェットは市場を慎重に観察しながら、「値ごろ感」で、売却することにしたと淡々とフォックステレビに出演して語った(ロイター、10月18日)。
バフェットは、06年に全体の11%の株主で簿価は4億8800万ドルだった。
それが33億ドルに化けていた。差益は報道されている通りであるとすれば、じつにじつに28億ドルになる!
「中国を手玉にとって荒稼ぎの天才」となったわけかも。

ともかく過去二、三年というもの全世界のマスコミを振るわせている主役は、中国! 中国! 中国である。

      ○◎み◎や◎ざ◎き◎ ○ま◎さ○ひ◎ろ◎
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(読者の声1) 「中国の危険な食品」(原題 民以何食為天)の著者である周勍氏が、日本での同著プロモーションを終え15日に帰国してから、連絡が杜絶えたと騒ぎになっていました。
 同氏の携帯電話の電源はずっと切られ、北京の自宅の固定電話は、家族がいるはずなのに(17日午前の自宅は無人だったそうです)、「料金未払いのため使用できません」とのメッセージが流れるだけで、異常事態を推測させるものでした。
 17日の宵になってようやく本人から「当局から電話がくるのが煩いから、携帯電話を切っていただけ 」との連絡が、ある新聞社の北京支局に入ったそうです。
これって変ですね。
日本サイドで本人と連絡が取れないと大騒ぎになったので、日本で言いたい放題してきたお仕置きの拘禁か軟禁状態が、急遽解かれて、連絡だけはできるようになったんではないでしょうか。 
17大開催中の北京の公安当局はピリピリしているんでしょうね。
日本でお見受けしたかぎり、天安門事件に連座して三年間投獄されたつわものの風情が満ち満ちていましたから、ご本人は心配ないでしょうが、同氏の家族や親戚縁者への迫害は心配です。

ところで第17期中央委員の選挙で、「習近平が落選するかも」という、剣呑といいますか、楽しそうな情報が、香港の組織「中国人権民運信息中心」から流されています。
習近平の、実績が無いくせにあまりの出世ぶりに、反感が強まっているそうです。
つまり習近平は、1997年の15大中央候補委員選挙は最下位、2002年の16大中央委員選挙は185位と、底辺・下位を彷徨っていたのですから、マスコミが17大選挙で彼をさかんに持ち上げ囃していることが、我慢ならない中央委員や共産党員は少なからずいることでしょう。
落選者が出ない投額選挙から、多少とも落選者が出る ”差額選挙”になっても、権力者がそれをコントロールして意中の候補を当選させることに汲々と権謀術数を巡らしている独裁政権が中共なのですね。 そういう政争でかれらの政治的闘争能力が磨かれ鍛えられて、国際政治でその成果が発揮されるのですね。 いやはや。
  (有楽生)


(宮崎正弘のコメント) 周さん、日本でファンが多いようで(関係者も相当数ですが)、懸念が拡がりましたが、所在が確認されたようです。
 習近平はせっ江省書記時代に日本企業いじめで有名でした。
 この怪物的男は「上海派」と「太子党」の両派が推し、「ちょこざいな青二才ども」と彼らがなめている共産主義青年団(団派)への強烈な牽制球として、かのフィクサー男=曾慶紅がもってきたのです。政治局常務委員に当確マークが灯っています。多維新聞は、このほか、李克強、賀国強、周永康にも当確マークをつけました(19日付け)。

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  • 名無しさん2007/10/21

    中共の一人っ子政策に関しては、確かトム・クランシーの小説『大戦勃発』の中で恐ろしい記述がありました。おそらく同様の事例があったのを突き止め小説の中に取り入れたのでしょう。なおこの小説は、NYの9・11でテロリスト」が参考にしたと言われる『合衆国崩壊』の続編として書かれたものです。 横浜・鈴木孝則

  • 中国はおっきすぎる2007/10/20

    中国は「テロとの戦い」を利用して、国内の少数民族への弾圧を正当化している。

    新疆ウイグル自治区内の批判勢力にも「テ

    ロリスト」のレッテルが貼られ、これまでに数万人が拘束された。拘束されたウイグ

    ル人は拷問を受け、不公正な裁判にかけられて投獄されたり処刑されたりするのだ。

    このような目に遭い、世界中に亡命しているウイグル人達の希望の星といわれるラビヤ・カーディルという人が、来月初来日して、中国の人権問題を告発する講演会があるそうだ。かつては中国共産党の要職についていた彼女は現在ニューヨークに亡命中。身の危険もある中すごい警備を引き連れての講演会らしい。主催はアムネスティだけど、中国がどんなひどいことをしているのか聞きに行ってみる。

    http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1469